【本編完結】【R18】新米冒険者くんの溺愛〜高嶺の花である私が夜は年下男子にひんひん泣かされているだなんて、絶対誰にも知られたくない!〜

鈴木 桜

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第7章 私が運命に翻弄される悲劇の悪女だなんて、絶対誰にも知られたくない!

第26話 運命の書(※)

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「よお。聖女様と勇者くん」
「どちらさま?」

 聖女様が首を傾げると、男は嬉しそうに笑った。

「いいね。運命に近づいてる」
「運命?」
「そう。君たちが魔王を倒す。それが運命だ」

 男が語るには、こうだ。
 ボクたちはこの黄金の鍵を手に、隠し迷宮ダンジョンを攻略する。そして魔王を倒しに魔王城に向かわなければならない、と。それが役割だと。
 その言葉に、ボクも他のメンバーも素直に頷いた。なぜか、と納得したのだ。

「たとえ『運命の書シナリオ』が書き換えられたとしても、聖女と勇者が魔王を倒す。それが、運命だよ」

 去り際の言葉だけは、妙に引っかかった。


 その隠し迷宮ダンジョンには翌日向かうことを決めて、町に戻ってから解散した。その瞬間、ボクの頭に彼女の顔が思い浮かんで。

「なんで、忘れてたんだ……っ!」

 慌てて駆け出した。

 自分の部屋に戻ったが彼女の姿はなく、『自分の部屋に帰ります。待ってるね』の置き手紙。慌てて彼女の部屋に向かった。

 ──バンッ!

「エミリーさん!」

 玄関の鍵は開いていて、多少乱暴に扉を開いた。まず最初に感じたのは、美味しそうな匂い。

「サイラスくん、おかえり」

 パタパタと音を立てて玄関に出てきてくれたのは、いつかのピンクのエプロンを着けたエミリーさんで。思わずき抱いた。

「エミリーさん、エミリーさん」
「うん」
「ボクのこと、嫌いになったんですか?」
「まさかっ!」

 エミリーさんが驚いてボクの顔を覗き込んだ。

「そんなはずないじゃない。どうしてそんなこと思うの?」
「昨夜、酷いことしたから……」
「ああ、……驚いたけど、別に嫌じゃなかったよ」

 頬を染めたエミリーさんが愛しくて、またぎゅうと抱きしめた。

「それじゃあ、どうして部屋から出たんですか」
「ちょっと、やることがあって」
「どこにも行かないで下さい」

 泣きながら訴えたボクに、エミリーさんは答えてくれなかった。

「ご飯食べよ? その前に、シャワーしておいで」

 いつも通りなのに、そうじゃない。ほんの僅かに寂しそうに笑ったエミリーさんに、ボクの胸が締め付けられた。

 『運命の書シナリオ』、男が口にしたその言葉が頭から離れないのだ。

「……イヤです」
「え?」
「一緒に入って。ボクの身体、洗って下さい」

 まるで子供のワガママだ。それでも、エミリーさんは頷いてくれた。ちょっと困ったように眉を下げながら。

「今日だけだよ?」

 と。


「……あんまり、見ないで」

 浴室で頬を真っ赤に染めるエミリーさん。両手を使って必死で隠そうとしていて、その姿にズクンと腰が重たくなった。

「隠さないで。見せてください」
「……んっ」

 手を取ってそっと促せば、彼女は抵抗しなかった。顔をそらして耳を真っ赤にさせて、まつげがふるふると震えている。

「エミリーさん、見られるの好きなんですか?」

 耳元で囁けば、彼女の肩がビクリと震えた。

「好き、じゃない……」
「じゃあ、嫌い?」

 それには答えてくれなかった。無言は肯定だ。
 ボクは、美しい身体を上から下までじっくりと見つめた。ほっそりとして長い腕、芸術作品のような美しい曲線を描く鎖骨、形よく膨らんだ乳房、引き締まった細い腰、程よく丸みを帯びた尻、柔らかい腿……。何よりも、キュッとくびれた足首が最も煽情的だと、ボクはいつも思っている。

「んっ、……っ」

 エミリーさんの腰が僅かに揺れる。白く滑らかな肌をジワリと汗が滑って、乳首がツンと芯を持ち始めたのが見て取れる。

「見られて、感じてる……」
「んっ、言わないで……っ」
「言われるのも、好きでしょ?」
「……っ!! 洗ってほしいんでしょ! はい、座って!」

 我慢の限界を迎えたらしいエミリーさんがボクの手を引いて、浴槽の縁に座らせる。ボクはクスクス笑いながらも、抵抗しなかった。まずはシャンプーで髪を洗ってもらい、次にスポンジにボディーソープを泡立てて、しっかりごしごしと身体を洗ってもらう。
 上半身を洗って次は下半身にという段になって、エミリーさんの手が止まった。

「洗ってくれないんですか?」
「……洗う」

 エミリーさんがボクの前に跪いて、先に足を洗って。次いで、スポンジを脇へ置いて、ボクを見上げる。

「て、手で洗ってもいい?」
「……っ、いいですよ」

 エミリーさんが両手に泡を立ててから、すっかり勃ち上がっているボクの肉棒に触れた。そのまま、ゴシゴシと擦られて、思わず腰が震える。泡のせいでニュルニュルとする感触が、カリ首に触れる度に快感が走った。

「っ、ぅ……」
 
 思わず声が漏れて、その様子に彼女がクスリと笑った。

「洗ってるだけだよ?」

 と、意地悪く笑ったエミリーさん。

 この表情も、知っているのはボクだけだ。
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