61 / 123
第五章 性癖は芸術であり個性である。
絶倫皇女、友人の性癖に驚愕する
しおりを挟む
これはまずい事になったぞ! まさかこんな所でグレンの親友であるヒューゴと学年一のイケメンと噂されるリベリオが、この店に客として来店するだなんて!
「…………ジュルッ、ハッ!」
ダメだダメだダメだダメだっ! 涎を垂らしている場合じゃない! ここで身バレする訳にはいかないんだっ!
私にはコンドームを作ると言う使命を課せられているんだぞ? 神様からコンドームの種を貰ったんだぞ? それを途中で放棄? そんな事できるか!
あ…………けっ、決して色んな人とセックスがしたいからだとか、そういうけしからん理由じゃないんだからねッ!?
コ、コホン! うぅ~~、どうしよう。軽くパニックだわ! 私の正体はバレちゃいけない。なんとか姫ではないと誤魔化すしかないわね!
でも、相手はアホのアランじゃないからなぁ……仕方ない! ここは一つ、芝居を打とうではないか!
私は「お願いしま~す♡」とアースに向かってウィンクをすると、すぐに「……かしこまりました、イング嬢」という返事が聞こえて来た。
アースは普段ふざけてはいるが、こういう仕事の場ではとても力になってくれる頼りになる男だ。一言多いのと私を城から攫わなければ、もっと彼の株は上がっていたはずだがな!
とりあえず、アースが内線で「業務連絡でーす」と係の者と連絡を取り始めたのを聞いて、私は気を引き締め直した。
先ずはこれで良し! 次はヒューゴを欺かなくてはっ!
私はキリッとした表情で姿勢を正し、ヒューゴの綺麗なアイスブルーの目をしっかりと見据えた。
「お客様、人違いで御座います。私はイングと申しまして、お客様からもよく姫様に間違えられるのです」
「こ、こんなにそっくりなのに……? 髪色はともかく、声も身長もイングリッド姫そのまんまじゃないですか」
くっ……同じ学部だから私の事、よく見てるわね。やはりアホのアランとは違う! でも、私はこの世界に避妊具を爆誕させなきゃいけないんだから! それにここで私がイングリッドだと認めたら、風俗皇女と罵られて自国にもグレンの顔にも泥を塗る事になる。
……負けられない。いいえ、絶対に負けないんだからっ!
グッと拳を握ってヒューゴに立ち向かっていった。
「この世には同じ顔の人間が三人いると聞きます。私は姫様ではございません。実はその事で私は非常に困っているのですよ。姫様に似ているせいか、就く仕事全てにおいて女性達の嫌がらせが止まないのです」
だから、この職に就くしかありませんでした……と私がわざと目を伏せて落ち込んだように見せると、ヒューゴも「う……」とたじたじになっていた。
「それくらいにしとけよ、ヒューゴ。この人の言う通り、姫様に似てる人間なんて一人や二人いるだろ?」
おお! グッジョブ、リベリオ! もっとヒューゴに言ってやってくれ!
「そうかもしれないけどさ……」
ヒューゴが気に掛かるといったような視線を私に向けてくる。
どうやら疑いは晴れていないらしいが、リベリオのお陰でこの場から立ち去るチャンスが出来た。だが、立ち位置的に私がお客様にどういうプレイがしたいのか聞かなければならなかった。
「ところで……お客様はこの店に来るのは初めてですよね? 本日どういったプレイをご希望ですか?」
「あぁ。実は俺達がセックスしてる所を見て欲しいんだ」
…………はい? リベリオは今、なんて言った? 俺達がセックスしてる所を見て欲しいと言ったのかしら?
え。も、もしかして……ヒューゴってゲイなのぉぉ? 確かに彼は可愛らしい顔はしてるけども! 本当に本当……?
「つ、つまり……女の子は見てるだけで良いと?」
「あぁ、そうだ」
真顔で頷くリベリオを見たにも関わらず、顔色を変えずに対応している私をどうか褒めてほしい。本当は「いやーーーーーーん、最高っ!!!!」と叫び倒したい所だったのだから。
いや、まさか……あの真面目なヒューゴが男性と付き合ってるなんて思いもしなかった! これは凄い秘密を知ってしまったぞ!
「俺は彼と付き合ってるんだけど、彼は見られるのが好きらしくてね♡」
「見られたいだなんて思ってない! 見られたいと思ってるのは、リベリオだろ? 本当にお前は変態だな!」
「えー? この前、大学の空き教室でこっそりセックスしてたら、人が通りかかっただけですぐに達したのは誰だったかなぁ?」
「あ……それは、その」
もごもごと言いづらそうな表情をしているヒューゴを見たリベリオはクスクスと笑った後、予告もなくヒューゴの唇にキスを落としていた。
それを見た私は心の中で歓喜した。
うぉぉぉぉっ! まるで、小説の世界だっ! まさか私の推しの友人が、学年一イケメンと称されるリベリオと付き合っているだなんて……!
興奮するじゃないのぉぉぉぉぉぉ!! BL最高ぉぉぉぉぉぉっ!! いやっふぅぅぅぅぅぅ!!
あ、でも……これ以上、彼等に関わったら本当に身バレしちゃうかも。彼等のセックスを見れないのは、とっっっっても残念だけど、ここらで失礼しなきゃね。
「じゃあ、この後は楽しん……」
「イング嬢、この二人の接客たのんますぅ~~」
はい? なんだと……接客だって?
私はすかさずアースに振り向いた。何を言い出すんだ!という様な目で睨み付けると、アースは両手を合わせてごめんねのポーズをとった。
訳:今、空いてる嬢がイング嬢、貴方しかおらへんのやーー。けど、あんさんなら大丈夫! どんなプレイでも対応できますやろ!
白い歯を見せながらアースはニカッと笑ったが、私はすかさずアースを殺意を込めて睨み付けた。
訳:いや、待て待て! 見るだけだったら新人を寄越せば良いだけの話でしょ!? 私はセックスをしたいの! 分かる? セックスがしーーたーーいーーのぉぉぉぉ!!
それを見たアースは親指を立てながら、こちらにグッジョブのサインを出してきた。
訳:健闘を祈りまっせ、イング嬢!
「は……キン!? チョウ!?」
「イング嬢、こちらの鍵になります♡」
「なります♡」
アースはキンとチョウを使って私に201と書かれている鍵を渡してきた。
「部屋は2階になりまーす♡ ごゆっくりどーぞー♡」
アースは受付で笑いながら螺旋階段を指さしたのだが、私に向けてくる目だけは笑ってはいなかった。むしろ馬鹿にしているかのような笑みを浮かべている。
「ほな、お客様♡ 今回はこのイング嬢にプレイをお任せしますので、たっぷりお楽しみ下さいな」
訳:たまには身体を休めて下さいね、このビ●チ。
こんのぉぉぉぉ……アースゥゥゥゥ! 私を●ッチと罵りやがったな!?
(私の勝手な解釈。でも、大体合ってる)
私にセックス休暇なんか要らないんじゃ、ボケッ! 覚えてろよ! いつかお前の股間に付いているブツも喰らってやるからなぁぁぁぁ!
そういう意味を込めてアースを思いっきり睨んだ私は「では、参りましょう♡」とにこやかにヒューゴとリベリオに声をかけ、螺旋階段に足をかけた。
「…………ジュルッ、ハッ!」
ダメだダメだダメだダメだっ! 涎を垂らしている場合じゃない! ここで身バレする訳にはいかないんだっ!
私にはコンドームを作ると言う使命を課せられているんだぞ? 神様からコンドームの種を貰ったんだぞ? それを途中で放棄? そんな事できるか!
あ…………けっ、決して色んな人とセックスがしたいからだとか、そういうけしからん理由じゃないんだからねッ!?
コ、コホン! うぅ~~、どうしよう。軽くパニックだわ! 私の正体はバレちゃいけない。なんとか姫ではないと誤魔化すしかないわね!
でも、相手はアホのアランじゃないからなぁ……仕方ない! ここは一つ、芝居を打とうではないか!
私は「お願いしま~す♡」とアースに向かってウィンクをすると、すぐに「……かしこまりました、イング嬢」という返事が聞こえて来た。
アースは普段ふざけてはいるが、こういう仕事の場ではとても力になってくれる頼りになる男だ。一言多いのと私を城から攫わなければ、もっと彼の株は上がっていたはずだがな!
とりあえず、アースが内線で「業務連絡でーす」と係の者と連絡を取り始めたのを聞いて、私は気を引き締め直した。
先ずはこれで良し! 次はヒューゴを欺かなくてはっ!
私はキリッとした表情で姿勢を正し、ヒューゴの綺麗なアイスブルーの目をしっかりと見据えた。
「お客様、人違いで御座います。私はイングと申しまして、お客様からもよく姫様に間違えられるのです」
「こ、こんなにそっくりなのに……? 髪色はともかく、声も身長もイングリッド姫そのまんまじゃないですか」
くっ……同じ学部だから私の事、よく見てるわね。やはりアホのアランとは違う! でも、私はこの世界に避妊具を爆誕させなきゃいけないんだから! それにここで私がイングリッドだと認めたら、風俗皇女と罵られて自国にもグレンの顔にも泥を塗る事になる。
……負けられない。いいえ、絶対に負けないんだからっ!
グッと拳を握ってヒューゴに立ち向かっていった。
「この世には同じ顔の人間が三人いると聞きます。私は姫様ではございません。実はその事で私は非常に困っているのですよ。姫様に似ているせいか、就く仕事全てにおいて女性達の嫌がらせが止まないのです」
だから、この職に就くしかありませんでした……と私がわざと目を伏せて落ち込んだように見せると、ヒューゴも「う……」とたじたじになっていた。
「それくらいにしとけよ、ヒューゴ。この人の言う通り、姫様に似てる人間なんて一人や二人いるだろ?」
おお! グッジョブ、リベリオ! もっとヒューゴに言ってやってくれ!
「そうかもしれないけどさ……」
ヒューゴが気に掛かるといったような視線を私に向けてくる。
どうやら疑いは晴れていないらしいが、リベリオのお陰でこの場から立ち去るチャンスが出来た。だが、立ち位置的に私がお客様にどういうプレイがしたいのか聞かなければならなかった。
「ところで……お客様はこの店に来るのは初めてですよね? 本日どういったプレイをご希望ですか?」
「あぁ。実は俺達がセックスしてる所を見て欲しいんだ」
…………はい? リベリオは今、なんて言った? 俺達がセックスしてる所を見て欲しいと言ったのかしら?
え。も、もしかして……ヒューゴってゲイなのぉぉ? 確かに彼は可愛らしい顔はしてるけども! 本当に本当……?
「つ、つまり……女の子は見てるだけで良いと?」
「あぁ、そうだ」
真顔で頷くリベリオを見たにも関わらず、顔色を変えずに対応している私をどうか褒めてほしい。本当は「いやーーーーーーん、最高っ!!!!」と叫び倒したい所だったのだから。
いや、まさか……あの真面目なヒューゴが男性と付き合ってるなんて思いもしなかった! これは凄い秘密を知ってしまったぞ!
「俺は彼と付き合ってるんだけど、彼は見られるのが好きらしくてね♡」
「見られたいだなんて思ってない! 見られたいと思ってるのは、リベリオだろ? 本当にお前は変態だな!」
「えー? この前、大学の空き教室でこっそりセックスしてたら、人が通りかかっただけですぐに達したのは誰だったかなぁ?」
「あ……それは、その」
もごもごと言いづらそうな表情をしているヒューゴを見たリベリオはクスクスと笑った後、予告もなくヒューゴの唇にキスを落としていた。
それを見た私は心の中で歓喜した。
うぉぉぉぉっ! まるで、小説の世界だっ! まさか私の推しの友人が、学年一イケメンと称されるリベリオと付き合っているだなんて……!
興奮するじゃないのぉぉぉぉぉぉ!! BL最高ぉぉぉぉぉぉっ!! いやっふぅぅぅぅぅぅ!!
あ、でも……これ以上、彼等に関わったら本当に身バレしちゃうかも。彼等のセックスを見れないのは、とっっっっても残念だけど、ここらで失礼しなきゃね。
「じゃあ、この後は楽しん……」
「イング嬢、この二人の接客たのんますぅ~~」
はい? なんだと……接客だって?
私はすかさずアースに振り向いた。何を言い出すんだ!という様な目で睨み付けると、アースは両手を合わせてごめんねのポーズをとった。
訳:今、空いてる嬢がイング嬢、貴方しかおらへんのやーー。けど、あんさんなら大丈夫! どんなプレイでも対応できますやろ!
白い歯を見せながらアースはニカッと笑ったが、私はすかさずアースを殺意を込めて睨み付けた。
訳:いや、待て待て! 見るだけだったら新人を寄越せば良いだけの話でしょ!? 私はセックスをしたいの! 分かる? セックスがしーーたーーいーーのぉぉぉぉ!!
それを見たアースは親指を立てながら、こちらにグッジョブのサインを出してきた。
訳:健闘を祈りまっせ、イング嬢!
「は……キン!? チョウ!?」
「イング嬢、こちらの鍵になります♡」
「なります♡」
アースはキンとチョウを使って私に201と書かれている鍵を渡してきた。
「部屋は2階になりまーす♡ ごゆっくりどーぞー♡」
アースは受付で笑いながら螺旋階段を指さしたのだが、私に向けてくる目だけは笑ってはいなかった。むしろ馬鹿にしているかのような笑みを浮かべている。
「ほな、お客様♡ 今回はこのイング嬢にプレイをお任せしますので、たっぷりお楽しみ下さいな」
訳:たまには身体を休めて下さいね、このビ●チ。
こんのぉぉぉぉ……アースゥゥゥゥ! 私を●ッチと罵りやがったな!?
(私の勝手な解釈。でも、大体合ってる)
私にセックス休暇なんか要らないんじゃ、ボケッ! 覚えてろよ! いつかお前の股間に付いているブツも喰らってやるからなぁぁぁぁ!
そういう意味を込めてアースを思いっきり睨んだ私は「では、参りましょう♡」とにこやかにヒューゴとリベリオに声をかけ、螺旋階段に足をかけた。
0
お気に入りに追加
242
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる