21 / 25
丘の上の王様とお妃様 20
しおりを挟む
私、木崎 環子は、我が家に帰ってきた...
と、言いたい所だが。
実は父方の祖父母の家に戻っていた。
何せ、実家は聖さんの別邸の隣である。今帰ったところで、直ぐに聖さんに会うかもしれない。しかし、ここなら流石の聖さんでも、来れないだろうし。その間に、私の事を忘れて他の人を選ぶかもしれない。いや、そうした方が彼も幸せになれる。
しかし、だ。
私も、急いで王家の屋敷から出てきて、4~5日...
家より祖父母の住んでいた所は、田舎なのを忘れてた...。
お陰様で、必要最低限の生活は出来るものの、食料の調達は自分で しなくてはいけない。近くにコンビニもスーパーも無い田舎だから。
ちなみに風呂も薪割りをして、くべるというとレトロな風呂である。
「お婆ちゃん、どうやって独りで暮らしていたのかしら?」
自分から勝手に上がり込んでおいて、数年前に亡くなった祖母につい、ぼやいてしまうほど、ここはのどかだ。
祖父は、私が子供の頃に逝ってしまい、私の祖母は亡くなるまでここで暮らしていた。何度も両親が一緒に暮らそうと言っても、祖母はこの家を選んだものだった。
だから、祖母が亡くなる少し前まで、よくこの家に両親と来たものだった。(高校2年の時に祖母は亡くなったのだが...)だから、私にすればもうひとつの実家になる。(私が大学に行った後は、父がここを管理していた。)
そんなこんなで、今私は、のどかな自然の中で独りで色々と考えて暮らしているのだが。
どうしても、両親の亡くなった原因に間接的にではあったものの、関わっていた事にショックで。
その事を直視できずに、聖さんの元から逃げ出してきた私。
「ねぇ...お婆ちゃん。私、これで良かったのよね。」
そう、呟きながらも、この家に来て心に浮かんでくるのは、聖さんの顔。何度もその顔を忘れようとしたけれど、どうしても忘れられない。
「天使様...私を守って。聖さんが幸せになれるように、私もここで暮らしていけるように。」
私は、そう自分に言い聞かせるように、あの可愛らしい夢の中に出てくる天使様に、お祈りをするくらいしかできないのだ。
自分でも分かっている。こんなに情けないだなんて。OLをやっていた頃よりもっと、今の方が情けなさすぎる私。
「本当に愛していたから...」
失ってみて初めて、聖さんのをこんなに好きだったんだと気付かされるなんたて。
「本当に馬鹿ね私。やっぱり、しばらくはここで暮らして、何もかも始めから始めなくっちゃ...」
山々に囲まれたこの場所で、私は、空を眺めながら呟いた。
と、言いたい所だが。
実は父方の祖父母の家に戻っていた。
何せ、実家は聖さんの別邸の隣である。今帰ったところで、直ぐに聖さんに会うかもしれない。しかし、ここなら流石の聖さんでも、来れないだろうし。その間に、私の事を忘れて他の人を選ぶかもしれない。いや、そうした方が彼も幸せになれる。
しかし、だ。
私も、急いで王家の屋敷から出てきて、4~5日...
家より祖父母の住んでいた所は、田舎なのを忘れてた...。
お陰様で、必要最低限の生活は出来るものの、食料の調達は自分で しなくてはいけない。近くにコンビニもスーパーも無い田舎だから。
ちなみに風呂も薪割りをして、くべるというとレトロな風呂である。
「お婆ちゃん、どうやって独りで暮らしていたのかしら?」
自分から勝手に上がり込んでおいて、数年前に亡くなった祖母につい、ぼやいてしまうほど、ここはのどかだ。
祖父は、私が子供の頃に逝ってしまい、私の祖母は亡くなるまでここで暮らしていた。何度も両親が一緒に暮らそうと言っても、祖母はこの家を選んだものだった。
だから、祖母が亡くなる少し前まで、よくこの家に両親と来たものだった。(高校2年の時に祖母は亡くなったのだが...)だから、私にすればもうひとつの実家になる。(私が大学に行った後は、父がここを管理していた。)
そんなこんなで、今私は、のどかな自然の中で独りで色々と考えて暮らしているのだが。
どうしても、両親の亡くなった原因に間接的にではあったものの、関わっていた事にショックで。
その事を直視できずに、聖さんの元から逃げ出してきた私。
「ねぇ...お婆ちゃん。私、これで良かったのよね。」
そう、呟きながらも、この家に来て心に浮かんでくるのは、聖さんの顔。何度もその顔を忘れようとしたけれど、どうしても忘れられない。
「天使様...私を守って。聖さんが幸せになれるように、私もここで暮らしていけるように。」
私は、そう自分に言い聞かせるように、あの可愛らしい夢の中に出てくる天使様に、お祈りをするくらいしかできないのだ。
自分でも分かっている。こんなに情けないだなんて。OLをやっていた頃よりもっと、今の方が情けなさすぎる私。
「本当に愛していたから...」
失ってみて初めて、聖さんのをこんなに好きだったんだと気付かされるなんたて。
「本当に馬鹿ね私。やっぱり、しばらくはここで暮らして、何もかも始めから始めなくっちゃ...」
山々に囲まれたこの場所で、私は、空を眺めながら呟いた。
0
お気に入りに追加
160
あなたにおすすめの小説
丘の上のお姫様~姫島 皐月の場合~
よしき
恋愛
王 聖の異母従姉妹に当たる、姫島 皐月は、結婚を1ヶ月に控えた木崎 珠子のいる喫茶店「坂の上の」にやって来る。
そこで、皐月が珠子を自分がオーナとして展開するエステサロンへと、連れていくことになるのだが...
「坂の上の王様とお妃様」の続編第2段!?
喫茶店オルクスには鬼が潜む
奏多
キャラ文芸
美月が通うようになった喫茶店は、本一冊読み切るまで長居しても怒られない場所。
そこに通うようになったのは、片思いの末にどうしても避けたい人がいるからで……。
そんな折、不可思議なことが起こり始めた美月は、店員の青年に助けられたことで、その秘密を知って行って……。
なろうでも連載、カクヨムでも先行連載。
悪魔召喚した俺が、うっかり魔王様呼んだ話。
coco
恋愛
幼いころから勉強も運動も平均以下のダメな男の子、下野世界。
ライバルに勝ち、憧れのあの子を振り向かせるため、ある日悪魔を呼び出した。
汚い手上等!召喚成功で喜ぶ世界だったが、呼び出したそれは悪魔ではなかった。
何とその正体は、魔界の頂点に立つお方、魔王様だったのだ。
俺と魔王様が贈るハートフル学園ラブな物語❤♡
もどかしくってピュアな恋模様がここにある-。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】四季のごちそう、たらふくおあげんせ
秋月一花
ライト文芸
田舎に住んでいる七十代の高橋恵子と、夫を亡くして田舎に帰ってきたシングルマザー、青柳美咲。
恵子は料理をするのが好きで、たまに美咲や彼女の娘である芽衣にごちそうをしていた。
四季のごちそうと、その料理を楽しむほのぼのストーリー……のつもり!
※方言使っています
※田舎料理です
鬼の閻火とおんぼろ喫茶
碧野葉菜
キャラ文芸
ほっこりじんわり大賞にて奨励賞を受賞しました!ありがとうございます♪
高校を卒業してすぐ、急逝した祖母の喫茶店を継いだ萌香(もか)。
気合いだけは十分だったが現実はそう甘くない。
奮闘すれど客足は遠のくばかりで毎日が空回り。
そんなある日突然現れた閻魔大王の閻火(えんび)に結婚を迫られる。
嘘をつけない鬼のさだめを利用し、萌香はある提案を持ちかける。
「おいしいと言わせることができたらこの話はなかったことに」
激辛採点の閻火に揉まれ、幼なじみの藍之介(あいのすけ)に癒され、周囲を巻き込みつつおばあちゃんが言い残した「大切なこと」を探す。
果たして萌香は約束の期限までに閻火に「おいしい」と言わせ喫茶店を守ることができるのだろうか?
ヒューマンドラマ要素強めのほっこりファンタジー風味なラブコメグルメ奮闘記。
あの日出会った天使様からいつしか目が離せなくなっていた
星月
恋愛
高校2年の春 星川歩は学校の帰り道、近くの公園にいた学園一の美少女こと天使様とよばれている清水咲希を見つける。しかしどこか悩みを抱えているようでほっておけない歩はつい声をかけてしまう。友達は大事にする歩と友達という関係に拘る咲希の少しずつ惹かれあう、甘く焦れったい恋の物語
恋煩いの幸せレシピ ~社長と秘密の恋始めます~
神原オホカミ【書籍発売中】
恋愛
会社に内緒でダブルワークをしている芽生は、アルバイト先の居酒屋で自身が勤める会社の社長に遭遇。
一般社員の顔なんて覚えていないはずと思っていたのが間違いで、気が付けば、クビの代わりに週末に家政婦の仕事をすることに!?
美味しいご飯と家族と仕事と夢。
能天気色気無し女子が、横暴な俺様社長と繰り広げる、お料理恋愛ラブコメ。
※注意※ 2020年執筆作品
◆表紙画像は簡単表紙メーカー様で作成しています。
◆無断転写や内容の模倣はご遠慮ください。
◆大変申し訳ありませんが不定期更新です。また、予告なく非公開にすることがあります。
◆文章をAI学習に使うことは絶対にしないでください。
◆カクヨムさん/エブリスタさん/なろうさんでも掲載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる