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お姉様、乗り換え宣言です。
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「ええ!?私が近衛騎士団に?」
「ええ。私のところに打診がきているのよ。貴女は今は私の侍女になる予定だから。
まああくまで向こうの希望。強制じゃないから断るでしょう?」
「ええ。私は王女殿下の侍女になりますわ。」
「ふふ。でも貴女ったら子爵になっちゃうんだもの。既にデュドネの姓を授かってデュドネ子爵でしょう?」
「はい。正式に子爵位を授かることが出来ました。」
「でも本当にいいの?貴女はもう私の侍女という地位におさまりきらない存在だわ。」
「いただいた地位は実家から確実に離れる為のものですから。」
「でもそれを分かっていてその為だけに大金を出したギルバート大公の愛の深さよね。下手したらリビアが実家からだけではなく大公家からも出ていけるようになってしまうのに。」
「それは……まあ、その時に私がギルバート様を試すようなことを言ってしまったんです。
だから……」
「まあ!では大公はそれでも貴女の意思を尊重するという意味で爵位をリビアに買われたのね!素敵だわぁ。」
「まぁ、そうですかね……」
「いいわね。私も恋がしたいわぁ。年頃の生娘が息苦しい城の奥から抜け出せずに、どこの誰と結婚させられるか怯える日々。
それに比べて貴女は色々と楽しんでいるらしいじゃない?」
「え……」
「噂が回ってるわよ。貴女がバッツドルク卿と仲良くしているらしいって。」
「ああ、そのことですね。」
「その噂のせいでギルバート大公が毎日ヤキモキしているとお兄様からもタレコミが上がっているわ。さあ、どうなのリビア?まさかギルバート大公からバッツドルク卿に乗り換えるつもり?」
「ですが王女殿下、ギルバート様とは元から恋人関係ではございませんわ。私がどなたと交友しても問題にはなりません。」
「ほらまたそんな言い方をして。私は貴女の心の揺らぎのこと言っているのよ。
貴女の心はどちらの殿方に向いているかってことが問題なのよ。」
正直、ギルバートから逃げるためにバッツドルク卿を利用すると決めた時点で、王女殿下や世間から責められることはわかっていたわ。
そして、ギルバートとバッツドルク卿のどちらに恋をしているかと言われれば、その答えは初めから決まっていた。
そうしないとこの作戦は成功しないのだから。
「私の心は……今はバッツドルク卿向いていますわ。」
ギルバートと恋をするには、私の心はもう壊れてしまっているから。
ギルバートといる限り、私は前の人生で味わった悲しみを忘れることが出来ないの。
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