9 / 50
第二章 私の新しい家族
第八話
しおりを挟む
1
「さぁ、シャリファ! どっちのお洋服が良い? 好きな方を選んで?」
「えっと……ど、どっちでも?」
高級ブティックのフィッティングルームの前でベルタさんが目を輝かせながら立っている。彼女の左手には光沢のある大人っぽい黒のワンピースが。右手には春らしいロング丈の水色のレースワンピースが握られていたが、私は非常に困っていた。
何故なら、このような高級ブティックに入店するのは三軒目なのだ。しかも、私専用のお洋服は既に五着程購入しているのにも関わらず、彼女はまだまだ買う気でいるらしい。
うぅ……まさか、こんな展開になるなんて。私、お金は持ってないんだけどなぁ。後からお金を請求されたりしたら、どうすれば良いんだろう。
私は心の中で悶々と悩んでいた。とにかく値段が気になって仕方がない。さっきの店で服を試着した時は怖くて値札を見れなかった。だが、会計をした時にベルタさんの財布から出された札束の量を見て、目が飛び出るくらいにギョッとしたのは記憶に新しい。確実に今までで見た事のない値段の物を購入して頂いているに違いないのだ。
あぁ……もうこうなったらヤケクソよ。流れに身を任せるの。ここで機嫌を損ねて施設に逆戻りしたら、皆に笑われちゃうわ。
ベルタさんは私の胸中なんて梅雨知らず「貴方の好みが知りたいから、どっちでもはなし。さぁ、早く決めて頂戴!」と笑顔で急かしてきた。
私は彼女の手に持っている黒と水色のワンピースを見る。黒は施設にいた頃の服装を連想させるから嫌だし、水色は着た事のない色だから着てみたい。
私はプルプルと指を震わせながら、遠慮がちに水色のワンピースを指さした。
「じゃあ……水色のワンピースで」
「分かったわ。試着したらちゃんと出てきてね」
ベルタさんにワンピースが手渡されたと同時に店員さんが「失礼します」と笑顔でフィッティングルームの扉を閉めた。
扉が閉まった途端、私は扉に背を向けてワンピースを抱き抱えながら力無く蹲み込んだ。そして、鏡に映った疲れた顔をしている自分の顔を見つめて独り言を呟く。
「うぅ……どうしてこんな展開に?」
心の中で思っていた事を実際に口に出して言ってみると、施設にいた頃の記憶が蘇ってきた。
なんだか変な感じ。昨日までは子供達の面倒を見ながら、ヴェロニカと楽しく過ごしてたのになぁ……自分が場違いすぎて嫌になっちゃう。
ベルタさんはシフォンブラウスに足が長く見えるスラッとしたパンツを着用し、ヒールを合わせた高級感のある装いをしている。それに対し、私は頭の天辺から爪先まで安っぽい格好をしているから余計に恥ずかしく感じるのだ。
人の目が気になる私は、一緒にいて恥ずかしくないのかな……とか、店員さん達がジロジロ見てきてヤダな……とか色々考えてしまう。
「はぁ……この短い時間に色々ありすぎだよぉぉ……」
さっきから溜息が止まらなかった。施設の前でヴェロニカと涙のお別れした後、車で迎えにきてくれていたベルタさんが私の格好を見て「せっかくだから、あの子に会う前にうんとお粧ししちゃいましょう♡」という流れになったのだ。
「なんだかヴェロニカに申し訳ないな……」
私はそう思いつつも手に持っていた水色のワンピースを自分に当ててみた。施設にいた頃では考えられなかった綿と麻以外の素材でできた服に流行りのシルエット。それが今、私の手にあるだなんて不思議な気分だ。
「…………この服、いくらかしら?」
怖くて値段は見ないでおこうと思ったのに、やはり私は根っからの貧乏人。値段が気になってしょうがない。
私は一呼吸置いてから服に付いている長方形のタグを取ってみる。すると、見たことを後悔するような数字がズラッと書かれていた。
「ゼ、ゼロが……五つ!? こ、こんなにするの!?」
私は膝から崩れ落ちそうになった。動揺しすぎてハンガーを落としそうになったが、衣服ごとギュッと抱き締めたお陰でどうにか落とさずに済んだ。
「どうしよう……私、絶対に子供を産まなきゃ。じゃないと、ただの穀潰しになっちゃう!」
服を持ったままプレッシャーを感じていると、店員さんがコンコンコンと扉をノックしてきた。
「お嬢様、いかがですか?」
「は、はい! 今、出ます!」
私は慌てて服を脱いで、ベルタに手渡された水色のレースワンピースに袖を通す。すると、鏡に映った自分の姿を見て私は「わぁ……凄く可愛い」と感嘆の声をあげてしまった。
自分で言うのもおかしいが、とてもよく似合っている。特にレースに縫い込まれている花の刺繍とこのスカートの広がり方がどうしようもなく気に入ってしまったのだった。
「お待たせしました、ベルタさんっ!」
私はフィッティングルームを急いで出ると、ベルタさんは足を組みながら店で出された紅茶を優雅に飲んでいた。
「お嬢様。これと合わせると凄く可愛いですよ」
「あ、ありがとうございます……」
私は店員さんに促されるまま用意してくれた白のミュールを履き、ベルタさんの前でクルッと一周回りながら「ど、どうでしょうか?」とお伺いを立てる。
すると、ベルタさんは無表情で私をジッと見てきた。この表情は孤児院で初めて会った時と同じ表情だから少し緊張してしまう。顔見知りとなった今でもジロジロと観察されるのは変わらず苦手みたいだ。
「……むむ」
「な、何か問題がありますか……?」
恐る恐る聞いてみると、ベルタはパァッと花が開いたような可愛らしい表情を見せた。
「すっごく……すっごく可愛いわ! どうしようっ、私の購買意欲が高まってきたわ~! こうなったら、ウィルに怒られても良い……私の貯金を使っちゃいましょう♡」
「え? えぇっ!? ちょ、あの! 私、お金持ってない––––」
「気にしない、気にしない! 私が買いたいんだから! とりあえず、その靴も含めて買っちゃいましょうか。これも買うからお願いね」
ベルタさんがそう言うと、店員は頭を下げて「かしこまりました」と告げ、バックヤードへと向かっていった。
……頭が痛くなってきた。さっきまで私は孤児だったのに、この待遇の良さ。どうしよう、ヴェロニカはこれから大変な思いをするのに私はこんな良い思いをして良いのかと罪悪感を感じてしまう。
「シャリファ、そんな心配そうな顔をしないで。私が貴方の事を一方的に気に入ったんですもの。何も気にしなくて良いわ。それに……きっとあの子も貴方の事を気に入るわ」
そう言って、ベルタさんは再度ティーカップを手に取り、紅茶を飲んでいた。実はここに来る途中で私が子供を作る相手の事をざっくりと聞かされたのだ。
「ベルタさんの義弟さんですよね?」
「えぇ、夫の弟なの。真面目な子だから貴方と相性良いと思うんだけど……懸念があるとすれば、義弟の妻ね」
「……つ、妻?」
私は頭をガツンと鈍器で殴られたような感覚に陥った。
ど、どう言う事なの? まさか、義弟さんはご結婚されていらっしゃる……? じょ、冗談よね? あ……もしかして、産めない事情があるとか? ハッ……もしや、ベルタさん夫妻には別の思惑があって、私は義弟さんの不倫相手として送り込まれるの!?
頭の中は既にパニック状態だった。その話を義弟さんと会う前に聞けただけで良かったけど、単に子供を産むだけじゃないのかな?
あぁ……どうしよう。段々、思考がマイナス寄りになっていく。私は元々、抱え込む性質の人間。こうなったらもう止まらなかった。
「うーん、そうね。最初は貴方を義弟に紹介して、それから––––。えっ!? ど、どうしてそんな泣きそうな顔をしているの!?」
私はどんよりと気分が沈んでいた。まさか、自分が他人の家庭に割り入り、夫婦仲を裂くような役割を担っているなんて……と思い込んでしまったのだ。
「ベルタさん……私、不倫は嫌です」
私は初めて不快感を露わにした。それを聞いたベルタさんがキョトンとした表情をした後、アハハッ! と涙を流しながら笑い始めた。
「あぁ、なんだそういう事ね! 大丈夫よ、シャリファ。義弟夫婦は親の取り決めで夫婦になっただけの仲なのよ。それに、年々溝は深くなるばかりでね。私達も見てられなくて、貴方を義弟に紹介する為に引き取ったのよ」
「そう……なんですか?」
ベルタは硬い表情をしたままの私の頬を両手で挟み込んだ。
「本当の事だから安心して。何かあったら私を頼れば良いし……それより、買い物続行よ! シャリファ、次はこれを着てみて! 貴方はこういう服も似合うと思うの!」
ベルタが次に持ってきたのは普段使いできるようなデニムシャツと白のパンツやチェック柄の巻きスカートに春物のニットを山のように手渡してきた。
「こ、こんなに沢山……」
「後、これとこれも試着よろしくね! この店を出たら……次は下着を買いに行きましょ♡」
その言葉を聞いた私は驚いて目を丸くさせながら「し、失礼します……」と返事をしてそっと扉を閉めた。ふと顔を上げて鏡を見てみると、恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になっていた。
「さぁ、シャリファ! どっちのお洋服が良い? 好きな方を選んで?」
「えっと……ど、どっちでも?」
高級ブティックのフィッティングルームの前でベルタさんが目を輝かせながら立っている。彼女の左手には光沢のある大人っぽい黒のワンピースが。右手には春らしいロング丈の水色のレースワンピースが握られていたが、私は非常に困っていた。
何故なら、このような高級ブティックに入店するのは三軒目なのだ。しかも、私専用のお洋服は既に五着程購入しているのにも関わらず、彼女はまだまだ買う気でいるらしい。
うぅ……まさか、こんな展開になるなんて。私、お金は持ってないんだけどなぁ。後からお金を請求されたりしたら、どうすれば良いんだろう。
私は心の中で悶々と悩んでいた。とにかく値段が気になって仕方がない。さっきの店で服を試着した時は怖くて値札を見れなかった。だが、会計をした時にベルタさんの財布から出された札束の量を見て、目が飛び出るくらいにギョッとしたのは記憶に新しい。確実に今までで見た事のない値段の物を購入して頂いているに違いないのだ。
あぁ……もうこうなったらヤケクソよ。流れに身を任せるの。ここで機嫌を損ねて施設に逆戻りしたら、皆に笑われちゃうわ。
ベルタさんは私の胸中なんて梅雨知らず「貴方の好みが知りたいから、どっちでもはなし。さぁ、早く決めて頂戴!」と笑顔で急かしてきた。
私は彼女の手に持っている黒と水色のワンピースを見る。黒は施設にいた頃の服装を連想させるから嫌だし、水色は着た事のない色だから着てみたい。
私はプルプルと指を震わせながら、遠慮がちに水色のワンピースを指さした。
「じゃあ……水色のワンピースで」
「分かったわ。試着したらちゃんと出てきてね」
ベルタさんにワンピースが手渡されたと同時に店員さんが「失礼します」と笑顔でフィッティングルームの扉を閉めた。
扉が閉まった途端、私は扉に背を向けてワンピースを抱き抱えながら力無く蹲み込んだ。そして、鏡に映った疲れた顔をしている自分の顔を見つめて独り言を呟く。
「うぅ……どうしてこんな展開に?」
心の中で思っていた事を実際に口に出して言ってみると、施設にいた頃の記憶が蘇ってきた。
なんだか変な感じ。昨日までは子供達の面倒を見ながら、ヴェロニカと楽しく過ごしてたのになぁ……自分が場違いすぎて嫌になっちゃう。
ベルタさんはシフォンブラウスに足が長く見えるスラッとしたパンツを着用し、ヒールを合わせた高級感のある装いをしている。それに対し、私は頭の天辺から爪先まで安っぽい格好をしているから余計に恥ずかしく感じるのだ。
人の目が気になる私は、一緒にいて恥ずかしくないのかな……とか、店員さん達がジロジロ見てきてヤダな……とか色々考えてしまう。
「はぁ……この短い時間に色々ありすぎだよぉぉ……」
さっきから溜息が止まらなかった。施設の前でヴェロニカと涙のお別れした後、車で迎えにきてくれていたベルタさんが私の格好を見て「せっかくだから、あの子に会う前にうんとお粧ししちゃいましょう♡」という流れになったのだ。
「なんだかヴェロニカに申し訳ないな……」
私はそう思いつつも手に持っていた水色のワンピースを自分に当ててみた。施設にいた頃では考えられなかった綿と麻以外の素材でできた服に流行りのシルエット。それが今、私の手にあるだなんて不思議な気分だ。
「…………この服、いくらかしら?」
怖くて値段は見ないでおこうと思ったのに、やはり私は根っからの貧乏人。値段が気になってしょうがない。
私は一呼吸置いてから服に付いている長方形のタグを取ってみる。すると、見たことを後悔するような数字がズラッと書かれていた。
「ゼ、ゼロが……五つ!? こ、こんなにするの!?」
私は膝から崩れ落ちそうになった。動揺しすぎてハンガーを落としそうになったが、衣服ごとギュッと抱き締めたお陰でどうにか落とさずに済んだ。
「どうしよう……私、絶対に子供を産まなきゃ。じゃないと、ただの穀潰しになっちゃう!」
服を持ったままプレッシャーを感じていると、店員さんがコンコンコンと扉をノックしてきた。
「お嬢様、いかがですか?」
「は、はい! 今、出ます!」
私は慌てて服を脱いで、ベルタに手渡された水色のレースワンピースに袖を通す。すると、鏡に映った自分の姿を見て私は「わぁ……凄く可愛い」と感嘆の声をあげてしまった。
自分で言うのもおかしいが、とてもよく似合っている。特にレースに縫い込まれている花の刺繍とこのスカートの広がり方がどうしようもなく気に入ってしまったのだった。
「お待たせしました、ベルタさんっ!」
私はフィッティングルームを急いで出ると、ベルタさんは足を組みながら店で出された紅茶を優雅に飲んでいた。
「お嬢様。これと合わせると凄く可愛いですよ」
「あ、ありがとうございます……」
私は店員さんに促されるまま用意してくれた白のミュールを履き、ベルタさんの前でクルッと一周回りながら「ど、どうでしょうか?」とお伺いを立てる。
すると、ベルタさんは無表情で私をジッと見てきた。この表情は孤児院で初めて会った時と同じ表情だから少し緊張してしまう。顔見知りとなった今でもジロジロと観察されるのは変わらず苦手みたいだ。
「……むむ」
「な、何か問題がありますか……?」
恐る恐る聞いてみると、ベルタはパァッと花が開いたような可愛らしい表情を見せた。
「すっごく……すっごく可愛いわ! どうしようっ、私の購買意欲が高まってきたわ~! こうなったら、ウィルに怒られても良い……私の貯金を使っちゃいましょう♡」
「え? えぇっ!? ちょ、あの! 私、お金持ってない––––」
「気にしない、気にしない! 私が買いたいんだから! とりあえず、その靴も含めて買っちゃいましょうか。これも買うからお願いね」
ベルタさんがそう言うと、店員は頭を下げて「かしこまりました」と告げ、バックヤードへと向かっていった。
……頭が痛くなってきた。さっきまで私は孤児だったのに、この待遇の良さ。どうしよう、ヴェロニカはこれから大変な思いをするのに私はこんな良い思いをして良いのかと罪悪感を感じてしまう。
「シャリファ、そんな心配そうな顔をしないで。私が貴方の事を一方的に気に入ったんですもの。何も気にしなくて良いわ。それに……きっとあの子も貴方の事を気に入るわ」
そう言って、ベルタさんは再度ティーカップを手に取り、紅茶を飲んでいた。実はここに来る途中で私が子供を作る相手の事をざっくりと聞かされたのだ。
「ベルタさんの義弟さんですよね?」
「えぇ、夫の弟なの。真面目な子だから貴方と相性良いと思うんだけど……懸念があるとすれば、義弟の妻ね」
「……つ、妻?」
私は頭をガツンと鈍器で殴られたような感覚に陥った。
ど、どう言う事なの? まさか、義弟さんはご結婚されていらっしゃる……? じょ、冗談よね? あ……もしかして、産めない事情があるとか? ハッ……もしや、ベルタさん夫妻には別の思惑があって、私は義弟さんの不倫相手として送り込まれるの!?
頭の中は既にパニック状態だった。その話を義弟さんと会う前に聞けただけで良かったけど、単に子供を産むだけじゃないのかな?
あぁ……どうしよう。段々、思考がマイナス寄りになっていく。私は元々、抱え込む性質の人間。こうなったらもう止まらなかった。
「うーん、そうね。最初は貴方を義弟に紹介して、それから––––。えっ!? ど、どうしてそんな泣きそうな顔をしているの!?」
私はどんよりと気分が沈んでいた。まさか、自分が他人の家庭に割り入り、夫婦仲を裂くような役割を担っているなんて……と思い込んでしまったのだ。
「ベルタさん……私、不倫は嫌です」
私は初めて不快感を露わにした。それを聞いたベルタさんがキョトンとした表情をした後、アハハッ! と涙を流しながら笑い始めた。
「あぁ、なんだそういう事ね! 大丈夫よ、シャリファ。義弟夫婦は親の取り決めで夫婦になっただけの仲なのよ。それに、年々溝は深くなるばかりでね。私達も見てられなくて、貴方を義弟に紹介する為に引き取ったのよ」
「そう……なんですか?」
ベルタは硬い表情をしたままの私の頬を両手で挟み込んだ。
「本当の事だから安心して。何かあったら私を頼れば良いし……それより、買い物続行よ! シャリファ、次はこれを着てみて! 貴方はこういう服も似合うと思うの!」
ベルタが次に持ってきたのは普段使いできるようなデニムシャツと白のパンツやチェック柄の巻きスカートに春物のニットを山のように手渡してきた。
「こ、こんなに沢山……」
「後、これとこれも試着よろしくね! この店を出たら……次は下着を買いに行きましょ♡」
その言葉を聞いた私は驚いて目を丸くさせながら「し、失礼します……」と返事をしてそっと扉を閉めた。ふと顔を上げて鏡を見てみると、恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になっていた。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
冷徹義兄の密やかな熱愛
橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。
普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。
※王道ヒーローではありません
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話
束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。
クライヴには想い人がいるという噂があった。
それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。
晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
【書籍化・取り下げ予定】あなたたちのことなんて知らない
gacchi
恋愛
母親と旅をしていたニナは精霊の愛し子だということが知られ、精霊教会に捕まってしまった。母親を人質にされ、この国にとどまることを国王に強要される。仕方なく侯爵家の養女ニネットとなったが、精霊の愛し子だとは知らない義母と義妹、そして婚約者の第三王子カミーユには愛人の子だと思われて嫌われていた。だが、ニネットに虐げられたと嘘をついた義妹のおかげで婚約は解消される。それでも精霊の愛し子を利用したい国王はニネットに新しい婚約者候補を用意した。そこで出会ったのは、ニネットの本当の姿が見える公爵令息ルシアンだった。書籍化予定です。取り下げになります。詳しい情報は決まり次第お知らせいたします。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる