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地下の奥
しおりを挟む王城、地下牢の中。
「お母様っ!」
「シャーロット!」
一夜にしてシンデレラから反逆者となった親子は侯爵家から籍を外され、一日遅れて母親も地下に投獄された。
「大丈夫よ、シャーロット。私たちには大きな見方がいるから助けが来るはずだわ。」
「でもっでも……私っ……」
「気を確かに持ちなさい。下町では強かんなんてよくあることよ。今は辛いかもしれないけど、そのうち忘れられるわ。」
そう言ってシャーロットを強く抱きしめる母親。
だが、シャーロットは母親の言葉などとても信じきれず、このまま死刑にされる運命だと思っていた。
魅了の力がなくなり第二王子が助けてくれるはずもない。
失意の果てにこのまま人生を終えるものだと思っていたが、助けの手はすぐにやってきた。
フードを深く被った男が二人、牢の鍵をその手に持ち堂々と鍵を開けたのだ。
「あの方に感謝するんだな。着いてこい。」
母親は頷き、シャーロットをつれて牢を出た。
シャーロットはこんなことをしてすぐに捕まるのではと不安だったが、通る道には不思議と誰もおらずスルスルといとも簡単に城の外に脱出をはたしたのだった。
***
少し歩くと馬車が用意されており、そこにフードの男二人と親子は乗り込んだ。
そして移動する馬車の中で男たちは先日のシャーロットがさらわれた事件の真相について聞いてきた。
シャーロットが知っていることを洗いざらい話した頃、馬車はどこか分からない森の中で止まった。
そしてしばらくすると、
「追っ手が来ている!この馬車は目立つからお前たちは徒歩で北を目指して走れ。」
そう言われ、真っ暗な森に放り出されたのだ。
「急いで走るんだシャーロット!」
「で、でもっ裸足は痛いしっ……ハァ、……」
急いで足を動かすが、疲労困憊なシャーロットの体は重たく思うように道を急げない。
すると、
ガサガサっ。森の中から怪しげな物音が聞こえ始めた。
そして、ガルガルと獣の声がして親子は死ぬ気で道を駆け抜けた。
しかし二人を追いかける獣たちの足音はすぐに近くなった。
「なんでこんな時にっ……野犬……!?」
「クッ…!シャーロット、先に逃げるんだ!」
「え、お母様……」
急に走るのを止める母親。
「行きな!」
「っ……!おかあ「早く!!!」」
「はいっ……!」
シャーロットは泣きながら精一杯に走った。
足の裏は傷だらけで血を流しながらも、振り返ることなくどこまで続いているか分からない森の中をひたすら走ったのだった。
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