絶倫皇女〜この世の女性の敵である男の精を絞り尽くし、世界一と謳われる美貌と豊満な肉体を使って世界平和を目指します!〜

麦星れな

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第六章 貴方と……合体したいッ!

絶倫皇女、娼婦を辞めると宣言する

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 ドンドンドンドン!

「イング嬢、朝ですよ! 起きてますか!?」

 けたたましく扉を叩く音が聞こえてきた。
高級娼婦であるこの私に失礼な事をするのは育ちの悪いアースしかいない。

「もう一週間以上経ちますよ!? クラミジア、淋病、梅毒のどれにも引っ掛かってませんやん! これ以上の欠勤は認めないですからね!」

 アースが扉の向こうで怒鳴り散らしている。私はこの一週間、ろくに睡眠も取らず、部屋も出ずにひたすら窓の外を見つめていた。

 籠の中の鳥ってこんな感じなのかな……私、これからどうなっちゃうんだろ。グレンに会いたい。

 私は軽く病んでしまっていた。不特定多数の人間とセックス出来ない身体になったと分かった途端、グレンが恋しくなったのだ。

 グレンロスが思ってた以上に激しい。グレンの熱くて大きいペニスも、ちょっぴり甘くて濃厚な精液も上と下の口で味わいたくて堪らなくなっている。

 現時点では発情していないが、絶対に発情が起きないという訳ではない。だが、やる気も性欲も全く湧いて来ず、今まで濡れていた陰部もカラカラ砂漠と化していた。

「ったく、この淫乱ど変態ヤリマン嬢め……イング嬢! 部屋ん中に入らせて頂きますからね!」

 私の許可なく荒々しくドアをバァン!と開け放ち、アースは大股で部屋の中に入ってきた。

「……レディの許可なく部屋に入らないでよ」
「なんですのん。元気やないですか」

 やれやれほんま大袈裟な嬢やでぇ……とアースは小さく舌打ちした。

 レディを気遣わないその態度と、少し拍子抜けしたというような軽い反応に私は猛烈にイラッとした。ひょろくて縦に長いアースをギロッと睨みつけながら心の中で私は文句を垂れまくった。

 フン……良いわよね、アンタは! ポークピッツみたいなチンチン(※イングリッド目線)を女の子に挿すだけで、お金が貰えるんだから!

 それにね! 私、知ってるのよ!? この前、私がレズプレイをしたお客様があんたのチンチンを見て文句を垂れていた事を!

『あの受付の訛り口調で喋る子いるじゃない? あの人のは勃起しても犬のペニスみたいに細長かったわ。突く箇所も全く分かってないし、男性特有の独りよがりのセックスしかできないの。それなら女性の貴方にペニスバンドでバックから思いっきりガン突きされる方がとっても気持ち良いわ♡』って言ってたわよ!

 私なんてねぇ……私なんてねぇ……! セックスしただけで死人がでるのよっ? そしたら皆、爆葬されちゃうんだよ!?

 本当になんなのよ、私の身体!? なんで私にチンチン挿すだけで皆、死んじゃうの!? 精力の他にも食事でエネルギーを賄うとかあるじゃない!

 もう、我慢できないッ! なんで私はこんな身体に転生したのよ~~~~!! 猫神様の馬鹿ーー! 阿保ーー! スケベ猫ーー!

「うっ……くぅ……」

 気付けば、大きな青い目から大粒の涙がボロボロと流れ落ちてしまっていた。

 アースに馬鹿にされて悔しいのか、グレンに会えないストレスが溜まっているのかよく分からないが、とりあえず心の中はぐちゃぐちゃだ。

「……教えてよ、アースッッ!!!!」
「いやいや、何をですのん!? 俺のチンコ、犬のペニスみたいってモロ言うてますやん!! そんな文句言うん絶対、VIP会員のあのお客しかおらんやないのぉぉぉぉ!!」

 アースはショックで膝から崩れ落ち、私と同様に泣き喚きだした。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ、なんで私の身体はこんなにも変態なのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ、なんで俺のチンコは馬みたいにでっかくないんやぁぁぁぁぁ!」

 わぁわぁと二人で泣き喚いた。

 するとすぐにドタドタとした煩い歩き方で「ええいっ、煩いぞ! 何事だ!?」とガブリエルが険しい表情をしながら、私の部屋に駆け付けた。

「ど、どしたんだ……二人共?」

 床に泣き崩れる私達を見てガブリエルは戸惑った。
大人二人が部屋のど真ん中で涙と鼻水を垂れ流しにしながら泣き喚いているのだから、そりゃ驚くに決まってる。

「イング嬢が……イング嬢が俺のチンコはポークピッツで、勃起したら犬のペニスみたいや言うて蔑んできよったんですわぁぁぁぁ!」
「喧嘩売ってきたのはアイツが先なの! アースが……アースが私の事を淫乱ど変態ヤリマン嬢って蔑んできたの! 酷いと思わない!? モチベーションが余計に下がっちゃったぁぁ~~~~!!」

 そう言い合って泣きながらアースは私を、私はアースを物凄い形相でキッと睨む。

「あ……えっと、それで喧嘩を?」
「「そうですよ!」」
「…………」

 喧嘩の内容が幼稚すぎて、ガブリエルは気の利いた言葉が見つからなかった。

「とりあえず、その辺にして下さい。イング嬢もどうどう……どうどう……」
「私は馬じゃないのよ、馬じゃ!」
「これは失礼。ですが、あれからお身体の調子はどうですか?」

 ガブリエルが優しく私を気遣ってきたが、その気遣い方が胡麻を擂るかのような言い方だったので、私は少し眉をひそめながら「…………メンタルの調子は悪いわ」と告げた。

「そうですか。ですが、働いてもらわないと我々も困ります。貴方の予約は沢山来ておりますので……でも、どうしても出たくないと言う事であれば、こちらのショーに出て頂けませんか?」

 ペラっと差し出されたのは宣伝用のチラシだった。
それにはキラキラの派手な下着を身に付けた女性や大事な部分だけ隠した女性、踊り子のようなスケスケの下着を身に付けた女性が載っていたのである。

 何これ? 下着のショー? 元いた世界でいう●ィクトリア・シー●レットみたいなショーなのかな?

 でも、ちょっと待って! ガブリエルの事だからただのショーじゃ無いはず……だって、あの変態オーナー・ガブリエルよ? 絶対に何か裏があるに決まってる!

「……何を企んでるのかしら?」
「い、嫌だなぁ……イング嬢。このショーでは客とのセックスなどの直接的な肉体的の触れ合いは一切なしのショーなんですよぉ~~? リハビリと思ってショーに出てみませんか?」

 うっわ。鼻の下伸ばしちゃって……気持ち悪いっ!
とりあえず、コイツが何か企んでるのは間違いない。今、言ってる事も全部嘘かも。

 確かにここに在籍する以上、働かなくちゃいけないもんね。でも、セックスは出来なくなっちゃったし、死人が出る前にそろそろ引き揚げないと駄目よね。

「分かったわ。でも、このショーで私は引退させてもらうから」

 突然の発表にアースはかなり驚いていた。

「い、引退!? そんな馬鹿な––––」
「良いでしょう、イング嬢! 貴方はこのショーの終演と同時に引退です。ですが、引退するからにはなんでもやってもらいます! それがこちらの条件です……覚悟しといて下さいね♡」

 下品な笑みを浮かべ、自分の唇を蜥蜴とかげのようにベロォ……と舐めながらガブリエルは笑った。
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