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第一章 転生。そして、絶倫皇女の噂

絶倫皇女と猫神様

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「あぁ、嫌なものを見た……」

 私は皇女とは思えない程の疲れ切った表情でベッドにダイブした。

 恐ろしい葬儀だった。先程の野蛮な葬儀……爆葬に腰を抜かしそうになったが、皇女としての面子を保つべく別のところに力を入れたらちょびっと漏らしてしまった。

 まさか、18歳にもなって漏らすとは思わなかったけど、破瓜を経験したので血が滲んでくるかと思い、膣口付近に綿花を入れておいて正解だった。

「もう、最悪よ……この歳になって漏らすなんてぇぇぇぇ!」

 私は枕を抱きしめながら、あまりの恥ずかしさに悶えていた。

 恥ずかしい。恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい! 誰かとセックスするよりも恥ずかしいっ! こんなの姫としてあり得ないんだから!

「あぁ……有り得ない。あり得ないんだからぁぁぁぁ‼︎」

 そう唸りながらベッドの上で転がっていると『ふっふっふ! お前さんが漏らす所を目撃してしまったにぇ!』という嫌~~な声が聞こえてきた。

 プッススと口元を押さえながら、猫神様はシャンデリアの上からこちらを見下ろしていた。大きな黄色い丸い目がニヤニヤとした糸目に変わっている。それを見た私は嫌悪感を抱かずにはいられなかった。

「見てたんですか? 本当にやらしいスケベ猫ですね」
『スケベ猫っ!? お前さん、ワシに対しての物言いどうにかにゃらないのかにぇ!?』

 やれやれ……人に指を指すなと言われて育たなかったのか、このスケベ猫は。

「……で? どこから見てたんです?」
『教会内に設置してある銅像の目から見ていたにぇ! ワシの銅像があれば、世界の果てからでも監視可能にゃり! 後、ロメオの魂も無事にワシの元に還ってきたにゃりよ!』

 猫神様は『にゃーん!』と言いながら飛び降りてきた。

『しっかし、ロメオの奴。本当にスケベな男にゃね~。よっぽどお前さんとのセックスが気持ち良かったんにゃりね……肉体が無いにも関わらず、まだ腰を振っていたにゃり』
「えぇ……嘘ぉ……」

 まさか、奴は魂になっても性欲の塊だったのか。男ってやつは本当に変態ばっかりで嫌になる。一週間前に行われた直接的指導による性教育だって、私は全く何にも感じなかったし。

「はぁ……これからどうなるのかなぁ」
『なんにゃ? ロメオとのセックスは良くなかったにゃりか?』
「あ、はい……まぁ。セックスなんて所詮、肉と肉の擦り合いなんだなぁとか思ったりしましたね」

 相手と気持ちを通わせたらまた違うのかもしれないが。そんな私の様子を見た猫神様は『ま、アイツのブツは牛蒡みたいなモノだったからにぇ……』とボソッと呟いたのを私は聞き逃さなかった。

 い、今なんて言った? ロメオのブツが牛蒡? 胡瓜じゃなく、牛蒡!?

「ね、猫神様……ロメオのブツは胡瓜の間違いでは?」
『何、言ってるにぇ? アイツのチンコはサイズは男性器の中ではかなり小さい方にゃりよ?』

 な、なんですと!? ロメオの奴、あんなドヤ顔してきたくせに、股間のブツのサイズは小さい方だったのか!

「……プッ」

 そう思ったらおかしくなって笑けてきた。だが、ロメオのモノが小さいのであれば、あれ以上の大きなモノで突き上げられたら壊れてしまうのでは?と思ったのだ。

 私はゴクリ……と生唾を飲み込んだ。

 確かに一週間前に処女は卒業したが、ロメオのブツを挿入されても痛く無かったし……なんなら、血も出なかったし。

 もしかしたら、性教育自体が幻だったのかもしれない。身体も何にも感じなかったし、ロメオとの初体験はカウントに入れなくても良い気がする。私は気持ち良くもなんともなかったうえに、マグロの状態だったし。アイツは一人で気持ち良くなってすぐに身体と魂も昇天しちゃったけど。

 うん、ロメオとの一夜は忘れよう。というか、これからは生きる為にセックスできればそれでいいや。

「……はぁ。生きてるだけでマシね」

 そんな私の心情を察した猫神様は『ニャニャニャ……』と苦い顔をしていた。そして、私の目の前まで接近して諭すように話しかけてくる。

『お前さん……ロメオは確かに下手くそで自分本位で相手を気持ち良くさせる事を考えない屑野郎のうえにチンコも小さい男だにぇ。でも、本当のセックスはそんなんじゃないにぇ』

 ロメオの事を本気でディスったな。大丈夫か、猫神様よ。ロメオがショックを受けて魂が消滅したらどうすんだ。

 私の表情から心の声を読み取った猫神様は『そこは心配ないにぇ。アイツは女を大事に扱わない限り、一生粗チンに生まれ変わり続けるんにぇ!』と宣言した。

 な、なんだそれ!? 一生粗チンだと!? それってもはや呪いじゃん! あ、あれ……という事はつまり……。

「大きなモノほど紳士ってわけ……?」
『そうにぇ。大きいチンコ程、この世界では紳士なんだにぇ!』

 な、なんて世界なんだ……! この世界では男性器が基準なのか!? こんなの日本だったらセクハラで訴えられているに決まってる!

 改めてとんでもない世界に転生してしまったと実感した私。

『そこでにゃ! ほぼ処女ちゃんのお前さんにこのワシが直々に性教育を施してやろう! お前さんの器エネルギーも溢れ返る寸前だにぇ! そろそろ発散させとかにゃいと身体が大爆発してしまうにゃりよ~~~~!』

 え、もうっ!? ちょっと早すぎない!? 私、一週間前にセックスしたばっかりよ!? それに顔が不細工でお腹がぽっこり出てて、人間じゃなくて猫の姿をした神様とセックスなんてどうやってするの?

 猫とセックス……猫とセックス……。

 想像しただけでアンバランス……というかあり得ない。少し小馬鹿にしたような笑い方をしつつ、私は顔を上げた。

「ハハッ、その姿でどうセックスするんです? 私は人間としかしません、から……」

 私は口を開けたまま間抜けな顔になってしまった。何故なら、目の前には教会にあった銅像と同じ姿をしている猫神様がいたからだ。

 背が高く、胸板が厚い。腕も足もがっしりとしており、キリッとした目付きの美しい黒髪の男性がそこにいた。そして、頭の天辺には猫耳が。尻からはゆらゆらと動く長い尻尾が生えていた。

 す……凄い、猫神様って人間にもなれるのか!

『さぁ、ワシがセックスの極意を教えてやろうではないか……!』
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