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「君との婚約を破棄する。クローディア公爵家エル」
嘘だ、そんな筈はないと思った。吐き出された言葉と冷たい眼差しに崩れ落ちそうになりながら、それでも気丈に振舞った。端からはみじめに映っても。
「ミゲル様、本気でいらっしゃいますか? この僕との婚約を破棄するということは、つまり公爵家に喧嘩を売っていると、そういうことになるのですよ?」
見事な金髪を揺らめかせて、立派な王子の正装を纏ったミゲル様。彼を見据えて言い放った。
「いいや、その心配は要らない。これはクローディア公も承知してのことだ」
「お父様が!? そんな馬鹿な!!」
「君は確かに愛されていた。だがそれも――今、この瞬間までだ。婚約破棄に伴って、君はクローディア公爵家の籍から抜けることになった。君が嫌っていた庶民となった気分はどうだい? エル」
「こんな……こんなことが許されるはずな、」
空ろになる僕。到底信じられない。この僕があのお父様に捨てられた? 親ばかだといっていいだろうお父様。目に入れても痛く無い程、父、シャイラス・クローディアは一人息子の僕を大切にしていた。
「当然の結果である。君は自分のしでかした事を分かっているか?」
しでかした事……?
「自分がオズマ男爵家ライオネルにした数々の事だよ」
ライオネル……? ああ、あの庶民上がりか。くすんだ茶髪に橙色をした目の地味な青年。確かに僕は彼に身分を弁えた行動を教えた。貴族として思いあがり、傲慢な態度で侍従や下級生に接する彼を注意はした。それ以来、彼をみつける度に睨まれていたが……。
「虐めていたそうじゃないか。他ならぬ悪事の証拠もある。それを偶然見たと言う証人だっている。もう逃げも隠れも出来ないぞ」
ありもしない悪事の証拠と証人だって? そんなものが出てきた?
勿論僕の身の上は潔白だ。それらは偽物だろう。誰かが擬装しでっち上げた紛い物。
殿下は一体どうなされてしまったというのか。冷静で合理的なあの殿下とは思えない。
「言葉もない、か。ふっ、まさか私の婚約者がこんな男だったとはな」
「違っ、待ってください! 僕の話を聞いて、」
「今更言い訳など見苦しいぞ!」
「話を、話を聞いてください! 真実を調べて頂ければ、僕の潔白は証明され、」
「聞こえなかったか? 既に動かぬ証拠があると。君の、いや貴様の罪はここに露見したのだ」
パーティー会場中が騒然となる。元とはいえ国で三つしかない公爵の息子であった僕。そんな人物が婚約破棄されたうえに、悪事を働いたとなれば……醜聞のネタとしては格好の的だ。ひそひそと聞こえる声には「やっぱりねぇ」とか「怪しかったもんな」とか。どうも僕が思っていた以上にいじめの件は広まっていたらしい。
迂闊だった。こんなことになるなら、もっと身辺を警戒しておくべきだった。それでも、もう手遅れ。
挽回のチャンスは残されていない。
「罪人エル。その身は――」
僕は黒の尖塔に幽閉されることが決まった。あの日以来、僕は誰とも会っていない。正確に言えば、給仕係は来るのだが、いつも無言で冷え冷えとした目で僕を睨んで食事を置いていく。食事も質素なもので、給仕の目と同じように冷え切っていた。
涙が、零れた。
屈してはいけない。そんなことは分かってるはずなのに。泣いても何も解決しないことは分かってるのに。それでも悲しかった。
愛する人は盲目的に偽物を信じて、僕は愛を失った。
何かの罠に嵌められて、屈辱的な状況に陥っている。
こんな結果になった全てを恨んだ。大好きだった殿下も口で罵った。いわれのない罪なのに、どうして信じてくださらなかったのか。
僕は――、僕は悪くない。
壁に殴り書きした線で今日が十日目だと知った。今は初夏。窓を開けて月夜を見ている。いっそこの窓から身投げしようかと思ったが、それが出来ないようはめ込みがあった。
ぼんやりと満月を見やる。空にぽっかりと空いた金の穴。僕の心臓もあれ以来、生きる活力を失ってしまった。
静かだ。とても静かだ。いっそ僕という存在もその静寂に飲み込まれてしまえばいいのにと思った。
こつん、こつん。
階下から誰か上がって来たらしい。こんな時間に珍しい。緊急の要件か? だとしたら――僕の処遇が決定したか。
本当に?
こんな時間に昇ってくるなんておかしくないか? なにか疚しい理由がある人間じゃないか? 例えば、僕を殺そうとして、だとか。
その考えに行き着いて戦慄した。がくがくと震える体を、ベッドの掛け布団で隠し、身を丸める。
隠れる場所なんか無かった。それでも真正面から出迎える勇気はない。
そして、鍵を開けた音がした。中に踏み込む足音。その間、一切の喋り声は無かった。
僕は神に縋った。
「寝てるのかい?」
声は子猫を撫でるように優しいものだった。まるで僕を起こさないように気遣う。
錯覚だろうか。この声に聞き覚えがあり過ぎるのは。僕は今、とても都合のよい思い違いをしているのでは?
「エル」
僕の方へ近づいてきた足音。それからちょうど丸まっていた背中に手が乗せられる。
「怖い夢でも見たのかい? ああ、それとも――僕が怖いかい?」
怖いです、とても。でももし、そのお姿を見たら、もっと怖いと思ってしまうでしょう。
「大丈夫。大丈夫だから――もう、全て終わったんだよ?」
終わり? それはつまり、僕の処遇が決定したと?
「もうこれ以上苦しまなくていい。明日に怯える心配は無いんだよ。君にはもう残されていないから」
苦しまなくていい。
明日に怯える心配は無い。
残されていない。
つまり――僕は明日、処刑されるのか?
罪をでっち上げられ、僕は死ぬ。
咎もないまま、僕は殺される。
業を負わされて、僕は――
こんなことって、あんまりだ。
止まっていた涙が、乾いていた心が、塞き止めるものがなくなり怒涛の勢いで溢れてきた。
そして何より、それを告げるあなたが……憎らしい。
被っていた布団を引き剥がし、彼に向き合う。
「ミゲル殿下……。酷いです、何故、言ってくれなかったのですか!!」
僕の剣幕に驚いたのか、目を見開く殿下。
あの時よりもっと前に自分の身に降りかかってきた火の粉について知っていれば――弁明さえ聞いてくだされば、こんな結末にはならずに済んだのにと思うと悔しい。
「すまない……エル。もっと早くに言おうと思っていたんだ。けれど、条件を揃えるのに苦心してね」
「だから、今なのですか? こんな時間に、自ら訪ねてくださるなんて、お優しいのですね」
けれど僕の皮肉に気付いていないのか、殿下は大層綺麗に微笑まれた。
「謝らせて欲しいんだ。俺の我儘で君の持っていたものを奪うことになってしまって。憎まれているのは分かっている。それでも――君を想っていたんだ」
「今更特別扱いしていたと言われても、嬉しくありません! ちゃんと、はっきり突き放してください!!」
「何故だい……? や、やはり私の対応はまずかったかい?」
「当然です。自覚なさってください」
こんな夜中に、罪人のもとを訪ねるなんて、殿下ともあろうお人がすることじゃない。と、はっきり告げた。
見るからに落ち込み、しゅんと萎れた殿下。
「こんな結果になっても、君のことは愛していたんだ。心底、大事だった」
「だから、今更そんなことを言われても――、!?」
急に接近してきた顔。顎を掴まれて、強引に口付けを受ける。
「これが私の気持ちの全てだ。受け取って欲しい、エル」
なんで……なんで、なんで、どうして!
神様はなんて残酷なことをするんだ!
唇を噛み締めて泣くのを必死に堪える。これ以上、殿下相手に醜態を晒したくない。そう、思うのに。
「馬鹿なんじゃないですか! これが、最期だって知ったら、余計に苦しくなるじゃないですか。あなたは僕をどうしたいんですか? 貶める? 蔑む? は、辱める? もうどうだっていいですけど、金輪際、僕に触れないで下さいっ!」
すると殿下は目に見えてショックを受けた顔になった。
「そんな……せっかく君と触れられるようになったのに……あんまりだよ、エル」
あんまりはどっちですか!?
今頃になって僕に愛着が湧きましたか? 手放すのが惜しいと? まさかこんな夜中にやって来たのってよ、よよ、夜這いする為じゃないでしょうね!?
そう思って、殿下と距離を取る。するとさらに殿下はへこんだ。本当にやる気だったのかよ!!
ジト目で殿下相手に「サイテーです」と告げれば、「エルが酷い!」といわれる始末。
なんか……。
「くすくす。やっぱり君は君だね」
「当たり前でしょう。僕は僕以外の何者にもなれませんから」
胸を張って言えば、余計に悲しくなった。いっそ誰か別人だったらよかったのに、と。
「君は――やはり僕を恨んでいるかい?」
「恨む? いいえ違います。僕は、僕から全てを奪った殿下が正直憎いです。今すぐその横っ面を殴りたい程、怒ってます」
「だろうな」
「でも、苦しい程、今でも殿下が好きなんです!! 好きって言葉が足りない程、好きなんです」
「エル?」
気遣わしげに僕を見る殿下。その表情が見れない。僕は俯いて、言葉だけを投げ掛けた。
「明日死ぬって分かっても――、あなたへの恋情を止められない僕は、正真正銘の馬鹿ですね。笑ってくださいよ」
「笑う? 何故だ?? それに死ぬって?」
「今更とぼけないでください。僕は明日、斬首刑にでもなるんですか? お詫びの言葉一つ言えない、完璧な悪役に祭り上げられて、……一大スクープですもんね? きっと」
「エル?」
「ああ、悲しいな。こんなことなら、もっと贅沢すればよかった。領地経営の余剰金を義援金に当てたりせずに派手に使っちゃえばよかった。社交界でも顔色なんか窺わずに、どや顔で振舞って、尻軽とでも思われようが色んなイケメンと踊ればよかった。それから……――殿下と楽しい思い出をもっと作れればよかった、かな?」
「エルがしたいなら今からでも……」
「何言ってるんですか。もう手遅れですよ。何もかも」
僕は今、笑えているだろうか。
彼が惜しいと、そんな風に思える綺麗な笑みを。
「殿下、さようなら」
「エル? さっきからどうしたんだ。お別れの言葉ばかり並べ――」
「ええ、そのまさかですよ。殿下、明日には号外が出回ることでしょう。尖塔で悪役令息が――不審死を遂げた、と」
「どういうことだ」
「どうもなにもありませんよ。ここに来る前から僕は一度だって身体検査を受けていません。家格の高い貴族たるもの、貞操の危機に瀕した際の為に、必ずあるものを持ち歩くのですよ。殿下はご存知で?」
「まさか」
「大当たり。これがその現物です」
というと、僕はそれを一気に呷ろうとした。が……、
「よせ!!」
カキィン、と瓶が床に転がる。咄嗟に殿下が手を出したおかげで、毒薬の瓶は弾かれた。
「早まるな、エル! 君に危害を加えようとする者達は全て処分した! 偽の罪状で君を軟禁し、公爵との縁も断ち切ったとしてここに閉じ込めたおかげで炙りだすのに時間はかからなかった。憂いは無い。だから安心して――ッ、エル?」
「今……なんて?」
「君は死ななくてもいいんだ」
「そうじゃない。処分? 罪状?」
「ああ、言わなかったか? あのライオネルとその傘下を処分した。君を悪役に仕立て上げた出来の悪いシナリオ通りに動いたおかげで、やつらは尻尾を出した。シャイラス様もいきいきと粛清されていたぞ? 晴れて、というか、まぁ君の潔白は最初から証明されていて……」
「嘘。うそうそ。嘘だ!!」
「嘘じゃない! 全て本当のことだ」
殿下が僕を抱き締める。きつく、腕の中に囲われて、詰めていた息を吐いた。涙腺はとっくに崩壊気味だ。
僕は遅まきながら気付いてしまった。
ここに幽閉されたのではなく、匿われていたことに。殿下は僕を嫌ったわけではなかったのか。そうか。
「殿下?」
「なんだ、エル?」
「僕は――生きていていいのでしょうか?」
「当たり前だ。というか肝が冷えたぞ。毒薬を所持していたなんて……すっかり忘れていた。危うく君を失う所だった」
「殿下……」
「エル。もう一度謝らせてくれ。君に、こんな状況を強いたことを心から詫びよう。すまなかった」
「う、あっ、あ、あああああ!!」
殿下の目も気にせず、僕は泣いた。完全に決壊した。
殿下が僕を慰めるように背中をぽんぽんと叩く。その安心出来る仕草に、徐々に僕は落ち着きを取り戻す。
「エル……愛している。その、こんな段階で言うことでもすることでもないのは重々承知しているのだが……抑えがきかなくてな。散々こちらも我慢したから、」
「君が、欲しいんだ」
「殿下……、僕も、僕も殿下が欲しいです」
縋りつくように答えた。すると殿下は照れたような様子を見せる。
「本当なら綺麗なベッドに寝かせてやりたいんだがな」
「構いません。殿下とやれるなら、僕は」
「そう、か。あ! そうだ。一つだけお願いがあるんだ」
「はい? なんでしょう?」
「君の、心残り? みたいなものを聞かされたが――やはり私以外の男と何人もと踊るのはさすがに止めて欲しいんだが……?」
なんだ、そんなことか。お願いというからもっと命令じみたものかと思った。
「さすがに嫉妬でどうにかなりそうだ」
「妬いてくれるんですか?」
「当然」
「もう演技はしませんか?」
「しない……とは思う」
誓えない所が殿下の誠実さを表すようで愛おしい。
「じゃあ殿下――あの、僕に」
そうして僕は殿下にとあるおねだりをしてみせた。今まではぐらかされてきたおねだりを。
「ちゅぱ……んン……ちゅっ、はむ、んんっ」
「ほ、本当にエルが私の物を咥えてくれるなんてな。はっ……ぁあ、いい。まるで夢みたいだ」
「んふっ、……はぁ、夢みたいなら、なんで今までやらせてくれなかったんですか?」
「それは……ちょっと待て! そこで息を吹きかけるな! 変にむずむずするぞ」
「ちゅぱっ、じゃあ――えい!」
「はうっ!?」
自分の赤髪を耳にかけて、一気に喉奥まで殿下の物を咥える。吐き気を堪えて、涙目で殿下を見れば――殿下はびっくりしていた。
勝った……!!
そのまま舌先を使ったり、喉で締めてやれば、殿下が呻く。明らかに気持ちよさそうなので続行する。
ぐにゅぐにゅと喉を使って、殿下の精を絞ろうと必死になる。
「どこでそんな技を身に着けたんだ……。まさか知らない間に他の男と? それはありえないか」
殿下が何か呟いていたが気にしない。
するとさわさわと殿下が僕の髪を撫で始めた。正直、気が散るのでやめて欲しい。だがそれを言う前に殿下が、
「やはり美しい瑠璃色の瞳だ。どんな宝石より綺麗だよ、エル」
なんて言うもんだから、僕は一気に熱を持った。
リードした気になっていたのに、いつの間にか手綱を引き戻されていた気分だ。
それでも唾液を口の端から溢しながら、一生懸命殿下に奉仕した。
「あむっ……ちゅ……んン。れろっ」
「ああ、出そうだ。エル放して……ッ!?」
最後までやり遂げたい、そんな気持ちで抜こうとした殿下に抗って、殿下のものをひょっとこ顔で啜った。すると喉奥に飛沫がぶち当たる。それは強烈な苦味とえぐみを伴っていた。
「うっへ……にがぁっ」
「エル!? 出しなさい、さあ、早く」
いやいやと子供みたいに僕は頭を振った。ごきゅん。無理に嚥下すれば、泣きそうな笑いそうな殿下の顔が見えた。
「そんなことまでしなくてもよかったのに……」
「いい、ん、です。僕が、やりたかったことだから」
まだ喉奥に残っていた苦味で咽た。殿下はそれこそ綺麗な碧眼を細めて僕を見た。
なんとなく気まずい。
今までは変なスイッチが入り、勢いで出来たが、正気に戻ると……うわぁああああ、僕何やってんの!? って感じになった。
「エルは……本当に純粋だな。私とは比べ物にならない」
意外な言葉を聞いた。この僕が純粋だって?
「殿下を狙う令息並びに令嬢と毒舌の舌戦を繰り広げてもですか?」
「ああ。なあにあのぐらい可愛いものだよ。しかも君のは毒舌というより、正論じゃないか」
「そうですか?」
小首を傾げて見せれば、殿下は再度僕の赤毛を撫でつけた。
殿下こそ、正統派といった感じで暗い影が見えないのに。
「私の腹の内に比べたら――エルのこの真っ白なお腹は美しい」
「ひゃっ!? い、いきなり手を突っ込まないでください!」
「悪い悪い」
殿下が座り込んでしまっていた僕と目線を合わせるよう屈む。
「エル……今日は、その、君の乱れた姿が見たいんだ」
「はあ」
「だから……ちょっと無体なことをしてもいい、か?」
「殿下がよろしければ」
「本当にか!? いいんだな? 男に二言はないぞ!?」
がばっと顔を上げて、殿下が僕の肩を掴む。い、痛い……。っていうか、鼻息の荒い殿下って始めて見た。
それにしても……殿下ってサドだったのかな? そんなに僕を嬲りたいの? まぁ、殿下だから許しちゃうんだけどさ。
うん、確かに僕はそう思った。でもまさか――
「これは聞いてないよ!? 殿下、やめてっ! もう、僕辛いんです!!」
「じゅるっ…………まだだ」
野性味溢れる色気を滲ませて、殿下が髪をかきげた。なにその色気!? カッコいいなんて思っちゃうからね!
「だ……ぁ、ぃ、たい」
「?」
「出したい。殿下、出したいです。いい加減辛いんです……勘弁してください!」
「泣き言か? エルらしくもない」
「無理ですって。こんなの拷問だって!」
「拷問か……、愛の拷問? ふむ、悪くないな」
「一人でなに納得してるんですか! いい加減、僕の物を解いてやってください」
心底残念そうに殿下はそれを解こうとした。そう、何故か殿下がポケットに入れていた可愛いリボンを。それをつけられたままもう何分? 何時間? 愛撫を中心にされていたのだ。もう僕はぐずぐずに蕩けたよ……。溶かされた飴の如きとろけ具合。もちろん、あっちの方も。
ぬぷぷっとアナルに指が差し込まれる。
「って、リボンは!?」
「もう少し堪能したい。エルを」
「いやいや、キザに決めればいいってもんじゃありませんからね!?」
「駄目なのか?」
「駄目で……はぁん! やぁああ、ううっ、んン! らめえエ、はァ、でちゃ……ううっ!!」
「好きなだけイケばいい」
それがッ自由にッ出来ないからッ困ってるんでしょーが!!
「殿下の意地悪」
「うっ……。なんだろう。私の良心に強い痛みが」
「でんかのばかっ」
「可愛く言っても無駄だぞ?」
「う~~、じゃあ、じゃあ…………んっ? ひぃ、あっあっ、うわあァ!」
もはや止まる気のない殿下。僕のナカのイイところを指で擦り上げて、刺激する。前立腺と呼ばれるそこを擦られ、僕は堪らない声をあげた。
「やめっ、おかひく゛っなっるるうう……! あっあ゛あああああッ!!」
ゾクゾクと背筋を駆け抜ける快楽。中心から麻痺しそうになる錯覚。精子をぶちまけたいのに塞き止められた影響でちょろちょろと小川が流れるようにしか出てこない。
「こっちも可愛がってやらねば可哀想だな」
「へ? んっんっ……んぅ! ふえぁっ!!」
僕の胸飾りを弄り出した殿下。すっかり赤くなっていたそこをこねくり回され、僕は腰を揺らして逃げようとする。だが、上から殿下にのしかかられている為できない。
「んふぅ……んっ……んん」
右手で僕の後孔を。左手で僕の乳首を。そして口でも空いていた方の乳首をしゃぶる。
三点同時攻撃!?
「ひっ、やああン、駄めぇ! それいじょう、ああ……おかしく、な、る、ああう、っん!」
「ちゅぱっ……どうだ、ん、気持ちいいか?」
「やらあぁ、もうやめっ、きもひっ、イイから、ン、……やめてぇっ!!」
本気の泣きが伝わったのか、殿下はその最高のタイミングで僕の陰茎につけていたリボンをあっという間に外した。瞬間、飛び出た精液。どぴゅっと弾けたそれは僕の腹と殿下の胸板を汚した。
と、殿下は何を思ったのか、あろうことか僕の精液をぺろっという感じで舐めとった。
「え――ええええ!?」
「やはり苦い、か。だがこの味もエルのものだというなら悪くないな。ふっ、エルも舐めるか?」
「いいえ、結構デス」
申し出は丁重にお断りした。どうして僕も舐めたいんじゃないかと思ったのだろうか? 殿下、不思議だ。
「そろそろいいか。エル……入れてもいいか?」
急に真面目な顔をするから、胸がきゅんと高鳴った。やっぱり殿下の顔は反則だと思う。
「は……い。入れてください。殿下のものを」
一度立ち上がると、再度お目見えしたのは逞しい一物。色味といい、太さといい、視覚的暴力になりそうな物。
おっと、思わず涎がもれた。さっき舐めたのにな。
「いくぞ。痛かったら言うんだぞ?」
「はい。殿下こそ、その、きつかったらいつでも言ってくださいね」
「ああ。だが途中でやめるなんて選択肢は無いからな」
「勿論です」
狙いを定めた殿下の陰茎が迫ってくる。それなりに硬い一物が僕のアナル目掛けて侵入を試みた。
先端がちょっとずつ入ってくる。酷い異物感だ。それが肛門を割り開いてくる。あらかじめ殿下の唾液で解されていたとはいえ、これだけの質量だ。その圧迫感は計り知れない。
「んンぐ……う」
亀頭がなかなか収まりきらないことで焦れてくる。早く入ってしまえばいいのに!
覚悟を決めたように殿下がぐっと腰を押し進めた。
「あと少しだから、一気に入れるな」
「へ? あ、ちょ……ま、!?」
ずくんっ……!!
衝撃で呼吸が出来ない。肺から息が漏れて変な音がした。力が抜けて、指一本動かせない……。
だがそれもわずかな時間。徐々に神経が戻ってきて……そこには確かに挿入された感触があった。
「全部入ったぞ」
「ええ。成功、ですね」
「エル、ありがとうな」
「へ?」
「君が頑張ってくれたおかげで、こうして体を繋げることが出来た。感謝する」
「そんな……、気にしないで下さい」
殿下は僕の額にキスをくれた。甘やかすようにキスの雨が降る。なんだか気恥ずかしくなってきた。
「動いても平気そうか?」
あ。待っててくれたのか、そう思った時にはその気遣いが嬉しくて、頬が緩んだ。にやけ面を晒してもこの人にならいいと思えた。
「勿論です」
「いくぞ……それ!!」
「んっんん……あっ! でん、かあ、はげしっ、いひっ!」
殿下は待っている間に辛抱たまらなくなっていたのか、いきなり腰を素早く打ち付けて、ナカを思いっきり擦りつけた。
制止を求める声は分かっているようで、キスで誤魔化そうとしてくる。
痛くは無いが、苦しい……。潰された蛙のような不細工な声を発してしまう。
殿下は汗をかいていた。玉のような汗が胸板を伝って、僕の腹に落ちる。
眉間に皺をよせて、唇を噛み締めて、力強く腰を振るう。
オスを感じてしまう動作に、ときめく心が止まらない。ボルテージは上がりっぱなし。とどまる所を忘れてしまったように、天井知らずだ。
「いっ、うぅ……あッ。やめ、っ……。ひ、ひぁ! ……んっ、あー、あー、……ふっ、あ、あ、あ、……ッ?」
はぁっと短い息づかい。殿下のハスキーボイスが腰に来る。僕の陰茎もすっかり反応してまた立ち上がっている。
「あ……っ、あっあっ、あ~~!」
すっかり意味を無くした喘ぎ声だけになる。口から漏れ出す言葉になりきれなかった者達。そのどれもが桃色をしているに違いない。
「ひっ、やあ、んんン、……うえぁ、あああ!」
頭の中がぼーっとしてしまう。気持ちよくてどうにかなってしまったようだ。それでも行為は続いているから、僕の頭はますます使い物にならなくなる。
「ふわぁああ、あン、イク……! イキそ……ああっ!?」
「そうか。なら私もイクぞ……、エル」
「キて……一緒にっ!」
耳元に彼は囁き、そしてキスをした。
「ん~~~~ッ!!」
びゅるるるるっ。熱い熱い精液を奥まった場所にぶちまけられて、僕は感じた。その間も殿下は貪欲に僕の口から快感を引き出す。今更だけど、殿下はキスが上手い。
全身が感じて、天国に昇るような快楽を感じていた。
「ぷはぁっ!」
「いい顔だな。もっと見ていたくなる」
「殿下ぁ……」
甘えた声を出して殿下に縋りつく。すると殿下は不思議そうな顔をした。
「どうした? 何故泣いている?」
「なんか……嬉しいのとホっとしたので、つい涙腺が」
「泣いてばかりいると目まで蕩けてしまうかもしれないぞ?」
「うう……気をつけます」
「ああ。せっかくの瞳なんだからな。私の大好きな瑠璃色が見れなくなるのは惜しい」
「殿下って本当……僕の目、好きですよね」
「ああ。エルの純粋さを表しているようで、たまらない」
「はあ」
すると殿下も横になり、僕の手をとった。
「エル……私の、伴侶になってくれ」
「いいんですか? でも僕……」
「もう憂いは無い。後は君の返事だけだ。それも、素直な、な」
「それって……ほぼ拒否権が無いじゃないですか」
「そうなるか? さぁ、答えを聞かせてくれ」
「はい。いつまでもあなたのお傍に」
その後、僕らは二回戦に突入した。
そして――、
「よがったぁああああああ、よがったぞおおお。私は今、猛烈に感動しておるうう!!」
「お、お父様、痛いです! 圧迫されて全身が痛いです」
「おお、悪かった。いけんな。こんな晴れの舞台に愛息子を病院送りにしたとあっては怒られてしまう」
「そうですよ、あなた。エル、よかったわね。結婚、おめでとう」
「はい、お母様」
僕、エル・クローディアは今日からミゲル・アストリアの正式な伴侶となる。
只今教会で式を挙げ終わった所で、誓いの指輪を交換し、誓いのキスを交わしたばかりだ。
お揃いのタキシードを着て、僕らは並び立つ。
あの日、婚約破棄をきっかけに僕の人生は大きく変わった。けれど、今はこうして以前と同じものを、いや以前よりも多くのかけがえのないものを手に入れたのだった。
おしまい
嘘だ、そんな筈はないと思った。吐き出された言葉と冷たい眼差しに崩れ落ちそうになりながら、それでも気丈に振舞った。端からはみじめに映っても。
「ミゲル様、本気でいらっしゃいますか? この僕との婚約を破棄するということは、つまり公爵家に喧嘩を売っていると、そういうことになるのですよ?」
見事な金髪を揺らめかせて、立派な王子の正装を纏ったミゲル様。彼を見据えて言い放った。
「いいや、その心配は要らない。これはクローディア公も承知してのことだ」
「お父様が!? そんな馬鹿な!!」
「君は確かに愛されていた。だがそれも――今、この瞬間までだ。婚約破棄に伴って、君はクローディア公爵家の籍から抜けることになった。君が嫌っていた庶民となった気分はどうだい? エル」
「こんな……こんなことが許されるはずな、」
空ろになる僕。到底信じられない。この僕があのお父様に捨てられた? 親ばかだといっていいだろうお父様。目に入れても痛く無い程、父、シャイラス・クローディアは一人息子の僕を大切にしていた。
「当然の結果である。君は自分のしでかした事を分かっているか?」
しでかした事……?
「自分がオズマ男爵家ライオネルにした数々の事だよ」
ライオネル……? ああ、あの庶民上がりか。くすんだ茶髪に橙色をした目の地味な青年。確かに僕は彼に身分を弁えた行動を教えた。貴族として思いあがり、傲慢な態度で侍従や下級生に接する彼を注意はした。それ以来、彼をみつける度に睨まれていたが……。
「虐めていたそうじゃないか。他ならぬ悪事の証拠もある。それを偶然見たと言う証人だっている。もう逃げも隠れも出来ないぞ」
ありもしない悪事の証拠と証人だって? そんなものが出てきた?
勿論僕の身の上は潔白だ。それらは偽物だろう。誰かが擬装しでっち上げた紛い物。
殿下は一体どうなされてしまったというのか。冷静で合理的なあの殿下とは思えない。
「言葉もない、か。ふっ、まさか私の婚約者がこんな男だったとはな」
「違っ、待ってください! 僕の話を聞いて、」
「今更言い訳など見苦しいぞ!」
「話を、話を聞いてください! 真実を調べて頂ければ、僕の潔白は証明され、」
「聞こえなかったか? 既に動かぬ証拠があると。君の、いや貴様の罪はここに露見したのだ」
パーティー会場中が騒然となる。元とはいえ国で三つしかない公爵の息子であった僕。そんな人物が婚約破棄されたうえに、悪事を働いたとなれば……醜聞のネタとしては格好の的だ。ひそひそと聞こえる声には「やっぱりねぇ」とか「怪しかったもんな」とか。どうも僕が思っていた以上にいじめの件は広まっていたらしい。
迂闊だった。こんなことになるなら、もっと身辺を警戒しておくべきだった。それでも、もう手遅れ。
挽回のチャンスは残されていない。
「罪人エル。その身は――」
僕は黒の尖塔に幽閉されることが決まった。あの日以来、僕は誰とも会っていない。正確に言えば、給仕係は来るのだが、いつも無言で冷え冷えとした目で僕を睨んで食事を置いていく。食事も質素なもので、給仕の目と同じように冷え切っていた。
涙が、零れた。
屈してはいけない。そんなことは分かってるはずなのに。泣いても何も解決しないことは分かってるのに。それでも悲しかった。
愛する人は盲目的に偽物を信じて、僕は愛を失った。
何かの罠に嵌められて、屈辱的な状況に陥っている。
こんな結果になった全てを恨んだ。大好きだった殿下も口で罵った。いわれのない罪なのに、どうして信じてくださらなかったのか。
僕は――、僕は悪くない。
壁に殴り書きした線で今日が十日目だと知った。今は初夏。窓を開けて月夜を見ている。いっそこの窓から身投げしようかと思ったが、それが出来ないようはめ込みがあった。
ぼんやりと満月を見やる。空にぽっかりと空いた金の穴。僕の心臓もあれ以来、生きる活力を失ってしまった。
静かだ。とても静かだ。いっそ僕という存在もその静寂に飲み込まれてしまえばいいのにと思った。
こつん、こつん。
階下から誰か上がって来たらしい。こんな時間に珍しい。緊急の要件か? だとしたら――僕の処遇が決定したか。
本当に?
こんな時間に昇ってくるなんておかしくないか? なにか疚しい理由がある人間じゃないか? 例えば、僕を殺そうとして、だとか。
その考えに行き着いて戦慄した。がくがくと震える体を、ベッドの掛け布団で隠し、身を丸める。
隠れる場所なんか無かった。それでも真正面から出迎える勇気はない。
そして、鍵を開けた音がした。中に踏み込む足音。その間、一切の喋り声は無かった。
僕は神に縋った。
「寝てるのかい?」
声は子猫を撫でるように優しいものだった。まるで僕を起こさないように気遣う。
錯覚だろうか。この声に聞き覚えがあり過ぎるのは。僕は今、とても都合のよい思い違いをしているのでは?
「エル」
僕の方へ近づいてきた足音。それからちょうど丸まっていた背中に手が乗せられる。
「怖い夢でも見たのかい? ああ、それとも――僕が怖いかい?」
怖いです、とても。でももし、そのお姿を見たら、もっと怖いと思ってしまうでしょう。
「大丈夫。大丈夫だから――もう、全て終わったんだよ?」
終わり? それはつまり、僕の処遇が決定したと?
「もうこれ以上苦しまなくていい。明日に怯える心配は無いんだよ。君にはもう残されていないから」
苦しまなくていい。
明日に怯える心配は無い。
残されていない。
つまり――僕は明日、処刑されるのか?
罪をでっち上げられ、僕は死ぬ。
咎もないまま、僕は殺される。
業を負わされて、僕は――
こんなことって、あんまりだ。
止まっていた涙が、乾いていた心が、塞き止めるものがなくなり怒涛の勢いで溢れてきた。
そして何より、それを告げるあなたが……憎らしい。
被っていた布団を引き剥がし、彼に向き合う。
「ミゲル殿下……。酷いです、何故、言ってくれなかったのですか!!」
僕の剣幕に驚いたのか、目を見開く殿下。
あの時よりもっと前に自分の身に降りかかってきた火の粉について知っていれば――弁明さえ聞いてくだされば、こんな結末にはならずに済んだのにと思うと悔しい。
「すまない……エル。もっと早くに言おうと思っていたんだ。けれど、条件を揃えるのに苦心してね」
「だから、今なのですか? こんな時間に、自ら訪ねてくださるなんて、お優しいのですね」
けれど僕の皮肉に気付いていないのか、殿下は大層綺麗に微笑まれた。
「謝らせて欲しいんだ。俺の我儘で君の持っていたものを奪うことになってしまって。憎まれているのは分かっている。それでも――君を想っていたんだ」
「今更特別扱いしていたと言われても、嬉しくありません! ちゃんと、はっきり突き放してください!!」
「何故だい……? や、やはり私の対応はまずかったかい?」
「当然です。自覚なさってください」
こんな夜中に、罪人のもとを訪ねるなんて、殿下ともあろうお人がすることじゃない。と、はっきり告げた。
見るからに落ち込み、しゅんと萎れた殿下。
「こんな結果になっても、君のことは愛していたんだ。心底、大事だった」
「だから、今更そんなことを言われても――、!?」
急に接近してきた顔。顎を掴まれて、強引に口付けを受ける。
「これが私の気持ちの全てだ。受け取って欲しい、エル」
なんで……なんで、なんで、どうして!
神様はなんて残酷なことをするんだ!
唇を噛み締めて泣くのを必死に堪える。これ以上、殿下相手に醜態を晒したくない。そう、思うのに。
「馬鹿なんじゃないですか! これが、最期だって知ったら、余計に苦しくなるじゃないですか。あなたは僕をどうしたいんですか? 貶める? 蔑む? は、辱める? もうどうだっていいですけど、金輪際、僕に触れないで下さいっ!」
すると殿下は目に見えてショックを受けた顔になった。
「そんな……せっかく君と触れられるようになったのに……あんまりだよ、エル」
あんまりはどっちですか!?
今頃になって僕に愛着が湧きましたか? 手放すのが惜しいと? まさかこんな夜中にやって来たのってよ、よよ、夜這いする為じゃないでしょうね!?
そう思って、殿下と距離を取る。するとさらに殿下はへこんだ。本当にやる気だったのかよ!!
ジト目で殿下相手に「サイテーです」と告げれば、「エルが酷い!」といわれる始末。
なんか……。
「くすくす。やっぱり君は君だね」
「当たり前でしょう。僕は僕以外の何者にもなれませんから」
胸を張って言えば、余計に悲しくなった。いっそ誰か別人だったらよかったのに、と。
「君は――やはり僕を恨んでいるかい?」
「恨む? いいえ違います。僕は、僕から全てを奪った殿下が正直憎いです。今すぐその横っ面を殴りたい程、怒ってます」
「だろうな」
「でも、苦しい程、今でも殿下が好きなんです!! 好きって言葉が足りない程、好きなんです」
「エル?」
気遣わしげに僕を見る殿下。その表情が見れない。僕は俯いて、言葉だけを投げ掛けた。
「明日死ぬって分かっても――、あなたへの恋情を止められない僕は、正真正銘の馬鹿ですね。笑ってくださいよ」
「笑う? 何故だ?? それに死ぬって?」
「今更とぼけないでください。僕は明日、斬首刑にでもなるんですか? お詫びの言葉一つ言えない、完璧な悪役に祭り上げられて、……一大スクープですもんね? きっと」
「エル?」
「ああ、悲しいな。こんなことなら、もっと贅沢すればよかった。領地経営の余剰金を義援金に当てたりせずに派手に使っちゃえばよかった。社交界でも顔色なんか窺わずに、どや顔で振舞って、尻軽とでも思われようが色んなイケメンと踊ればよかった。それから……――殿下と楽しい思い出をもっと作れればよかった、かな?」
「エルがしたいなら今からでも……」
「何言ってるんですか。もう手遅れですよ。何もかも」
僕は今、笑えているだろうか。
彼が惜しいと、そんな風に思える綺麗な笑みを。
「殿下、さようなら」
「エル? さっきからどうしたんだ。お別れの言葉ばかり並べ――」
「ええ、そのまさかですよ。殿下、明日には号外が出回ることでしょう。尖塔で悪役令息が――不審死を遂げた、と」
「どういうことだ」
「どうもなにもありませんよ。ここに来る前から僕は一度だって身体検査を受けていません。家格の高い貴族たるもの、貞操の危機に瀕した際の為に、必ずあるものを持ち歩くのですよ。殿下はご存知で?」
「まさか」
「大当たり。これがその現物です」
というと、僕はそれを一気に呷ろうとした。が……、
「よせ!!」
カキィン、と瓶が床に転がる。咄嗟に殿下が手を出したおかげで、毒薬の瓶は弾かれた。
「早まるな、エル! 君に危害を加えようとする者達は全て処分した! 偽の罪状で君を軟禁し、公爵との縁も断ち切ったとしてここに閉じ込めたおかげで炙りだすのに時間はかからなかった。憂いは無い。だから安心して――ッ、エル?」
「今……なんて?」
「君は死ななくてもいいんだ」
「そうじゃない。処分? 罪状?」
「ああ、言わなかったか? あのライオネルとその傘下を処分した。君を悪役に仕立て上げた出来の悪いシナリオ通りに動いたおかげで、やつらは尻尾を出した。シャイラス様もいきいきと粛清されていたぞ? 晴れて、というか、まぁ君の潔白は最初から証明されていて……」
「嘘。うそうそ。嘘だ!!」
「嘘じゃない! 全て本当のことだ」
殿下が僕を抱き締める。きつく、腕の中に囲われて、詰めていた息を吐いた。涙腺はとっくに崩壊気味だ。
僕は遅まきながら気付いてしまった。
ここに幽閉されたのではなく、匿われていたことに。殿下は僕を嫌ったわけではなかったのか。そうか。
「殿下?」
「なんだ、エル?」
「僕は――生きていていいのでしょうか?」
「当たり前だ。というか肝が冷えたぞ。毒薬を所持していたなんて……すっかり忘れていた。危うく君を失う所だった」
「殿下……」
「エル。もう一度謝らせてくれ。君に、こんな状況を強いたことを心から詫びよう。すまなかった」
「う、あっ、あ、あああああ!!」
殿下の目も気にせず、僕は泣いた。完全に決壊した。
殿下が僕を慰めるように背中をぽんぽんと叩く。その安心出来る仕草に、徐々に僕は落ち着きを取り戻す。
「エル……愛している。その、こんな段階で言うことでもすることでもないのは重々承知しているのだが……抑えがきかなくてな。散々こちらも我慢したから、」
「君が、欲しいんだ」
「殿下……、僕も、僕も殿下が欲しいです」
縋りつくように答えた。すると殿下は照れたような様子を見せる。
「本当なら綺麗なベッドに寝かせてやりたいんだがな」
「構いません。殿下とやれるなら、僕は」
「そう、か。あ! そうだ。一つだけお願いがあるんだ」
「はい? なんでしょう?」
「君の、心残り? みたいなものを聞かされたが――やはり私以外の男と何人もと踊るのはさすがに止めて欲しいんだが……?」
なんだ、そんなことか。お願いというからもっと命令じみたものかと思った。
「さすがに嫉妬でどうにかなりそうだ」
「妬いてくれるんですか?」
「当然」
「もう演技はしませんか?」
「しない……とは思う」
誓えない所が殿下の誠実さを表すようで愛おしい。
「じゃあ殿下――あの、僕に」
そうして僕は殿下にとあるおねだりをしてみせた。今まではぐらかされてきたおねだりを。
「ちゅぱ……んン……ちゅっ、はむ、んんっ」
「ほ、本当にエルが私の物を咥えてくれるなんてな。はっ……ぁあ、いい。まるで夢みたいだ」
「んふっ、……はぁ、夢みたいなら、なんで今までやらせてくれなかったんですか?」
「それは……ちょっと待て! そこで息を吹きかけるな! 変にむずむずするぞ」
「ちゅぱっ、じゃあ――えい!」
「はうっ!?」
自分の赤髪を耳にかけて、一気に喉奥まで殿下の物を咥える。吐き気を堪えて、涙目で殿下を見れば――殿下はびっくりしていた。
勝った……!!
そのまま舌先を使ったり、喉で締めてやれば、殿下が呻く。明らかに気持ちよさそうなので続行する。
ぐにゅぐにゅと喉を使って、殿下の精を絞ろうと必死になる。
「どこでそんな技を身に着けたんだ……。まさか知らない間に他の男と? それはありえないか」
殿下が何か呟いていたが気にしない。
するとさわさわと殿下が僕の髪を撫で始めた。正直、気が散るのでやめて欲しい。だがそれを言う前に殿下が、
「やはり美しい瑠璃色の瞳だ。どんな宝石より綺麗だよ、エル」
なんて言うもんだから、僕は一気に熱を持った。
リードした気になっていたのに、いつの間にか手綱を引き戻されていた気分だ。
それでも唾液を口の端から溢しながら、一生懸命殿下に奉仕した。
「あむっ……ちゅ……んン。れろっ」
「ああ、出そうだ。エル放して……ッ!?」
最後までやり遂げたい、そんな気持ちで抜こうとした殿下に抗って、殿下のものをひょっとこ顔で啜った。すると喉奥に飛沫がぶち当たる。それは強烈な苦味とえぐみを伴っていた。
「うっへ……にがぁっ」
「エル!? 出しなさい、さあ、早く」
いやいやと子供みたいに僕は頭を振った。ごきゅん。無理に嚥下すれば、泣きそうな笑いそうな殿下の顔が見えた。
「そんなことまでしなくてもよかったのに……」
「いい、ん、です。僕が、やりたかったことだから」
まだ喉奥に残っていた苦味で咽た。殿下はそれこそ綺麗な碧眼を細めて僕を見た。
なんとなく気まずい。
今までは変なスイッチが入り、勢いで出来たが、正気に戻ると……うわぁああああ、僕何やってんの!? って感じになった。
「エルは……本当に純粋だな。私とは比べ物にならない」
意外な言葉を聞いた。この僕が純粋だって?
「殿下を狙う令息並びに令嬢と毒舌の舌戦を繰り広げてもですか?」
「ああ。なあにあのぐらい可愛いものだよ。しかも君のは毒舌というより、正論じゃないか」
「そうですか?」
小首を傾げて見せれば、殿下は再度僕の赤毛を撫でつけた。
殿下こそ、正統派といった感じで暗い影が見えないのに。
「私の腹の内に比べたら――エルのこの真っ白なお腹は美しい」
「ひゃっ!? い、いきなり手を突っ込まないでください!」
「悪い悪い」
殿下が座り込んでしまっていた僕と目線を合わせるよう屈む。
「エル……今日は、その、君の乱れた姿が見たいんだ」
「はあ」
「だから……ちょっと無体なことをしてもいい、か?」
「殿下がよろしければ」
「本当にか!? いいんだな? 男に二言はないぞ!?」
がばっと顔を上げて、殿下が僕の肩を掴む。い、痛い……。っていうか、鼻息の荒い殿下って始めて見た。
それにしても……殿下ってサドだったのかな? そんなに僕を嬲りたいの? まぁ、殿下だから許しちゃうんだけどさ。
うん、確かに僕はそう思った。でもまさか――
「これは聞いてないよ!? 殿下、やめてっ! もう、僕辛いんです!!」
「じゅるっ…………まだだ」
野性味溢れる色気を滲ませて、殿下が髪をかきげた。なにその色気!? カッコいいなんて思っちゃうからね!
「だ……ぁ、ぃ、たい」
「?」
「出したい。殿下、出したいです。いい加減辛いんです……勘弁してください!」
「泣き言か? エルらしくもない」
「無理ですって。こんなの拷問だって!」
「拷問か……、愛の拷問? ふむ、悪くないな」
「一人でなに納得してるんですか! いい加減、僕の物を解いてやってください」
心底残念そうに殿下はそれを解こうとした。そう、何故か殿下がポケットに入れていた可愛いリボンを。それをつけられたままもう何分? 何時間? 愛撫を中心にされていたのだ。もう僕はぐずぐずに蕩けたよ……。溶かされた飴の如きとろけ具合。もちろん、あっちの方も。
ぬぷぷっとアナルに指が差し込まれる。
「って、リボンは!?」
「もう少し堪能したい。エルを」
「いやいや、キザに決めればいいってもんじゃありませんからね!?」
「駄目なのか?」
「駄目で……はぁん! やぁああ、ううっ、んン! らめえエ、はァ、でちゃ……ううっ!!」
「好きなだけイケばいい」
それがッ自由にッ出来ないからッ困ってるんでしょーが!!
「殿下の意地悪」
「うっ……。なんだろう。私の良心に強い痛みが」
「でんかのばかっ」
「可愛く言っても無駄だぞ?」
「う~~、じゃあ、じゃあ…………んっ? ひぃ、あっあっ、うわあァ!」
もはや止まる気のない殿下。僕のナカのイイところを指で擦り上げて、刺激する。前立腺と呼ばれるそこを擦られ、僕は堪らない声をあげた。
「やめっ、おかひく゛っなっるるうう……! あっあ゛あああああッ!!」
ゾクゾクと背筋を駆け抜ける快楽。中心から麻痺しそうになる錯覚。精子をぶちまけたいのに塞き止められた影響でちょろちょろと小川が流れるようにしか出てこない。
「こっちも可愛がってやらねば可哀想だな」
「へ? んっんっ……んぅ! ふえぁっ!!」
僕の胸飾りを弄り出した殿下。すっかり赤くなっていたそこをこねくり回され、僕は腰を揺らして逃げようとする。だが、上から殿下にのしかかられている為できない。
「んふぅ……んっ……んん」
右手で僕の後孔を。左手で僕の乳首を。そして口でも空いていた方の乳首をしゃぶる。
三点同時攻撃!?
「ひっ、やああン、駄めぇ! それいじょう、ああ……おかしく、な、る、ああう、っん!」
「ちゅぱっ……どうだ、ん、気持ちいいか?」
「やらあぁ、もうやめっ、きもひっ、イイから、ン、……やめてぇっ!!」
本気の泣きが伝わったのか、殿下はその最高のタイミングで僕の陰茎につけていたリボンをあっという間に外した。瞬間、飛び出た精液。どぴゅっと弾けたそれは僕の腹と殿下の胸板を汚した。
と、殿下は何を思ったのか、あろうことか僕の精液をぺろっという感じで舐めとった。
「え――ええええ!?」
「やはり苦い、か。だがこの味もエルのものだというなら悪くないな。ふっ、エルも舐めるか?」
「いいえ、結構デス」
申し出は丁重にお断りした。どうして僕も舐めたいんじゃないかと思ったのだろうか? 殿下、不思議だ。
「そろそろいいか。エル……入れてもいいか?」
急に真面目な顔をするから、胸がきゅんと高鳴った。やっぱり殿下の顔は反則だと思う。
「は……い。入れてください。殿下のものを」
一度立ち上がると、再度お目見えしたのは逞しい一物。色味といい、太さといい、視覚的暴力になりそうな物。
おっと、思わず涎がもれた。さっき舐めたのにな。
「いくぞ。痛かったら言うんだぞ?」
「はい。殿下こそ、その、きつかったらいつでも言ってくださいね」
「ああ。だが途中でやめるなんて選択肢は無いからな」
「勿論です」
狙いを定めた殿下の陰茎が迫ってくる。それなりに硬い一物が僕のアナル目掛けて侵入を試みた。
先端がちょっとずつ入ってくる。酷い異物感だ。それが肛門を割り開いてくる。あらかじめ殿下の唾液で解されていたとはいえ、これだけの質量だ。その圧迫感は計り知れない。
「んンぐ……う」
亀頭がなかなか収まりきらないことで焦れてくる。早く入ってしまえばいいのに!
覚悟を決めたように殿下がぐっと腰を押し進めた。
「あと少しだから、一気に入れるな」
「へ? あ、ちょ……ま、!?」
ずくんっ……!!
衝撃で呼吸が出来ない。肺から息が漏れて変な音がした。力が抜けて、指一本動かせない……。
だがそれもわずかな時間。徐々に神経が戻ってきて……そこには確かに挿入された感触があった。
「全部入ったぞ」
「ええ。成功、ですね」
「エル、ありがとうな」
「へ?」
「君が頑張ってくれたおかげで、こうして体を繋げることが出来た。感謝する」
「そんな……、気にしないで下さい」
殿下は僕の額にキスをくれた。甘やかすようにキスの雨が降る。なんだか気恥ずかしくなってきた。
「動いても平気そうか?」
あ。待っててくれたのか、そう思った時にはその気遣いが嬉しくて、頬が緩んだ。にやけ面を晒してもこの人にならいいと思えた。
「勿論です」
「いくぞ……それ!!」
「んっんん……あっ! でん、かあ、はげしっ、いひっ!」
殿下は待っている間に辛抱たまらなくなっていたのか、いきなり腰を素早く打ち付けて、ナカを思いっきり擦りつけた。
制止を求める声は分かっているようで、キスで誤魔化そうとしてくる。
痛くは無いが、苦しい……。潰された蛙のような不細工な声を発してしまう。
殿下は汗をかいていた。玉のような汗が胸板を伝って、僕の腹に落ちる。
眉間に皺をよせて、唇を噛み締めて、力強く腰を振るう。
オスを感じてしまう動作に、ときめく心が止まらない。ボルテージは上がりっぱなし。とどまる所を忘れてしまったように、天井知らずだ。
「いっ、うぅ……あッ。やめ、っ……。ひ、ひぁ! ……んっ、あー、あー、……ふっ、あ、あ、あ、……ッ?」
はぁっと短い息づかい。殿下のハスキーボイスが腰に来る。僕の陰茎もすっかり反応してまた立ち上がっている。
「あ……っ、あっあっ、あ~~!」
すっかり意味を無くした喘ぎ声だけになる。口から漏れ出す言葉になりきれなかった者達。そのどれもが桃色をしているに違いない。
「ひっ、やあ、んんン、……うえぁ、あああ!」
頭の中がぼーっとしてしまう。気持ちよくてどうにかなってしまったようだ。それでも行為は続いているから、僕の頭はますます使い物にならなくなる。
「ふわぁああ、あン、イク……! イキそ……ああっ!?」
「そうか。なら私もイクぞ……、エル」
「キて……一緒にっ!」
耳元に彼は囁き、そしてキスをした。
「ん~~~~ッ!!」
びゅるるるるっ。熱い熱い精液を奥まった場所にぶちまけられて、僕は感じた。その間も殿下は貪欲に僕の口から快感を引き出す。今更だけど、殿下はキスが上手い。
全身が感じて、天国に昇るような快楽を感じていた。
「ぷはぁっ!」
「いい顔だな。もっと見ていたくなる」
「殿下ぁ……」
甘えた声を出して殿下に縋りつく。すると殿下は不思議そうな顔をした。
「どうした? 何故泣いている?」
「なんか……嬉しいのとホっとしたので、つい涙腺が」
「泣いてばかりいると目まで蕩けてしまうかもしれないぞ?」
「うう……気をつけます」
「ああ。せっかくの瞳なんだからな。私の大好きな瑠璃色が見れなくなるのは惜しい」
「殿下って本当……僕の目、好きですよね」
「ああ。エルの純粋さを表しているようで、たまらない」
「はあ」
すると殿下も横になり、僕の手をとった。
「エル……私の、伴侶になってくれ」
「いいんですか? でも僕……」
「もう憂いは無い。後は君の返事だけだ。それも、素直な、な」
「それって……ほぼ拒否権が無いじゃないですか」
「そうなるか? さぁ、答えを聞かせてくれ」
「はい。いつまでもあなたのお傍に」
その後、僕らは二回戦に突入した。
そして――、
「よがったぁああああああ、よがったぞおおお。私は今、猛烈に感動しておるうう!!」
「お、お父様、痛いです! 圧迫されて全身が痛いです」
「おお、悪かった。いけんな。こんな晴れの舞台に愛息子を病院送りにしたとあっては怒られてしまう」
「そうですよ、あなた。エル、よかったわね。結婚、おめでとう」
「はい、お母様」
僕、エル・クローディアは今日からミゲル・アストリアの正式な伴侶となる。
只今教会で式を挙げ終わった所で、誓いの指輪を交換し、誓いのキスを交わしたばかりだ。
お揃いのタキシードを着て、僕らは並び立つ。
あの日、婚約破棄をきっかけに僕の人生は大きく変わった。けれど、今はこうして以前と同じものを、いや以前よりも多くのかけがえのないものを手に入れたのだった。
おしまい
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