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お姉様、運命に抗うのはとても辛いのです。
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なんなの、この雰囲気。
バッツドルク卿との夕食が終わり、レッドモンドの屋敷に帰ると、屋敷の雰囲気はなんだかどんよりとしていた。
エリーに話を聞くと、バッツドルク卿との噂がもう使用人たちの間で広まっていたみたい。そして今日ギルバートが城から帰る時に私を探していたみたい。
「大公様は夜なのに庭で素振りされていらっしゃいます。お嬢様、どうか大公様の元へ行ってくださいませんでしょうか。」
そう言ってエリーも泣き出す始末。
困ったわね…
「だめよ、エリー。リビア嬢を困らせないであげて。」
「お、奥様っ。申し訳ございません!」
不意にやってきた夫人にエリーは青い顔をして勢いよく頭を下げた。
「みんなの気持ちは分かるけれど、リビア嬢が誰と付き合うのか結婚するかは私たちが決めることでは無いわ。
勿論私も貴女がギルバートと結婚してくれれば嬉しいけれど、例え違う方と一緒になっても貴女は私にとって娘のように大事な存在であることに変わりはないし、いつでもこの屋敷にいていいのよ。」
「夫人、ありがとうございます。私も夫人のことが、大好きです。」
「あらまあ、大好きだなんて。ギルバートが聞いたら嫉妬させちゃうわね。
でも本当にここは貴女の家よ。魔獣から命を救ってくれた貴女はこの屋敷の者たちの命の恩人でもあるでしょう?だからみんな貴女のことが大切なのよ。」
「いつだってお守りします。」
大切な人たち。
大切な屋敷。
ずっとずっとこうして暮らしていけたら楽しいのでしょうね。
皆さん……私のわがままで悲しませてしまってございますごめんなさい。
だけどどうか許してください。
もう二度と、ギルバートとは夫婦にならないと決めたのです。
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