追放された私が、本当の聖女ですがなにか??

天音 翔

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 「皇太子様!!!!大変です!!」
 とある城の一室に、ラティス王国にスパイとして潜入していた文官の一人が、文官らしくない足音を荒立てながら飛び込んできた。

 「なんだ!何があったんだ?」

 「ラティス王国が、聖女召喚を行いました!」

 「なんだと?遂に国は禁術魔法を使ったかっ!いつかはある意味何かをやらかしてくれると思ったぜ。
 で、お前がそんなに急いで戻ってくるんだ。他に何かあったんだろ?」

 「は、はい!そうなんです!!
 実は、聖女として召喚された娘は三人いたのですが……精霊様に尋ねた所、二人の魂は物凄い穢れを纏っているそうですして、しかもその二人を聖女と認め婚約すると王子達が言い出しまして.....唯一の穢れなき魂の持ち主の少女を〝追放〟しました!!!

 多分、その少女が本当の聖女様です!!

 つまりラティス王国は、本当の聖女をしたのです!!!

 これは、由々しき事態です!どうしますか、皇太子様。」

 「なんだと!!
 オルガ、父上に今すぐに伝えに行け!急ぐんだ!!」
 皇太子と呼ばれた彼は、側仕えの騎士に言伝を頼んだ。

 「そうだな.....父上に出来なくて俺達ができること.........

 そうか!

 よし。俺達は今すぐこの国を発ち聖女様を迎えに行くぞ!!
 すぐ、騎士と騎士全てが出られる準備をするんだ!」

 「ほ、本気ですか!?この二つの騎士団を出すと言うことは、宣戦布告も意味をしますが.........陛下の許可もなくよろしいのですか?」

 「何を聞く、私はこの国の次期皇帝だぞ。
 聖女はとても貴重な存在.........これが他国に知れれば、どうなるか嫌でも分かるだろう??
 だからこそ、俺は他国に聖女が監禁でもされる前に、救わなければならんのだ。」

 「!!!そうでした。私としたことが.........
 貴方様を甘く見ていたようですね.........わかりました。すぐ、準備を致します。

 皇太子様も準備をなさってください。これから向かうのは、聖女様の元なんですからもし、何かあった時のためにも、正装の方がいいでしょう。いかにも、皇太子という風貌を醸し出していた方がよろしいかと。貴方様に惚れてくれるかもしれませんよ?」

 「そ、そうか!よし。すぐ、準備をしよう!
 では、城門前の広場に半刻後集合だ!」

 「(案外、この人もチョロいんだよな........)わかりました。では、失礼します。」
 皇太子付きの文官のアレルは、かなり頭の切れる強者である。多くの貴族にも慕われている彼の言うことを、無視するものは居ないだろう......
 そして、今日もアレルは皇太子の発言により、軽く胃痛を覚えることになるのだった.........




 _________

 (said:皇帝)
 
 バタバタバタバタ

 ん?なんだ?今日はやけに騒がしいな.........

 「皇帝様!!!大変です!!」

 「なにがあった!?」

 「ラティス王国が禁術魔法を使い、聖女を呼び出しました!!」

 「なんだと!!!国際法で禁止したはずなのに、バカ国は何をやっておるのだ!!」

 「それが.........現国王が病に伏せている隙を見て、がやらかしたようです。」

 「.........はぁ......何をやってくれとるのだ。
 それで、まだ続きがあるのだろう?」

 「.........はい。実は召喚された聖女は三人いたのですが、そのうちの二人は物凄い穢れを纏っているらしいのです。でも、それに気づかない王子達はその二人と婚約するといい、唯一の穢れなき魂の持ち主の少女を追放したのです。」

 「.........バカだなそれは。穢れなんてもんは、赤子でも見えるってのに、本当に精霊に嫌われて見放されてるんだな、あの国は。

 それで、もうアティルスは動いたのだろう?
 そうだな.........竜騎士と龍騎士でも連れていったんじゃないか?」

 「!!はい!そうなんです!なぜわかったのですか!?」

 「それは、もちろん息子だからに決まっているだろう?」
 
 「........はい、そうでしたね。皇太子様は、昔の陛下のようですね(ふふっ)。」
 
 何を言ってくれるんだ!!このろくでなし宰相め!(※宰相に、仕事を押し付けられる腹いせに勝手にそう言っているだけで、宰相はとてもいい人物です!)

 「そんなことはないはずだ!!」

 「いや、そうなんですって。素直に認めましょうよ、陛下。」

 「み、認めんぞ!」

 「往生際が悪いですね.........されたいですか?」

 そ、そんなことを言われても、絶対に認めてなんぞやるか!(←宰相のお仕置きが、皇帝でも怖がるらしい)
 
 アティルスが帰ってきたら、なんて声をかけようか.........宰相のせいで.....(クソっ💢)

 早く聖女とともに戻ってこい、アティルス。
 
 そして、誰かこの宰相をどうにかしてくれ.......
 そろそろ胃に穴が開きそうなんだが.........

 誰か.........



 _________



 皇帝さん、とても苦労人のようですね(^ー^* )フフ♪類は友を呼ぶのでしょうね(┌   ¯﹀¯ )┌✨

 次回予告:もう一つの出会い、です!
 主人公の視点になります。お楽しみに~♡♡

 今週中に更新予定です((( ノ*OωO)ノ

 
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