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◇006/兄貴分と弟分

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「9年って早いな」

  初めて会った時はまだ16歳になる前で、リアンなんて俺よりも小さくて頼りなかったのに、気が付けば背丈は少しだけ抜かれた。7月生まれのリアンは既に25になり、あと2ヶ月もすれば自分も誕生日を迎える。リアンとバディを組めなかったのは初配属後の1年間だけ。それ以外は同じ所属でいる。

「腐れ縁もここまで来ると意図的だろ」

  左手で水色の缶を取ると、ぐっとサイダーテイストのアルコールを呷る。

「お陰で彼女すら作れねぇ。仕事を回し過ぎだ。軍部も…兄貴も」

  飲みきった缶をローテーブルに置くと、アルミ缶特有の甲高い音を辺りに響かせた。

──寝よう。

  リアンにベッドを渡してしまったから、自分はリビングのソファーで寝るしかない。さすがにそのままでは寒い。エアコンは入ってはいるがせめて毛布は必要だろう。
  そっと静かにベッドルームへと踏み込む。クローゼットを全開し、予備の毛布を手探りで探し当てた。ふと自分のベッドを占領している相方に目をやる。さっきとは違う体勢で寝ている相方。女が見たらこれを可愛いとでも言うのだろうか?俺にはわからねぇ。

  もう周囲の誰もがそれを当たり前にしている。時に他部隊の人間からも兄弟扱いされる。逆に当たり前になり過ぎて、いつか訪れる『当たり前ではなくなる時』を迎えたらどうなるのだろうか?とさえ思う。まぁそれは、訪れたその時に考えるしかない。
  全ては必然、きっとこの関係にも意味がある。

  明日もやる事はいっぱいある…。割り込み仕事もきっとある…。あー、朝、少し早目に起きてリアンを自宅に帰さなきゃだ…。起きれるか…?

  毛布にくるまり、ゆらゆらとする朦朧の世界へと入り込んで行く。

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