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第四章 戻ってきた日常と甘い日々

第二十七話 ♡

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「……っ」

 ピクンと身体が小さく反応した。リヒトさんが陰裂の表面を上下になぞるように触れてくる。これは親指かな? 多分、そう。それが分かるくらいゆっくり、丁寧に触ってくれている。

 好きな人の前で足を大きく開くのは恥ずかしくもあったが、こういう事ができるのは特別な関係じゃないとできないから少し嬉しくもあった。

「やだぁ、恥ずかしい……」

 陰裂に指を差し込まれた感触がした。変な感じがして身体が緊張で震える。普段は見えないところを左右に広げられ、リヒトさんに見られているだけで身体の奥から恥ずかしい蜜が溢れて出てくるような気がした。

 指先で色んな所をツゥ……っとなぞられる。少ししてリヒトさんが息を呑むように「シャリファのここ、とても綺麗だ」と言うのが聞こえてきた。

「ここ……触られてるのが分かるか?」
「あっ――な、に……そこ……? ひぁっ……あぁんっ♡」

 クチュリ……と音がした途端、感じた事のない感覚に襲われた。指先で肌や胸を弄られるのとは全く違った感覚――この正体が何なのか分からず、リヒトさんにされるがまま指先で一点を小刻みに摩られ続ける。

(な……なにこれ、どこを触ってるの!? し……刺激が強いわ!)

 私は戸惑った。下から絶えずクチ……クチ……と水音がするが、どこをどう触られているのだろう。ここからじゃ何も見えない。そもそも自分の身体にそんな器官が備わっていること自体知らなかった。

「あっ、あっ。待って、リヒトさん……私、変なのっ!」
「駄目だ、このまま暫く我慢してくれ」
「そんなぁ、さっきからジンジンするの……と、止まらな――あっ♡ は……だ、めぇ……♡」

 リヒトさんは反対の指で皮膚を引っ張るように引き上げた。そのまま先程のように指先でなぞられると、ビクンッ! と爪先まで力が入り、体が自然と仰け反ってしまう。

「やぁ……も、もぅ……やめ、やめて下さ……い」

 私は片手でシーツをギュウッ……と握りしめ、ハァハァと息をしながらリヒトさんの手を掴んだ。だが、それでも彼が指の動きを止める事はなく、むしろ私の反応を楽しみながら触っているようにも見える。

「これはどうだ?」
「んんっ……その、触り方はぁ……♡」

 じわっと蜜が溢れ出し、水音が激しさを増した。リヒトさんに上下に激しく押し潰すように刺激されている。彼の指がソレに触る度にビクンッと身体が反応してしまう。

「そ……その触り方、やだぁ……っ!」

 そうは言いつつ、私は半泣きになりながらも自ら足を広げていた。口では嫌と言っているが、実はその逆でとっても気持ちが良い。リヒトさんの手でもっと気持ち良くして欲しいという思いで頭が一杯になっている。

(気持ち良いの止まらない……止まらないよぉ……♡)

 私の表情を見たリヒトさんが満足そうに笑った。

「随分と気持ち良さそうな顔をしてるな。そんな表情は初めて見た。さぁ、もっと蕩けていいぞ」
「ふぅ、あぁ……やぁぁっ♡」

(どうしてなの? リヒトさんの指、すっごく気持ち良い……また身体が変になっちゃう♡)

 恥ずかしさも忘れて私は喘いだ。リヒトさんの手を掴んではいるが抵抗にすらならず、彼にされるがまま弄られ続けている。

「さっきからずっとここがドクドクって脈打ってる。気持ち良いだろ?」
「う、んっ……リヒトさんの指、すっごく気持ち良いです♡ あぁっ、んんっ♡」

 暫くして、ジン……ジン……という波がだんだん狭まってきた。普段は血が排出されるだけの入口がヒクヒクと痙攣しているのを感じる。

「やっ、あぁっ――!」

 ボタボタボタ……と熱い何かが会陰を伝って流れ落ちていく感覚がした。それがなんなのか気にする余裕など全くなく、そのまま乱れ続けているとリヒトさんが嬉しそうに笑った。

「良い感度だな、シャリファ」
「ハァ……ハァ……駄目っ。体の奥が熱いの。ジンジンって来るの。リヒトさん、早くどうにかしてぇ……」
「大丈夫。今からもっと気持ち良くなるから」
「も、もっと? あ――なんで、指が入ってくるの?」

 まだ未開通の花弁にヌプッと突き立てられたリヒトさんの長い指。そのまま一気に最奥まで挿入されて数回出し入れをした後、途中で臍側に指を折り曲げて中を摩られ続けた。

「わっ、ひゃ……な、何?」
「中を解してるんだ。じゃないと後が辛いからな」

 中を抉るような動きに戸惑いながらも抵抗はせず、リヒトさんの好きなように指を動かしてもらった。違和感しかなかった指の動きも、一番最初に触ってくれた敏感な器官と一緒に弄られる事で次第に息が乱れるほどの快感が絶えず襲ってきた。

「ひゃあん! すごい……リヒ、トさんっ♡」
「シャリファ……もっと君の乱れた姿が見たい」

 グチュグチュという水音が更に激しさを増した。これが本当に私の中から聞こえている事実が信じられない。

(どうしよう……これでも気持ちが良いのに更に気持ち良くなってしまったら私、どうなっちゃうんだろう。すっごく怖い。けど、リヒトさんが大丈夫っていうなら大丈夫なのかな)

 ハフハフと呼吸を繰り返しているとリヒトさんが触るスピードを変え始めた。波のように襲ってくる快感に呑まれそうだったので、私は身を捩ろうとする。だが、リヒトさんはそれを許さなかった。

「そろそろ限界か?」
「ふあぁぁっ♡ ら、らめぇ……私、おかしくなっちゃうっ!」
「っ……シャリファの中、キュウッてなってる。そのままイッても良いぞ」
「な、何か、きちゃ――~~~~ッあぁぁっ♡」

 全身がガクガクと痙攣した。フワッとした気持ち良さに包まれ、身体中から汗が噴き出てくる。

 私はリヒトさんの指から逃れるように腰を引いた。ズルリと彼の指が抜けても暫くは快感が遠のく事はなく、甘い痺れに酔いしれるように私は胸を上下させながら余韻に浸る。

(こ……これが子作りの過程なの? 皆、こんなに気持ち良い事をして、子供を作ってるの?)

 気持ち良すぎて頭の中は真っ白。快感以外に何も考えれない。まだ足がガクガクと痙攣する。私はハァー、ハァーと荒い呼吸を繰り返しながら、私の身長よりも遥かに高い天井をボーッと見つめていた。

(頭がふわふわする。すっごく、すっごく気持ちよかったぁ……。でも、私だけがこんなに気持ちよくて良いのかな……)

 ハァハァ……と息を整えながらそんな事を考えていると、リヒトさんが小さな声で私を呼んだ気がしたので、私は少しだけ身体を起こしてみた。

 そこには余裕のなさそうな表情をしているリヒトさんがいた。少し日に焼けた肌は顔も体も何もかもが真っ赤に染まっている。
数多の汗が額から頬に向かって流れ落ちているにも関わらず、拭おうともしなかったので、彼の顔に向かって手を伸ばす。すると、いきなり手をギュッと掴まれて、そのまま組み敷かれてしまった。

「リ、リヒト……さん?」

 ギシッ……とベッドの軋む音が響く。彼の様子がいつもと違ったので、ドキッとしてしまった。

「ごめん……シャリファ。もう抑えられない」
「っあ――こ、これ……リヒトさんの?」
「ゆっくり挿れるから、ここに手を添えてて」

 先程、指を入れられていた所らへんにリヒトさんの固くなったモノを押し付けられる。思わず身体が強張ってしまったが、濡れすぎて滑りが良くなっていた為なのか、あまり痛みを感じる事なく彼の先っぽが押し入ってきた。

「あ――リ、ヒト……さん」
「くっ……シャリファの中、気持ち良い。さっきイッたばかりでトロトロで絡み付いてくる」

 リヒトさんに手を取られて入口付近に手を添えていると、確かに私の中にリヒトさんの大きなモノがズブズブと入っていくのが分かり、私は怖くて少し震えてしまった。

「リヒトさん……こ、怖いです」

 入口がキツイのか、少しヒリヒリする。思っていた程の痛みはなかったとはいえ、ただでさえ彼は私の手首程の太さを誇っているのだ。指とは違う大きな質量に私は戸惑い、知らないうちにリヒトさんの肩甲骨辺りに爪を立ててしまっていた。

「ハッ……シャリファ、力を抜いて」
「うぅ、どうすれば良いの?」
「ゆっくり深呼吸して――そう、良い子。さっきよりも気持ち良くなるから、もう少しだけ耐えてくれ」

 リヒトさんの汗が私のお腹あたりにポタリと落ちる。快感に耐えながら腰の出し入れを繰り返し、少しずつ奥へと目指していった。

(さ、さっきのよりも気持ちよくなる? う……嘘ですよね? これ以上、気持ち良い事が続いちゃったら私、どうなっちゃうの――)

「あっ……ひゃん!」

 突如、お腹がキュン……と疼いた。それと同時に中も締め付けてしまったらしく、リヒトさんは「くっ……」と低く唸りながら歯を食いしばっていた。

「ん……中、狭くなった」
「ごめんなさい、お腹がキュンッてしちゃって……あんっ」
「大丈夫。凄く気持ち良いから」
「あっ!? ま、待って……これ以上入らないです!」
「フフッ、まだ半分しか入ってないぞ」
「う、嘘!?」

 こ、こんなにお腹が苦しいのに!? 私は目をパチパチと瞬きしながら絶句していると、リヒトさんは苦笑いしながら瞼にキスを落としてきた。

「痛くはないか?」
「だ、大丈夫です……」

 まだ半分しか入ってない事実に私は衝撃を受けてしまったが、痛みがあれば私は泣いて叫んで、ベッドの上でリヒトさんを困らせていただろう。こうして好きな人と快感と甘い時間を共有できる事に幸せを感じる。ずっとこの時間が続いたらいいのに――。

「っ……んん」

 そうこうしているうちにピッタリと肌と肌が合わさった。中でドクン……ドクン……とリヒトさんが脈打つのを感じる程に密着しているらしい。それは私が愛する人の形を覚えようと必死に締め上げているようにも思えた。

「……全部入ったぞ」
「ひゃ、ひゃい……ん」

 繋がったままの状態で私にキスをする。そして、リヒトさんは上体を少し起こし、私の腰に手をそえるような姿勢をとった。

「ハァ……苦しくないか?」
「はい……リヒト、さん?」

 リヒトさんがいきなり私の唇に人差し指を当ててきたので不思議そうに首を傾げていると、彼は少し照れたような表情をしながら口を開いた。

「二人きりの時はリヒトさんじゃなくて、呼び捨てで良いから」

 私は一瞬、何を言われたのか理解出来なかった。だが、言われた意味を理解するべく頭の中で彼の言葉を反復させていると、ようやく言われた意味に気が付いた。

 この国では基本的に家族や恋人以外の人は愛称で呼んだり、呼び捨てにしてはいけない暗黙のルールがある。それを破れば白い目で見られたり、嗜められたりするのだ。

 私はただの孤児、それも私は彼の子供を産む為にここにいる。ハッキリ言って私は友人以下の存在なのだ。だが、彼の事を呼び捨てで呼んでも良いとなると、私の事を家族や恋人と同等の存在だと認めてくれた事になる。

「…………むぅ」
「どうして頬を抓ってるんだ?」

 リヒトさんがどうしたのかと首を傾げている。
一方の私は真顔のまま頬を抓っていた。ムギュッと思いっきり引っ張る――良かった、ちゃんと痛い。これは夢じゃないんだ。

(嬉しい……)

 私はジーン……と感動したまま、何も言わずに彼の翡翠色の目を見つめていると、「俺はシャリファの事が大好きなんだ」と頬を掻きながら照れくさそうに答えていた。 

 突然、キュン…………と子宮が疼いた。

(な、なんて可愛らしい笑顔なの!? その笑顔好きっ! どうしようっ、今日はリヒトさんにドキドキされっぱなしだわ! 私もいつかリヒトさんにサプライズをして喜ばせてあげよう!)

 心の中でそう誓った私。すると、リヒトさんがもじもじとしながら「なぁ、シャリファ。早く俺の事を名前で呼んでくれないか?」と言ってきた。

「ほ、本当に良いんですか?」
「勿論。シャリファは俺の愛する人だから」

 私は照れたように視線を逸らしながら、「……リヒト」と小さく呼ぶが、呼び慣れなくてなんだかムズムズとした変な気持ちになってしまった。

「フフッ、よく出来ました♡」
「あぁ!? きゅ、急に動かな――あ、んぁぁっ♡」

 リヒトさんが幸せそうに頬を赤らめながら動き始めた。初めは慣らすように小刻みに前後に動かし、最終的にはズンズンと奥に突き上げるように大きく動き始める。

「シャリファ……好きだ。愛してる」

 最初は質量の大きい物が自分の中で暴れる感覚に怖くなったが、ある一点を擦り上げられると「あっ……やっ♡」と喘いで、ギュッとリヒトさんを締め付けてしまった。

「ハァ……ハァ……またキツくなった。ここが気持ち良いのか?」

 臍側を突き上げられると、更に締め付けてしまった。

「んんっ、そこ、擦っちゃ、らめぇっ……♡ あぁ、あぁんっ♡」
「ッ……シャリファは感じやすいな。もうシーツがびしょ濡れだぞ」
「う、嘘……あ、そこは駄目って言ってるのにっ――」

 ジュプッ……ニュプッ……という激しい水音とパンッ、パンッという肌がぶつかり合う音が何度も部屋に反響している。

 私は快感を逃す為に腰を僅かに浮かせてみる。だが、逆効果だった。リヒトさんが動かないように私の腰を固定し、奥をグリグリと押し付けるように動き始めたのだ。

「リ……ヒト……リヒト……あっ――気持ちいい♡ そこ、すっごく気持ちいい♡ お願い、私の側に……側にいてっ♡」

 私は手を伸ばして愛しい人の名前を何度も呼ぶ。リヒトさんもそれに応えるように覆い被さりながら私の耳元で囁き始めた。

「シャリファ、好きだ。君の事が好きで好きで堪らない。ハァッ……君がこの屋敷に来てから、色が付いたように華やいでいった。君の存在が俺の中でどれだけ大きいか、これから教え込んでいくから」

 それを聞いた私は嬉しくて涙が溢れてきた。下から突き上げられながら負けじと自分の気持ちを声に乗せる。

「わ、私もです。どこの誰かも分からない、孤児の私を……しかも、アストライア人の血を引く私を好きになってくれて、本当に嬉しい――あぁんっ♡ ハァ……貴方の事が好き……大好きっ♡」

 私は限界を迎えそうなのか視界が少しだけ白んで見えた。リヒトさんの表情はよく見えなかったが、口元が緩んで嬉しそうに笑ってくれているように見える。

「本当に俺の欲しい言葉をくれるな。君は俺の救いだよ」
「あ……は、激し――あぁっ……な、ん……か、変っ――~~~~ひッ♡」

 リヒトさんの動きがどんどん早くなっていく。そのまま奥を何度か押しつけるように動いた後、中でリヒトさんの熱いモノがドクン……と数回に分けて大きく脈打った。

 中にじんわりと熱い熱が広がっていくのが分かる。私の中はまだ離れていかないでと言わんばかりにリヒトさんに絡み付いていた。

「ハァ……も、動いちゃ……駄目ぇ♡」
「っう……」

 リヒトさんは荒い呼吸を繰り返しながらゆるゆると動き、ズルリと私の中から引き抜いた。

(凄い、いっぱい出てる……)

 ドロっとした液体が会陰を伝っていくのが分かったが、私は身体を起こす気にはなれずにぐったりとしたまま息をする。

 リヒトさんはサイドテーブルの引き出しの中に仕舞ってあったティッシュに手を伸ばし、急いで私のアソコに押し当てた。

「シャリファ、大丈夫か?」

 私はベッドに横たわったまま薄らと目を開けると、リヒトさんが少し心配そうな眼差しで見つめていたので、今できる最大限の笑顔で「だ、大丈夫れす……」と掠れた声で返事をした。
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