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最終章 最後に愛は勝つ!? 婚約破談の危機に害虫駆除!

絶倫皇女、家族で父を追い詰める

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 私は宰相が語った事実を払拭すべく、私はグレンの魅力をこれでもかと言う程に語った。

 話の節々に「あひッ♡」という声や「んぁッ♡」と小さく喘ぎながらも私は話し続けた。

 特にお父様には耳の穴をかっぽじって聞いて欲しかったので、目を見ながら熱心にグレンの事について語っていると、最初は固い表情をしていたお父様が次第にいつもの優しい眼差しに変わっていくのが目に見えて分かった。

「ふむ……なかなか良い男ではないか」
「そうなのです。グレンは……ひんっ♡ 私を常に想ってくれております……今回のトラブルもグレンが真っ先に指示を出してぇっ♡ 犯罪者グループの残党もサンクチュアリ帝国にて捕らえております……ハァハァ♡」

 わりとマジでヤバイ。
潮を噴射するのを我慢しているせいか、身体中の汗が止まらなかった。尋常じゃない汗の量に隣に座る妹のエリーナは心配そうな表情をしている。

「お姉様……体調が思わしくないのでは?」
「す、少しね。でも、まだ聞きたい事があるのぉぉ……ハァハァ♡ あの手紙の内容なんですけど、あのデブ……じゃなかった。宰相とのぉぉ……結婚の話ってぇ……ハァ、誰が言い始めたんですかッ!?」

 必死に快感に耐えながら父と母に問う。
すると、マルグリッドが「……あのキモデブ宰相が勝手に自分で作った公約に盛り込んだのですよ」と隣に座るハンスをギロリと睨んだ。

「あんなキモデブ宰相と私の可愛い娘が結婚するのは反対です! 貴方は男だから感じた事がないでしょうけどね! あのキモデブが娘のイングリッドの胸をいやらしい目で見ていた事、私は決して忘れないわ!」
「お、お母様……」

 感動で涙がポロリと出てきてしまった。

 良かった、キモデブって思ってたのは私だけじゃなかったんだ! よぉ~~し、ここは女優・イングリッドの出番ね!!

「そうなんです、お父様……あんっ♡ 宰相はぁぁ……私の胸をずっといやらしい目で見てきたんですぅぅっ、うっ、うぅ~~~~、んぅ♡」

 私は嗚咽するふりをしながら喘ぐという技をこの短時間で身につけた。

 その甲斐あってエリーナも心配そうな顔をする事なく「私も宰相にいやらしい目で見られた事があります!」と手を上げて同調する。

 父は私達の抗議する内容を聞いて、心配してくれるのかと思いきや、驚きの言葉を発したのだった。

「うーーむ……男なら女性を性的な目で見るのは当たり前なのでは? 問題があるのであれば、肌を露出させるようなドレスを着る方では…………ハッ!!!!」

 その発言を聞いた私達は「何を言ってるんだ、コイツは?」という蔑むような視線と呆れた様な笑みを浮かべる事しか出来なかった。

 母は短く溜息を吐き、腕を組んで話し始める。

「……全く、貴方には失望しました。イングリッドの性教育の件もそうです。あんなろくでもない、男根が小さそうな男を選ぶからイングリッドが傷付く羽目になってしまったのですよ」

 だ、だだだ……男根!?
驚いたわ……お母様の口から男根という言葉が飛び出すとは!! あぁ、エリーが顔を真っ赤にして困った顔になってるぅぅ……本当に可愛い妹ねぇ♡ 

 母の蔑む様な視線にたじたじになりながら、父は「なっ、何を言う……アレはだな! 政治的観点とロメオ・マルティーニの身体的な問題なのだぞ!?」と反論していた。

「政治的観点? 貴方の口からそんな言葉がでるとは思いませんでした。貴方は私のフォローがなければ、このサクリファイス帝国はとっくに他の国に侵略されて、存続していませんでしたよ」
「な、何を!? わ……私はだな、この帝国をより良くする為に–––––!」
「お黙りなさいッ!!!!」

 私は目の前の光景を疑った。
母はなんと父の着ていたシャツを両手でビリビリに引き裂いたのだ。

 弾け飛ぶ丸ボタン。シャツを破かれて露わになった父親の分厚い胸板。そして、比較的色素の薄い乳首が露わになる。

 そして、母は事もあろうか父の両乳首を摘み、引っ張ってギュッと抓るという芸当を見せたのだ。

「ギャアァァァァァッ! いきなり何をするんだ、マルグリッド! む、むむ……娘達の目の前だぞ! こんな恥ずかしい真似をするでない!」

 皮膚の薄い乳首の痛みに涙を滲ませる父。
それを見た母は痛がる様子を見て、フンと鼻で笑い飛ばした。

「見られて恥ずかしいという感情をしっかりと覚えておくのです。これが世の女性が見られている時に感じる気持ちなのです。
女性の気持ちを考えない皇帝など、あってはなりません。それに、これからは女性が主体となって活躍する世が来るはず。ですから、貴方のような古臭い考えは捨てなければならないのです」

 冷静に意見を述べる母を見て、私と妹は見惚れていた。

 しかし、父は素直に飲み込めないのか「だがな、マルグリッドよ……」とまごついたのを見て、母は檄を飛ばした。

「お黙りッ、この名ばかり皇帝! 貴方はこの場にグレン皇太子殿下がいないのは、おかしいと思わなかったのですか!? 自分の好き嫌いで人を判断するなとあれ程言ったでしょう!? 図星ですよね? 今回の宰相の勝手な行動の件、貴方も関わっているでしょう!?」

 え……嘘。お父様も宰相と手を組んでたの? それだったら、かなり信用無くすんですけど。

「な、なな……何を言い出すんだ、マルグリッド! お前達もそんな目で私を見つめるでない!」

 父が焦っている。
それに小鼻がプクッと少し膨らんだのを見て、父が嘘をついていると確信したのであった。

 許さん……私とグレンの恋路を阻む者は例え肉親でも許さんぞッ!!

「……お父様も宰相と何か企てておられたのですか?」
「企てるなど! そんな事、私がするわけない––––」
「嘘だッッッッ!!!!」

 私はガンッ!とテーブルに拳を叩きつけながら叫んだ。

 睨め付けるように父親を睨むと、父は玉の様な汗をかきながら私を見つめてきた。

「インジーは知ってるよ? 宰相が私と結婚したいが為にグレンを地下の独房に閉じ込めてる事を。
それでね、今回の事件を起こした犯人が言ってたの。宰相が私との婚約発表を出すまで時間を稼いで欲しいって……もしかして、お父様もそこまで関わってるのかな?」

 私のドス黒いオーラを感じた父は慌てて「ま、待ちなさい……イングリッド。私はお前の事を思ってだな––––」と、つい口を滑らせてしまったのだった。

「私の為って事はお父様と宰相はグルだったの?」
「違う! 皇帝の名に誓って、グルではない! あくまで宰相の意見に同調しただけだ! というか、今は食事中だろう! この話はこれまでにせぬか!?」

 父も怒りに任せてガン!とテーブルを叩いた。それを見た私達は失笑し、顔を見合わせる。

「えー、まさかの逆ギレ?」
「有り得ないですよね、お姉様。宰相と結婚なら尚更、拒否するべきです。皇帝ともあろうお方が、宰相の人格すら見抜けないなんて!」
「同調って貴方……それは宰相に加担したように聞こえますよ。もう、本当に良いように使われちゃって……」

 言いたい放題言われた父は拳をブルブルと震わせながら、椅子から勢いよく立ち上がった。

「ええい、好きに言うと良い! 私はどうせ役に立たない名ばかり皇帝だ! 気分が悪い、私は一足先に部屋に戻るぞ!」
「えぇ、結構です。宰相の処分は私とイングリッドが決めても宜しいですか?」
「フン、勝手にしろ!」

 父はデザートも食べずに荒々しく扉を開け放って出て行ってしまった。

「あぁ……今日はあの人の大好物のアイスティラミスだったのに。まぁ、いいわ。後で私がご機嫌取りでアーンして食べさせてあげましょう。それより、インジー。体調が悪いのに良く頑張りましたね、偉いですよ」

 普段あまり褒めてくれない母の言葉に私はジーンと胸が熱くなった。

 だが、緊張から解き放たれた影響なのか、またもや快感の波が押し寄せてきた。

 歯を食いしばりながら「そんな事は……あ、ありませぇぇん♡」と変な返事をしてしまったが、母はにっこりと微笑んでくれた。

「実は宰相の事はどうにかしたいってずっと思ってたの。娘を性的な意味合いで狙った事も、犯罪者を使ってグレン皇太子を狙った責任はちゃーんと取ってもらうわ」

 はぁ~~~~、なんて素敵なお母様なんだろう♡ お母様のお陰でキモデブ宰相をセックスで懲らしめる必要はないのね♡ 本当にラッキーだわ♡

「そうと決まったら、グレンを早く解放しないと……ふぁっ♡」
「皇太子なら近衛兵に言って、貴方の部屋で待たせてあるわ。後日、改めて謝罪に伺うから……二人でゆっくりしてきなさい♡」

 ウフフッと意味ありげにウィンクされたが、私は嬉しくて発情中にも関わらず母の頬にキスを落とした。

「ありがとう、お母様っ♡ ディナーの途中だけど、グレンに会いに行っても……ッン♡」
「大丈夫よ、会いに行ってきなさい」

 ギューッとハグされて痙攣しながら気絶しそうになったが、どうにか気合いで耐えた私は踵を返し、扉を開け放った。
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