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カイウスは今、死を覚悟している事を話した。
ユリウスはカイウスの家族なんだから、カイウスの事を知ってほしかった。
「…アイツが、死ぬ?そんなわけあるか、アイツを誰が殺すって言うんだ」
「カイウスだよ」
「は?何言ってんだよ」
「カイウスは貴方が言っている特別な力に殺されてしまう」
「……」
「本当に力があるのが幸せなのか?貴方だって薬を大量に飲んだ人間がどうなるか知ってるだろ」
薬の中にある魔力を大量に摂取した人間は力に耐えられず死んでしまう。
カイウスの今の状態が、それに近いんだ。
普通の人とカイウスが違う部分は、魔力を受け入れる器が体内にあるかどうかだ。
今のカイウスは器を壊されて、魔力に耐えられなくなっている。
カイウスの中に眠る人格が、カイウスが死んだ後乗っ取ろうとしている。
人格は全て同じカイウスだと思っているが、誰一人として消えてはいけないんだ。
全部同じカイウスなんだ、消えていい人格なんてない。
ユリウスにカイウスの器の話をしても、いきなりそう言われて信じてはくれなかった。
カイウスにとってユリウスに知られたくない事だったのかもしれない。
でも、このままお互い憎しみ合ってほしくなかった。
目指すべき敵は似たようなものだ、ユリウスを見ていて改心すればまだ間に合う気がした。
ユリウスを利用した俺が言えた事ではないが、俺はユリウスと共にカイウスを助けたい。
俺一人じゃ出来ない事でも、皆で力を合わせれば…たとえ神が相手でも平気だ。
ゲームだって、ユリウスは改心出来た。
マリーとの恋を知って変われた、だったら俺は別の方法でユリウスを改心させる。
「俺もずっと悪魔の子だって忌み嫌われていた、でもたった一人でも俺を見てくれて俺を助けてくれた人がいた、だから幸せだよ」
「…たった一人」
「皆に愛されなくてもいいじゃん、自分を大切にしてくれる人がいるだけで幸せだよ」
ユリウスにはそういう人はいないの?
ずっと誰かを恨み続けていたから、周りが見えていなかったんじゃないのか?
周りを見たらもしかしたら、ユリウスを想ってくれている人が案外近くにいるかもしれないよ。
それまで俺が、ユリウスを支えるよ。
いらないって振り払われても、これ以上ユリウスを悪に染めたりしない。
俺がゲームのように悪役にならなかったのはカイウスのおかげなんだ、未来は誰にだって変えられる。
「貴方がカイウスより上にならなくても、必要としている人はいるよ」
「……は、ローベルト卿の事か?アイツは俺じゃなくて俺の肩書きにしか興味なんてないだろ」
「俺は貴方を必要としてるよ……言い方はアレだけど、利用もしちゃったけど」
「あ?」
「俺の事を知りたくて、貴方に聞いてもらったのはごめんなさい」
「………変だとは思ったがやっぱりな」
ユリウスはそう言ったが、さっきのように本気で怒ってはいなかった。
利用されっぱなしではなく、俺もローベルト卿の事を聞いたからその事を許してくれた。
今のユリウスもなにか思う事があるから、何でも怒りっぽくはなくなっていた。
利用してしまったが、今は協力したいと思っている。
嫌なら無理強いはしない、決めるのはユリウスだから。
ユリウスに手を差し伸ばしたら、その手をジッと見つめていた。
「俺はカイウスを助けたい、そのために貴方…ユリウス様に協力してほしいんだ」
「カイウス?ふざけるな、そんなもの協力するわけないだろ!」
「…そっか、分かった…諦めるよ」
ユリウスの手が必要だったけど、嫌なら他の手を考えるよ。
しつこくユリウスにお願いしても、ユリウスの性格からして押しに負ける事はなさそうだ。
それに、ユリウスが長年恨んでいたユリウスを助けるって話だ。
ユリウスが決めないといけない事だから。
話は終わりだと言いたげに、壁に寄りかかっていた。
呆然とユリウスを見ると、嫌そうな顔をしていた。
「何だよ、さっさと掃除して終わらせろ」
「工房、貸してくれるの?」
「一度いいって言ったから今更ダメなんてそんな小さい事言うかよ」
てっきり貸してくれないのかと思っていた。
ユリウスに「ありがとう」って言うと「お前の仲間にならないって言ってんのに、何お礼言ってんだよ」と呆れられてしまった。
それとこれは違うと思うよ、貸してくれるんだからお礼は言うよ。
掃除を終わらせて、早速作業をしようと思っていたら地下の階段を降りる足音が聞こえた。
階段の方を見たら、ユリウスが降りてきた。
掃除に夢中になっていたからユリウスが地下からいなくなっていた事に今気付いた。
トレイに料理を乗せていて、テーブルに置いた。
俺に濡れた温かいタオルを渡してきた。
「ちゃんと拭いてから食えよ」
「いいの?」
「勘違いするな、俺からじゃなくてあのメイドがさっきのお礼に持って行けってうるさいからな」
「ありがとう、マリーにもお礼を伝えて下さい」
「自分で言え、こんな事をするのはこれっきりだ」
ユリウスはカイウスの家族なんだから、カイウスの事を知ってほしかった。
「…アイツが、死ぬ?そんなわけあるか、アイツを誰が殺すって言うんだ」
「カイウスだよ」
「は?何言ってんだよ」
「カイウスは貴方が言っている特別な力に殺されてしまう」
「……」
「本当に力があるのが幸せなのか?貴方だって薬を大量に飲んだ人間がどうなるか知ってるだろ」
薬の中にある魔力を大量に摂取した人間は力に耐えられず死んでしまう。
カイウスの今の状態が、それに近いんだ。
普通の人とカイウスが違う部分は、魔力を受け入れる器が体内にあるかどうかだ。
今のカイウスは器を壊されて、魔力に耐えられなくなっている。
カイウスの中に眠る人格が、カイウスが死んだ後乗っ取ろうとしている。
人格は全て同じカイウスだと思っているが、誰一人として消えてはいけないんだ。
全部同じカイウスなんだ、消えていい人格なんてない。
ユリウスにカイウスの器の話をしても、いきなりそう言われて信じてはくれなかった。
カイウスにとってユリウスに知られたくない事だったのかもしれない。
でも、このままお互い憎しみ合ってほしくなかった。
目指すべき敵は似たようなものだ、ユリウスを見ていて改心すればまだ間に合う気がした。
ユリウスを利用した俺が言えた事ではないが、俺はユリウスと共にカイウスを助けたい。
俺一人じゃ出来ない事でも、皆で力を合わせれば…たとえ神が相手でも平気だ。
ゲームだって、ユリウスは改心出来た。
マリーとの恋を知って変われた、だったら俺は別の方法でユリウスを改心させる。
「俺もずっと悪魔の子だって忌み嫌われていた、でもたった一人でも俺を見てくれて俺を助けてくれた人がいた、だから幸せだよ」
「…たった一人」
「皆に愛されなくてもいいじゃん、自分を大切にしてくれる人がいるだけで幸せだよ」
ユリウスにはそういう人はいないの?
ずっと誰かを恨み続けていたから、周りが見えていなかったんじゃないのか?
周りを見たらもしかしたら、ユリウスを想ってくれている人が案外近くにいるかもしれないよ。
それまで俺が、ユリウスを支えるよ。
いらないって振り払われても、これ以上ユリウスを悪に染めたりしない。
俺がゲームのように悪役にならなかったのはカイウスのおかげなんだ、未来は誰にだって変えられる。
「貴方がカイウスより上にならなくても、必要としている人はいるよ」
「……は、ローベルト卿の事か?アイツは俺じゃなくて俺の肩書きにしか興味なんてないだろ」
「俺は貴方を必要としてるよ……言い方はアレだけど、利用もしちゃったけど」
「あ?」
「俺の事を知りたくて、貴方に聞いてもらったのはごめんなさい」
「………変だとは思ったがやっぱりな」
ユリウスはそう言ったが、さっきのように本気で怒ってはいなかった。
利用されっぱなしではなく、俺もローベルト卿の事を聞いたからその事を許してくれた。
今のユリウスもなにか思う事があるから、何でも怒りっぽくはなくなっていた。
利用してしまったが、今は協力したいと思っている。
嫌なら無理強いはしない、決めるのはユリウスだから。
ユリウスに手を差し伸ばしたら、その手をジッと見つめていた。
「俺はカイウスを助けたい、そのために貴方…ユリウス様に協力してほしいんだ」
「カイウス?ふざけるな、そんなもの協力するわけないだろ!」
「…そっか、分かった…諦めるよ」
ユリウスの手が必要だったけど、嫌なら他の手を考えるよ。
しつこくユリウスにお願いしても、ユリウスの性格からして押しに負ける事はなさそうだ。
それに、ユリウスが長年恨んでいたユリウスを助けるって話だ。
ユリウスが決めないといけない事だから。
話は終わりだと言いたげに、壁に寄りかかっていた。
呆然とユリウスを見ると、嫌そうな顔をしていた。
「何だよ、さっさと掃除して終わらせろ」
「工房、貸してくれるの?」
「一度いいって言ったから今更ダメなんてそんな小さい事言うかよ」
てっきり貸してくれないのかと思っていた。
ユリウスに「ありがとう」って言うと「お前の仲間にならないって言ってんのに、何お礼言ってんだよ」と呆れられてしまった。
それとこれは違うと思うよ、貸してくれるんだからお礼は言うよ。
掃除を終わらせて、早速作業をしようと思っていたら地下の階段を降りる足音が聞こえた。
階段の方を見たら、ユリウスが降りてきた。
掃除に夢中になっていたからユリウスが地下からいなくなっていた事に今気付いた。
トレイに料理を乗せていて、テーブルに置いた。
俺に濡れた温かいタオルを渡してきた。
「ちゃんと拭いてから食えよ」
「いいの?」
「勘違いするな、俺からじゃなくてあのメイドがさっきのお礼に持って行けってうるさいからな」
「ありがとう、マリーにもお礼を伝えて下さい」
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