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お姉様、生い立ちの謎を考える。
しおりを挟む「やったわね、すごいじゃないリビア!」
「ありがとうございます。自分でも驚きです。」
王女殿下と両手を取り合ってきゃっきゃとはしゃぐ。
「お二人とも喜ばれるのはまだ早いです。これほどの炎は操れなければただの災いの元と化してしまいます。
ですので令嬢には早くにその力を制御する訓練をしていただきます。」
そうして、私はしばらく城でギルバートの猛特訓を受けることになった。
***
一ヶ月後。
「学園生活には支障が出ない程度に……って君は確かに言っていたよねぇ。」
「ええっと、そのつもりだったのですが……」
まずいわ。
クリフト教授に一ヶ月間ゼミに顔を出さずにいた事を根に持たれてしまった私。
拗ねた教授の機嫌を直すことはそう簡単じゃないのよね。
「ふーん。それで、その魔力コントロールには成功したのかい?」
「ああ、はい。この通りです。」
ポンっと手のひらに小さな炎を出してみせる。
「ほお。最大出力はどれくらいなんだい?」
「ええと、建物一つを覆うくらいですかね。」
「それはすごい!一ヶ月打ち込んだ甲斐があったというものだ。」
「ご迷惑おかけしましたが、結果を出すことが出来ましたわ。」
自分でもまさかここまでの魔力を持っているなんて知らなかった。
でも、使い方をギルバートに教えてもらわなかったらあそこまでの威力は出せなかったかもしれない。
「だが、そうなるとやはり気になるのは君の出自だな。失礼だが、君のお母様は本当に不義はなかったのかい?」
「それは、ないと思いますわ。」
いつもお母様の憎悪を正面から受けてきた私には分かる。
お母様は自分に非がないからあんなに私の存在を憎めたのだろうと。
だから私はお父様の子でまず間違いないわ。
それに肌の色が違うけれど、何より顔立ちがフェルディナント家の顔立ちだからお父様も強くお母様を責められなかったのだと思う。
「だが、そうなると君のその大きな魔力に説明がつかないなぁ。」
「第二王子殿下にも言われましたが、これ以上調べる術もないですし私自身は特に気にしていません。それに力は強ければ強いことに越したことはないですもの。
あら、そういえばジュリアン様は今日は来られないんですね。」
「ジュリアン君なら、君が来なくなってすぐにギャラガーの領地に行ったよ。まあ彼も数年後は家を継ぐようだし、本当はもっと早くに行く予定だったらしいよ。」
「そうなんですね。そういえば変ですよね、最終学年でこのゼミに入ってくるなんて。」
「最後にやりたいことをやりに来たんじゃないかな。彼は開発者としての素質もあるし、君ほどじゃないけれどいい発想力も持っている。いやー、もっと早くから入っていてほしい人材だよ。」
軽そうな見た目で頭はいいのよね。憎たらしい男だわ。
「そういえば、もう帰る時間じゃないのかい?遅れたら大変だよ?」
「あ、はい!それではこれで失礼します。」
「はーい、楽しんでね~。」
行きたくないけれど、王女殿下もいらっしゃるから行かなければならない。
でもなんで……
なんで前世の夫とまたパートナーにならないといけないのよっ。
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