『転生者』、だと‥そんな面白いもの、無視出来まい！

あ、死んだ。

俺は『界桜蘭』ーかいおうらー。
同級生にはにはカイって呼ばれている。
今、人生が走馬灯っていうのか？
そんな感じで脳内再生されている。
本当に馬鹿だ。俺は今、人生最初で最後の人助けをした。
普通なら速攻で逃げたり、見なかった事にするのに、たった今。
通り魔に襲われそうだった、結構可愛い女子を衝動的に、突き飛ばした。
もちろん。通り魔は勢いそのままに、ぶつかってきていた。
『がっはっ』
肺に蓄積された空気が、放出されすぎたアドレナリンと、クソみてえな痛みに耐え切れず、
血ヘドと一緒に吐き出された。
（死ぬ前にせめて、もう一回あの子の顔、見ておきたいな。……）

（グッ、は、h?）
すぐにでも意識が飛びそうな痛みに堪えながら、
その顔のためだけに、全然知らない女子を助けた俺は、本当に馬鹿だと今になって思う。
そいつは俺を盾にして、俺は死にかけ、通り魔も俺の腹の中にナイフを置いたまま逃げた。
その状況をなんと思ったのか、
さっきまで全身産まれたてのパンダみたいに震えて、顔面は真っ青だったのに、
今、ちゃっかり俺の財布をとって、 10m位後ろに逃げてた。
『は、ハハ』
もう声も出ないはずなのに、苦笑した。
（俺の人生、なんだったんだ。。。