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今も苦労がたえない生活だが、少しだけいいことも家出の後にあった。
両親との関係は未だにギクシャクしている。ほとんど断絶もいいところだが、意外だったのは兄貴である。デキのいいあいつはある日ひょっこりおれの住むアパートにやって来た。なんの用事かと警戒するおれだったが、就職祝いと拍子抜けするようなことを言ってのけた。デリバリーで注文した料理と、持参した酒やつまみでささやかな酒盛りが始まった。
お前が怖かった、と兄貴は酒を飲んで語る。両親の呪いのような言葉に苛まれ身の丈にあっていない無理をして、いつか弟は壊れてしまうのではないかと。本気で心配していたらしい。だが人の機微を読むことがうまい兄貴は、自分が干渉すれば両親にとっても弟にとっても逆効果であることが掴めていたらしい。だから両親の意に沿うような形でそっと遠くから見守っていたという。
プチ家出をした後、スッキリした顔つきのおれをみて少し安堵したと語る。なにが弟を変えたか知らないが、その出会いに自分も感謝していると。
「ほんと今更だよな。悪い」
まるで懺悔だ。兄貴は本当に後悔しているらしい。ひどい酔い方にひどい飲み方だ。明日は二日酔い確定だなと思うもおれは、涙でそれを止めることができなかった。
おれとこうして距離を詰めてきたのは妻の腹の子がきっかけだという。恋愛結婚で妻を愛しているんだとこぼした。そのうえで、結婚して家のゴタゴタに縛られて不幸になる未来の我が子を見たくない、それがきっかけらしい。祖父母となる両親におれのようにレールで雁字搦めにされないように、父親として息子を守る決意を確かなものにする為におれと向き合ったと。打算でも、償いでもおれはうれしかった。
そしてさらにあくる日。偶然つけたTV番組でアイドル特集をやっていた。平素なら興味もなくチャンネルを切り替えるそれ。中古の質の悪いテレビから流れる覚えのある声。飛び込んできた画面いっぱいに映った顔をみて、懐かしい、そう感じた。
〝彼〟だ。おれには分かった。あの頃より背丈も顔立ちも声音も多少変わっていたが、些細なことだ。強烈に残っていた思い出が、面影と変化しても彼が路地裏の歌手であるとはっきりと示していた。
溜まっていた疲れは吹き飛んだ。曲を聴き終えると、彼の芸名をチェックし、ネットで検索をかけた。そこで神部シンジなるアイドルの存在を知った。そうか、彼はデビューしていたのかと感慨深いものがある。ただしその頃はやっとTV番組のミニコーナーで取り上げられる程度。知名度ははっきり言えば下の上。地下アイドルから地上波へ乗り込もうと奮闘していた頃だった。
下積み時代を乗り越えて表に出るも、しかし彼の評判はいまいちだった。歌唱力は圧倒されても、駆け出しのアイドルのグループに途中参加したことで初期の面々との扱いに差があった。なおかつ当時から発揮されていた不器用さ。ほとんど無愛想、対応も塩っぽい、口下手、と三拍子揃っていた負の要素で足を引っ張る存在だった。
彼の待遇をどうにかしたい。彼のために貢献したいと。でも一ファンが出来ることなんて限られている。彼のファンクラブ会員の証であるカードを手に入れるもなんか違うと感じ、直接SNSにフォローしようとして……やっぱりそんな勇気はなくて。結局なにがしたいのかわからなくなった。
推し活、という用語を知ったのは偶然だった。ウェブサイトに掲載されていたイマドキの文化の紹介企画。推しを応援するという概念を知り、内容を深く読み込んだ。彼は間違いなく、おれの推しだ。おれが応援したいと思う存在。
主な内容として載っていたのは、逢うこと、触れること、染まること、広めること、感じること。ファンの応援が推しの力となり、推しのおかげでしあわせになっていく。推すことでの好循環。そうやってウィン・ウィンの関係を築く。
おれは何が出来るだろう。彼の為に。
できる範囲で雑誌の通りに推しを応援することにした。お小遣いと決めた額を何に使うか悩みながら、彼のグッズが一つずつ部屋に増えるのは嬉しかった。味気なかった部屋は帰宅しても推しがおれを待っている。もう家に帰ろうが孤独は感じない。働く意味を持ち、生きがいを感じた。彼が好きだという色のものをみる度に、これは彼に似合いそうだとか勝手に想像しにやける。ちいさなしあわせが手元に訪れることが喜びに繋がる。直販店に出向く積極性も出てきたが、勇気のいるグッズは通販で手に入れた。届く日をまだかまだかとそわそわしながら待つ楽しさ。うっかり推しを幸せにするはずが、推しに幸せにされていた自分に気付いた。
いやいや、これではだめだと奮起する。
ただそこで思わぬ壁があった。それは自分が男で相手は男性アイドルであるということ。男が男のアイドルを応援するのはなかなかにハードルが高かった。若くて美形な男を応援するのは女性ファンのように気軽には出来ない。それこそ強い覚悟がないと。
それは最初の握手会で思い知らされた。応援に駆けつけたそこらの女ファンより熱く男性アイドルへ情熱を向ける人を目撃して、おれごときの熱量で触れていい存在じゃないと思った。それからは近づくのも怖くて出来るだけ距離をとった。彼に自分が男好きと誤解されたくないが、純粋な気持ちで応援しているかというとそうでもないような気がして、尻すぼみする気持ち。葛藤を抱えたまま彼にうまく笑えず中途半端な空気で終わるふたりきりの時間。本当は言いたい言葉を飲み込んで足早に会場を去る。
応援してます、とそれすら伝えられないことが歯がゆい。届かない距離にもどかしい思いになるばかり。おれの星はあまりに高い空にいる。ちっぽけな自分では到底手も伸ばせない。
迷走しつづけ、せめて彼に遠回りでも好意を伝えたいと思った。感謝の言葉と応援を口では無理でも文字ならば、と。ところが、彼に直接メッセージを送ろうとして、随分彼について誤解し酷い罵詈雑言を書き込むアカウントが目につくことに気付いた。ほんの思いつきだった。この人達の罵声が消えれば、彼の心も少しは休まるのではないか、と。
そこで早速、火の手があがっている大本の文を読み、なぜこんなことになっているか分析した。そしてどうも推しと書き込んだ人々の間が噛み合っていないと気付く。齟齬があるのだ。ここまで決定的に誤解されるなんて……と彼を哀れに思う。不憫過ぎる。
炎の海に飛び込むように、言葉のナイフが飛び交う世界へ、決死の覚悟で飛び込んだ。勿論、おれにも刃が降りかかる。心臓が縮むような書き込みだって返ってきた。その度にやめたくなった。でも、そんな言葉でもし推しが傷だらけになったら? そう思って涙ながらに書き込む日々。
ファンの側面から知ることができる限り理解につとめた彼の人となり。神部シンジが本当に伝えたかったことを汲み取り、書き起こす。彼の良さを広めたい一心。真意が正しく伝わることを祈りながら、懸命に消火に挑む。丁寧に周囲に説得して回るだけの活動。またあいつかよ、という反応もあったが、次第にそれがおれに聞けば大体分かるみたいな反応になって。頼られ、誤解が消え去り、悪い噂を払拭出来る度になんともいえない達成感があった。大雑把に見れば布教活動の一環といえなくもないだろう、ぐらいの感覚でやっていた消火活動だったが……いつしか参加する仲間も増え、「消防団」として一つの組織となっていた。
彼はおれの救世主だった。推し活のおかげでおれはいくらかポジティブになり人間らしい心を取り戻した。会社では時折調子に乗ってるだの噂されることはあっても、どうでもいい存在ではなくちっとは戦力になると頼られるぐらいには環境が改善。まあ、推しを推すことをやめてからはまた戻ってるけど。
家出した頃に抱いたささやかな夢。おれはおれを本当の意味で大事だと思ってくれる相手をみつけ、その人と添い遂げることだった。でもまさか誰かの平穏を願うようになるなんてあの時はまだ思っても見なかった。
いつか言いたい。あなたを推してよかったと。おれがあるのはあなたのおかげです、と。
両親との関係は未だにギクシャクしている。ほとんど断絶もいいところだが、意外だったのは兄貴である。デキのいいあいつはある日ひょっこりおれの住むアパートにやって来た。なんの用事かと警戒するおれだったが、就職祝いと拍子抜けするようなことを言ってのけた。デリバリーで注文した料理と、持参した酒やつまみでささやかな酒盛りが始まった。
お前が怖かった、と兄貴は酒を飲んで語る。両親の呪いのような言葉に苛まれ身の丈にあっていない無理をして、いつか弟は壊れてしまうのではないかと。本気で心配していたらしい。だが人の機微を読むことがうまい兄貴は、自分が干渉すれば両親にとっても弟にとっても逆効果であることが掴めていたらしい。だから両親の意に沿うような形でそっと遠くから見守っていたという。
プチ家出をした後、スッキリした顔つきのおれをみて少し安堵したと語る。なにが弟を変えたか知らないが、その出会いに自分も感謝していると。
「ほんと今更だよな。悪い」
まるで懺悔だ。兄貴は本当に後悔しているらしい。ひどい酔い方にひどい飲み方だ。明日は二日酔い確定だなと思うもおれは、涙でそれを止めることができなかった。
おれとこうして距離を詰めてきたのは妻の腹の子がきっかけだという。恋愛結婚で妻を愛しているんだとこぼした。そのうえで、結婚して家のゴタゴタに縛られて不幸になる未来の我が子を見たくない、それがきっかけらしい。祖父母となる両親におれのようにレールで雁字搦めにされないように、父親として息子を守る決意を確かなものにする為におれと向き合ったと。打算でも、償いでもおれはうれしかった。
そしてさらにあくる日。偶然つけたTV番組でアイドル特集をやっていた。平素なら興味もなくチャンネルを切り替えるそれ。中古の質の悪いテレビから流れる覚えのある声。飛び込んできた画面いっぱいに映った顔をみて、懐かしい、そう感じた。
〝彼〟だ。おれには分かった。あの頃より背丈も顔立ちも声音も多少変わっていたが、些細なことだ。強烈に残っていた思い出が、面影と変化しても彼が路地裏の歌手であるとはっきりと示していた。
溜まっていた疲れは吹き飛んだ。曲を聴き終えると、彼の芸名をチェックし、ネットで検索をかけた。そこで神部シンジなるアイドルの存在を知った。そうか、彼はデビューしていたのかと感慨深いものがある。ただしその頃はやっとTV番組のミニコーナーで取り上げられる程度。知名度ははっきり言えば下の上。地下アイドルから地上波へ乗り込もうと奮闘していた頃だった。
下積み時代を乗り越えて表に出るも、しかし彼の評判はいまいちだった。歌唱力は圧倒されても、駆け出しのアイドルのグループに途中参加したことで初期の面々との扱いに差があった。なおかつ当時から発揮されていた不器用さ。ほとんど無愛想、対応も塩っぽい、口下手、と三拍子揃っていた負の要素で足を引っ張る存在だった。
彼の待遇をどうにかしたい。彼のために貢献したいと。でも一ファンが出来ることなんて限られている。彼のファンクラブ会員の証であるカードを手に入れるもなんか違うと感じ、直接SNSにフォローしようとして……やっぱりそんな勇気はなくて。結局なにがしたいのかわからなくなった。
推し活、という用語を知ったのは偶然だった。ウェブサイトに掲載されていたイマドキの文化の紹介企画。推しを応援するという概念を知り、内容を深く読み込んだ。彼は間違いなく、おれの推しだ。おれが応援したいと思う存在。
主な内容として載っていたのは、逢うこと、触れること、染まること、広めること、感じること。ファンの応援が推しの力となり、推しのおかげでしあわせになっていく。推すことでの好循環。そうやってウィン・ウィンの関係を築く。
おれは何が出来るだろう。彼の為に。
できる範囲で雑誌の通りに推しを応援することにした。お小遣いと決めた額を何に使うか悩みながら、彼のグッズが一つずつ部屋に増えるのは嬉しかった。味気なかった部屋は帰宅しても推しがおれを待っている。もう家に帰ろうが孤独は感じない。働く意味を持ち、生きがいを感じた。彼が好きだという色のものをみる度に、これは彼に似合いそうだとか勝手に想像しにやける。ちいさなしあわせが手元に訪れることが喜びに繋がる。直販店に出向く積極性も出てきたが、勇気のいるグッズは通販で手に入れた。届く日をまだかまだかとそわそわしながら待つ楽しさ。うっかり推しを幸せにするはずが、推しに幸せにされていた自分に気付いた。
いやいや、これではだめだと奮起する。
ただそこで思わぬ壁があった。それは自分が男で相手は男性アイドルであるということ。男が男のアイドルを応援するのはなかなかにハードルが高かった。若くて美形な男を応援するのは女性ファンのように気軽には出来ない。それこそ強い覚悟がないと。
それは最初の握手会で思い知らされた。応援に駆けつけたそこらの女ファンより熱く男性アイドルへ情熱を向ける人を目撃して、おれごときの熱量で触れていい存在じゃないと思った。それからは近づくのも怖くて出来るだけ距離をとった。彼に自分が男好きと誤解されたくないが、純粋な気持ちで応援しているかというとそうでもないような気がして、尻すぼみする気持ち。葛藤を抱えたまま彼にうまく笑えず中途半端な空気で終わるふたりきりの時間。本当は言いたい言葉を飲み込んで足早に会場を去る。
応援してます、とそれすら伝えられないことが歯がゆい。届かない距離にもどかしい思いになるばかり。おれの星はあまりに高い空にいる。ちっぽけな自分では到底手も伸ばせない。
迷走しつづけ、せめて彼に遠回りでも好意を伝えたいと思った。感謝の言葉と応援を口では無理でも文字ならば、と。ところが、彼に直接メッセージを送ろうとして、随分彼について誤解し酷い罵詈雑言を書き込むアカウントが目につくことに気付いた。ほんの思いつきだった。この人達の罵声が消えれば、彼の心も少しは休まるのではないか、と。
そこで早速、火の手があがっている大本の文を読み、なぜこんなことになっているか分析した。そしてどうも推しと書き込んだ人々の間が噛み合っていないと気付く。齟齬があるのだ。ここまで決定的に誤解されるなんて……と彼を哀れに思う。不憫過ぎる。
炎の海に飛び込むように、言葉のナイフが飛び交う世界へ、決死の覚悟で飛び込んだ。勿論、おれにも刃が降りかかる。心臓が縮むような書き込みだって返ってきた。その度にやめたくなった。でも、そんな言葉でもし推しが傷だらけになったら? そう思って涙ながらに書き込む日々。
ファンの側面から知ることができる限り理解につとめた彼の人となり。神部シンジが本当に伝えたかったことを汲み取り、書き起こす。彼の良さを広めたい一心。真意が正しく伝わることを祈りながら、懸命に消火に挑む。丁寧に周囲に説得して回るだけの活動。またあいつかよ、という反応もあったが、次第にそれがおれに聞けば大体分かるみたいな反応になって。頼られ、誤解が消え去り、悪い噂を払拭出来る度になんともいえない達成感があった。大雑把に見れば布教活動の一環といえなくもないだろう、ぐらいの感覚でやっていた消火活動だったが……いつしか参加する仲間も増え、「消防団」として一つの組織となっていた。
彼はおれの救世主だった。推し活のおかげでおれはいくらかポジティブになり人間らしい心を取り戻した。会社では時折調子に乗ってるだの噂されることはあっても、どうでもいい存在ではなくちっとは戦力になると頼られるぐらいには環境が改善。まあ、推しを推すことをやめてからはまた戻ってるけど。
家出した頃に抱いたささやかな夢。おれはおれを本当の意味で大事だと思ってくれる相手をみつけ、その人と添い遂げることだった。でもまさか誰かの平穏を願うようになるなんてあの時はまだ思っても見なかった。
いつか言いたい。あなたを推してよかったと。おれがあるのはあなたのおかげです、と。
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