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第五章 愛されたかった
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星が瞬くのを、時田は視界の端に捕らえる。綺麗な星空の下で、初恋相手の話すのは、行方不明になった同級生の話。姿をくらまし、小野寺を妊娠させたという男の話。
「分からない、っていうのが本音でしかないかな。須王が何考えているのか、ずっと考えてるけど、答えが出たことは一度もない」
「そうだね。昔から本当に読めなかったね」
くすりと小野寺が笑う。でも、また会いたいね……皆、こんなに会いたがってるのに。そう続けた彼女に、曖昧に頷く。
会いたいと、焦がれるように言う小野寺は、須王のことを好きだったのだろうか。年上好きとして有名だった彼女が須王に惹かれていたというのは考えにくいが、同年代の男よりは大人びていたように思う。
「大丈夫だよ、須王のこと見つけるから」
我ながら馬鹿だなと冷静に思っている自分もいた。今でも好きな女の子のために、好きになってもらおうと調子のいいことを言う自分が。
「見つける、か」
空中に消えていくような小野寺の声。姿を消した須王の背中を、誰もが追い求めている。小野寺も、二階堂もあんこも、それから柳も。
「……あのときは楽しかったね。高校生のときは」
顎のラインでばっさりと切られた小野寺の髪が揺れる。さらさらと艶のある小野寺の髪にいつも目が奪われていた。
「皆で集まったときね、すごく楽しかったんだ。ほら、普段子供の面倒ばっかであんまり外に出かけないし。ああして夜遅くに居酒屋で集まって飲むなんてなかったから。うれしくなっちゃって。解放されたあって思っちゃった。こんな自由が当たり前にあったのになあって。ちゃんと働いて、好きなときに好きなもの食べて、自分のタイミングで寝て、それから買い物でも映画でも好きにしちゃって。そんな贅沢が、ついこの間まであったはずなのに、すっかり私からは無縁になってしまったんだなあって思ったら、なんか、ね。余韻が抜けてないのかな、今も。こうして時田くんに来てもらっちゃって。うれしいんだよね、またああして集まれて……でも、須王くんはいなくて」
消えていく小野寺の声があまりにも頼りない。ハキハキと明るく喋る高校時代の小野寺とは、少しだけ面影が消えてしまった。
「須王くん、会いたいな」
「……俺も」
悔しいが、須王に会いたいという気持ちは時田の中にも存在していた。この状況が、ぽっかりと、まるで穴があいてしまっているようで、胸の中で痛みを覚えてしまう。
あんな犯行声明文を同級生に送ったりなんかして、本人は一切姿を見せない。からかっているんだろうか。面白がっているんだろうか。そんなことが好きだった須王のことだから、今もどこかで笑っているのかもしれない。もういいから出て来くればいいのに、そう言ってやりたい。
「ねえ、時田くん」
ぽつり、呟いた小野寺は、すやすやと眠る自分の赤ん坊に視線を落とす。
「私ね、あのとき言おうと思っていたことがあるの」
小野寺の真っ黒な瞳が、時田に強く向けられていた。ああ、その話がしたくて自分を呼んだのかと瞬時に察し、それから続いた言葉に息をのんだ。
「あのね、私あのとき、あの居酒屋で──罪の告白をしようと思ってたんだ」
*
あのころ抱いていたのはきっと、大人への異常な憧れだったのかもしれないと、小野寺は過去を振り返って思う。
同級生とか、一つ先輩とか、そんな年齢の男子を見るとすごく子供っぽくて、好きになる人はいつだって成人した大人の男性だった。
年齢を偽って合コンをしたり、いいなと思えるにはどうにかこうにか好きになってもらおうと必死で、あのときの自分は愛に飢えすぎていて頭がおかしかったのだろう。
「へえ、大学生か。なんか高校生に見えちゃうな」
とあるタイミングで、エンジニアをしているという男性と知り合った。頭が良くて博識で、常識があるような人。
「桃です。初めて」
「桃ちゃんか。本当に大学生?」
「子供っぽく見られるんですけど、もう二十歳超えてますよ」
手を出してもらうよう平気で嘘をついた。自分の名前の漢字を偽ったり、年齢に虚偽があったり、そんな嘘は罪には入らないと思っていた。
自分で言うのもなんだが、小野寺が気に入った男は大抵、小野寺を好きになった。ころりと落ちて、簡単に男女の仲になれる。
「桃は可愛いね。本当に可愛い。嬉しいなあ、桃とこうして一緒にいられて。こうして何気なく笑い合えて」
好きになった男は、そう目を細めて可愛がった。可愛いと言われることが嬉しかった。同年代の男から言われるよりも、大人の男から言われた方がよっぽど価値のあるようなものに聞こえた。可愛い、なんて。大人は──父は絶対に言ってはくれなかったと、小野寺は男に抱かれながら思い出していた。
ふと気付いたのは、自分の父親とはずいぶんと違う人を好きになるのだなということ。目の前にいる男は、仕事があり、清潔感があり、なおかつ余裕があった。対照的に、小野寺の父親は、だらしなく、酒に溺れ、女にも簡単に手をあげる最低な男だった。母はそんな父が怖くなって離婚した。たった一人の娘を残して。
いつだって父のご機嫌を窺って生きていかなければならなかったし、機嫌が悪いときは殴られることも当たり前だった。だからこそ、早く自立したいと思っていた。こんな家から、こんな小さな町から逃げ出して、自分だけを可愛がってくれる人と過ごしたいと。
その手段の一つが、大人だった。ここから簡単に連れ出してくれるような人を、きっといつも探していたのかもしれない。そうして、助けてくれそうな人を好きになったのかもしれない。
「ああ、桃が奥さんだったら、俺はすごく幸せ者だったかもしれないな」
優しくて、包容力があって、この人となら幸せに生きていけるのかもしれないなんて本気で疑わなかった。
家に帰れば罵詈雑言が当たり前。それでも学校ではうまく振舞えばそれなりにみんなが相手にしてくれた。色恋の話もあったけれど、同年代には興味がなかった。だってお金もなければ車もない、家だってない。どこか遠くに行こうとしても、少ないお小遣いから、もしくはまだ残っているお年玉でやりくりされてしまうかもしれない。そんなカツカツな人生は、自分の家だけでいい。そんな惨めな思いなんて、もう他ではしたくはない。
だから大人に憩いを求めた。全てを叶えてくれる大人に手を伸ばし続けた。
当時、仲良くしていたクラスメイトが「私たちを好きになる年上ってロリコンって言うんだよ」と気味悪そうに笑っていたが、それのなにが悪いのだろうかと小野寺は理解が出来なかった。
好きになったのが年下だっただけ。そして年上だっただけ。生まれてきた時間に差が開いていただけの話。何百年も前にいた人を好きになったんじゃなくて、今生きている人を好きになっただけの話。なのに、どうしてロリコンという言葉で括られ、馬鹿にされるような言葉が生み出されたのだろうか。だから同年代は、知性が足りてなくて嫌なんだ。
「桃、俺はね、桃みたいな可愛い女の子が好きなんだ。俺のことを好きでいてくれて、俺のことを愛してくれている。桃のためならなんだってしてあげられるし、桃と一緒にいられるならなんでも捨てられる覚悟はあるんだよ」
ベッドの中で優しく囁いてくれる言葉がたまらなく好きだった。ああ、もうこのまま溶けてしまってもいいとさえ思えた。この人がいれば私は生きていける。心も体も満たされて、私はこの幸せを得るために今までずっと不幸だったのかもしれない。理不尽な目にあってきたから、そのご褒美として私は今、幸せを与えてもらえているのかもしれないと。
「でも……捨てられないもの、あるでしょう?」
幸せだった。幸せだった、けど。幸せの絶頂を迎えるたびに、いつだって頭の片隅に残って存在がちらついていた。男の左手にひっそりと輝く指輪。
不安に駆られる私を、いつもその人は抱きしめ、それからこう言った。
「大丈夫だよ、もう別れる準備は進めているから。俺には桃だけいればそれでいいんだから」
あの人には奥さんも子供もいた。自分を触れるとき、いつも左手の薬指にはめられていた指輪を見るたび「かわいそう」と思っていた。
この人は、好きでもない人と家族になって、好きでもない人との間に子供が出来てしまったんだ。私と最初に出会っていれば、そんな家族を作ることだってなかったのに。
その指輪が呪いのように彼を縛り付けているようで、いつだって外してあげたかった。私なら外してあげられるし、幸せだってあげられる。私がいれば幸せだと言ってくれて、私だってこの人がいれば幸せなのだから、それでいいじゃないか。
でも、なかなか離婚は進まなかった。「妻が認めてくれなくて、ごねているんだ。でも気持ちは桃にしかないから」その言葉をずっと信じていた。
負けてたまるもんかと思った。この人を解放させてあげるためには、奥さんに勝たなければいけないと強く誓った。
神様、お願いします、どうか私たちを救ってください。そんな子供のような奥さんからこの人を解放してあげてください。私を強くしてください。なににも劣らない武器をください。
お願いします、お願いします、お願いします。
神様に祈ったからなのか、自分の元に最も強い武器が与えてもらえるとは思ってもいなかった。
「……それって、罪の告白のどういう関係があるの?」
過去から、今へと、小野寺は意識を変えていく。時田が飲み込めないような顔で言った。相槌一つせず、深刻そうに聞いていたその心は、望萌が年上好きということよりも、最初に切り出した罪についてずっと囚われているような気もする。
ごめんね、長々と喋って。でもここからなんだと言うと、時田は話を遮って悪いとぽつり謝った。
あのね、と続け、それから一つ呼吸をした。
「私の罪の告白はね──人の命を殺してしまったことなんだよ」
「分からない、っていうのが本音でしかないかな。須王が何考えているのか、ずっと考えてるけど、答えが出たことは一度もない」
「そうだね。昔から本当に読めなかったね」
くすりと小野寺が笑う。でも、また会いたいね……皆、こんなに会いたがってるのに。そう続けた彼女に、曖昧に頷く。
会いたいと、焦がれるように言う小野寺は、須王のことを好きだったのだろうか。年上好きとして有名だった彼女が須王に惹かれていたというのは考えにくいが、同年代の男よりは大人びていたように思う。
「大丈夫だよ、須王のこと見つけるから」
我ながら馬鹿だなと冷静に思っている自分もいた。今でも好きな女の子のために、好きになってもらおうと調子のいいことを言う自分が。
「見つける、か」
空中に消えていくような小野寺の声。姿を消した須王の背中を、誰もが追い求めている。小野寺も、二階堂もあんこも、それから柳も。
「……あのときは楽しかったね。高校生のときは」
顎のラインでばっさりと切られた小野寺の髪が揺れる。さらさらと艶のある小野寺の髪にいつも目が奪われていた。
「皆で集まったときね、すごく楽しかったんだ。ほら、普段子供の面倒ばっかであんまり外に出かけないし。ああして夜遅くに居酒屋で集まって飲むなんてなかったから。うれしくなっちゃって。解放されたあって思っちゃった。こんな自由が当たり前にあったのになあって。ちゃんと働いて、好きなときに好きなもの食べて、自分のタイミングで寝て、それから買い物でも映画でも好きにしちゃって。そんな贅沢が、ついこの間まであったはずなのに、すっかり私からは無縁になってしまったんだなあって思ったら、なんか、ね。余韻が抜けてないのかな、今も。こうして時田くんに来てもらっちゃって。うれしいんだよね、またああして集まれて……でも、須王くんはいなくて」
消えていく小野寺の声があまりにも頼りない。ハキハキと明るく喋る高校時代の小野寺とは、少しだけ面影が消えてしまった。
「須王くん、会いたいな」
「……俺も」
悔しいが、須王に会いたいという気持ちは時田の中にも存在していた。この状況が、ぽっかりと、まるで穴があいてしまっているようで、胸の中で痛みを覚えてしまう。
あんな犯行声明文を同級生に送ったりなんかして、本人は一切姿を見せない。からかっているんだろうか。面白がっているんだろうか。そんなことが好きだった須王のことだから、今もどこかで笑っているのかもしれない。もういいから出て来くればいいのに、そう言ってやりたい。
「ねえ、時田くん」
ぽつり、呟いた小野寺は、すやすやと眠る自分の赤ん坊に視線を落とす。
「私ね、あのとき言おうと思っていたことがあるの」
小野寺の真っ黒な瞳が、時田に強く向けられていた。ああ、その話がしたくて自分を呼んだのかと瞬時に察し、それから続いた言葉に息をのんだ。
「あのね、私あのとき、あの居酒屋で──罪の告白をしようと思ってたんだ」
*
あのころ抱いていたのはきっと、大人への異常な憧れだったのかもしれないと、小野寺は過去を振り返って思う。
同級生とか、一つ先輩とか、そんな年齢の男子を見るとすごく子供っぽくて、好きになる人はいつだって成人した大人の男性だった。
年齢を偽って合コンをしたり、いいなと思えるにはどうにかこうにか好きになってもらおうと必死で、あのときの自分は愛に飢えすぎていて頭がおかしかったのだろう。
「へえ、大学生か。なんか高校生に見えちゃうな」
とあるタイミングで、エンジニアをしているという男性と知り合った。頭が良くて博識で、常識があるような人。
「桃です。初めて」
「桃ちゃんか。本当に大学生?」
「子供っぽく見られるんですけど、もう二十歳超えてますよ」
手を出してもらうよう平気で嘘をついた。自分の名前の漢字を偽ったり、年齢に虚偽があったり、そんな嘘は罪には入らないと思っていた。
自分で言うのもなんだが、小野寺が気に入った男は大抵、小野寺を好きになった。ころりと落ちて、簡単に男女の仲になれる。
「桃は可愛いね。本当に可愛い。嬉しいなあ、桃とこうして一緒にいられて。こうして何気なく笑い合えて」
好きになった男は、そう目を細めて可愛がった。可愛いと言われることが嬉しかった。同年代の男から言われるよりも、大人の男から言われた方がよっぽど価値のあるようなものに聞こえた。可愛い、なんて。大人は──父は絶対に言ってはくれなかったと、小野寺は男に抱かれながら思い出していた。
ふと気付いたのは、自分の父親とはずいぶんと違う人を好きになるのだなということ。目の前にいる男は、仕事があり、清潔感があり、なおかつ余裕があった。対照的に、小野寺の父親は、だらしなく、酒に溺れ、女にも簡単に手をあげる最低な男だった。母はそんな父が怖くなって離婚した。たった一人の娘を残して。
いつだって父のご機嫌を窺って生きていかなければならなかったし、機嫌が悪いときは殴られることも当たり前だった。だからこそ、早く自立したいと思っていた。こんな家から、こんな小さな町から逃げ出して、自分だけを可愛がってくれる人と過ごしたいと。
その手段の一つが、大人だった。ここから簡単に連れ出してくれるような人を、きっといつも探していたのかもしれない。そうして、助けてくれそうな人を好きになったのかもしれない。
「ああ、桃が奥さんだったら、俺はすごく幸せ者だったかもしれないな」
優しくて、包容力があって、この人となら幸せに生きていけるのかもしれないなんて本気で疑わなかった。
家に帰れば罵詈雑言が当たり前。それでも学校ではうまく振舞えばそれなりにみんなが相手にしてくれた。色恋の話もあったけれど、同年代には興味がなかった。だってお金もなければ車もない、家だってない。どこか遠くに行こうとしても、少ないお小遣いから、もしくはまだ残っているお年玉でやりくりされてしまうかもしれない。そんなカツカツな人生は、自分の家だけでいい。そんな惨めな思いなんて、もう他ではしたくはない。
だから大人に憩いを求めた。全てを叶えてくれる大人に手を伸ばし続けた。
当時、仲良くしていたクラスメイトが「私たちを好きになる年上ってロリコンって言うんだよ」と気味悪そうに笑っていたが、それのなにが悪いのだろうかと小野寺は理解が出来なかった。
好きになったのが年下だっただけ。そして年上だっただけ。生まれてきた時間に差が開いていただけの話。何百年も前にいた人を好きになったんじゃなくて、今生きている人を好きになっただけの話。なのに、どうしてロリコンという言葉で括られ、馬鹿にされるような言葉が生み出されたのだろうか。だから同年代は、知性が足りてなくて嫌なんだ。
「桃、俺はね、桃みたいな可愛い女の子が好きなんだ。俺のことを好きでいてくれて、俺のことを愛してくれている。桃のためならなんだってしてあげられるし、桃と一緒にいられるならなんでも捨てられる覚悟はあるんだよ」
ベッドの中で優しく囁いてくれる言葉がたまらなく好きだった。ああ、もうこのまま溶けてしまってもいいとさえ思えた。この人がいれば私は生きていける。心も体も満たされて、私はこの幸せを得るために今までずっと不幸だったのかもしれない。理不尽な目にあってきたから、そのご褒美として私は今、幸せを与えてもらえているのかもしれないと。
「でも……捨てられないもの、あるでしょう?」
幸せだった。幸せだった、けど。幸せの絶頂を迎えるたびに、いつだって頭の片隅に残って存在がちらついていた。男の左手にひっそりと輝く指輪。
不安に駆られる私を、いつもその人は抱きしめ、それからこう言った。
「大丈夫だよ、もう別れる準備は進めているから。俺には桃だけいればそれでいいんだから」
あの人には奥さんも子供もいた。自分を触れるとき、いつも左手の薬指にはめられていた指輪を見るたび「かわいそう」と思っていた。
この人は、好きでもない人と家族になって、好きでもない人との間に子供が出来てしまったんだ。私と最初に出会っていれば、そんな家族を作ることだってなかったのに。
その指輪が呪いのように彼を縛り付けているようで、いつだって外してあげたかった。私なら外してあげられるし、幸せだってあげられる。私がいれば幸せだと言ってくれて、私だってこの人がいれば幸せなのだから、それでいいじゃないか。
でも、なかなか離婚は進まなかった。「妻が認めてくれなくて、ごねているんだ。でも気持ちは桃にしかないから」その言葉をずっと信じていた。
負けてたまるもんかと思った。この人を解放させてあげるためには、奥さんに勝たなければいけないと強く誓った。
神様、お願いします、どうか私たちを救ってください。そんな子供のような奥さんからこの人を解放してあげてください。私を強くしてください。なににも劣らない武器をください。
お願いします、お願いします、お願いします。
神様に祈ったからなのか、自分の元に最も強い武器が与えてもらえるとは思ってもいなかった。
「……それって、罪の告白のどういう関係があるの?」
過去から、今へと、小野寺は意識を変えていく。時田が飲み込めないような顔で言った。相槌一つせず、深刻そうに聞いていたその心は、望萌が年上好きということよりも、最初に切り出した罪についてずっと囚われているような気もする。
ごめんね、長々と喋って。でもここからなんだと言うと、時田は話を遮って悪いとぽつり謝った。
あのね、と続け、それから一つ呼吸をした。
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