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第3部 勤労令嬢、世界を救う - 第1章 勤労令嬢と婚約破棄
第8話 麒麟の鱗と人魚の涙
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皇帝の宮殿には中央に位置する本宮と、いくつかの離宮が建てられている。本宮で皇帝への挨拶を終えたジリアンと一行は、その離宮の一つを滞在先として借りることになった。
「皇帝陛下とは、ご挨拶しかできなかったわね」
離宮に移動する道すがらぼやいたジリアンに、テオバルトが苦笑いを浮かべた。本当なら、そのまま本題に入りたかったのだが、それは笑顔の皇帝にかわされてしまったのだ。
『まず歓迎の宴だ。話はそれからでも遅くない。今夜にでも主要な一族の長を集めて、盛大な宴を開こう!』
と、嬉しそうに言って城の奥に消えていった皇帝。しかし、その赤い瞳がチラリとオニール氏を捉えたことに、ジリアンは気づいていた。
「やっぱり、皇帝陛下は何かを知っていると思うわ」
「私もそう思います。……まずは、今夜の宴を乗り切りましょう」
「乗り切る?」
その妙な言い回しに、ジリアンが首を傾げた。
「魔族は、気難しい者が多いのです。何事もなく終わるとは思わないほうがいいでしょう」
「……なるほど」
ジリアンは納得して一つ頷いた。ただの宴ではないと覚悟しなければならない。
「さて。到着しましたよ」
本宮から移動すること数刻、そこには息を飲むほどに美しい邸宅が建っていた。紫色のブドウのような形の花が、白亜の外壁を這うようにして無数に咲いている。
「こちらが、ウィステリア宮です」
テオバルトに案内されて中に入ると、王国の宮殿にも劣らない豪華な内装の宮だった。
「本当に、ここを使わせてもらっていいの?」
「もちろん。……あなた方のために建てられたた離宮ですから」
「え?」
テオバルトがニコリと笑った。
「この離宮は、約500年前に建てられました。我が帝国とルズベリー王国が講和を結んだ記念に」
「500年前というと、その講和は……」
ジリアンは頭の中で歴史の教科書をめくった。その出来事ならば、記憶にある。
「『3ヶ月条約』ね」
「そう。たった3ヶ月で破棄された講和条約です。……時の皇帝は条約を結んですぐに、この離宮を建設しました」
「ルズベリー王国の使節を迎え入れるために?」
「ええ。500年の時を越えて、ようやくこの離宮は本懐を遂げることができます」
そう聞くと、ジリアンの胸が熱くなった。この宮は人族がこの国にやってくるのを500年もの間、待ち続けていたのだ。
「……さあ、あまり時間がありませんよ」
「え?」
「夜の宴の支度をしなければ」
「ええ、そうね。……あ!」
この段になって、ジリアンはあることに気がついた。
「大変だわ」
「どうしましたか?」
「まさか、さっそく宴に招待されると思っていなかったから……」
ジリアンの隣でオリヴィアも顔を青くしている。
「最低限の荷物しか持ってきていないわ」
ワイバーンに運ばれることが決まってから、慌てて荷物を準備した。その際に、テオバルトに言われた通り、最低限の生活用品と数着のドレスしか持ってこなかったのだ。
「申し訳ございません、お嬢様。せめて、正装を一着は持ってくるべきでした……!」
「私も気が付かなくて……。ちょっと、浮かれていたわね。持ってきたドレスでなんとかしましょう」
ジリアンの魔法を使えば、ドレスの形を変化させることも可能だ。素材を変えたり増やしたりすることはできないのでそれほど豪奢なドレスを仕上げることはできないが、体裁を整えることはできるだろう。
「心配ありませんよ、ジリアン」
「え?」
ニコリと笑ったテオバルトが手を打つと、奥からわらわらと人──と言っても、人族ではない。全員魔族だろうが、見た目は人族と同じだ──が出てきた。
彼らに案内されるまま、ある一室に入ると、部屋いっぱいにドレスと宝飾品が並んでいた。
「あなたが来ると知ってから大急ぎで準備させました。どれでも、好きなものをお選び下さい」
「こんなにたくさん……」
「もちろん、ご帰国の際には全てプレゼントさせていただきます」
「え⁉」
ジリアンはぎょっと目を剥いた。魔大陸の物の価値はわからないが、ぱっと見ただけでも高価な素材が使われていると分かる豪奢なドレスに、まばゆい輝きを放つ宝石たち……。それらが、毎日別のものを身に付けても全てを網羅するのに一ヶ月以上かかるのではないか、というほどの数があるのだ。『プレゼントです』『ありがとう』と簡単に受け取ることができるものではない。
「あのね、テオバルト」
「なんですか?」
「こんなにたくさん、受け取れないわ」
「何も心配はいりませんよ。ああ、ご帰国されない場合にも、もちろん全てプレゼントしますよ。そのときには、新しいドレスも誂えましょうね。急ぎだったので、注文が間に合わなかった布地がありますし……」
「そういうことじゃなくてね、テオバルト」
ジリアンが戸惑いながらテオバルトを見上げると、その翡翠の瞳がスッと細められた。そして、テオバルトがそっと腰を折ると、彼の長い黒髪がサラリと肩から流れ落ちて、ジリアンの顔に影が落ちる。
「ジリアン、私は諦めていませんよ?」
「え?」
「あなたを帰したくない。あなたを繋ぎ止めるために、私はあらゆる努力をします」
その宣言に、ジリアンの頬がひくりとひきつった。
「それに、皇帝の誘いを躱すためには、私に気がある素振りを見せておいたほうが良い。そうでしょう?」
「それは、そうだけど……」
現在、ジリアンには婚約者がいないということになっている。皇帝が本気で後宮に入るように言えば、それを断るのには骨が折れるだろう。彼の言う通り、ジリアンとテオバルトが良い仲であるということにしておいた方が何かと都合が良いのは間違いない。
「でも、それじゃあテオバルトを利用するみたいじゃない」
申し訳無さそうに言ったジリアンに、テオバルトは何故かうっとりと微笑んだ。
「変わっていませんね、あなたは」
「え?」
「さ、ドレスを選んだら、入浴を。使用人のみなさんも、まずは湯を使って旅の埃を落としましょう」
テオバルトの号令で魔族の使用人たちが一斉に動き出したのだった。
* * *
「美しい!」
テオバルトにエスコートされて宴の会場に姿を現したジリアンに、真っ先に声をかけたのは皇帝だった。彼の周りには様々な種族の女性が侍っている。
(彼女たちが、皇帝の后……?)
人族によく似た姿の女性もいれば、巨人族なのだろう大きな身体の女性もいる。羽毛の生えた翼の先に鉤爪を持つ女性もいるし、馬のような四本脚の身体を持つ女性や、トカゲのような姿をした女性もいる。
「様々な種族が、最も美しい娘を皇帝の后として送って寄越すのです。……皇帝の後宮は、文字通りの魔窟ですよ」
ジリアンの耳元で囁いたテオバルトに、ジリアンはゴクリと喉を鳴らした。
「明言する必要はありません。私にピタリとくっついて離れないで。皇帝といえど、マルコシアス侯爵の恋人を横取りすることは簡単ではありませんから」
「……そうするしか、なさそうね」
ジリアンは、テオバルトの腕をぎゅっと強く握りしめた。その様子を見ていた皇帝が目を細める。
「麒麟の鱗のドレスに、人魚の涙か……」
ジリアンが身に付けているのは、緑とも青とも言えない不思議な色合いのドレスだ。『麒麟』という不思議な生き物は1年に1枚だけ、その鱗を落とすのだという。それを拾い集めて細かく砕いて染料をつくり、糸を染めるのだとか。その糸で織った布地は、魔大陸でも最高級品だと教えてもらった。
そして、胸元には大粒の真珠のネックレス。
(これが、『人魚の涙』……?)
「家宝まで持ち出すとは。お前、本気だな?」
その言葉にジリアンが驚く間もなく、テオバルトが頷いた。改めてジリアンの腰をぎゅっと引き寄せるので、2人の距離がさらに近づく。
「口説いている最中です。どうか馬に蹴られるような真似はお控え下さい」
テオバルトの直接的な物言いに、ジリアンの胸がドキドキと音を立てた。
(皇帝相手に、こんなことを言っても大丈夫なの……?)
ジリアンの心配を他所に、皇帝は声を上げて笑い出した。
「ははははははは! 子どもだとばかり思っていたが、お前も一端の男になったか! ……どんな美姫にもなびかなかったテオバルトの心を掴むとは」
そしてニヤリと笑った皇帝に、ジリアンの背を冷や汗が流れる。
「ますます気に入った! テオバルトよ。この勝負、受けて立つぞ!」
「は……?」
「ジリアン・マクリーン」
呼ばれて、ジリアンは背筋を伸ばした。皇帝の声には、それだけの迫力がある。
「は、はい」
「必ずや、私の後宮に迎え入れてみせる。覚悟することだな」
ジリアンの腰を抱くテオバルトの手に力がこもった。翡翠の瞳に熱がこもる。
「皇帝陛下といえど、譲れぬものがございます。……絶対に負けません」
バチバチと視線を交わす2人に、ジリアンは今度こそ深い溜め息を吐いた。
(どうなっちゃうのよ、これから……)
まさに、前途多難である。
「皇帝陛下とは、ご挨拶しかできなかったわね」
離宮に移動する道すがらぼやいたジリアンに、テオバルトが苦笑いを浮かべた。本当なら、そのまま本題に入りたかったのだが、それは笑顔の皇帝にかわされてしまったのだ。
『まず歓迎の宴だ。話はそれからでも遅くない。今夜にでも主要な一族の長を集めて、盛大な宴を開こう!』
と、嬉しそうに言って城の奥に消えていった皇帝。しかし、その赤い瞳がチラリとオニール氏を捉えたことに、ジリアンは気づいていた。
「やっぱり、皇帝陛下は何かを知っていると思うわ」
「私もそう思います。……まずは、今夜の宴を乗り切りましょう」
「乗り切る?」
その妙な言い回しに、ジリアンが首を傾げた。
「魔族は、気難しい者が多いのです。何事もなく終わるとは思わないほうがいいでしょう」
「……なるほど」
ジリアンは納得して一つ頷いた。ただの宴ではないと覚悟しなければならない。
「さて。到着しましたよ」
本宮から移動すること数刻、そこには息を飲むほどに美しい邸宅が建っていた。紫色のブドウのような形の花が、白亜の外壁を這うようにして無数に咲いている。
「こちらが、ウィステリア宮です」
テオバルトに案内されて中に入ると、王国の宮殿にも劣らない豪華な内装の宮だった。
「本当に、ここを使わせてもらっていいの?」
「もちろん。……あなた方のために建てられたた離宮ですから」
「え?」
テオバルトがニコリと笑った。
「この離宮は、約500年前に建てられました。我が帝国とルズベリー王国が講和を結んだ記念に」
「500年前というと、その講和は……」
ジリアンは頭の中で歴史の教科書をめくった。その出来事ならば、記憶にある。
「『3ヶ月条約』ね」
「そう。たった3ヶ月で破棄された講和条約です。……時の皇帝は条約を結んですぐに、この離宮を建設しました」
「ルズベリー王国の使節を迎え入れるために?」
「ええ。500年の時を越えて、ようやくこの離宮は本懐を遂げることができます」
そう聞くと、ジリアンの胸が熱くなった。この宮は人族がこの国にやってくるのを500年もの間、待ち続けていたのだ。
「……さあ、あまり時間がありませんよ」
「え?」
「夜の宴の支度をしなければ」
「ええ、そうね。……あ!」
この段になって、ジリアンはあることに気がついた。
「大変だわ」
「どうしましたか?」
「まさか、さっそく宴に招待されると思っていなかったから……」
ジリアンの隣でオリヴィアも顔を青くしている。
「最低限の荷物しか持ってきていないわ」
ワイバーンに運ばれることが決まってから、慌てて荷物を準備した。その際に、テオバルトに言われた通り、最低限の生活用品と数着のドレスしか持ってこなかったのだ。
「申し訳ございません、お嬢様。せめて、正装を一着は持ってくるべきでした……!」
「私も気が付かなくて……。ちょっと、浮かれていたわね。持ってきたドレスでなんとかしましょう」
ジリアンの魔法を使えば、ドレスの形を変化させることも可能だ。素材を変えたり増やしたりすることはできないのでそれほど豪奢なドレスを仕上げることはできないが、体裁を整えることはできるだろう。
「心配ありませんよ、ジリアン」
「え?」
ニコリと笑ったテオバルトが手を打つと、奥からわらわらと人──と言っても、人族ではない。全員魔族だろうが、見た目は人族と同じだ──が出てきた。
彼らに案内されるまま、ある一室に入ると、部屋いっぱいにドレスと宝飾品が並んでいた。
「あなたが来ると知ってから大急ぎで準備させました。どれでも、好きなものをお選び下さい」
「こんなにたくさん……」
「もちろん、ご帰国の際には全てプレゼントさせていただきます」
「え⁉」
ジリアンはぎょっと目を剥いた。魔大陸の物の価値はわからないが、ぱっと見ただけでも高価な素材が使われていると分かる豪奢なドレスに、まばゆい輝きを放つ宝石たち……。それらが、毎日別のものを身に付けても全てを網羅するのに一ヶ月以上かかるのではないか、というほどの数があるのだ。『プレゼントです』『ありがとう』と簡単に受け取ることができるものではない。
「あのね、テオバルト」
「なんですか?」
「こんなにたくさん、受け取れないわ」
「何も心配はいりませんよ。ああ、ご帰国されない場合にも、もちろん全てプレゼントしますよ。そのときには、新しいドレスも誂えましょうね。急ぎだったので、注文が間に合わなかった布地がありますし……」
「そういうことじゃなくてね、テオバルト」
ジリアンが戸惑いながらテオバルトを見上げると、その翡翠の瞳がスッと細められた。そして、テオバルトがそっと腰を折ると、彼の長い黒髪がサラリと肩から流れ落ちて、ジリアンの顔に影が落ちる。
「ジリアン、私は諦めていませんよ?」
「え?」
「あなたを帰したくない。あなたを繋ぎ止めるために、私はあらゆる努力をします」
その宣言に、ジリアンの頬がひくりとひきつった。
「それに、皇帝の誘いを躱すためには、私に気がある素振りを見せておいたほうが良い。そうでしょう?」
「それは、そうだけど……」
現在、ジリアンには婚約者がいないということになっている。皇帝が本気で後宮に入るように言えば、それを断るのには骨が折れるだろう。彼の言う通り、ジリアンとテオバルトが良い仲であるということにしておいた方が何かと都合が良いのは間違いない。
「でも、それじゃあテオバルトを利用するみたいじゃない」
申し訳無さそうに言ったジリアンに、テオバルトは何故かうっとりと微笑んだ。
「変わっていませんね、あなたは」
「え?」
「さ、ドレスを選んだら、入浴を。使用人のみなさんも、まずは湯を使って旅の埃を落としましょう」
テオバルトの号令で魔族の使用人たちが一斉に動き出したのだった。
* * *
「美しい!」
テオバルトにエスコートされて宴の会場に姿を現したジリアンに、真っ先に声をかけたのは皇帝だった。彼の周りには様々な種族の女性が侍っている。
(彼女たちが、皇帝の后……?)
人族によく似た姿の女性もいれば、巨人族なのだろう大きな身体の女性もいる。羽毛の生えた翼の先に鉤爪を持つ女性もいるし、馬のような四本脚の身体を持つ女性や、トカゲのような姿をした女性もいる。
「様々な種族が、最も美しい娘を皇帝の后として送って寄越すのです。……皇帝の後宮は、文字通りの魔窟ですよ」
ジリアンの耳元で囁いたテオバルトに、ジリアンはゴクリと喉を鳴らした。
「明言する必要はありません。私にピタリとくっついて離れないで。皇帝といえど、マルコシアス侯爵の恋人を横取りすることは簡単ではありませんから」
「……そうするしか、なさそうね」
ジリアンは、テオバルトの腕をぎゅっと強く握りしめた。その様子を見ていた皇帝が目を細める。
「麒麟の鱗のドレスに、人魚の涙か……」
ジリアンが身に付けているのは、緑とも青とも言えない不思議な色合いのドレスだ。『麒麟』という不思議な生き物は1年に1枚だけ、その鱗を落とすのだという。それを拾い集めて細かく砕いて染料をつくり、糸を染めるのだとか。その糸で織った布地は、魔大陸でも最高級品だと教えてもらった。
そして、胸元には大粒の真珠のネックレス。
(これが、『人魚の涙』……?)
「家宝まで持ち出すとは。お前、本気だな?」
その言葉にジリアンが驚く間もなく、テオバルトが頷いた。改めてジリアンの腰をぎゅっと引き寄せるので、2人の距離がさらに近づく。
「口説いている最中です。どうか馬に蹴られるような真似はお控え下さい」
テオバルトの直接的な物言いに、ジリアンの胸がドキドキと音を立てた。
(皇帝相手に、こんなことを言っても大丈夫なの……?)
ジリアンの心配を他所に、皇帝は声を上げて笑い出した。
「ははははははは! 子どもだとばかり思っていたが、お前も一端の男になったか! ……どんな美姫にもなびかなかったテオバルトの心を掴むとは」
そしてニヤリと笑った皇帝に、ジリアンの背を冷や汗が流れる。
「ますます気に入った! テオバルトよ。この勝負、受けて立つぞ!」
「は……?」
「ジリアン・マクリーン」
呼ばれて、ジリアンは背筋を伸ばした。皇帝の声には、それだけの迫力がある。
「は、はい」
「必ずや、私の後宮に迎え入れてみせる。覚悟することだな」
ジリアンの腰を抱くテオバルトの手に力がこもった。翡翠の瞳に熱がこもる。
「皇帝陛下といえど、譲れぬものがございます。……絶対に負けません」
バチバチと視線を交わす2人に、ジリアンは今度こそ深い溜め息を吐いた。
(どうなっちゃうのよ、これから……)
まさに、前途多難である。
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