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最終章 最後に愛は勝つ!? 婚約破談の危機に害虫駆除!

絶倫皇女、次の目標をたてる

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 行為を終え、お互い満足した所でゆっくりと起き上がった。身体中、体液や生クリームでベトベトだったので、バスケットの中に入っていたタオル二枚を小川に浸し、水気を切ってから身体を拭き合いっこした。

「はぁぁぁ……すっごく、す~~~~っごく気持ちよかった♡」
「フフッ、夜も続きをしましょうね♡ それにしても、インジーの潮の効力は絶大ですね。落ち着くまでかなり時間がかかってしまいました」

 グレンが股間に指を指す姿を見て、私は苦笑いしながら「アハハ……ごめんなさい」と謝った。

「それにしても、自分の身体の事なのに知らない事が多すぎて困っちゃうわ。でも、今回ので私の潮が性欲増強にも効果があるって分かったから、EDで困ってる人達の為にヒューゴと一緒にバイアグラでも作ってみようかしら?」
「ばい……あぐら? なんですか、それ?」

 あ、しまった。前世で看護師さんがED患者にバイアグラを渡した時の話を熱心に聞かされてたから、つい口が滑っちゃった♡

 グレンには必要のない薬だろうけど。

「バイアグラっていうのは勃起不全の治療薬です」
「ぼ……勃起不全に対する治療薬があるのですか?」

 グレンは目を丸くして驚いたのを見て、私はフフッと笑いながら「グレンのペニスは元気に勃ってるし、私がいるから心配しなくても良いわ♡」と軽くキスをした。

「でね、バイアグラって凄いのよ! 軽く触っただけでもすぐにペニスがビンビンに勃っちゃうんだから!」

 実際見た事ないし、完全に看護師さんの受け売りだけどね。でも、軽い刺激でもグレンのような興奮状態になるのは間違いないはずなのだ。

「す、すぐに勃起するんですか?」

 ふふ……グレンったら、驚いてるわね! そりゃあ、この世界では勃起不全っていう言葉も珍しいわよねぇ。

 でも、絶対に世界中にはEDで悩んでる人がいるはずなの! きっと、恥ずかしいから言ってないだけで大勢いると思うのよね!

 だから、ここで私の出番!
私の潮の入ったカプセルを飲み薬として売り出して、勃たない人限定で精力を付けてもらったら、皆が幸せになると思わない?

 精力もアップして奥様も夜は満たされるし、きっと家族円満で過ごせるに違いないわ! それで、売上金は孤児院に寄付するの!

 もう~~、私ったら頭良いわね♡ そうよ、間違いなく世界中の人間が幸せになるわ! セックスレスの家庭を救うのもこの私の務めよ!

 よし……そうと決まれば、目の前の事をさっさと終わらせるわ! それから、グレンと結婚後にハネムーンに行って、ゴムの木が育った後はヒューゴと二人でバイアグラの製作に取り掛かるわよぉぉぉぉっ♡

「それで? そのバイアグラっていう薬はどう作るおつもりなんです?」
「私の潮を飲んでもらおうと思ってます!」
「し、潮を飲んでもらうっ!?」

 グレンがギョッとした顔をした後、すぐに不満そうな表情に変わった。

「駄目です。貴方の潮を他の男に捧げるような真似、許可できません! インジーは私だけのものですから!」

 うん? グレン、なんか怒ってる?
もしかして、何か誤解化してるのでは…………あ、そっか! 潮を飲んで貰うって言ったから、きっと患者に私の潮を直飲みさせる場面を想像したのね!?

 もぉ~~、やだぁグレンったら♡
発想が変態なんだからっ♡ そりゃ、私だってグレンの精液を他の女に奪われたら、その令嬢の髪をその場で刈り取って、二度と浮気できないように一から私の身体を覚えてもらうんだからっ!

「あの~~、グレン。潮を飲ませる方法なんですけど、バイアグラって錠剤タイプの薬なんですよ。だから、胃に入れても溶けるようなカプセルをヒューゴと共同開発しようと考えてるんです。その中に私の潮を注入して飲み薬として提供しようと思ってるんですよ」
「飲み……薬?」

 なんだ、バイアグラとは飲み薬だったのか……というポカーンとした表情になっていた。

「はい、飲み薬です♡ あ、グレンも協力してね! だって、ヒューゴに潮を噴かせてもらうわけにはいかないもの♡」

 言葉足らずでごめんなさいと素直に謝る私を見て、グレンは猛烈に恥ずかしくなったのか「……それを早く言ってくださいよ」と顔を真っ赤にさせていた。

◇◇◇

 同時刻、サクリファイス帝国––––。

 サクリファイス城の玉座に座る人物……ハンス皇帝陛下は自国の城下町にばら撒かれたビラを数枚見つめながら、自分の娘のあられのない姿に怒りで打ち震えていた。

「サンクチュアリ帝国の奴等め……私の娘をよくもこんな無下に扱ってくれたな! 許さん……許さんぞっ! 私の可愛い娘がこんな卑猥な行為をするはずなかろう!」

 玉間に響く皇帝陛下の怒声。
その台詞を聞いた近衛兵達は『それは貴方の娘で間違いないです』と心の中で総ツッコミを入れていた。

「はぁはぁ……おのれ、グレン皇太子ッ! 可愛い私の娘に……イングリッドに手を出していたら即処刑してやるからな!」

 手に持っていたビラをビリビリに破いて踏みつける陛下を見て「あぁ~~ん、ハンス皇帝陛下。どうか落ち着いて下さいませぇぇ~~」と声をかける者がいた。

 怒り狂う陛下に話しかけたのは、サクリファイス帝国の宰相、ルマンド・デ・アズールだ。

 ルマンドは脂肪を蓄えたお腹をたぷんたぷんと上下に揺らしながら短い足をせっせと動かし、白いハンカチで額に滲む脂汗を何度も拭き取りながら、ハァハァと息を切らしていた。

「宰相、遅かったではないか! 早く報告をせぬか!」
「イングリッド姫はもう国境近くまで来られているそうです。ただし、問題が一つありましてぇ~~」
「申してみよ」
「イングリッド姫様と一緒にグレン皇太子殿下もこちらに向かわれているようです~~」

 グレンの名を聞いたハンス皇帝陛下は頬杖を突き、フンッと鼻で笑った。

「グレン皇太子は首都に入ったら人質として捕らえるのだ。姫は無傷で城に連れてくるように。宰相、準備は整ったのか?」
「すでに整っておりますぅ~~、お任せ下さい。そ、それより陛下……先日、お渡ししたに文書に目を通して下さいましたか?」
「あぁ、あの件か……」

 ルマンドから渡された文書にはこう記されてあった。

 その一、グレン・シャルル・ブラッド・サンクチュアリ皇太子殿下とイングリッド・マルセイユ・グラン・サクリファイス皇女殿下の婚約を白紙に戻す。

 その二、両国間で結んだ不可侵条約の撤廃。サンクチュアリ帝国内で起こった中傷ビラについての賠償金請求。

 その三、イングリッド・マルセイユ・グラン・サクリファイス第一皇女は宰相、ルマンド・デ・アズールと婚約、及び結婚を国民に向けて発表する。

 ……という文書だった。

「こっここ、皇帝陛下……そちらの文書にサインは頂けましたか?」

 皇帝陛下の顔色を伺いつつ、手を蠅のように擦り合わせながらニタニタと笑うルマンド。彼が考えたこの文書の内容は全て自身がイングリッド姫と結婚する為に作ったものであった。

 ウヒヒヒヒ~~~~♡ この文書が正式に通れば、姫は永遠にわしの物~~~~♡ はぁ~~んっ、姫の大きなおっぱいに挟まれるのを想像しながら、自分の息子を扱く毎日だったが、長年の夢がついに叶うのだなぁぁぁぁ♡

 ルマンドは心の中で歓喜した。
去年、皇帝陛下が勝手にイングリッド姫の婚約を決めて、世界各国の王族達に向けて婚約発表した時は絶望し、一週間寝込んだ。

 いつも姫を想って毎日欠かさず自慰をしていたのに、その時ばかりはショックで息子が勃たなかったくらいだ。

 フッフッフッ……だが、神はわしを見捨ててはいなかった! 姫と結婚できるなら、宰相としての地位をフル活用しちゃうもんねーー♡ ムッフフ♡

「…… 宰相。すまんが、まだ決めかねておる」

 な、なんだとぉぉぉぉ!?
てめぇぇ、あの時の会議でこの案でいこうって言ったじゃねーーかよぉぉぉぉ! 

 そう言いたいのをグッと我慢しつつ、ルマンドは顔を引き攣らせながら「……な、何がいけなかったのでしょうか?」と苦笑いしながら聞いた。

「……うむ。皇后がどうしても首を縦に振らないのだ」

 こ、皇后? あぁ~~~~、皇帝陛下よ! 何故、皇后の意見なんか聞いちゃってるんだ! 貴様は本当にここぞという時に判断できない優柔不断な皇帝だな!

 くっ……だが、皇后はこの頼りない皇帝陛下の陰で支えてきた立派なお方だ。勿論、宰相であるこのわしでも蔑ろにはできん!

「こ、皇后様は何と仰ってましたか?」
「グレン皇太子殿下に聞きたい事は山程あれど、まずはイングリッド本人と話がしたいとの事だ」

 ぬわぁんだってぇぇぇぇ!?
このままだと、わしが欲望のままに書いた文書が紙切れ同然になってしまうッ! 姫はわしの事、嫌ってるって自覚あるしぃぃぃぃ!

 くそっ、こうなったら……あのビラを配った奴等に協力を仰ぐしかない! こんな事もあろうかと奴等を秘密裏に牢屋に閉じ込めておいて良かったわい!

 ルマンドは皇帝陛下に深々とお辞儀をしながら、ニィィッと口の端を釣り上げた。

「かしこまりました。では、姫様が戻られてから文書の件は決めましょう」
「うむ。手間をかけるな、宰相」

 いや、本当にな。
早くイングリッド姫とわしの結婚を認めてサインしてくれ。
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