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お姉様、唇を狙われる。
しおりを挟むその後、バッツドルク卿と二人になり今後について話し合った。
「まさか王女殿下があんなことを言われるだなんて…」
「そうかな。別に大したことはないけどね。」
「でも、青の大竜の鱗を持ってこいだなんて!王女殿下も無理なことを」
青の大竜の鱗というのは南部の魔の巣窟を根城にするドラゴンの鱗のこと。
青の大竜の鱗を煎じて飲むと如何なる万病をも治癒することが出来るといわれている。
だけど、ドラゴンがそう易々と自身の鱗を渡してくれるはずもない上に、青の大竜が住んでいる南部の魔の巣窟自体が魔物が住むとても危険な場所。
「行かなければ僕たちの関係が疑われてしまいます。それに僕にとって青の大竜なんて恐るるに足りません。」
本当に自信ありげね。
でも銀の髪をかきあげてウインクされても、危険なことには変わりがないわ。
「それでもダメです。貴方に死なれたら私が困ります。」
というか、私のせいで貴方に何かあれば一生のトラウマになるわ。
「ではこうしましょう。
私が青の大竜の鱗を持って帰ってきたら、その唇をいただいてもよろしいでしょうか。」
「はい?」
「これなら、僕は僕の欲の為に魔の巣窟に行くことになるでしょう?」
この男は馬鹿なの?
そもそも男ってみんな馬鹿なの?
「僕は今まで色恋というものに接していなかったけど、唇に触れたいって気持ちってこういう気持ちなんだね。」
「え、」
急に距離を詰めて私の唇に触れてくるバッツドルク卿。
「なんですか急にっ」
「いやね。僕の身を心配して行くなと言うリビア嬢にキュンとしまして。」
意外と単純なのね、この天才魔術師。
まあでもこれだけ自信満々としていらっしゃるから、本当に大丈夫なのかしら。
それにこの人行く気でいるから、私の言うことなんて聞かないでしょうし。
キスは嫌だけど…
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