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一ヶ月の入院~私の場合~6
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私は、個室で我慢していました。
はじめの一週間は、肝機能障害のため、MRSAの治療ができませんでした。
その後、MRSA陽性のため、今度はバクトロバンの鼻腔塗布と、ミノマイシンの内服が開始しました。
2週間目。MRSAに馴れていなかった病棟スタッフも、MRSAを理解してくれるようになり、私に対する言葉かけも変わってきました。(もちろん、信頼を得るために規則は片っ端から守りました。精神も安定していることを態度で示しました)
そして...2週間目の検査結果は...
再び陽性がでました。
ショックでしてが、感染の症状が出ていない(くしゃみ・咳・鼻水・熱など)事もあり、隔離が医師の指示で解除になりました。(マスクは着用)
突然の自由の嵐。
もちろん、マスク着用でしたが、嬉しくって嬉しくって。
病棟を初めて歩き回ることも喜びを感じました。
音も壁に耳を傾けて外の世界を気にすることもせず、好きなだけ、扉の外を感じられる。
特に一番嬉しかったことは、トイレ。
悲願といってもいいくらい、うれしいものでした。
もう、ナースコールしなくてもいい。
人様に排泄物をみせなくてもいい!
これは、画期的でした。
そして、外出の許可を得ることができました。
これは、本当に気持ちが良かったです。
数時間でしたが、ヒコちゃんと、二人っきりで過ごすことが、こんなに素晴らしいことだなんて...思わず、涙が出てしまいました。
さて、隔離解除により、私は、この病棟の特殊性を知ります。
そう、改めて「閉鎖病棟」だということをです。
ここに入院されている方々。
見るからに、入院を繰り返している方・・・
見た目は普通なのに、病的なタバコ依存症の方。
癌妄想の方。
妄想幻聴等のすごい統合失調症の方。
うつ病が落ち着いており、他の患者さんを下に見ている人。
認知症の方・・・その他諸々。
その中でも。私は、Rさんと言う方の洗礼を受けることになります。
私が閉鎖病棟内での自由を満喫していると、
「お名前は?」
と、いってくる人がいました。
Rさんと言う、女性の患者さんでした。
「一緒にお話しない?」
私は、軽い気持ちでOKをしました。
すると、まるで私を引きずるような勢いでテーブルまで連れていかれました。
話をしていて分かったことは、Rさんは、統合失調症の方で、とても優しい人でした。
しかし、彼女の症状は、日常生活をするにあたり、かなり激しいもので。やはりしばらくは入院する必用があるレベルでした。
彼女の主な症状は妄想で、
①恋愛
②お金
この二つの妄想が強くなり、現実と非現実の違いが分からないほどになっていました。(今回の入院も、これが原因らしいです。)
どんな会話をしても、
「あのね、私は、2億を稼げる女なんだけどれど、今は入院中だから生活保護を受けているの」
「KSくんと婚約中でね。その末の弟と私を取り合っちゃって...KS君とは、16年間付き合っているのだけれど。一度別れていてね。そのときに弟くんと私が付き合っていて。でも、結局別れて。今はKS君とよりをもどしたの...」
「KS君が、結婚用の指輪(数百万円)を、予約してくれて。私が退院すれば、直ぐに取りに行けるの」
「五人の男にストーカーされているから、ここに社長が私を入れてくれたの。社長は私のために何でもしてくれる人で、ほら、私、2億は稼げる女だから。SM⚫Pも、ここまで有名にしたのは、私なの。とある、大物芸能人と引き合わせたから。」
「・・・でも、インターネットにすぐに情報が載ってしまうから。あなたにもあまり話せないことがあるの...」
こんな感じの会話を延々としてきます。
しかも、薬のためか少しろれつが回りません。
でも、頭がよく優しい方でもあります。
それに、何故ここに来たのかを質問すると、自分の病気のことを、何となくわかっていて。
ふと、妄想が和らいで本来のRさんを、垣間見れる時もあります。
統合失調症の発症してからかなり長いようで、色々と苦労もしたようです。でも、屈託もなく沢山話してく
れます。
そして、私の時間には平気で割り込みますが、Rさんの世界にやたらに踏み込もうかとすると、
「私、用があるから」
と、すくに席を立ちます。
こんな状況は、退院するまでずっと続きました(退院をほのめかすと、一定の距離を捕りはじめました)。
ああ...せっかく自由になれたのに...
Rさんの洗礼はさすがに心構えをしていなかったので、ビックリしました。
私が、そんなRさんと退院まで2週間一緒にいましたが、一つ心配していることがありました。それは、「私がやたらなことを言ってしまうと、それが原因で、Rさんの妄想が酷くならないか?」と、言うことでした。
そう、ここは治療の場なのです。
症状の出ている方に変な刺激を与えていないか、不安だったのです。
実を言う私も、双極性障害の疑いで入院中でした。。そんな私に、
「ハゼミちゃん、さっきより急にテンション が高くない⁉ 別人みたい?」
と、Rさんに言われてしまいました。
さすがは、精神科の患者さんです。自身の違いがわからないけれど、人の変化には敏感です。私も、おどろかせられました。
だから、Rさんの薬のコントロールや規則正しい日常生活等で、少しでも妄想を軽減できたらいいな...と、思います。
Rさんには、驚かされっぱなしですが、嫌いになれず。同じ精神科での仲間と本当に思いました。(Rありがとうね)
はじめの一週間は、肝機能障害のため、MRSAの治療ができませんでした。
その後、MRSA陽性のため、今度はバクトロバンの鼻腔塗布と、ミノマイシンの内服が開始しました。
2週間目。MRSAに馴れていなかった病棟スタッフも、MRSAを理解してくれるようになり、私に対する言葉かけも変わってきました。(もちろん、信頼を得るために規則は片っ端から守りました。精神も安定していることを態度で示しました)
そして...2週間目の検査結果は...
再び陽性がでました。
ショックでしてが、感染の症状が出ていない(くしゃみ・咳・鼻水・熱など)事もあり、隔離が医師の指示で解除になりました。(マスクは着用)
突然の自由の嵐。
もちろん、マスク着用でしたが、嬉しくって嬉しくって。
病棟を初めて歩き回ることも喜びを感じました。
音も壁に耳を傾けて外の世界を気にすることもせず、好きなだけ、扉の外を感じられる。
特に一番嬉しかったことは、トイレ。
悲願といってもいいくらい、うれしいものでした。
もう、ナースコールしなくてもいい。
人様に排泄物をみせなくてもいい!
これは、画期的でした。
そして、外出の許可を得ることができました。
これは、本当に気持ちが良かったです。
数時間でしたが、ヒコちゃんと、二人っきりで過ごすことが、こんなに素晴らしいことだなんて...思わず、涙が出てしまいました。
さて、隔離解除により、私は、この病棟の特殊性を知ります。
そう、改めて「閉鎖病棟」だということをです。
ここに入院されている方々。
見るからに、入院を繰り返している方・・・
見た目は普通なのに、病的なタバコ依存症の方。
癌妄想の方。
妄想幻聴等のすごい統合失調症の方。
うつ病が落ち着いており、他の患者さんを下に見ている人。
認知症の方・・・その他諸々。
その中でも。私は、Rさんと言う方の洗礼を受けることになります。
私が閉鎖病棟内での自由を満喫していると、
「お名前は?」
と、いってくる人がいました。
Rさんと言う、女性の患者さんでした。
「一緒にお話しない?」
私は、軽い気持ちでOKをしました。
すると、まるで私を引きずるような勢いでテーブルまで連れていかれました。
話をしていて分かったことは、Rさんは、統合失調症の方で、とても優しい人でした。
しかし、彼女の症状は、日常生活をするにあたり、かなり激しいもので。やはりしばらくは入院する必用があるレベルでした。
彼女の主な症状は妄想で、
①恋愛
②お金
この二つの妄想が強くなり、現実と非現実の違いが分からないほどになっていました。(今回の入院も、これが原因らしいです。)
どんな会話をしても、
「あのね、私は、2億を稼げる女なんだけどれど、今は入院中だから生活保護を受けているの」
「KSくんと婚約中でね。その末の弟と私を取り合っちゃって...KS君とは、16年間付き合っているのだけれど。一度別れていてね。そのときに弟くんと私が付き合っていて。でも、結局別れて。今はKS君とよりをもどしたの...」
「KS君が、結婚用の指輪(数百万円)を、予約してくれて。私が退院すれば、直ぐに取りに行けるの」
「五人の男にストーカーされているから、ここに社長が私を入れてくれたの。社長は私のために何でもしてくれる人で、ほら、私、2億は稼げる女だから。SM⚫Pも、ここまで有名にしたのは、私なの。とある、大物芸能人と引き合わせたから。」
「・・・でも、インターネットにすぐに情報が載ってしまうから。あなたにもあまり話せないことがあるの...」
こんな感じの会話を延々としてきます。
しかも、薬のためか少しろれつが回りません。
でも、頭がよく優しい方でもあります。
それに、何故ここに来たのかを質問すると、自分の病気のことを、何となくわかっていて。
ふと、妄想が和らいで本来のRさんを、垣間見れる時もあります。
統合失調症の発症してからかなり長いようで、色々と苦労もしたようです。でも、屈託もなく沢山話してく
れます。
そして、私の時間には平気で割り込みますが、Rさんの世界にやたらに踏み込もうかとすると、
「私、用があるから」
と、すくに席を立ちます。
こんな状況は、退院するまでずっと続きました(退院をほのめかすと、一定の距離を捕りはじめました)。
ああ...せっかく自由になれたのに...
Rさんの洗礼はさすがに心構えをしていなかったので、ビックリしました。
私が、そんなRさんと退院まで2週間一緒にいましたが、一つ心配していることがありました。それは、「私がやたらなことを言ってしまうと、それが原因で、Rさんの妄想が酷くならないか?」と、言うことでした。
そう、ここは治療の場なのです。
症状の出ている方に変な刺激を与えていないか、不安だったのです。
実を言う私も、双極性障害の疑いで入院中でした。。そんな私に、
「ハゼミちゃん、さっきより急にテンション が高くない⁉ 別人みたい?」
と、Rさんに言われてしまいました。
さすがは、精神科の患者さんです。自身の違いがわからないけれど、人の変化には敏感です。私も、おどろかせられました。
だから、Rさんの薬のコントロールや規則正しい日常生活等で、少しでも妄想を軽減できたらいいな...と、思います。
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