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ファティマの夢
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自分の子を宿したファティマに、アレックスは、優しく接した。
それまでも、もちろん。ファティマを大切にしていたが。欲望のまま・・・本能のまま、ファティマを抱くことはしなくなった。
「子を宿したのなら、ファティマは、俺だけの者ではないのだから・・・」
そう、優しく言っては、ファティマを優しく抱きしめて眠る。
元々アレックスが、一男一女の父でもある。女性が子を宿している時の事は承知しているからでもあろうが。
ファティマも、そのアレックスの胸に頬を埋めて眠れる事が、嬉しかった。アレックスに女として抱かれて、快楽を得る事も幸せであったが。今は、それよりもさらに安らぎがあった。
ただ、2人を困らせたのは、悪阻である。ファティマは、中々食べ物が喉を通らないために、毎日厨房へ駆け込んでは、ルカに頼んで性のつくスープや、酸っぱいジュースを作ってもらっては、ファティマの元へと届けた。
アレックスのお陰で、ファティマは少し痩せたものの、お腹の子供は順調に育っていった。
2人は、そうして緩やで、穏やかな日々を過ごす様になったのた。
幸せな日々・・・
そんなある日、ファティマは、夢を見た。
真っ黒な大きな鳥の夢を・・・
内容はほとんど覚えていないのだが・・・その鳥はの羽は、オーロラを纏った様な美しい羽をして、立派で、美しかった。その美しさは、まるで神の化身の様であった。大きく、蜜色の瞳は、静かに。鳴き声はまるで弦楽器の様に美しく、ファティマに聞こえた。
『永き時の果て。その時が来た。偉大なる王は、神の眼に出逢った時、神々の元へと誘われるだろう・・・』
そう鳴声が聞こえた様な気がして。そして、真っ黒な鳥は一声鳴いて、大きく羽を広げると、東の空へと飛び立っていった・・・
なんとも不思議な夢。しかし、その夢は毎日のように見るのだ。
ファティマは、思った。あの鳥は、神の化身で、『これは神からのオーラケルである』と。そして、これから生まれてくる、お腹の子供は、祝福された子であると。
ファティマは、その夢を愛するアレックスに伝えた。アレックスも、大喜びをして、ファティマを抱きしめた。
「きっとお腹の子は、ファティマに似た美しい子供が産まれてくるに違いない。あぁ、早く逢いたいものだ。」
アレックスは、ますますファティマとお腹の子供への愛情が深くなっていった。それでなくとも、60才を超えてできたアレックスの子供。しかも、愛しいファティマの子供である。何事もなく、無事に産まれて欲しいと思うのが親心と言うもの。
こうして、お年をめした皇爵は、ますます大きくなっていくファティマのお腹に耳を当てながら、考える様になった。
ファティマの夢が本当なのだったら、自分の代で終わる皇爵などと言う位など、ファティマとお腹の子供には役に立たない・・・。
こうして、アレックスは、ファティマに内緒で、帝都へと使いを送る様になったのである。
それまでも、もちろん。ファティマを大切にしていたが。欲望のまま・・・本能のまま、ファティマを抱くことはしなくなった。
「子を宿したのなら、ファティマは、俺だけの者ではないのだから・・・」
そう、優しく言っては、ファティマを優しく抱きしめて眠る。
元々アレックスが、一男一女の父でもある。女性が子を宿している時の事は承知しているからでもあろうが。
ファティマも、そのアレックスの胸に頬を埋めて眠れる事が、嬉しかった。アレックスに女として抱かれて、快楽を得る事も幸せであったが。今は、それよりもさらに安らぎがあった。
ただ、2人を困らせたのは、悪阻である。ファティマは、中々食べ物が喉を通らないために、毎日厨房へ駆け込んでは、ルカに頼んで性のつくスープや、酸っぱいジュースを作ってもらっては、ファティマの元へと届けた。
アレックスのお陰で、ファティマは少し痩せたものの、お腹の子供は順調に育っていった。
2人は、そうして緩やで、穏やかな日々を過ごす様になったのた。
幸せな日々・・・
そんなある日、ファティマは、夢を見た。
真っ黒な大きな鳥の夢を・・・
内容はほとんど覚えていないのだが・・・その鳥はの羽は、オーロラを纏った様な美しい羽をして、立派で、美しかった。その美しさは、まるで神の化身の様であった。大きく、蜜色の瞳は、静かに。鳴き声はまるで弦楽器の様に美しく、ファティマに聞こえた。
『永き時の果て。その時が来た。偉大なる王は、神の眼に出逢った時、神々の元へと誘われるだろう・・・』
そう鳴声が聞こえた様な気がして。そして、真っ黒な鳥は一声鳴いて、大きく羽を広げると、東の空へと飛び立っていった・・・
なんとも不思議な夢。しかし、その夢は毎日のように見るのだ。
ファティマは、思った。あの鳥は、神の化身で、『これは神からのオーラケルである』と。そして、これから生まれてくる、お腹の子供は、祝福された子であると。
ファティマは、その夢を愛するアレックスに伝えた。アレックスも、大喜びをして、ファティマを抱きしめた。
「きっとお腹の子は、ファティマに似た美しい子供が産まれてくるに違いない。あぁ、早く逢いたいものだ。」
アレックスは、ますますファティマとお腹の子供への愛情が深くなっていった。それでなくとも、60才を超えてできたアレックスの子供。しかも、愛しいファティマの子供である。何事もなく、無事に産まれて欲しいと思うのが親心と言うもの。
こうして、お年をめした皇爵は、ますます大きくなっていくファティマのお腹に耳を当てながら、考える様になった。
ファティマの夢が本当なのだったら、自分の代で終わる皇爵などと言う位など、ファティマとお腹の子供には役に立たない・・・。
こうして、アレックスは、ファティマに内緒で、帝都へと使いを送る様になったのである。
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