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第三章 入学。そして、避妊具開発への道!
絶倫皇女、答辞を読む
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「歓迎パレードの時のイングリッド様は本当に美しかったですわ!」
「今回の試験、主席で合格されたんですね! 流石、世界一の美女と各国から呼び声の高いイングリッド様! 外見だけでなく内面も花のように美しい方だわ!」
「長年続いてた南北戦争も皇太子と婚約したから不可侵条約を結べたんだよな。このまま上手くいってくれたら嬉しいなぁ……」
ミラージュ国立大学の大型ホールには既に3000人を超える生徒と保護者で溢れかえっていた。1階、満席。2階も既に満席。3階はほぼ満席になりつつある。
うわーー、どうしよう。緊張する。
舞台袖から観客席を見なきゃ良かったと後悔するも、色んなところから私とグレンに関する様々な声が嫌でも聞こえてきた。
だが、幸いな事にその殆どが私達への賞賛の声が占めてたから一安心したが、少し複雑な心境でもあった。
褒めてくれるのは嬉しいけどさ……皆、私の本性を知らないから素敵に見えるんですよ? 私がセックス大好き絶倫皇女と知ったら、きっと幻滅されちゃうだろうしね。
それにしても、この重圧を背負って大学生活を送るとなると、少し息苦しさを感じてしまうなぁ…………と、色々考えながら、私は係員の指示に頷いていた。
「……という訳で宜しくお願い致します!」
「わかりました」
渡された黒の丸筒をにこやかに受け取り、舞台袖からライトアップされている広い壇上を見つめる。
さぁ、切り替えなきゃ! リラックスよ、リラックス。たかが入学式の答辞じゃない。国民に手を振る時みたいにしていれば、きっと大丈夫よ!
私は、ふぅ……と胸を押さえながら深呼吸を繰り返し、係員の「どうぞ!」の合図で舞台上に歩を進めた。
新入生達は私の姿を目視した途端、うっとりとするような眼差しでこちらを見つめ、羨むような溜息が至る所から聞こえてきた。
私が出てきた瞬間、講堂内がシン……と一瞬で静まり返り、カツン、カツンと私の歩くヒールの音だけが鳴り響く。
皆からの視線が痛い。そりゃあ、先日あれだけ大きなパレードが開かれたんだから注目の的になるのは当たり前なのだが……。
あぁ~~~~ん、やっぱり緊張する!
緊張のあまり、勝手に視線が泳いでしまった。そのせいで最前列に座っていた女の子とバッチリ目が合ったので、私はいつものようににっこりと微笑み返すと、その子は感極まって泣き出してしまった。
泣かないで、可愛い女の子っ! 私は皇女でも普通の人間なんだから……って、うわぁぁぁぁぁ、丸筒がっ! 丸筒が床に落ちちゃうぅぅぅぅぅっ!
「……ふぅ」
危ない危ない。どうにか冷静を装いながら、丸筒が床に落ちる寸前で掴む事に成功した私。
落とさなくて良かった。とりあえず落ち着くのよ、イングリッド! このホールにいる入学生は約3000人……こんなの毎日の公務で慣れてるじゃない!
私は壇上に上がり、丸筒の中から式辞用の真っ白な紙を取り出して文章を読み上げ始めた。
「柔らかな風と春の訪れを感じさせる……」
ここはミラージュ国立大学。世界でも指折りの名門校であるこの学校は多彩な学科に加え、経験豊富な教授達が教鞭を取っている。各国からも大勢の留学生がこの大学を選ぶ程の人気のある大学なのだ。
そして、大学にしては珍しく学校指定の制服を着用したまま学問に励まなければならない決まりがある。それが堅苦しくて嫌だという学生もいるが、私としてはグレンの制服姿も見れるし、生まれて初めての学生生活を体験できてとっても嬉しい。
無事に答辞を読み終えた私は壇上から降りて深々とお辞儀をすると、割れんばかりの拍手がホール内に響き渡った。
◇◇◇
ホールから出た後、新入生達が私を見るなり無言で両サイドに捌けるように道を開けてくれた。
どうやら彼等は私にどう話しかけたら良いのか分からないようであるが、彼らの表情を見る限り歓迎してくれているようだったので私はとても嬉しく思った。
だが、このように距離感があるのは少し寂しい。
それも最初だけだろうな……そう思いながら歩いていると、新入生達が開けてくれた道の先にはグレンが手を振りながら待っていてくれた。
「グレン!」
「イングリッド、素晴らしい答辞でしたよ」
「ありがとう! とっても緊張したけど、なんとか最後までやり遂げたわ……ハッ」
いつもの流れでグレンに抱きついてしまったのだが、ここは大学。周りの目があるのを忘れてしまっていたのである。
「ごめんなさい、グレン!」
私はグレンからすぐに離れて顔を赤くさせながら謝ると、女子生徒達から羨ましそうな視線を向けられてしまった。
「フフッ、いいんですよ。むしろ、貴方を狙う悪い虫を払うにはこれくらい見せつけても良いと思うんです」
「グレン、それはどういう––––……」
チュッ……。
あまりに自然な流れだったので、私はキスをされているという事実に少し時間が掛かってしまった。
「グ、グググ……グレンッ!!」
「ハハッ、貴方の怒った顔も可愛いですよ」
一部始終を見ていた女子生徒達から歓喜の悲鳴があがり、私達は入学早々、先生方から注意される羽目になってしまった。
「今回の試験、主席で合格されたんですね! 流石、世界一の美女と各国から呼び声の高いイングリッド様! 外見だけでなく内面も花のように美しい方だわ!」
「長年続いてた南北戦争も皇太子と婚約したから不可侵条約を結べたんだよな。このまま上手くいってくれたら嬉しいなぁ……」
ミラージュ国立大学の大型ホールには既に3000人を超える生徒と保護者で溢れかえっていた。1階、満席。2階も既に満席。3階はほぼ満席になりつつある。
うわーー、どうしよう。緊張する。
舞台袖から観客席を見なきゃ良かったと後悔するも、色んなところから私とグレンに関する様々な声が嫌でも聞こえてきた。
だが、幸いな事にその殆どが私達への賞賛の声が占めてたから一安心したが、少し複雑な心境でもあった。
褒めてくれるのは嬉しいけどさ……皆、私の本性を知らないから素敵に見えるんですよ? 私がセックス大好き絶倫皇女と知ったら、きっと幻滅されちゃうだろうしね。
それにしても、この重圧を背負って大学生活を送るとなると、少し息苦しさを感じてしまうなぁ…………と、色々考えながら、私は係員の指示に頷いていた。
「……という訳で宜しくお願い致します!」
「わかりました」
渡された黒の丸筒をにこやかに受け取り、舞台袖からライトアップされている広い壇上を見つめる。
さぁ、切り替えなきゃ! リラックスよ、リラックス。たかが入学式の答辞じゃない。国民に手を振る時みたいにしていれば、きっと大丈夫よ!
私は、ふぅ……と胸を押さえながら深呼吸を繰り返し、係員の「どうぞ!」の合図で舞台上に歩を進めた。
新入生達は私の姿を目視した途端、うっとりとするような眼差しでこちらを見つめ、羨むような溜息が至る所から聞こえてきた。
私が出てきた瞬間、講堂内がシン……と一瞬で静まり返り、カツン、カツンと私の歩くヒールの音だけが鳴り響く。
皆からの視線が痛い。そりゃあ、先日あれだけ大きなパレードが開かれたんだから注目の的になるのは当たり前なのだが……。
あぁ~~~~ん、やっぱり緊張する!
緊張のあまり、勝手に視線が泳いでしまった。そのせいで最前列に座っていた女の子とバッチリ目が合ったので、私はいつものようににっこりと微笑み返すと、その子は感極まって泣き出してしまった。
泣かないで、可愛い女の子っ! 私は皇女でも普通の人間なんだから……って、うわぁぁぁぁぁ、丸筒がっ! 丸筒が床に落ちちゃうぅぅぅぅぅっ!
「……ふぅ」
危ない危ない。どうにか冷静を装いながら、丸筒が床に落ちる寸前で掴む事に成功した私。
落とさなくて良かった。とりあえず落ち着くのよ、イングリッド! このホールにいる入学生は約3000人……こんなの毎日の公務で慣れてるじゃない!
私は壇上に上がり、丸筒の中から式辞用の真っ白な紙を取り出して文章を読み上げ始めた。
「柔らかな風と春の訪れを感じさせる……」
ここはミラージュ国立大学。世界でも指折りの名門校であるこの学校は多彩な学科に加え、経験豊富な教授達が教鞭を取っている。各国からも大勢の留学生がこの大学を選ぶ程の人気のある大学なのだ。
そして、大学にしては珍しく学校指定の制服を着用したまま学問に励まなければならない決まりがある。それが堅苦しくて嫌だという学生もいるが、私としてはグレンの制服姿も見れるし、生まれて初めての学生生活を体験できてとっても嬉しい。
無事に答辞を読み終えた私は壇上から降りて深々とお辞儀をすると、割れんばかりの拍手がホール内に響き渡った。
◇◇◇
ホールから出た後、新入生達が私を見るなり無言で両サイドに捌けるように道を開けてくれた。
どうやら彼等は私にどう話しかけたら良いのか分からないようであるが、彼らの表情を見る限り歓迎してくれているようだったので私はとても嬉しく思った。
だが、このように距離感があるのは少し寂しい。
それも最初だけだろうな……そう思いながら歩いていると、新入生達が開けてくれた道の先にはグレンが手を振りながら待っていてくれた。
「グレン!」
「イングリッド、素晴らしい答辞でしたよ」
「ありがとう! とっても緊張したけど、なんとか最後までやり遂げたわ……ハッ」
いつもの流れでグレンに抱きついてしまったのだが、ここは大学。周りの目があるのを忘れてしまっていたのである。
「ごめんなさい、グレン!」
私はグレンからすぐに離れて顔を赤くさせながら謝ると、女子生徒達から羨ましそうな視線を向けられてしまった。
「フフッ、いいんですよ。むしろ、貴方を狙う悪い虫を払うにはこれくらい見せつけても良いと思うんです」
「グレン、それはどういう––––……」
チュッ……。
あまりに自然な流れだったので、私はキスをされているという事実に少し時間が掛かってしまった。
「グ、グググ……グレンッ!!」
「ハハッ、貴方の怒った顔も可愛いですよ」
一部始終を見ていた女子生徒達から歓喜の悲鳴があがり、私達は入学早々、先生方から注意される羽目になってしまった。
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