【完結】ポンコツですが結婚して差しあげましょう。〜王太子殿下の農作体験記〜

雑煮

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10年の片思い

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「フリーシア!!僕と結婚してくれ!!」

「殿下、廊下で大きな声を出してはいけませんわ。」


初めて告白されたのは8歳の頃。

王族らしい金髪碧眼の見た目で、中身が全く伴っていないこの方を当時私は好きにはなれませんでした。




「フリーシア、この花を君に!」

「まあ、殿下。それは国花ですわよ。庭から抜いてはいけませんわ。」

9歳の頃、殿下が大事な城の花を引き抜いてしまい大問題になったこともありましたわね。




「フリーシア!来てたんだね。良かったら僕とお茶でも……」

「殿下……後ろでマリア先生が、」


10歳の頃、殿下はお勉強が嫌いでいらして、マリア先生とずっと鬼ごっこをされてた記憶が強く残っています。





「フリーシア、僕と結婚してくれ!」

「ですが殿下、王族が結婚するには国王陛下の許可が必要ですわ。」

「う……」



11歳の頃、ようやく結婚は家同士でするものだと知られた殿下。「未熟なお前が結婚などまだ早い!」っと国王陛下に突っぱねられてしまったとか。





「フリーシア!これを君に。」

「まあフレアンヌの花ではないですか。」

「狩りに行ったら、見つけたんだ」

12歳の頃、御伽噺にも出てくる伝説の聖花をたまたま発見したとプレゼントしていただいた時は嬉しかったですわ。





「フレーシア、僕は絶対に君と結婚するために父を説得してみせる。」

13歳の頃、殿下は私と結婚したいという不埒な理由で苦手な勉強を頑張られるようになりました。

遅れすぎていて、すぐに取り戻せるほど簡単ではないので、私は気にも止めていませんでしたが 。





「フリーシア!聞いてくれ!王太子に任命されたんだ。祝いのパーティーで君をエスコートしてもいいだろうか。」

「王族が婚約者でもないレディーをエスコートされるのは通例に反しますわ。」


14歳の頃、王太子殿下となられ、その祝いの場で私達は社交界デビューをしましたの。
エスコートは丁重にお断りしたけれど、初めのダンスは殿下と踊りました 。

だらしない笑顔でダンスする殿下に呆れながらも、絶対に揺るがないその好意は嫌なものではないかもしれないとその時初めて思い始めました。




「フリーシア、久しぶりだね。最近忙しくて君に会いに行けなくて寂しかったんだ。」

15歳の頃になると、殿下は王太子としての公務が忙しくなり、私もそれなりに忙しく前のように殿下に待ち伏せられることがほとんどなくなりました。






「フリーシア!父上が君との結婚を許してくれたんだ!君さえよければ、求婚状を送りたい!」


16歳の頃、国王が私と殿下の婚姻を許可されたけれど、私がいいといえばということはつまり稀なる断ってもいい王族からの婚姻。


「しばらく考えてもよろしいでしょうか。」


私は悩みましたわ。





そして答えを出さないまま、領地にいた母が病に倒れたと知らせを受け私は首都から領地へと戻ったのです。


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