夏の終わりに目覚めたら

茉白いと

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第6章

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「遼希ちゃん、本当に行っちゃうの?」
 百合子が泣きそうな顔で私を見上げていた。部屋の荷物を整理すると言った私に、百合子は泣いた。泣いて、手伝うと荷造りをしてくれている。
「そうだね。寂しいのも最初だけだよ。それに会えなくなるわけじゃないんだから」
 夏休みが終わる。そして、この家を出て行く。
 お世話になった萩野家は、もう私の帰る家ではなくなる。
 出ようと決意したのは、さざなみ駅で最後の電話をもらったときだった。
 あれから、電話は一度も鳴ったことはない。あの人は、私のおばあちゃんに会えないまま、命を落としてしまったらしい。会いたかった人がいたのに。あんなに、会うことを望んでいたのに。それが叶わなかった。
 人を誰しも必ず死んでしまう。命は必ず、なくなっていく。
 もっと生きたかった人も、もううんざりだと思っていた人も、時間は平等に流れていく。長さは違えど、流れていく時は同じだ。
 こうして荷造りをしている私も、眠り続けた柊くんにも、時間は流れている。
 ならばせめて、柊くんが生きている間は、生きていようと思った。
 もし柊くんが目を覚ましたとき、私がいなかったら、驚いてしまうから。もういいや、と思ってしまうはずだから。
 ──珍しい病気にかかっているそうでね。いつ死んでもおかしくない人生を柊くんは生きているらしいんだよ。
 柊くんが救急車に運ばれたとき、救急隊員の人が迷わずとある病院を指定した。あのとき、現場近くに落とされていた紙袋には、柊くんの名前と、いくつかの薬が入っていたのを見ての判断だった。
 聞いたこともない、難しい病名だった。そのうち、柊くんの身体は動かなくなっていって、視力がなくなり、喋ることさえままならなくなるのだという。
 あの光の束も、染めているのではなく、病気のせいで色が変わっているのだと、こうちゃんは話してくれた。
『柊くんが休みがちだったのは、何度か入退院を繰り返していたからなんだ。でもあの見た目だろう? だからよく喧嘩を売られたみたいでね。彼も彼で、喧嘩をうけちゃうからねえ。馬鹿なんだよ、彼は』
 柊くんが病気を患っていることは、教員のほとんどが知っていたという。
 だから、柊くんがどれだけ悪さをしても、大目に見てもらえていた。そのことを、こんな形で知ってしまった。
「遼希ちゃん、ごめん。もうすぐ塾だ」
「ありがとう。あとは自分でやれるから。百合子は勉強頑張ってきて」
 部屋には二つの段ボールが並んでいるだけ。意外と荷物があったなというのが感想だった。百合子に手伝ってもらうほどでもなかった。
 塾の支度が終わると、百合子はもう一度私の部屋を覗き、名残惜しそうに「行ってきます」と残し、玄関を出て行った。
 可愛くて仕方がない。百合子と離れることは、どうしようもなく寂しい。
 けれど、これから生きていくためには、私はこの家を出なければならない。
 夏を超すために。
 コンコン、とノックが聞こえた。振り返ると、さっきまで百合子がちらっと覗いていた隙間から、咲子さんの姿が見え緊張する。こうして私の部屋に咲子さんが訪れることなど、一度だってなかった。
「準備、終わったみたいね」
 とても冷たく、強い視線に、笑顔を浮かべる。
「はい、ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
 未成年者は単独で部屋を借りることができない。親権者からの同意がなければ、契約を結ぶこともできなければ、部屋を見つけることも不可能だった。
 その手続きを担ってくれたのは全て咲子さんであり、私の責任者となり、いろいろな書類にサインを書いてくれていた。もちろん、家を出て行くことに反対はされなかった。
「明日には出て行きます。長いこと大変お世話になりました」
 頭を下げれば、咲子さんからの返事はなかった。ゆっくりと顔を上げ、それからもう一度、咲子さんを見上げる。
「高校の費用や、今までの食費、そのほか払っていただいたお金は必ずお返しします。これ以上はもうご迷惑をおかけしないように──」
「いらないわ」
 はっきりとした意志が身体にきつく刺さっていく。
 お金を返すことさえ、もう許してもらえないのか。
 そんなにも、私とはもう関わりたくないのだろうか。
「……すみません。口座でもいいので教えていただければそちらに振り込みを」
「あなたを引き取ると言ったのは私よ」
 咲子さんが私から視線を外した。嫌味な逸らし方ではなく、自然と、過去を思い出すように。
「姉が死んで、あなたを引き取らないかと言われたとき、最初は断った。百合子のように、可愛がってあげることなんかできないから。引き取りたくはなかったし、案の定、あなたを可愛がることなんてできなかった」
 母の葬式の日。咲子さんは泣かなかった。その横顔は、じっと悲しみに耐えているようにも見えた。
「それでもね、百合子が私に言ったの。あなたをこの家に迎えてあげてと。そうじゃないと、あなたが死んでしまうってね。そのことに、一番怯えていたわ。百合子の悲しむ顔なんて見たくなかったから、あなたを引き取るにした」
 母が亡くなった直後の記憶はあまり覚えていないけれど、私よりも、咲子さんよりも、百合子が誰よりも泣いていた。おばちゃん、おばちゃんと、母の棺から離れなかった。
「あなたよりも、私自身の怒りの方が強かった。辛い思いをしたでしょう、でもあなたの気持ちなんてどうでもよかった」
 二年間、語られることはなかった。咲子さんが語ってくれるのは、私がもうこの家の一員ではなくなるからなのだろう。
 腕を組んでいた咲子さんの手が、だらりと落ちていく。
「お願いがあるの」
 咲子さんの声が、震えていた。
「今後、私の家族に近づかないで。この家も、明日で最後にして」
 私は黙ってうなずく。そうすることが、一番いい。百合子にはもう会えなくなってしまうけれど、それが一番、最善策だ。
 ごめんなさい。それが、咲子さんの最後の言葉だった。

「萩野さん」
 夏休み最終日。この夏、雨は数回降っただけで、ほとんど水やりをしなければならなかった。
 花壇の前に立っていると、こうちゃんが眠そうに立っているのが見えた。
「朝から早いね。ご苦労様です」
「こうちゃんこそ早いですね」
「僕は明日からの準備があるので。先生は大変なんです」
 だからか。さっきから校舎からは大人の出入りが続いていた。教師という仕事は本当に大変だ関心する。
「そういえば萩野さんは聞きました?」
「何をですか?」
 ホースをくるくると回しながら伸ばしていくと、蝉が鳴き始めた。
「高津くん、どうやら昨夜捕まったようです」
 手が、止まった。
 ホースは中途半端な長さで地面に転がっていた。
「……そうですか。やっと」
「学校も退学するとの電話が高津くんのご両親から入りました。二学期からの生徒会長決めで、職員室もちょっとバタバタしてますね」
 高津先輩は、もうこの学校には来ない。
 萩野ちゃん。そう呼んでくれていた声はもう二度と聞けないらしい。
 亜希の幼馴染の先輩。香澄が好意を抱いていた先輩。
 その人は、もうここには来ない。
「大変でしたね、萩野さん」
「私は、ぜんぜん。でも、そうですか。高津先輩、辞めちゃうんですか」
「寂しいですか?」
「いえ、柊くんに謝ってほしかったなと思っただけで。きっと、謝りに来てはくれないでしょうから」
 私のせいで、柊くんを巻き込んでしまったことには変わりがない。目を覚まさない彼のことを思うと、どうしてもやるせない。
「私が柊くんに出会ってしまったから、いけなかったんです。出会わなければよかったんです」
 そうすれば、柊くんはずっと眠り続けることなんてなかった。
 このまま死んでしまったら……そう思うと、胸が張り裂けてしまいそうになる。
「萩野さん、空を見上げてください」
 え、と洩らした私に、こうちゃんは、空です、と微笑む。目は相変わらず笑っていない。
 言われるがまま、顔を上げた。頭上には、雲一つない快晴が広がっている。
「きっとこの空を、柊くんも見ていると思いますよ」
「……眠っているのにですか?」
「ええ、眠っているはずですが、見えています。同じ空の下にいるということは、とても幸せなことです。僕は数学の教師ですから数字のことを話しますと、ドレイク方程式というものがありまして、それによると、運命の人に出会う確率というのは0.0000034%だと言われています。つまり、出会える確率というのは、かなり困難を極めるというわけです。それでも、運命の人に出会えた場合、それは奇跡なんです」
 奇跡。どこかで、その言葉を使う人がいたような気がする。
 ふと、花壇から風ののせられ匂いが届いた。翼さんがつけていた香水の香りにとてもよく似ていて、そうしたら、翼さんが言っていた言葉を思い出した。
 数字に強くて、理屈っぽいことを話す人。
 柊くんとも関係がある人。
『遼希ちゃんよく知ってるじゃない』
 ああ、繋がった。私がよく知ってる人は、こうちゃんしかいなかった。
 こうちゃんが、翼さんの婚約者。
 だから、柊くんが病院に運ばれたときも、誰よりも早く駆けつけてくれていた。あれは担任としてではなく、義理の兄として、あの場に飛んできていたのだろう。
 あのとき電話をしていたのは、翼さんだ。
 病室にお見舞いに行ったとき、仕事を抜けられなかった翼さんに、こうちゃんは電話をしていた。
「そっか……こうちゃんだったんだ」
「何がですか?」
 翼さんが好きになった人。
「ううん、なんでもないです。ちょっと繋がっただけです」
 多くを語ってしまいたくはなかった。とても胸が満ち足りたような気がした。
「けれど、僕はもっと奇跡を知っています」
こうちゃんが、私を見ていた。
「たとえば、久しぶりに出会った男の子と、偶然再会するなんてことも奇跡ですし、もっと言えば、目を覚まさなかった人が、たとえば自分を迎えに来てくれたとしたら、さらに奇跡です。だから、出会わなければなんて言わないでください。出会えたことは、本当に奇跡ですから。だから、萩野さん、柊くんにちゃんと伝えてあげてください。伝えたい思いを、迎えに来てくれた柊くんに」
違う。私を見ていたんじゃない。こうちゃんの視線は、私の顔からずれている。その視線を追うように振り返れば、光の束が太陽を取り込むように輝いていた。
「ねえ、萩野さん。これは、奇跡でしょう」
 奇跡だった。こうちゃんが言うように、夏の日差しの中に、奇跡がたしかにあった。
 邪魔者は退散します、とこうちゃんが去っていく。進んだ先で、柊くんとすれ違うその背中は、一瞬足を止め、それから一度柊くんにうなずくと、そのまま校舎に入っていった。
「……柊くん」
 眠っていたはずの柊くんが、そこにいる。
 気崩された制服姿。ずっと、閉ざされていた瞼が、今は私を映すように見つめている。
 もう目は覚まさないんじゃないかと思っていた。
 私を見てくれることなど、もうないんじゃないかと。
「やっぱり、ここにいたのか」
 奇跡なのだろう。奇跡が起こってしまったのだ。
「あんた、相変わらず花の近くにいるんだな」
 どうしてなのか、わからなかった。
 水やりの当番を面倒くさがらずに担当してくれて、私の連絡にすぐ駆けつけてくれて、私が辛いとき、温かい言葉をかけてくれる理由。
 ずっと、私のことを見守ってくれていた。
 こんなにも近くにいてくれたのに、私はそんなことに気付けなかった。
「あんたの声が、ずっと聞こえてた」
 光が、強く放っている。そこに彼がいるのだということが嘘ではないと証明してもらっているような。
「起きたらあんたがいないから、会いに行こうと思って」
「……病院、抜けてきたらだめじゃん」
「知らねえよ。もう動けるんだから大したことない」
 強引だ。病院は慌ただしくなっていないだろうか。
 翼さんに連絡はいってないだろうか。
「話したこと、たくさんあるんだよ」
 柊くんが眠っている間にいろんなことがあった。
「ねえ、柊くん」
「ん」
「……はるちゃんって、呼んでよ」
 そう言うと、柊くんの表情が固まった。呆れるような笑みが、すっと消えていく。
 思い出したよ、柊くん。ううん、うみちゃん。私はずっと、そう呼んでいた。
 それからはるちゃんと、私はずっと呼ばれていた。
 病院に行くたびに、私を歓迎してくれた可愛い男の子。
 あの子は今、とても怖そうな男の子として私の前に立っている。
 本当は優しいことを、一体どれだけの人が知っているのだろう。
「やっと思い出したのかよ」
 呆れるように、照れくさそうに、彼は笑う。
 どうして忘れてしまっていたんだろう。
 柊くんはいつだって、私の近くにいてくれたのに。
 母がいたときも、母が亡くなってしまったときも、柊くんは私と一緒にいてくれた。
 辛い時期を、私は柊くんと過ごしていた。柊くんが私を一人にしなかった。
『はるちゃん』
 金髪で長髪の男の子。
「あの、柊汐音?」
 再開したとき、彼に言われた言葉をそっくり返した。
 そう言ったら、彼はまた笑った。真似すんな、と。
 夏の終わり。久しぶりに目覚めた彼に何を伝えようか。
「あのね──」
 空には二つの飛行機雲が並んでいた。
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