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堅物の失恋。
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魔獣襲撃が何件も起こり問題解決が急がれる中、城の中は混乱していた。
「全く……。まだ決裁が下りないのか。あの狸爺どもめ。事が急務だということを分かっているのかアイツら。」
「王子殿下、落ち着かれてください。まあ、今に始まったことではないですが、事が事だけに困りましたね。」
「困ったどころの騒ぎじゃない!」
ダンっと強く机を叩いて憤る第二王子殿下。
「殿下……」
「ああ、冷静になれと言いたいんだろう。分かっている。」
「まぁ、北部の方も気がかりですし。」
「お前は王都にいたいんだろうがな。」
「いいえ、私は、」
「だが、大丈夫か?リビア嬢とバッツドルク卿に噂が流れているが……お前あのペテン師にリビア嬢を取られるんじゃないか?薄っぺらぞうな奴だが魔法の才能だけはあるからな。そこに惹かれる女は多いだろう。」
「それと仕事とは関係ありません。
指示があれば私はいつでも王都を発ちます。」
「……強がるな。好きな女を取られておもしろくないのは男の本能として当たり前のことだ。隠す必要は無い。それに、リビア嬢は是非こちら側についてほしい人材。既にあちこちから声をかけられているようだが、よそに行かれては俺もいい気はしない。それにこの件を解決しない限り父上が遠征を許してはくれないだろうからな。」
「南部の抗争の方もあります。他にこの件を任せられるできる隊は皆現場を離れられないでしょう。」
「タイミングが悪い。何もかもがだ。……お前はもうこの書類達と一緒に帰れ。また帰りが遅いとリビア嬢がデートに行ってしまうかもしれないからな。」
「……それではありがたく。本日はこれにて帰らせていただきます。」
といっても、もうリビアは出掛けてしまっているかもしれない。
だが、リビアが幸せであればそれでいい。
最近は輪をかけて冷たいリビアの態度を見れば私もすぐに勘づく。
リビアは、私から離れたがっている。
だが、なぜなんだ。
なぜ私では駄目なんだろうか、リビア。
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