【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜

鈴木 桜

文字の大きさ
上 下
100 / 102
第3部 - 第3章 勤労令嬢と……

最終話 勤労令嬢、街へ行く

しおりを挟む
「結婚を、取りやめる……?」

 驚きとともにアレンの手からポロリと落ちたティーカップがソーサーに当たってガチャンと音を立てた。カップの中身がクロスにこぼれたので、ジリアンが慌ててそれを拭う。その様子を、アレンが呆然と見つめた。

「な、なんで……!」

 思わずジリアンの肩を掴んだアレンだったが、その手はすぐに離さなければならなかった。

「あっつ!」

 彼女の精霊、『不死鳥フェネクス』がそのくちばしで彼の手の甲をつついたからだ。熱した鉄を押し当てるようなものだ。

「ダメよ、エフレム」

 ジリアンに付けてもらったお気に入りの名前で呼ばれて、『不死鳥フェネクス』──エフレムはフンっと鼻を鳴らしてから彼女の首筋にその頬を寄せた。不思議なことに、彼の身体はジリアンにだけは熱く感じない。むしろ優しい温もりに安心を覚えるほどだ。

──小僧の分際で、我のジリアンに口答えするな。

 随分な言い種に、ジリアンは苦笑いを浮かべるしかない。神にも等しい力を持つ精霊からすれば、確かにアレンは小僧に違いない。

「エフレム、私だってただの人の子ですよ」
──お前は違う。我の契約者だ。
「特別に思ってくれて嬉しいですけど、アレンだって私の特別なんです」
──……気に入らん。

 エフレムがブスッと頬を膨らませるので、ジリアンはその頬を優しく撫でた。その様子を見たアレンが不機嫌を顕にする。魔大陸から帰ってきてから、何度も繰り返された光景だ。

「彼と大事な話をするので、少しだけ待っていてくれますか?」
──いいだろう。少しだけだぞ。
「はい」

 ジリアンの返事を聞いたエフレムは、アレンの方をひと睨みしてからフワリと空へ飛び上がった。少しの間、空の散歩に出かけてくれるらしいとわかって、ジリアンがホッと息を吐く。

「座って、アレン」
「ああ」

 アレンは渋々といった様子を隠しもせずに、椅子に座り直した。
 彼らは今、王宮の庭園でアフタヌーンティーを楽しんでいる。少し休んだ後には、結婚式について相談しようとアレンは考えていた。そこへ突然、ジリアンが『結婚を取りやめたい』と言い出したのだ。

「結婚、嫌になったのか?」
「そうじゃないわ」

 ジリアンはテーブル越しに、そっとアレンの手を握った。

「私が好きなのはアレンだけだもの。それは信じて」

 いつまでたってもうぶなジリアンは、こんなセリフを言うだけでも頬を赤く染めている。それが嬉しくて、アレンは彼女の手を握り返した。

「じゃあ、なんで?」
「あれからエフレムの手を借りて世界中を調べてもらったんだけどね。……『火の山カラバンナ』だけじゃなかったのよ、『欲望』が眠る場所は」

 アレンがはっとしてジリアンを見た。

「他にも、『死者の国』と同じように『欲望』を溜め込んでいる場所があるってことか?」
「そう」

 それは看過できない事態だ。
 溜まりに溜まった『欲望』は、いずれ溢れる。そしてヒトの心に巣食い、その心を支配してしまうのだから。

「これは、私がやらなければならない仕事だわ」

 言い切ったジリアンに、アレンは返す言葉が見つからなかった。
 彼女の言う通りだ。『欲望』が眠る場所に赴き、それを解放する。それができるのは世界中にただ一人、ジリアンだけなのだ。

「結婚してしまったら王子の后でしょう? 簡単には動けなくなるわ」
「そうだけど」
「だから、できれば、その……」

 『待っていてほしい』
 そのセリフを口にするには勇気が必要だ。
 彼はジリアンを待たずに他の令嬢と結婚することができるし、王子という立場を考えればそうするべきなのだから。

 不安げに瞳を揺らすジリアンの手を、アレンが優しく撫でた。彼女を促すように。おずおずと顔を上げれば、そこにはジリアンを見つめる優しい金の瞳。

「待ってるよ。必ず」

 はっきりと言い切ったアレンに、ジリアンはうんと頷いた。喜びに、目頭が熱くなる。

「むしろ、何で俺が待てないと思うんだよ」
「それは……」

 口ごもるジリアンに、アレンがため息を吐いた。

「いや、俺に信用が無いのは俺のせいだな」
「そんなこと……!」

 ないと言おうとして、ジリアンはやめた。そういえば、彼には散々振り回されたことがあったと思い出したのだ。

「……ふふっ」

 先に我慢できなくなったのはジリアンだった。喉が鳴り、唇が震える。とうとう我慢できずに声を立てて笑うと、つられてアレンも笑った。

「まあでも。実際問題、笑い事じゃないよなぁ」

 しばし二人で笑い合ってから、アレンが深い溜め息を吐いた。

「お前を一人で行かせたら、また変なのを連れて帰ってきそうだし」

 精霊を『変なの』とはあんまりな言い種だが、これは前科があるのでジリアンは何も言い返すことができない。エフレムがかつての護衛騎士のような存在になりつつあることは、ジリアンも自覚しているのだ。

「……うん、そうだな」
「何が?」

 何やら一人で納得した様子のアレンに、ジリアンが首を傾げる。

「新婚旅行が先になったって、それほどおかしくはないよな?」

 アレンがあまりにも爽やかに微笑むので、ジリアンは嫌な予感がして背筋に冷たいものが伝った。だが、それも一瞬のことだ。彼の望みは、ジリアンの望みでもあるのだから。




 * * *




 港には、大勢の人が詰めかけていた。
 国を救った英雄が今度は世界を見て回る遊学に出るらしいと聞いて、その見送りをするために集まったのだ。
 さらに、その旅には王国の第3王子が随行するという。二人は婚約者同士なのでそれほどおかしな話ではないが、何かと話題の二人なので人々は彼らの動向に興味津々なのだ。

「……やはり、中止しよう」

 これから旅立つ二人の前には、渋い顔のマクリーン侯爵が仁王立ちしている。ジリアンとアレンが乗る予定の船は、彼の背の向こうだ。

「今更ですか? この遊学は国王陛下もお認めになった、いわば国家事業ですよ?」

 アレンはにこやかに笑って言った。

「やはり若い二人では不安だ。今からでも私が随行できるように計画を練り直す」

 これにはジリアンも苦笑いを浮かべるしかない。今日まで、何度も繰り返してきた問答なのだ。

「お父様、いい加減にしてください」

 わざとらしく眉を寄せたジリアンに言われて侯爵が押し黙る。

「心配しないで。ちゃんと帰ってきますから」

 ジリアンが、そっと侯爵の腕に触れる。侯爵は黙ったまま、彼女の頬に手を当てた。その温もりを確認するように。

「危険な旅だけどアレンも一緒だし。今はエフレムもいます」

 応えるようにエフレムが鳴いた。彼はジリアンをしっかり守ってくれるだろう。

「……わかっている」

 それでも侯爵は安心できないのだ。愛する娘を敢えて危険な場所に送り出すなど、父親ならば誰もが不安だし、できるなら行かせたくないと思うのは当たり前のことだ。

「きちんと務めを果たしてきますから」
「……ああ」
「それに、私は楽しみなんですよ? 世界中をまわれば、私たちの知らない魔法に出会うことができます」

 かつて海を渡る船の上でノアも言っていた。『これから、もっと多くのことを知ることになりますよ』と。その通りになった。それをジリアンは喜ばしく思っている。

「だから、笑顔で送り出してくださると嬉しいです」

 愛する娘に満面の笑顔で言われてしまえば、父親は頷くしかない。侯爵は、渋々といった様子で頷いた。

「気をつけて」
「はい」

 侯爵がジリアンの手を握り、船に乗るのを手伝った。次いで船に乗り込もうとしたアレンだったが、その肩をグイッと引かれる。もちろん、彼を引き止めたのは侯爵だ。

「……わかっていますね?」
「もちろん。ジリアンは俺が守ります」

 しばし睨み合っていた二人だったが、沈黙を破ったのは侯爵の方だった。深い深い溜め息を吐いてから、右手を差し出す。
 アレンは驚きつつも、その手を握った。

「娘を頼む」

 アレンは深く頷いた。

「アレン!」

 振り返れば、笑顔のジリアンがいた。

「早く! 出港よ!」

 期待に瞳を輝かせるジリアンに、アレンの胸が躍る。二人の行く先には喜びばかりではない、苦難もあるだろう。それでも、二人ならば大丈夫だと確信できた。





 アレンが乗り込むと、船はゆっくりと港を離れ始めた。見送りの人々の歓声が、少しずつ遠のいていく。その様子を見つめるジリアンの横顔を、アレンはずっと見つめていた。

「……そんなに見つめられたら穴が空くわ」
「それじゃ、そのうちジリアンの顔は穴だらけになるな」
「もう!」

 アレンの冗談に笑顔を向けるジリアン。ふと、目が合った。

 二人の唇が触れる。

 それは、ごく自然なことだった。



──離れろ小僧。

 二人の間に邪魔さえ入らなければアレンは次へ進むつもりでいたが、やはりそう簡単にはいかない。エフレムの燃える翼に遮られて、あえなく後退することになってしまった。

「まったく、前途多難だな」
──前途などない。
「なんでだよ。俺はジリアンの婚約者だぞ」
──我は認めていない。
「あのな、俺のほうがジリアンとは付き合いが長いんだよ」
──はっ。貴様はとこをと共にしたことすらないだろう。
「なっ、お前、ジリアンのベッドで寝てるのかよ!」
──我は彼女と契約した精霊だ。片時も離れることはない。
「……俺だって、一緒に寝たことくらいある」
──小さな子どもの頃に、一度だけだろうが。
「うるさい! とにかく、いちいち邪魔するな!」

 二人の息のあったやり取りに、ジリアンは声を上げて笑った。

「笑うなよ」
「うん。ごめんね」
「……それで、最初の行き先は?」

 アレンはバツの悪そうな表情を浮かべて、話題を変えることにしたらしい。わざとらしい話題転換だとは思ったが、ジリアンもそれを遮ることはしなかった。

「まずはテオバルトのところに行くわ」
「なんで」
「これを返しに行かなきゃ」

 ジリアンが取り出したのは、翡翠の指輪だった。テオバルトがジリアンに求婚した際に渡したものだ。

「それ、この前会った時に返したんじゃなかったか?」
「うん。返したはずなんだけど、私の荷物に紛れていたの。おかしいわよね」

 首を傾げるジリアンの横で、アレンとエフレムが顔を見合わせた。

「あいつ、まだ諦めてないのか……」
──前途多難だな、小僧。
「まったくだ」

 ジリアンは翡翠の指輪を見つめながら相変わらず首を傾げている。アレンはその表情すら愛しいと思った。
 彼に見つめられていることに気づいたジリアンが振り返る。

「どうしたの、アレン?」
「なんでもないよ。可愛いなと思って見てただけ」
「そういうの、やめてってば。私たちは仕事をしに行くのよ」

 仕事。
 その言葉に、ジリアンの表情が引き締まる。
 ジリアンは旅立ったばかりの故郷を見つめてきゅっと唇を引き締めてから、今度は反対の方向──西の方を見た。

 水平線の向こうには、まだ行ったこともない街がある。ヒトがいる。魔法がある。そして、仕事が彼女を待っている。



「私たちには、やらなきゃならない仕事があるんだから!」



 彼女の勤労の旅は、始まったばかりだ──。





 完





==========

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
小説家になろう、カクヨムでも公開していた作品でしたが、実はアルファポリスで一番読んでいただけた作品でした。
感想もたくさんいただけて、嬉しかったです!
今後はポツポツと番外編を投稿予定ですが、本編はこれにて完結となります。
本当に、ありがとうございました!!!!
しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】「君を手に入れるためなら、何でもするよ?」――冷徹公爵の執着愛から逃げられません」

21時完結
恋愛
「君との婚約はなかったことにしよう」 そう言い放ったのは、幼い頃から婚約者だった第一王子アレクシス。 理由は簡単――新たな愛を見つけたから。 (まあ、よくある話よね) 私は王子の愛を信じていたわけでもないし、泣き喚くつもりもない。 むしろ、自由になれてラッキー! これで平穏な人生を―― そう思っていたのに。 「お前が王子との婚約を解消したと聞いた時、心が震えたよ」 「これで、ようやく君を手に入れられる」 王都一の冷徹貴族と恐れられる公爵・レオンハルトが、なぜか私に異常な執着を見せ始めた。 それどころか、王子が私に未練がましく接しようとすると―― 「君を奪う者は、例外なく排除する」 と、不穏な笑みを浮かべながら告げてきて――!? (ちょっと待って、これって普通の求愛じゃない!) 冷酷無慈悲と噂される公爵様は、どうやら私のためなら何でもするらしい。 ……って、私の周りから次々と邪魔者が消えていくのは気のせいですか!? 自由を手に入れるはずが、今度は公爵様の異常な愛から逃げられなくなってしまいました――。

侯爵令嬢セリーナ・マクギリウスは冷徹な鬼公爵に溺愛される。 わたくしが古の大聖女の生まれ変わり? そんなの聞いてません!!

友坂 悠
恋愛
「セリーナ・マクギリウス。貴女の魔法省への入省を許可します」 婚約破棄され修道院に入れられかけたあたしがなんとか採用されたのは国家の魔法を一手に司る魔法省。 そこであたしの前に現れたのは冷徹公爵と噂のオルファリド・グラキエスト様でした。 「君はバカか?」 あたしの話を聞いてくれた彼は開口一番そうのたまって。 ってちょっと待って。 いくらなんでもそれは言い過ぎじゃないですか!!? ⭐︎⭐︎⭐︎ 「セリーナ嬢、君のこれまでの悪行、これ以上は見過ごすことはできない!」 貴族院の卒業記念パーティの会場で、茶番は起きました。 あたしの婚約者であったコーネリアス殿下。会場の真ん中をスタスタと進みあたしの前に立つと、彼はそう言い放ったのです。 「レミリア・マーベル男爵令嬢に対する数々の陰湿ないじめ。とても君は国母となるに相応しいとは思えない!」 「私、コーネリアス・ライネックの名においてここに宣言する! セリーナ・マクギリウス侯爵令嬢との婚約を破棄することを!!」 と、声を張り上げたのです。 「殿下! 待ってください! わたくしには何がなんだか。身に覚えがありません!」 周囲を見渡してみると、今まで仲良くしてくれていたはずのお友達たちも、良くしてくれていたコーネリアス殿下のお付きの人たちも、仲が良かった従兄弟のマクリアンまでもが殿下の横に立ち、あたしに非難めいた視線を送ってきているのに気がついて。 「言い逃れなど見苦しい! 証拠があるのだ。そして、ここにいる皆がそう証言をしているのだぞ!」 え? どういうこと? 二人っきりの時に嫌味を言っただの、お茶会の場で彼女のドレスに飲み物をわざとかけただの。 彼女の私物を隠しただの、人を使って階段の踊り場から彼女を突き落とそうとしただの。 とそんな濡れ衣を着せられたあたし。 漂う黒い陰湿な気配。 そんな黒いもやが見え。 ふんわり歩いてきて殿下の横に縋り付くようにくっついて、そしてこちらを見て笑うレミリア。 「私は真実の愛を見つけた。これからはこのレミリア嬢と添い遂げてゆこうと思う」 あたしのことなんかもう忘れたかのようにレミリアに微笑むコーネリアス殿下。 背中にじっとりとつめたいものが走り、尋常でない様子に気分が悪くなったあたし。 ほんと、この先どうなっちゃうの?

【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく

たまこ
恋愛
 10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。  多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。  もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。

【完結】地味令嬢を捨てた婚約者、なぜか国王陛下に執着されて困ります

21時完結
恋愛
「お前とは釣り合わない。婚約は破棄させてもらう」 長年の婚約者であった伯爵令息に、社交界の華と称される美しい令嬢の前でそう告げられたリディア。 控えめで地味な自分と比べれば、そちらのほうがふさわしいのかもしれない。 ――いいわ、だったら私は自由になるだけよ。 そうして婚約破棄を受け入れ、ひっそりと過ごそうと決めたのに……なぜか冷酷と名高い国王陛下が執着してきて!? 「やっと自由になったんだろう? ならば、俺の隣を選べ」 「えっ、陛下!? いえ、あの、私はそんな大それた立場には——」 「俺のものになればいい。お前以外に興味はない」 国の頂点に立つ冷酷な王が、なぜか地味なはずの私にだけ甘すぎる……!? 逃げようとしても、強引に腕を引かれ、離してくれない。 「お前を手に入れるためなら、何だってしよう」 これは、婚約破棄をきっかけに、なぜか国王陛下に異常なほど執着されてしまった令嬢の、予想外の溺愛ラブストーリー。

旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう

おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。 本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。 初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。 翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス…… (※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)

白い結婚のはずでしたが、王太子の愛人に嘲笑されたので隣国へ逃げたら、そちらの王子に大切にされました

ゆる
恋愛
「王太子妃として、私はただの飾り――それなら、いっそ逃げるわ」 オデット・ド・ブランシュフォール侯爵令嬢は、王太子アルベールの婚約者として育てられた。誰もが羨む立場のはずだったが、彼の心は愛人ミレイユに奪われ、オデットはただの“形式だけの妻”として冷遇される。 「君との結婚はただの義務だ。愛するのはミレイユだけ」 そう嘲笑う王太子と、勝ち誇る愛人。耐え忍ぶことを強いられた日々に、オデットの心は次第に冷え切っていった。だが、ある日――隣国アルヴェールの王子・レオポルドから届いた一通の書簡が、彼女の運命を大きく変える。 「もし君が望むなら、私は君を迎え入れよう」 このまま王太子妃として屈辱に耐え続けるのか。それとも、自らの人生を取り戻すのか。 オデットは決断する。――もう、アルベールの傀儡にはならない。 愛人に嘲笑われた王妃の座などまっぴらごめん! 王宮を飛び出し、隣国で新たな人生を掴み取ったオデットを待っていたのは、誠実な王子の深い愛。 冷遇された令嬢が、理不尽な白い結婚を捨てて“本当の幸せ”を手にする

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

処理中です...