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丘の上の王様とお妃様 16
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急きょ、休みの間は、王さんと過ごすことに決まった私。そのため、まるで王さんに誘拐されるがごとく、私は身一つで王家の本宅に連れていかれることとなった。
移動は、例の自家用ヘリコプターである。お陰さまで、すぐに飛んでこれた。
お陰で、想像通り大財閥の王家本宅もやはり、巨大な敷地面積であることを上空から確認する事になったわけだが...
ヘリポートに到着するなり、私たちはお迎えの車で本宅の母屋までつれていかれた。なれてきてしまった自分が少し怖いくらいだ。
車が止り、私は降車から降りた。そして、やっぱり目の前にあるお屋敷の素晴らしさに苦笑いしたくなってしまった。
坂の上のお屋敷も豪邸であったが...本宅の方はそれよりもさらに大きく、立派なものであった。
王さん曰く、イギリスから嫁いできたおばあ様のために、和洋を上手く混ぜ合わせた平屋立てのお屋敷だとか。庭も、イングリッシュガーデンが広がり、四季折々を楽しむことの出きる、素晴らしい造りとなっている。
観賞する暇もなく、王さんの後に続いていくと、
「ここがタマちゃんの部屋だよ。好きに使ってくれていいよ。」
王さんは、嬉しそうに扉を開けた。
私に設えてくれた部屋は、まるでホテルのスウィートルームの様に素敵な部屋であった。基本は和室であるが、洋風のテイストが使われている。しかも、 丁度ローズガーデンの見える部屋となっていた。
さらに、以前デートをしたときに、私の体のサイズは測定済みだったので、普段着からスーツ・ドレスに至るまで、全て(もちろん下着までも...)用意されており、衣食住には、全くだ問題がない。流石、王さんである。滞在中は快適なこと、間違いなしと言ったところだろうか。
私が、部屋の中をウロウロしている姿が滑稽だったのか。王さんは少し笑いをこらえながら、私を呼んだ。
「着いたばかりで、疲れていると思うけれど、これから会わなくてはいけない人達がいるから。その時、一緒にランチをとる予定になっている。使いのものが来るだろうから、それまでに服をきがえて待っていて。それから...これからは王さんじゃなくって、聖と呼んで」
私が頷くと、
「それじゃ、また後で。」
そう言って、王さん改め聖さんは、そう言い残すと、部屋から出ていってしまった。
それと入れ替わるかのように、一人のメイド服を着た女性が部屋の中に入ってきた。
「ご滞在中、お世話をまかせられました『松木』ともうします。木崎様、御用でしたら何なりと申し付けください。」
松木と名乗る人は、少し小柄な20代後半の女性だった。髪は引っつめ髪で、人当たりの良さそうな第一印象である。
「あの、ヨロシクお願いします。木崎珠子です。珠子と呼んでください。」
「分かりました、珠子様。
」
松木さんは、笑うとチャーミングである。そのお陰で、少しだけ緊張が取れたような気がした。
「それでは、珠子様。お着替えをいたしましょう。」
私は、さっきの王さんの言葉を思い出した。
「ああ、ランチですよね」
「はい、珠子様。」
「あの、会わせたい人達と、王さんは言っていましたが?」
私は、その『達』の意味がイマイチ分かりかねていた。多分、王さんのご家族の事だとは、理解していたが。
「はい。本日は、ガーデンでの立食会です。ご親戚と、ご主人様の知人の方がご出席です。」
私は、恐る恐る、松木さんに訪ねる。
「あ、あの。何名ほど参加されるんですか?」
「本当に小さい規模のものですので。100人程でしょうか。」
...。
私は、軽い目眩がした。
「お召しになられるのは、ワンピースでよろしいかと思いますが、どちらにいたしましょう⁉」
そんな私に可愛らしく松木さんが話しかけながら、10着程のワンピースを見せてくれていたのだが。私の頭がキャパオーバーしてしまったのは、言うまでもない。
移動は、例の自家用ヘリコプターである。お陰さまで、すぐに飛んでこれた。
お陰で、想像通り大財閥の王家本宅もやはり、巨大な敷地面積であることを上空から確認する事になったわけだが...
ヘリポートに到着するなり、私たちはお迎えの車で本宅の母屋までつれていかれた。なれてきてしまった自分が少し怖いくらいだ。
車が止り、私は降車から降りた。そして、やっぱり目の前にあるお屋敷の素晴らしさに苦笑いしたくなってしまった。
坂の上のお屋敷も豪邸であったが...本宅の方はそれよりもさらに大きく、立派なものであった。
王さん曰く、イギリスから嫁いできたおばあ様のために、和洋を上手く混ぜ合わせた平屋立てのお屋敷だとか。庭も、イングリッシュガーデンが広がり、四季折々を楽しむことの出きる、素晴らしい造りとなっている。
観賞する暇もなく、王さんの後に続いていくと、
「ここがタマちゃんの部屋だよ。好きに使ってくれていいよ。」
王さんは、嬉しそうに扉を開けた。
私に設えてくれた部屋は、まるでホテルのスウィートルームの様に素敵な部屋であった。基本は和室であるが、洋風のテイストが使われている。しかも、 丁度ローズガーデンの見える部屋となっていた。
さらに、以前デートをしたときに、私の体のサイズは測定済みだったので、普段着からスーツ・ドレスに至るまで、全て(もちろん下着までも...)用意されており、衣食住には、全くだ問題がない。流石、王さんである。滞在中は快適なこと、間違いなしと言ったところだろうか。
私が、部屋の中をウロウロしている姿が滑稽だったのか。王さんは少し笑いをこらえながら、私を呼んだ。
「着いたばかりで、疲れていると思うけれど、これから会わなくてはいけない人達がいるから。その時、一緒にランチをとる予定になっている。使いのものが来るだろうから、それまでに服をきがえて待っていて。それから...これからは王さんじゃなくって、聖と呼んで」
私が頷くと、
「それじゃ、また後で。」
そう言って、王さん改め聖さんは、そう言い残すと、部屋から出ていってしまった。
それと入れ替わるかのように、一人のメイド服を着た女性が部屋の中に入ってきた。
「ご滞在中、お世話をまかせられました『松木』ともうします。木崎様、御用でしたら何なりと申し付けください。」
松木と名乗る人は、少し小柄な20代後半の女性だった。髪は引っつめ髪で、人当たりの良さそうな第一印象である。
「あの、ヨロシクお願いします。木崎珠子です。珠子と呼んでください。」
「分かりました、珠子様。
」
松木さんは、笑うとチャーミングである。そのお陰で、少しだけ緊張が取れたような気がした。
「それでは、珠子様。お着替えをいたしましょう。」
私は、さっきの王さんの言葉を思い出した。
「ああ、ランチですよね」
「はい、珠子様。」
「あの、会わせたい人達と、王さんは言っていましたが?」
私は、その『達』の意味がイマイチ分かりかねていた。多分、王さんのご家族の事だとは、理解していたが。
「はい。本日は、ガーデンでの立食会です。ご親戚と、ご主人様の知人の方がご出席です。」
私は、恐る恐る、松木さんに訪ねる。
「あ、あの。何名ほど参加されるんですか?」
「本当に小さい規模のものですので。100人程でしょうか。」
...。
私は、軽い目眩がした。
「お召しになられるのは、ワンピースでよろしいかと思いますが、どちらにいたしましょう⁉」
そんな私に可愛らしく松木さんが話しかけながら、10着程のワンピースを見せてくれていたのだが。私の頭がキャパオーバーしてしまったのは、言うまでもない。
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