私の初恋〜孤児だった私は貴方の子供を産む為に参りました〜

麦星れな

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第四章 戻ってきた日常と甘い日々

第二十六話 ♡

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 リヒトさんが私の下着に手を掛けて一気にずり落ろした。その際に透明な液体が糸を引いてプツンと切れるのを感じ、本当に脱がされてしまったんだ……と意外にも冷静に状況を把握する自分がいた。

(脱がされたのは恥ずかしいけど、リヒトさんの言葉のお陰なのかな? すっごく安心してる……)

 その証拠に早鐘を打っていた心臓は少しだけ落ち着きを取り戻している。それでも心臓は煩いが、今までに比べたら随分とマシだ。

(これからはリヒトさんに安心して身を預け……――)

「ひゃっ……!? あ、ん……ゾクゾクするっ!」

 私はいきなり内腿を手で摩られて驚いてしまった。私の足の間にはリヒトさんがいる為、足を閉じられないまま足だけがガクガクと震える。

「あぅぅ……く、擽ったいぃぃ~!」

 せっかくの良い雰囲気をぶち壊しにした私の残念な声にリヒトさんは小さく吹き出した。

「いきなり触って悪かったな」
「も……もうっ、ちゃんと事前に言ってくださいよ!」
「事前に言えば触っても良いのか?」
「え? そ、それは……そのぉ……」

 しどろもどろになる私の反応を聞いたリヒトさんは暗闇の中でニヤリと口角を上げたような気がした。私が否定しないせいで、内腿に添えた手を徐々に足の付け根に移動させ、「じゃあ、今からシャリファの大事な所を触るから」と宣言し始めたではないか!

「う、嘘!? ま、待って――……ひぅっ♡」

 リヒトさんの指がまるで割れ物を触るかのように陰裂の表面に優しく触れる。彼の指がヌルッ……と滑ったような感触がしたが、これは思ってた以上に濡れているのでは!?

「シャリファのここ……直接触らなくてもこんなにトロトロになってるぞ?」
「や、やだ! リヒトさんっ、そこは汚いから――あぁっ……左右に広げちゃダメェッ!」

 クチ……と水音が響いた。足を閉じようにも足の間にはリヒトさんの身体があるので閉じられない。なんとか私は逃げようと腰を引いたが、リヒトさんはアソコから一旦、手を離して逃げられないように私の太腿を両腕でガッチリとホールドしてきた。

「こら、逃げるな。それに身体の疼きを止めるにはこれが一番手っ取り早いんだ」
「うぅ、でもでもぉ~~……」
「皆、通る道だからそんなに恥ずかしがらなくても大丈夫だ。義姉さん達は飽きもせず、毎日こんな事やってるんだぞ?」
「ベ、ベルタさん達も?」

 恥ずかしさのあまり自分の顔を覆った手の隙間から、自分の股の方をチラッと覗いてみる。一方のリヒトさんは私の足を掴んだまま話し続けた。

「そうだ。あの日の夜だってシャリファがいるにも関わらず、義姉さん達は愛し合ってたんだからな」

 愛し合う――その言葉に私はトクン……と胸が高鳴った。この行為をするのは愛し合っている者同士しかできない。という事は、リヒトさんも私と同じ気持ちなのでは? そう期待したのだ。

(そうだったら嬉しい。けど、実際の所はどうなんだろう……もう一度、勇気を出して聞いてみようかな)

 私は言ってから後悔しないようによく考え始めた。気持ちを落ち着けるように少し息を吸って吐く。何度も口を開いて閉じるを繰り返す度に唇が震えた。リヒトさんの本心を聞くのがとても怖い。

(もし、私の事を子供を産むだけの存在だなんて思っていたら――私、ショックで生きていけないかも。でも、彼の本心を彼の口から聞きたい。だから、勇気を出すのよ!)

 私は胸の上に置いた拳をギュッと握った。

「じゃ、じゃあ……私も今、リヒトさんと愛し合ってるんですか?」

 あぁ、ついに言ってしまった……。波のように押し寄せてくる後悔と、ほんの少しの期待が入り混じった自分の気持ちに戸惑ってしまう。

(リヒトさんの反応が怖い。お願いだから何か言って下さい……)

 次第に目にじわりと涙が溜まり始めた。彼の反応が怖い。鼻の奥がツンと痛くなるし、握りしめた拳は寒くもないのにカタカタと震えた。

 外からパーーッ! という車のクラクションが少し遠くから聞こえる。後は野良犬がワンッワンッと吠える声も。数秒しか経っていないはずなのにやけに時間が遅く感じる。

(どうしよう。何も言ってくれないって事は困ってるって事……だよね? お、お願い……早く何か言って下さい。この際、私の好意は受け取れないでもなんでもいいから、何か一言下さい)

 ギューッと目を瞑りながら黙り込んでいると、ようやくリヒトさんの声が聞こえてきた。

「そうだよ。俺はシャリファの事が好きだからこういう事してるんだ。今日だって一番に君にお祝いして貰いたかった。これからもずっと毎日、キスして一緒に眠りたい」
「え? ほ、本当に……?」

 予想外の返事に涙で潤んだ目を大きく見開いた。リヒトさんが今どんな表情をしているか見えないのが惜しい。かといって、私の今にも涙が溢れそうな表情を見せて彼を困らせるのも嫌だ。

「……シャリファは俺の事、どう思ってる?」

 彼の声が一瞬、震えたように聞こえた。それは私の反応を伺うような落ち着いた声音。私は彼の言葉を頭の中で何度も反復しながら、一人で幸せの余韻に浸っていた。

「あ、うぅ……」

 目尻から涙がポタリと溢れては流れ出す。どうにかして止めようにも止まらなかった。今、白くて皺のないシーツには私の涙が何粒も染み込んでいる事だろう。

「っ……グスッ」

 どうしよう……嬉しい。嬉しい、嬉しい……彼と同じ気持ちでいられるのが堪らなく嬉しい――そんな気持ちを爆発させるように声を押し殺しながらポロポロと泣き続けた。

「シャリファ……泣いてるのか?」
「っはい……とっても、嬉しくてっ」

 本当は今すぐにでも私も貴方の事が好きですって言いたかった。でも、いろんな想いが溢れてきて言葉に詰まってしまう。そんな私を見たリヒトさんは私を組み敷くような姿勢を取り、手を伸ばして私の頭を優しく撫でてくれた。

「泣き虫だな、シャリファは。でも……俺の事、気持ち悪いって思わないのか? 一回りも年が離れてるのに年下の君の事が好きだなんてさ」

 リヒトさんの声のトーンが一気に下がった。恐らく本音を吐露してくれているのだろう。自分一人だけが悩んでいたのではないと気が付き、今度はなんだか嬉しくなった。

「年は関係ないです! リヒトさんがいくつだろうと私は好きでいるって自信しかありませんから――って、キャッ! フフッ、リヒトさん。そこは唇じゃないですよ」

 びっくりしたが、すぐに擽ったいような穏やかな気持ちに変わった。唇のすぐ横にリヒトさんのキスが降ってきたのだ。リヒトさんの嬉しそうに笑う声が上から聞こえてくる。

「見えないから仕方ないな。もう電気点けちゃおうか」
「え、あれだけ無理って言ってたのに?」

 私は部屋が明るくなる前にベッドの隅に追いやられていたブランケットの端を手で探り当て、急いで自分の方に引き寄せた。

「あれはシャリファの為だったんだ。君の顔を見たら、我慢できなくなってガーッて襲っちゃいそうだったし、怖がらせちゃいそうだったからな」

 アハハ……と照れたように笑うリヒトさんの声を聞いて、私はドキドキからキューン……という気持ちに変わりつつあった。

(わっ……野獣になったリヒトさんも見てみたいかも。でも――リヒトさんを好きって思ってても良いのかな。正妻さん、きっと嫌がる……よね?)

 見た事も話した事もない正妻さんの事がふと頭に過ぎる。そんな事を考え始めたら、私とリヒトさんって不倫関係にあたるんだ……と罪悪感が芽生えてしまった。

(この際だから、正妻さんの事も聞いてみようかな。いずれは知らなきゃいけないだろうし……)

 そんな事を呑気に考えていたら部屋がぼんやりと明るくなった。暗闇に目が慣れていたので、小さな光でもとても眩しく感じる。リヒトさんが前触れもなくベッドサイドランプの明かりを点けたせいだ。

 下はブランケットで隠れてはいるが、オレンジ色の光に晒される自分の白い胸を見た私はすぐにブランケットで身体を隠した。

「あ、ああ……明かりを点けるなら点けるって言ってくださいよーーーー!!」
「アハハッ! 別に言わなくてもいいだろ? それにシャリファの事を揶揄うのも、君の全てを見るのもこれからは俺一人だけだ」

 リヒトさんは私の持つブランケットを剥ぎ取り、床へ投げ捨てた。あっという間の出来事だった。私は慌てて足を抱えるようにして身を縮めるが、ふいに視線を下に向けるとリヒトさんのある部分から目が離せなくなってしまった。

(な……なんですか、アレは!?)

 私は固まってしまった。脱衣所でも見てしまったリヒトさんのアソコ。私の記憶が正しければ、もう少し落ち着いていたはずなのだが――。

(ど、どうして……そんなに凶暴になっているんですか!?)

 下手すると私の手首程の太さがありそうだった。例えるなら、祝祭の日に成人を迎えた子達が頬張っていた太くて長いソーセージに衣を何重にも纏わせたかのような……いや、食べ物に例えるのは駄目だ。リアルすぎる。

 私はブンブンと頭を左右に振ったが、赤い顔をしたままもう一度、横目にチラッと見る。普段は下着に隠れて見えない男性器はお臍に付きそうなくらいに勃ち上がり、剥き出しになった鈴口から透明な液体がダラダラと流れ落ちていた。

「い……いつ脱いだんですか?」

 怖い……けど、自分の身体についていないモノなのでやはり気になるものは気になる。恐々とした表情をしながらも興味深げにジッと見つめている私の姿を見たリヒトさんは、開き直っているのか恥ずかしがる様子もなく「んー……明かりをつける前から?」と言った。

「シャリファも脱いだなら、俺も脱いでおこうと思ってな」
「そ、そうですか……」

 私は興奮してるリヒトさんのソレから恥ずかしそうに髪を耳を掛けながら視線を逸らすと、彼が私の手を取ってギューッと抱き締めてきた。

「……ひゃっ!!」

 お風呂に入った時とは違い、肌と肌が直接触れ合う暖かさとリヒトさんの固く勃ち上がったアレが自身のお腹辺りにくっ付いているのを感じ、カァァ……っと赤面してしまう。

(お、男の人のアレってこんなにも固くて熱いのっ!?)

 私が腕の中でアワアワしていると「シャリファは暖かいな。こうしてると、とても落ち着く」と耳元で囁いてきた。

「リ、ヒト……さん」

 そのままゆっくりと押し倒された。勢いよく倒れ込まないように私の後頭部に手を添えながら寝かせてくれた後、チュッチュッ……と色んな所にキスを落とし、胸の頂きをパクリと口に含まれる。

「ッあ……ふ、うぅ……んん♡」

 指で弄られた時とは全く違う感覚に私はかなり戸惑ってしまった。芯を持った乳首を舌先で弾かれたり、軽く吸われたりされると、またジンジンとした感覚に襲われる。恥ずかしいのに堪らなく気持ち良くて、私はだんだん声を抑えられなくなっていた。

「あぁっ、んん……♡」
「ん……気持ち良い?」
「すっごくジンジンします……ひぁんっ!」

 少し強めに吸われた後、チュパッと音を立てて唇を離される。自分の口からこんなにもやらしい声が漏れ出るのが堪らなく恥ずかしい。けど、止まらない。そんな事より、もっとリヒトさんと深く愛し合いたい――そう思っている自分がいた。

 リヒトさんが私の胸から一度離れて起き上がり、自分の唇を舌でペロリと舐めとるような仕草をした後、手を掛けたのは私の両膝だった。

「……っ」

 ドクン……と緊張が走った。この後、リヒトさんがどうするのか展開は目に見えている。だからこそ、力を緩めるわけにはいかなかった。

「……意外と力が強いな」
「だって、明かりがついてるし。それに、こ……は私のコンプレックスだもん」

 そう言って拗ねたようにプクッと頬を小さく膨らませると、リヒトさんは「さっきガン見してた癖に?」と自身のモノに指を指し、意地悪そうに笑う。私としては(それとこれとはまた別なのっ!)と言いたかったが、そろそろこのジンジンとした身体の疼きを彼に止めて欲しかった。

「ハァ……リヒトさん」
「なんだ?」
「こういうの初めてなんで……その。や、優しくして下さい……」

 言ってしまった。でも、今回は後悔は全くない。けれど、やはり不慣れな事を言うものではないと思った。緊張して身体中から汗がブワッと噴き出ているのを感じる。

 それでもリヒトさんは馬鹿にするような笑い方はせず、慈しむように微笑みながら私の内腿にキスを落としてきた。

「わかってるよ……俺のリトルレディ」

 そう微笑み、リヒトさんは私の大事なトコロに触れ始めた。
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