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最終章 最後に愛は勝つ!? 婚約破談の危機に害虫駆除!

絶倫皇女、神より聖剣を賜る

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「それにしても、なんで猫神様の像から血の涙が流れ出したんだろう?」

 私達はサクリファイス城へ行く前に馬車に揺られながら、くだんの宿へ向かっていた。

 グレンは私の疑問にうーんと唸りながら「主神は何も答えてくださらなかったのですか?」と聞いてきた。

「えぇ、そうなの。いつもだったらすぐに反応してくれるのに……」
「シスター達が騒いでたから聞こえなかっただけかもしれませんよ? もう一度、聞いてみたらいかがですか?」

 そう言って、グレンは胸ポケットから手のひらサイズの猫神様の像を取り出した。

「い、いつの間に……どこで買ったの?」
「インジーが主神に祈りを捧げている間、シスターがいつどんな場所でもお祈りできるようにと渡してくださったんです。役に立つか分かりませんけど、同じ姿の銅像ですし……もう一度祈ってみませんか?」
「そうね……やってみようかしら」

 グレンから手のひらサイズの銅像を受け取って人獣の姿を取る猫神様をジッと見つめた後、私は銅像を握り締めながら祈り始めた。

 ……猫神様、聞こえますか?
私は今、貴方の心に直接呼び掛けています。主神・エロースという名を持つ貴方の事です。きっと、上でセックス三昧の日々を送っているのでしょう。行為中に申し訳ありませんが、どうか一言だけでも良いので、お返事をして頂けませんでしょうか?

「……この通りです、猫神様」

 天に向かって祈りを捧げていると、暫くしてミニチュアの銅像から『……にゃ…………にゃ……』という呻き声が聞こえてきた。

「イ、インジー……もしやこれが主神の声ですか?」

 初めて聞く猫神様の声に目を丸くして驚くグレンに対し、私は笑顔で頷いた。

「えぇ、間違い無いわ! 猫神様、お久しぶりで~~す……って、うわっ!」

 握っていた小さな猫神様の像がカタカタと震え、先程と同様に血の涙をダバーッと流し始めた。そして、銅像から聞き慣れた声がスピーカーのように聞こえてきたのである。

『コラーーーー! おまいさんはなんて事をしてくれたんにゃーーーー!』
「は、はい? な、なんの事でしょうか?」

 あれ、どうして怒っていらっしゃるのかしら? 私ったら、猫神様の機嫌を損ねる様な真似をしたっけ?

「ど……どうかしたんですか、猫神様?」
『どうもこうもないにぇーー! おまいさんが変態ショーに出演し、大勢死なせたせいで仕事が追いつかないんにぇ! そのせいで毎日血尿が止まらないんだにぇーー!』

 あー、成る程。あれは疲労による血の涙だったのか。シスター達が災厄が起こるって慌てふためいてたからビビって損した。

『おまい~~、神であるわしが血尿が出るくらい働いてるんにゃよ!? いつものわしなら雲の上に横になって、鼻をほじりながらもっと優雅に過ごしておるわ!』

 甲高い声で怒鳴られて、私は思わず耳を塞いだ。

 うーー……耳にキンキン響くから、もう少し声のトーンを落として欲しいなぁと顰めっ面になった。

「こんな身体にしたのは猫神様じゃない。それに私は猫神様の願いを遂行する為に行動してるわ。もうすぐゴムの木も完成するし……血尿くらいで騒がれたら困るんですけど」
『ぐぬぬぬ……確かにお前さんはちゃんとわしのお願いを叶えてくれてるにぇ。でも、血尿が出るのは異常にゃりよ……』

 私の言葉にぐうの音もでない猫神様であったが、暫くして何かを思い出したかのように『そうそう! 今日はおまいさんに忠告しに来たんだにぇ!』と発言してきた。

『おまいさんの潮を飲んだ二人組がこの先の街で血眼になって探してるにぇ!』
「主神。もしや、ネリスにショーの主催者ですか?」
『そうにぇ、色男! でも、やばいのは女の方にぇ! おまいさんの潮の効力が切れ掛かって物を手当たり次第、破壊してるにゃり! 悪い事は言わにゃい、すぐに街を素通りして城へ避難するにゃり!』

 性欲の塊である猫神様が言うくらいだ。相当ヤバいんだと思う。

 でも、私は絶倫皇女……あの時のショーで負けたまま、簡単に終われる女じゃないのよっ!

「インジー、予定変更です。街を通り過ぎて城へ向かいましょう」
「……ごめんなさい、グレン。私、ネリスお姉様に負けたままじゃ終われない。お願い! もう一回だけ勝負をさせて欲しいの!」
「しょ、勝負って……まさか女性同士でするって事ですか!?」

 そうよと頷く私であったが、グレンは猛反対してきた。

「駄目です、危険しか伴わないじゃないですか!」
「私のプライドの問題っていうのは重々承知してるわ! でも、これが最後のチャンスなの! お願い!」

 私の発言を聞いた猫神様は『よく言ったにぇ!』と私の背中を押すように同意してくれた。

『言ってにゃかったけど、実はおまいさんの潮には中毒性があるんにぇ。毒が身体に合わなければ、今回の女性のように潮を求めて半狂乱になるし、その毒は永遠に体内に残るんにぇ』
「ちゅ、中毒性がある潮ってどんな潮よ……」

 改めて思うけど、私の身体って本当におかしいわよね。潮に中毒ってどういう事!? どうしてこんな特典を付けたのよ、猫神様っ!

「まぁ、落ち着くにゃり。その山姥の体内に残った潮を回収するには方法は二つ……おまいさんと身体の相性がピッタリの色男と山姥がセックスする––––」
「却下ッ!!」

 即座に却下した私の声を聞いて猫神様は「そりゃ、そうにゃりよねー」と苦笑いしていた。

「二つ目は……おまいさんに聖剣エクスカリバーを授ける方法にぇ!」
「え、聖剣エクスカリバー……?」

 ちょっと待て……すっごく嫌な予感しかしない。
聖剣エクスカリバーってさ、もしかして私の予想通りだったりする? 私、女の子だよ? 猫神様、分かってるよね? 生まれた時からついてなかったよぉぉぉぉ!?

 私の心情を察した猫神様の目がキラーンと輝いた。

「おまいさんのアソコにチンコを生やす方法にぇ!」
「却下! 却下よぉぉぉぉぉぉ!」

 くそぉぉぉぉっ、やっぱ予想通りだったぁぁ! 私は男じゃないのよ!? 女の子にそんなグロテスクな棒は必要ないのっ! それだったら代わりにペニスバンドを寄こしなさいよ!

「絶ッッッッ対……無理ッ!」

 真っ赤な顔をしながら断固拒否をする私の声を聞いて『あれぇぇ~~、さっきの威勢はどうしたのかにゃ~~? おまいさんのプライドはその程度だったんにゃ? 一時的にアソコにチンコが生えるだけだっていうのに、嫌だっていうのかにゃ~~?』とニヤニヤと笑いながら煽ってきたのである。

 ぬわあぁぁぁぁ、グレンが聞いてる横でやめなさいよ!
……って、グレン! 貴方もクスクスと笑ってないで猫神様に何か言いなさいよ!

「ちょっと、グレン! 私のアソコにペニスが生えてたら嫌でしょ!?」
「そうですね……インジーのだったら見てみたい気がしますし、貴方のだったら全然イケますよ♡」

 おいぃぃぃぃっ! 貴様、裏切ったなぁぁぁぁっ! というか、半分楽しんでるでしょ!?

「安心して下さい。男性器が生えたとしても、私はインジーを愛し続けますから♡」
『良かったにゃりねぇ、理解のある恋人で♡』

 くっそぉぉぉぉ、調子に乗りやがって! 私をふたなり化させてどうするつもりなんだ!? それにグレン、貴方のイケますはどっちの意味よ!? お尻にペニスを突っ込まれたいの!?

「さぁ早速、世界平和の為にペニスを生やすにゃりよ~~♡ さぁ、下着をぬぐにゃり♡」
「うぅ~~~~、やだやだぁぁ……恥ずかしいよぉぉ!」
「インジー、主神がこう言っておられるのです。さぁ、下着を脱いでよく見えるように開脚しましょう♡」

 グレンにサッと下着をずり下ろされ、よく見えるようにスカートを捲り上げられてしまった。そして、そのままの流れでM字に開脚される。

「嘘……本当に本当に本当にするの!? 冗談抜きで!?」
『え、するにゃりよ? それに悪い事だけじゃないにぇ! 男の性感帯を体験しておけば、色男にどう攻めたら良いかより分かってくるにゃりよ? そしたら……この色男は一生、おまいさんの虜––––』

「やります!!!!」

 猫神様の会話を遮り、即答する私を見た猫神様は『よくぞ、言ったにぇ!』と機嫌よく笑い、すぅぅぅぅっと息を吸い込む音が銅像から聞こえてきた。

「さぁ……いくにゃりよ~~? 大きくにゃあれ~~、大きくにゃあれ~~、イングリッド・マルセイユ・グラン・サクリファイスのクリトリスッ!」
「…………あ、あぁ」

 ムズムズした感覚がしてから、クリトリスがグンッと大きくなるのを感じた。普段は感じないジンジンとした感覚に私は戸惑い腰をゆらゆらと動かしてしまう。

 そして、小さく収まっているはずのクリトリスがどんどん肥大していくのを感じた。

「ひぁ……これ、まさかクリトリスが伸びてるの!?」
「あぁ、凄い! イ、インジーの股から立派な物がッ!」

 グレンの感嘆の声を聞いて、私は絶望してしまった。
ドレスの裾で見えないが、普段感じないこの揺れはクリトリスではなく、男性器なのかと。

『おぉ~~、立派なおちんちんだにぇ♡ 皮もズル剥け、形も立派! 亀頭のハリツヤもピカイチだにぇ♡ 誰に見せても恥ずかしくない立派なモノを生やしてしまったにぇ♡』

 最後に猫神様の『プッスス……』という馬鹿にした笑い声を聞いた私は絶対に猫神様にいつか仕返ししてやるんだからッ!と心に誓ったのだった。
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