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9 侵入者
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「ここまでだな。」
疲れ果てて気を失うように寝てしまったセリアの身体をしばらく蹂躙していたカリアードだが、惜しみながらセリアの身体から離れた。
あまりに多く魔力をセリアの体に流してしまうとセリアの体が魔力に耐えられなくなってしまう。
流そうと思わなくても微力な魔力が勝手に流れてしまう。
「……もう二度と目覚めるつもりはなかったんだがな、」
愛する者たちが、もうこの世界にいないことは目覚める前から分かっていた。
生きる意味を持たずに生きることは絶望に近い。寿命が短い人間しかいない今の世界は更に耐えられない。
それでも、愛した者たちの魂が宿っているであろうこの聖女と、この世界には愛着はある。
「時間はあるから、ゆっくり考えるか。………なんだ、森の入口が騒がしいな。」
五人、いや十人くらいの人間が入り込んでいる。
わざわざ夜にやってくるとは……
聖女と関係があるのか?
セリアを起こさないようにそろっとベッドから抜け出し、外に出ると翼を生やし飛び立つ。
森の入口まで着くと地上で、黒いフードを被った如何にも怪しげな装いの男たちが「聖女様ー!」と魔獣を警戒しながら聖女を探している。
「お前たち、俺の森でなにをしている。」
ゆっくり降下して低い声で侵入者を威嚇するカリアード。
「な、何者だ!」
「見れば分かるだろう。悪魔様だ。」
「悪魔だと……!?」
「どうしましょう団長!」
「お、落ち着け!我々の目的は聖女様の救出だ!」
聖女の救出、だと……?
「……フフッ、残念だったな。その聖女とやらなら今は俺の腹の中だ。」
そう言ってカリアードは適当に見つけた骨を魔法で浮かせ、人間たちの前に落とした。
「そ、そんなっ聖女様!」
「ああ、おいたわしや……」
そのなんのものかも分からない骨を拾い上げて泣き出す男たち。
「……、お前たちも業火に焼いて喰ってやろう。」
そう言ってカリアードが男たちに向かって手をかざすと 、
「ヒッ……!」
「逃げろ!勝ち目は無い!せめて遺骨だけでも持ち帰るんだ!」
ものすごい勢いで逃げ出す男たち。
だがその中でも、カリアードが投げつけた何のものかも分からない骨を拾い集めて行った。
「慕う者達がしっかりといるじゃないか。」
だがもうあの聖女は俺のモノだ。
あいつを守りきれたかった人間たちに聖女を返してやるつもりはない。
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