絶倫皇女〜この世の女性の敵である男の精を絞り尽くし、世界一と謳われる美貌と豊満な肉体を使って世界平和を目指します!〜

麦星れな

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第四章 突然の拉致。皇女から高級娼婦へ堕ちる!

絶倫皇女、夜のお散歩 ☆

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「あっ……待って下さい」

 ジャラリと金属音が暗い路地裏に響く。ガブリエルは首輪をはめたままその場に立ち尽くしていた。

 何故なら、目と鼻の先にはシャンベリーのメインストリートが見えていたからだ。それに、この時間帯のメインストリートには一般の観光客が行き交っており、特にカップルや親子連れが多い。

 はぁ……恥ずかしいっ!

 ガブリエルはダボダボのシャツ一枚身に付けたままの格好になっていた。勿論、下は履いていない。真っ赤な顔をしながら裾で大事な所を隠し、長い鎖を持つイング嬢を見つめた。

 なんて美しいんだ……。

 一方のイング嬢はフリルがたっぷりついた水色の可愛いらしいドレスを着ているのだが、この服は顧客がM嬢を調教する時に着せるオプションの服だ。頭にもレースとフリルが沢山ついたバボレッドを着用しているので、まるで生きたお人形のような印象を受ける。

 こうして見たら、イング嬢はM嬢としてもバリバリ活躍出来るだろうなぁと思う。
もし客がSだったら、服をビリッビリに破いて襲いたくなるような衝動に駆られるだろうなぁ……あ、痛っ。

「早く歩きなさい」

 呑気にそんな事を考えていたら、イング嬢に背中を軽く叩かれた。

「ほ、本当に行くんですか……?」
「勿論よ。さぁ、少しずつ前へ進んでちょうだい」

 ガブリエルはごくりと生唾を飲んでから、そろりそろりと歩を進める。数メートル先には屋台が並んでおり、グラスを片手に談笑するカップルや温泉へ浸かりに行く親子連れが笑い合いながら歩いている姿が見える。

 もし、自分がこのような姿のままメインストリートに突入したら大騒ぎになってしまうだろう。そう考えるだけで堪らなく興奮してしまうのだ。

 慎重に……ゆっくり進まねば。

 さっきから緊張で汗が止まらなかった。額から鼻筋にかけて汗が伝い、鼻先から汗が地面へ流れ落ちていった。たかが汗なのにそんな些細な所まで感じ取れる……それくらい神経が昂っているのだ。

 物音を立てるな……ゆっくりだぞ、ゆっくり。

 一歩ずつ慎重に歩いた。前へ進む度にチャリ……チャリ……と鎖がぶつかり合う音がやけに耳につく。

 あぁ……心臓が破裂しそうだっ!!

「……は」

 タイミングが良いのか悪いのか、学生カップルが路地裏近くで歩みを止め、談笑し始めた。

 ガブリエルはゴクリと唾を飲んだ。彼等に狙いを定め、じわりじわりと距離を縮める。

 まだこっちに気づいてないな……頼むから、振り返るなよ。

 カップル達の容姿が遠目でも分かるくらいの距離まで来た。

 若い女の子が少し大人びた彼を見つめながら頬をほんのりと赤くさせている。女の子が彼を好いているという事はすぐに分かった。

 あぁ、若いって良いなぁ。若い頃は色んな女性と恋をしたが、最終的に俺の性癖にドン引きしてしまったんだよなぁ……。

 若いって羨ましい。
このカップルもこの後、ホテルに泊まって関係を深める為に色々するんだろうが、甘酸っぱい思い出となる日に露出狂の自分が突然現れて彼との甘い思い出をぶち壊しにする…………あぁッ、なんという罪! そんなシチュエーションもまた良いっ!

「ハァ……ハァ……グフフ♡」

 なんという緊張感! なんという羞恥! グフフ、グフフフフッ♡ はぁぁぁぁっ、堪らん堪らんっ…………だが、しかし!

「いかんいかん。俺はもう良い歳をしたおじさんなんだから……! しかも俺はオーナーだぞ? 露出狂として騎士団に捕まるわけにはいかんのだ!」

 カップル達の驚く顔を見たい反面、自分は仮にも四十代の大人の男なのだと思い出すと、とてもじゃないが冷静ではいられなくなった。

 見た目が若返ろうとも、中身はくたびれたおじさんでも、ちゃんと大人のプライドはある。恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。

「ハァ……ハァ……」

 僅かに残った善良な心と羞恥と戦ってきたガブリエルだったが……ついに限界が来てしまった。

「~~~~ッ! 気分は良いが、もう駄目だ!」

 一定の距離まで来たが、足が震えて一歩も動けなくなってしまった。

 自分の息子が興奮してシャツの裾を持ち上げている。ガブリエルは後ろにいるイング嬢に潤んだ目を向けてきた。

「イング様ぁぁ……は、恥ずかしいです」
「あら、それにしては興奮してるじゃない。ほら、貴方の股間に付いてる息子が大きくなってるわ。しかも先走りでシャツの裾を濡らしているなんて……本当に変態で汚い男ね」
「うぅ……申し訳ありません」

 イング嬢の言葉がグサッと心に刺さる! やはりイング嬢、S嬢に向いているッ! あぁっ……でもぉ…………。

「すみませんっ……これ以上は、本当に前に進めないですっ!」
「……そう」

 少し間を置いてから彼女からの何の感情の籠らない返事が聞こえてきた。

 良かった、これでやっと終わる!

 そう思っていたのだが––––。

「っうえ?……ぎゃっ!!」

 イング嬢が自分の横を通り過ぎ、前に出てきたと認識した後、鎖がピンッと糸を張るかのように真っ直ぐに伸びたのだ。

 突然の事にガブリエルはバランスを崩した。
前のめりに倒れ、趣味の悪い成金が着るようなシャツが路地裏の埃と汚水で汚れてしまう。

「あうぅ……酷い……」
「軽いお仕置きよ。帰ったら存分に––––」

「そこのお嬢様、こんな所で何をされてるんですか?」

 見知らぬ男の声が前から聞こえてきた。
ガシャ、ガシャというこの鎧が擦れるこの音は聞き慣れている。帝国の兵士だ。目の前に帝国騎士団の兵士がいる。

「今、大きな音がしましたよね……お怪我はされてないですか?」

 くそう……まさか帝国の兵士がこんなタイミングで現れるなんて……! 俺の顧客じゃなければ良いんだが…………って、俺の顧客ぅぅぅぅぅぅぅぅ!! もろ俺の顧客じゃーーーーーーん!!

 ガブリエルは絶望した。

 イング嬢の影からチラッと兵士の顔を見てみた。
目の前には顧客の一人である騎士団の兵士が立っていたのだ。ちなみに、この兵士の性癖は一回り以上、年上の男性に見られながら自慰行為にふける事である。

 そして、この兵士もまぎれもなく真正のドMだった。

 くぉ~~~~、なんたる失態っ! よりによって俺の常連の変態顧客が現れるとはっ! くっ……イング嬢、この場をどう切り抜けるつもりだ!?

 兵士が歩み寄る度にガシャリと鎧が鳴る。その事から兵士が近づいてきているのは明白だった。

「お嬢様、大丈夫……」

 兵士はイング嬢を見て黙り込んだ。

 可愛らしいドレスを着ている女性の手には似合わない鈍く光る鎖が握られており、その鎖の先にはシャツ一枚で耳まで真っ赤にしながら顔を背ける若い男性が一人、その場で跪いている。

 兵士はガブリエルの男根がヒクンと反応したのを見てゴクリと喉を上下させた。

「……見てわかりませんか? 野外プレイ中なのです。邪魔しないで下さい」

 ギロっと敵意を込めて睨むと、こちらに近付いてきた兵士の足が止まった。

 兵士が、はぁ……と興奮気味に溜息を少しだけ漏らしたが、勤務中だという事を瞬時に思い出し、困った顔をしながら話しかけてきた。

「あ、申し訳ありません……ただ、これ以上先は一般のお客様がいらっしゃるので、これ以上は先に進まないで頂きたいのです」
「…………そう。残念ね」

 グッジョブ、兵士っ! はあぁぁぁぁぁ……良かった。なんとかこの兵士に身バレせずに店に帰れそうだ!

「じゃあ、兵士さん。この犬に向かって一言お願いしますわ」

 ……はい? な、何を言い出すんですか、イング嬢!? 目の前の兵士は俺の顧客、ゲフンゲフン! いや、ただの通りすがりなんですよ!?

 ほらぁぁぁぁっ! 兵士も目が点になってるじゃん! やめてあげてよぉぉぉぉっ!

「……ぼ、僕がですか?」
「えぇ。このお客様は他人に変態と言われるのが好きな雄犬でして。せっかくこうして出会えたのですから、一言お願い致しますわ♡」

 眩しいくらいの満面の笑み。イング嬢の微笑みに目の前の兵士は見惚れてしまったようで素直に「あ……はい」と答えていた。

 うぅ……これ以上はやめてよぉぉ……。
俺の顧客になんて事を言わせるんだよぉぉ……。次、どんな顔をしてあったら良いんだよぉぉぉぉ!!!!

「さぁ、早くするのです。他人に見られて興奮する変態の雄犬に是非、罵声を浴びせて下さいませ」
「あっ……は、はい。 では………………この変態マゾ野郎っ!!」

 狭い路地裏に兵士の低い声が響き渡った。
その声に反応したメインストリートの人間達が何だ何だ?と不思議そうな顔でこちらを見てくる。

「ふぐぅっ……」

 ……………兵士よ、一言いいか?
お前も変態マゾ野郎じゃねぇかぁぁぁぁぁぁっ!!!!

 顧客に……しかも同じドMに! そんな事を言われる日が来るなんて、なんたる屈辱! ぬぁぁぁぁぁ……死にたい。消えてなくなりたいっ!

 だが、自分の気持ちに反して、ピュッと一筋の白濁液が飛んだのを見て、ガブリエルは「…………ありがとうございます、兵士様」と不本意ながらも額を地面に擦り付けていた。
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