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堅物、帰還する。
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1分前。
「団長!死の鷹の群れが大公邸の真上に!」
「分かっている。」
ようやく大公邸の敷地内に足を踏み入れた時には、死の鷹が頭上を囲み、建物にも大きな損壊がある。既に攻撃を受けた後だった。これでは……
「あ、あれは……!あれを見てください!」
突如、空上の死の鷹達を包囲した炎の網。
あんな芸当が出来る者は一人しか思い浮かばない。
「リビア……!」
一人であの死の鷹の群と戦っているというのか!
だが、あの網は実にいい発想だ。
***リビアside
ある程度の火力で鳥達を燃やすには、どこか地上に鳥達を落として綱の長さを短くしてからじゃないと……
でも、真下はジェイダ夫人の庭があるわ。
あの場所に炎の網ごと鳥達を落としたら、庭が燃えてしまう。
「……リビア嬢、鳥達を地上に下ろせる?地上なら私の炎も鳥達に浴びせられるわ。」
「夫人、ですが……っ」
「私の庭のことを気にしてくれているの?いいのよ。また庭は作り直せるから。」
「だ、だめです!夫人が旦那様から贈られた庭木は燃やしません!」
死ぬ間際まで眺めていらっしゃった大事なお庭を私の炎が燃やすだなんて、私が耐えられないのですっ!
でも敷地外に下ろすには今以上に綱を伸ばさないといけないわ。
空の上で燃やし尽くすという手もあるけど、燃やしきれなかったら
くっ……!夫人の庭に下ろすしかないの!?
「では、私がリビア嬢を敷地外まで運ぼう。」
「え、ギルバート……殿下、きゃっ!」
後ろを振り向いた途端に、ひょいっと抱き上げられた。
「お前はしっかり炎の綱を保つ事に集中しておけ。」
「は、はい……!」
戻ってこられた……
よかった。夫人達を守りきることが出来たわ。
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