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1章
先手
しおりを挟む「皇太子様!!!!大変です!!」
とある城の一室に、ラティス王国にスパイとして潜入していた文官の一人が、文官らしくない足音を荒立てながら飛び込んできた。
「なんだ!何があったんだ?」
「ラティス王国が、聖女召喚を行いました!」
「なんだと?遂にバカ国は禁術魔法を使ったかっ!いつかはある意味何かをやらかしてくれると思ったぜ。
で、お前がそんなに急いで戻ってくるんだ。他に何かあったんだろ?」
「は、はい!そうなんです!!
実は、聖女として召喚された娘は三人いたのですが……精霊様に尋ねた所、二人の魂は物凄い穢れを纏っているそうですして、しかもその二人を聖女と認め婚約すると王子達が言い出しまして.....唯一の穢れなき魂の持ち主の少女を〝追放〟しました!!!
多分、その少女が本当の聖女様です!!
つまりラティス王国は、本当の聖女を追放したのです!!!
これは、由々しき事態です!どうしますか、皇太子様。」
「なんだと!!
オルガ、父上に今すぐに伝えに行け!急ぐんだ!!」
皇太子と呼ばれた彼は、側仕えの騎士に言伝を頼んだ。
「そうだな.....父上に出来なくて俺達ができること.........
そうか!
よし。俺達は今すぐこの国を発ち聖女様を迎えに行くぞ!!
すぐ、竜騎士と龍騎士全てが出られる準備をするんだ!」
「ほ、本気ですか!?この二つの騎士団を出すと言うことは、宣戦布告も軽く意味をしますが.........陛下の許可もなくよろしいのですか?」
「何を聞く、私はこの国の次期皇帝だぞ。
聖女はとても貴重な存在.........これが他国に知れれば、どうなるか嫌でも分かるだろう??
だからこそ、俺は他国に聖女が監禁でもされる前に、救わなければならんのだ。」
「!!!そうでした。私としたことが.........
貴方様を甘く見ていたようですね.........わかりました。すぐ、準備を致します。
皇太子様も準備をなさってください。これから向かうのは、聖女様の元なんですからもし、何かあった時のためにも、正装の方がいいでしょう。いかにも、皇太子という風貌を醸し出していた方がよろしいかと。貴方様に惚れてくれるかもしれませんよ?」
「そ、そうか!よし。すぐ、準備をしよう!
では、城門前の広場に半刻後集合だ!」
「(案外、この人もチョロいんだよな........)わかりました。では、失礼します。」
皇太子付きの文官のアレルは、かなり頭の切れる強者である。多くの貴族にも慕われている彼の言うことを、無視するものは居ないだろう......
そして、今日もアレルは皇太子の発言により、軽く胃痛を覚えることになるのだった.........
_________
(said:皇帝)
バタバタバタバタ
ん?なんだ?今日はやけに騒がしいな.........
「皇帝様!!!大変です!!」
「なにがあった!?」
「ラティス王国が禁術魔法を使い、聖女を呼び出しました!!」
「なんだと!!!国際法で禁止したはずなのに、バカ国は何をやっておるのだ!!」
「それが.........現国王が病に伏せている隙を見て、バカ王子二人がやらかしたようです。」
「.........はぁ......何をやってくれとるのだ。
それで、まだ続きがあるのだろう?」
「.........はい。実は召喚された聖女は三人いたのですが、そのうちの二人は物凄い穢れを纏っているらしいのです。でも、それに気づかない王子達はその二人と婚約するといい、唯一の穢れなき魂の持ち主の少女を追放したのです。」
「.........バカだなそれは。穢れなんてもんは、赤子でも見えるってのに、本当に精霊に嫌われて見放されてるんだな、あの国は。
それで、もうアティルスは動いたのだろう?
そうだな.........竜騎士と龍騎士でも連れていったんじゃないか?」
「!!はい!そうなんです!なぜわかったのですか!?」
「それは、もちろん息子だからに決まっているだろう?」
「........はい、そうでしたね。皇太子様は、まるで昔の陛下のようですね(ふふっ)。」
何を言ってくれるんだ!!このろくでなし宰相め!(※宰相に、仕事を押し付けられる腹いせに勝手にそう言っているだけで、宰相はとてもいい人物です!)
「そんなことはないはずだ!!」
「いや、そうなんですって。素直に認めましょうよ、陛下。」
「み、認めんぞ!」
「往生際が悪いですね.........お仕置きされたいですか?」
そ、そんなことを言われても、絶対に認めてなんぞやるか!(←宰相のお仕置きが、皇帝でも怖がるらしい)
アティルスが帰ってきたら、なんて声をかけようか.........宰相のせいで.....(クソっ💢)
早く聖女とともに戻ってこい、アティルス。
そして、誰かこの宰相をどうにかしてくれ.......
そろそろ胃に穴が開きそうなんだが.........
誰か.........
_________
皇帝さん、とても苦労人のようですね(^ー^* )フフ♪類は友を呼ぶのでしょうね(┌ ¯﹀¯ )┌✨
次回予告:もう一つの出会い、です!
主人公の視点になります。お楽しみに~♡♡
今週中に更新予定です((( ノ*OωO)ノ
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