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第一章 転生。そして、絶倫皇女の噂
絶倫皇女と異世界の神様
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「だ、誰⁉︎」
声をした方へ振り向くと、白と黒の斑模様に二足歩行で直立している可愛くない猫がいた。
猫と言えば、スレンダーなイメージがあるだろう。だが、目の前にいる猫は不健康そうな醜いおデブの体型をしており、例えるなら不思議な国に出てくるようなハンプティ・ダンプティのような卵型のシルエットをしていたのである。
何? この猫……顔がとっても不細工ね。
おデブのうえに顔が不細工ときた。巷で有名なぶさ可愛いではなく、本当の不細工なのである。しかも、目の前の猫は神様が着るような白い衣服を着込み、頭には草の冠がちんまりと乗っている。
……身体と冠の対比がおかしくない?
人の言葉を喋ってたし、もしかしたら精霊か何かなのかな? あっ、身体は小さいのに後光が差しているような神々しいオーラを放って……いなかった。大きな天窓から朝日が差し込んでいるだけだったわ。
……こんな感じで心の中で目の前の猫を散々酷評してしまったが、この生き物は何者なのだろうか? とりあえず、話しかけてみよう。
「えーっと……ど、どちら様?」
『おまい~~~~! 心の中で神であるワシを愚弄しおったな⁉︎』
「…………はい?」
目の前で爪を尖らせながら怒り狂う猫の姿をした神様? を私は怪訝な表情をしながら見つめた。
いや、あり得ないでしょ。全知全能の神が一般的な白黒の斑模様の猫の姿で、顔は不細工で、そのうえ身体に脂肪をたっぷりと蓄えたような姿をしているはずがないのだ。
私を見た神様?は牙をさらに剥き出しにしながら、ダンダン! と地団駄を踏んだ。
『にぃぃぃぃ……さっきから失礼な奴だにぇ! 言いたい事は沢山あるにゃりが、話が進まないからさっさと話すにぇ! 結論から言うと間違いが起きてしまったんにぇ』
「…………はぁ」
……結論を言うの早くありませんか、神よ。うぅん……話の内容を端折りすぎて何が何だかサッパリわからないわ。事の過程を話さないと流石に分からないわよ。
「えーっと……過程を詳しく聞かせてください、猫神様」
『ね、猫神様……』
神様? は軽くショックを受けていたが、ゴホン! と咳払いした後、私でも分かるようにゆっくりと話始めた。
『実はその身体には別の御霊が入る予定だったにぇ! かの有名な霊長類最強の女の魂が入る予定の器だったんだにぇ!』
猫神様は私に指を指しながらそう言ったのに対して、キョトンとした表情になる私。
れ、霊長類最強の女? その人は私が知る限り、あのお方しかいない……という事はあの方はお亡くなりになったのだろうか?
「も、もしかして……吉岡選手がお亡くなりに?」
『……にぇ』
猫神様が力なく返事をしたのを聞いた私はかなりショックを受けた。
霊長類最強と謳われているあのお方は、いつもパワフルで熱くて前向きで……私の闘病生活をいつも明るく照らしてくれていたスーパーウーマンだった。なのに、そんな彼女が亡くなるだなんて!
「うぅっ……吉岡選手が亡くなるなんてショックだわ」
『違うにぇ。亡くなってないにぇ』
…………亡くなってないんかーい‼︎
紛らわしい返事をするな、馬鹿猫! 私の涙を返せ!
そんな事を思っていると、猫神様がジロリと私を警戒するように睨んだ。
『心の中が煩い転生人にゃりねぇ……おまいは関西人にゃりか?』
「ちがいます。というか、突っ込みするから関西人っていう方程式はやめて下さい。……で? 吉岡選手は亡くなってないんですね?」
私の問いに猫神様は『……にぇ』と力なく答えて、ポツリポツリと話を続けた。
『本当はその女の魂を引っこ抜いて、こっちの世界に転生させる予定だったんにぇ。でも……』
「でも?」
『霊長類最強の女と言われる人間の魂はとてつもなく大きくて、こっちの世界に移動させるのにかなりのリスクが伴うと分かったにゃり。召喚の儀を行っていた自分も、危うく魂を彼女に吸い取られそうになったにぇ……』
「そ、そうでしたか……」
やはり、霊長類最強の女は魂までも最強だったのか。
でも……それなら何故、私はここにいるのだろう?
「じゃあ、猫神様。私は何故ここにいるんですか? 私は癌で死んだのではないのですか?」
『おみゃーの魂は昇天している最中にこちら側の次元の歪みに巻き込まれたにぇ。つまり……』
「つまり?」
『巻き込まれ事故にゃり』
ま、巻き込まれ事故ですって? つまりアンラッキーと言いたい訳? くす……あはははっ…………本当に馬鹿な事を言わないで頂戴っ!
「ふっ……ふふふ」
『にゃり?』
込み上げてくる笑いが止まらなかった。
私が高らかに笑いはじめたのを見て、猫神様は長い尻尾を股の間にキュッと挟み込み、どうしたのかといった表情を浮かべている。
「あーーーーははははぁぁッ! 猫神様、つまりこの巻き込まれ事故をアンラッキーと称しておられるのですね⁉︎」
『そ、そうにゃり……』
私の喜びようにたじたじになりながらも肯定した。一方の私は小さな猫の神様の前で手を組みながら跪き、感謝を述べ始めたのであった。
『猫神様……私は貴方に感謝しています。貴方がこの健康な美女に私を転生させてくれなかったら、身体を動かす事も、こうして腹を抱えて笑う事も出来なかったんですから』
誰もが見惚れるような笑顔でお礼を告げたが、猫神様は少し目を伏せながら『実は、悪い話があるにぇ……』と言いにくそうな表情をし、もじもじと指を弄り始めた。
声をした方へ振り向くと、白と黒の斑模様に二足歩行で直立している可愛くない猫がいた。
猫と言えば、スレンダーなイメージがあるだろう。だが、目の前にいる猫は不健康そうな醜いおデブの体型をしており、例えるなら不思議な国に出てくるようなハンプティ・ダンプティのような卵型のシルエットをしていたのである。
何? この猫……顔がとっても不細工ね。
おデブのうえに顔が不細工ときた。巷で有名なぶさ可愛いではなく、本当の不細工なのである。しかも、目の前の猫は神様が着るような白い衣服を着込み、頭には草の冠がちんまりと乗っている。
……身体と冠の対比がおかしくない?
人の言葉を喋ってたし、もしかしたら精霊か何かなのかな? あっ、身体は小さいのに後光が差しているような神々しいオーラを放って……いなかった。大きな天窓から朝日が差し込んでいるだけだったわ。
……こんな感じで心の中で目の前の猫を散々酷評してしまったが、この生き物は何者なのだろうか? とりあえず、話しかけてみよう。
「えーっと……ど、どちら様?」
『おまい~~~~! 心の中で神であるワシを愚弄しおったな⁉︎』
「…………はい?」
目の前で爪を尖らせながら怒り狂う猫の姿をした神様? を私は怪訝な表情をしながら見つめた。
いや、あり得ないでしょ。全知全能の神が一般的な白黒の斑模様の猫の姿で、顔は不細工で、そのうえ身体に脂肪をたっぷりと蓄えたような姿をしているはずがないのだ。
私を見た神様?は牙をさらに剥き出しにしながら、ダンダン! と地団駄を踏んだ。
『にぃぃぃぃ……さっきから失礼な奴だにぇ! 言いたい事は沢山あるにゃりが、話が進まないからさっさと話すにぇ! 結論から言うと間違いが起きてしまったんにぇ』
「…………はぁ」
……結論を言うの早くありませんか、神よ。うぅん……話の内容を端折りすぎて何が何だかサッパリわからないわ。事の過程を話さないと流石に分からないわよ。
「えーっと……過程を詳しく聞かせてください、猫神様」
『ね、猫神様……』
神様? は軽くショックを受けていたが、ゴホン! と咳払いした後、私でも分かるようにゆっくりと話始めた。
『実はその身体には別の御霊が入る予定だったにぇ! かの有名な霊長類最強の女の魂が入る予定の器だったんだにぇ!』
猫神様は私に指を指しながらそう言ったのに対して、キョトンとした表情になる私。
れ、霊長類最強の女? その人は私が知る限り、あのお方しかいない……という事はあの方はお亡くなりになったのだろうか?
「も、もしかして……吉岡選手がお亡くなりに?」
『……にぇ』
猫神様が力なく返事をしたのを聞いた私はかなりショックを受けた。
霊長類最強と謳われているあのお方は、いつもパワフルで熱くて前向きで……私の闘病生活をいつも明るく照らしてくれていたスーパーウーマンだった。なのに、そんな彼女が亡くなるだなんて!
「うぅっ……吉岡選手が亡くなるなんてショックだわ」
『違うにぇ。亡くなってないにぇ』
…………亡くなってないんかーい‼︎
紛らわしい返事をするな、馬鹿猫! 私の涙を返せ!
そんな事を思っていると、猫神様がジロリと私を警戒するように睨んだ。
『心の中が煩い転生人にゃりねぇ……おまいは関西人にゃりか?』
「ちがいます。というか、突っ込みするから関西人っていう方程式はやめて下さい。……で? 吉岡選手は亡くなってないんですね?」
私の問いに猫神様は『……にぇ』と力なく答えて、ポツリポツリと話を続けた。
『本当はその女の魂を引っこ抜いて、こっちの世界に転生させる予定だったんにぇ。でも……』
「でも?」
『霊長類最強の女と言われる人間の魂はとてつもなく大きくて、こっちの世界に移動させるのにかなりのリスクが伴うと分かったにゃり。召喚の儀を行っていた自分も、危うく魂を彼女に吸い取られそうになったにぇ……』
「そ、そうでしたか……」
やはり、霊長類最強の女は魂までも最強だったのか。
でも……それなら何故、私はここにいるのだろう?
「じゃあ、猫神様。私は何故ここにいるんですか? 私は癌で死んだのではないのですか?」
『おみゃーの魂は昇天している最中にこちら側の次元の歪みに巻き込まれたにぇ。つまり……』
「つまり?」
『巻き込まれ事故にゃり』
ま、巻き込まれ事故ですって? つまりアンラッキーと言いたい訳? くす……あはははっ…………本当に馬鹿な事を言わないで頂戴っ!
「ふっ……ふふふ」
『にゃり?』
込み上げてくる笑いが止まらなかった。
私が高らかに笑いはじめたのを見て、猫神様は長い尻尾を股の間にキュッと挟み込み、どうしたのかといった表情を浮かべている。
「あーーーーははははぁぁッ! 猫神様、つまりこの巻き込まれ事故をアンラッキーと称しておられるのですね⁉︎」
『そ、そうにゃり……』
私の喜びようにたじたじになりながらも肯定した。一方の私は小さな猫の神様の前で手を組みながら跪き、感謝を述べ始めたのであった。
『猫神様……私は貴方に感謝しています。貴方がこの健康な美女に私を転生させてくれなかったら、身体を動かす事も、こうして腹を抱えて笑う事も出来なかったんですから』
誰もが見惚れるような笑顔でお礼を告げたが、猫神様は少し目を伏せながら『実は、悪い話があるにぇ……』と言いにくそうな表情をし、もじもじと指を弄り始めた。
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