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指輪
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普通の服に戻った時、何だか安心した。
普段からスカートを穿いていないからだろうな。
カイウスに会いに行こうと屋敷を出て、いつものように小屋に向かった。
カイウスの精神の中じゃないから、もう銀髪のカイウスに戻ってるんだろうな。
今日は指輪を渡すだけ、渡して帰ればいいんだ。
そうは思っても、毎回ここに来る時緊張する。
深呼吸して、扉に触れようとした。
指先に電流が流れて触れる手を止めた。
やっぱり約束してないから、カイウスはいないか。
うーん、どうしよう…リーズナに相談してみようかな。
小屋に背を向けて行こうと思った。
その時、後ろから扉が開くような音が聞こえた。
後ろを振り返ると、銀髪のカイウスが立っていた。
「カイウス、いきなり来てごめんね」
「……」
「カイウスに渡したいものがあって…」
「渡したいもの?」
カイウスに近付いて、手に持っていた指輪を見せた。
歪だけど、受け取ってくれるだけでいいんだ。
今度は、もっといい指輪を贈るから…仮の指輪かな。
カイウスは無表情のまま、ジッと指輪を見つめていた。
やっぱり、持ってるだけでも嫌なのかな…
「カイウス…」と声を掛けると、カイウスが動いた。
指輪を持つ俺の手を払った。
衝撃で指輪が指から落ちて、地面に転がった。
「ご、ごめんね…嫌だった?今度は上手く作るから」
「いらない」
「……えっ」
「人間からの贈り物なんていらない、二度と俺の前に現れるな」
「か、カイ…」
カイウスの名前を言おうとしたけど、その前にカイウスは小屋の中に入っていった。
払われた手が熱くて、片手で手を覆う。
周りを見渡して、指輪を探すけど暗くて見えない。
明日の朝にまた探しに行こう、あんな歪な指輪…誰も取らないから大丈夫。
深呼吸を深くして、屋敷に戻ろうと思った。
大丈夫、泣いてない…でも指輪だけでそんなに怒るとは思わなかった。
それだけじゃないような気がするけど、この前っていったらクローゼットの中での出来事だよな。
突然カイウスがいなくなったんだよな、あの時なにかあったのかもしれない。
その後カイウスに会いに行ったら、異変が起きたんだ。
カイウスと関わっているのは、神くらいか。
本人に聞いたわけじゃないから、これはただの想像でしかないけど。
とりあえず、今分かる事はカイウスに会えなくなったという事だけだ。
屋敷に戻る途中で人影が動くのが見えた。
さっきはカイウスに会いたい気持ちでいっぱいで気付かなかったが、ユリウスと大人姿のリーズナがいた。
まだ外にいたんだな、と二人のところに向かう。
近付くと、よりはっきりと二人の姿が見えた。
どうしてこうなったのか、ユリウスとリーズナはお互いの頬を引っ張り合っていた。
「何してるの?二人共」
「誰が猫男だ、この野郎!」
「テメェこそ、唐変木って俺の事を言ってただろ!」
「事実だろ!」
「俺だって見たまんまを言っただけだ!」
頬を引っ張りながら、喧嘩をしていた。
なんていうか、いつの間にか仲が良くなったんだな。
喧嘩するほど仲がいいって言うしな。
微笑ましく眺めていたら、先にリーズナがユリウスの頬を離した。
どのくらい引っ張っていたのか、ユリウスの頬が少し赤くなっていた。
ユリウスもリーズナの頬を話しながら「ふんっ」と鼻で笑っていた。
リーズナはユリウスに舌を出して煽っていて、それにまたユリウスがキレそうになっていた。
その前に俺のところに来たからユリウスのリーズナを睨む視線が俺のところにまで来て、視線が痛い。
「どうだったんだ」
「…カイウスにもう会えなくなっちゃった」
「は?なにかしたのか?」
「指輪、気に入らなかったみたいで…そりゃああんな指輪嫌だよね」
「……」
リーズナに心配掛けないように無理矢理笑顔を見せた。
でも、リーズナは無言で見ていて考え事をしていた。
また前みたいに傷付いたんだって思われないように、俺は諦めないとちゃんと言った。
普段からスカートを穿いていないからだろうな。
カイウスに会いに行こうと屋敷を出て、いつものように小屋に向かった。
カイウスの精神の中じゃないから、もう銀髪のカイウスに戻ってるんだろうな。
今日は指輪を渡すだけ、渡して帰ればいいんだ。
そうは思っても、毎回ここに来る時緊張する。
深呼吸して、扉に触れようとした。
指先に電流が流れて触れる手を止めた。
やっぱり約束してないから、カイウスはいないか。
うーん、どうしよう…リーズナに相談してみようかな。
小屋に背を向けて行こうと思った。
その時、後ろから扉が開くような音が聞こえた。
後ろを振り返ると、銀髪のカイウスが立っていた。
「カイウス、いきなり来てごめんね」
「……」
「カイウスに渡したいものがあって…」
「渡したいもの?」
カイウスに近付いて、手に持っていた指輪を見せた。
歪だけど、受け取ってくれるだけでいいんだ。
今度は、もっといい指輪を贈るから…仮の指輪かな。
カイウスは無表情のまま、ジッと指輪を見つめていた。
やっぱり、持ってるだけでも嫌なのかな…
「カイウス…」と声を掛けると、カイウスが動いた。
指輪を持つ俺の手を払った。
衝撃で指輪が指から落ちて、地面に転がった。
「ご、ごめんね…嫌だった?今度は上手く作るから」
「いらない」
「……えっ」
「人間からの贈り物なんていらない、二度と俺の前に現れるな」
「か、カイ…」
カイウスの名前を言おうとしたけど、その前にカイウスは小屋の中に入っていった。
払われた手が熱くて、片手で手を覆う。
周りを見渡して、指輪を探すけど暗くて見えない。
明日の朝にまた探しに行こう、あんな歪な指輪…誰も取らないから大丈夫。
深呼吸を深くして、屋敷に戻ろうと思った。
大丈夫、泣いてない…でも指輪だけでそんなに怒るとは思わなかった。
それだけじゃないような気がするけど、この前っていったらクローゼットの中での出来事だよな。
突然カイウスがいなくなったんだよな、あの時なにかあったのかもしれない。
その後カイウスに会いに行ったら、異変が起きたんだ。
カイウスと関わっているのは、神くらいか。
本人に聞いたわけじゃないから、これはただの想像でしかないけど。
とりあえず、今分かる事はカイウスに会えなくなったという事だけだ。
屋敷に戻る途中で人影が動くのが見えた。
さっきはカイウスに会いたい気持ちでいっぱいで気付かなかったが、ユリウスと大人姿のリーズナがいた。
まだ外にいたんだな、と二人のところに向かう。
近付くと、よりはっきりと二人の姿が見えた。
どうしてこうなったのか、ユリウスとリーズナはお互いの頬を引っ張り合っていた。
「何してるの?二人共」
「誰が猫男だ、この野郎!」
「テメェこそ、唐変木って俺の事を言ってただろ!」
「事実だろ!」
「俺だって見たまんまを言っただけだ!」
頬を引っ張りながら、喧嘩をしていた。
なんていうか、いつの間にか仲が良くなったんだな。
喧嘩するほど仲がいいって言うしな。
微笑ましく眺めていたら、先にリーズナがユリウスの頬を離した。
どのくらい引っ張っていたのか、ユリウスの頬が少し赤くなっていた。
ユリウスもリーズナの頬を話しながら「ふんっ」と鼻で笑っていた。
リーズナはユリウスに舌を出して煽っていて、それにまたユリウスがキレそうになっていた。
その前に俺のところに来たからユリウスのリーズナを睨む視線が俺のところにまで来て、視線が痛い。
「どうだったんだ」
「…カイウスにもう会えなくなっちゃった」
「は?なにかしたのか?」
「指輪、気に入らなかったみたいで…そりゃああんな指輪嫌だよね」
「……」
リーズナに心配掛けないように無理矢理笑顔を見せた。
でも、リーズナは無言で見ていて考え事をしていた。
また前みたいに傷付いたんだって思われないように、俺は諦めないとちゃんと言った。
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