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神から隠す理由
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「情報?ローベルト卿の信者だらけのこの場所で誰に何を聞くんだよ」
「直接ローベルト卿の話を聞くんじゃなくて、俺は自分の事を知りたいんだ」
「知りたい?自分の事なのに何も知らねぇのかよ」
「ローベルト卿が俺を神から隠している理由が知りたいんだ、神に従っているローベルト卿がそこまでしてなんで隠すんだろうと思って」
「……それは、なんでだ?」
ユリウスも少しはなにか知っているかと思っていた。
ユリウスが知っているのは、ハイドレイから聞いた話だけだった。
そもそも他人に興味がないからなんだろうな。
神が俺を探しているのはユリウスも知っていたみたいだ、捜索部隊には参加しなかったみたいだけど…
俺を神から遠ざけているのは知らないみたいで、少し考えていた。
俺じゃダメなんだ、ユリウスならきっとローベルト卿も話してくれると思う。
「ローベルト卿が俺を隠すって事は弱みになるんじゃないかな」
「……まぁ、そうかもな」
「俺が直接言っても教えてくれないから、お願いしますユリウス様」
ユリウスは俺を一瞬だけ見て、嫌そうな顔をしながら「やるだけやるか」と言ってくれた。
きっと聞くだけなら怪しまれたり、自分に危害が及ばないと思ったのだろう。
早速今から行こうとドアに近付いたと思ったら、こちらに振り返った。
頑張れと応援すると、ユリウスが近付いてきてびっくりした。
頭を鷲掴みされて、ぎりぎりと指先に力を入れられた。
またなにかあるのかよ!?痛いから無言は止めてくれ!
「お前は何すんだ、応援だけか?舐めてんのか?」
「お、俺はローベルト卿の部屋に侵入する!」
「……は?」
「機密情報を握れるかもしれないし」
ユリウスが俺の話を聞いてくれたら、正直ローベルト卿の部屋に入る必要はなくなる。
でも、俺の出来る事はそのくらいかと思ってユリウスに言うと離してくれた。
元々入る予定だし、ユリウスに潜入するために作った道具達を見せた。
俺は夜に潜入する事を伝えると、ユリウスは「絶対にヘマして俺に迷惑掛けるな…仲間はいない、お前が一人でやったんだって言えよ」と念を押された。
分かってる、ユリウスの事を売ったりはしない。
自分のミスは自分で何とかする。
ユリウスが部屋を出ていき、俺は一人でベッドに座り込んだ。
ローベルト卿の部屋に行ったのかな。
俺は道具も作ったし、やる事がないから脳内でシュミレーションをする。
しばらくすると、ユリウスがノックもなしに部屋に入ってきた。
「………」
「ユリウス様?どうしたの?」
「お前、バカにしてるだろ」
「してないしてない!」
「…まぁ、それはいい」
ユリウスの顔色が行く前と違って暗かった。
ローベルト卿となにかあったのか?
まさか、ユリウスの作戦がバレたのか?
ユリウスの作戦はあまり慎重ではなかったけど、聞くだけで失敗するっていったい何を言ったんだ?
いや、失敗したと決まったわけじゃない…とりあえずユリウスの話を聞こう。
床に座り込んだユリウスに近付くと軽く俺を睨みつけていた。
「お前のせいでローベルト卿の秘密部隊に入れられたじゃねぇか」
「え?どういう事?秘密部隊って?」
「ローベルト卿も神なんて信じていないんだよ」
ユリウスはローベルト卿の駒として秘密部隊に入る代わりに、俺の事を教えてもらったみたいだ。
拒否したらそこで終わりなんだけど、ユリウスは聞いてきてくれた。
ローベルト卿の駒になるのは、一番嫌な筈なのに…
「ありがとう、ごめんね」と言うと、頭を手のひらで叩かれた。
しんみりした空気が嫌みたいで、ユリウスは気持ち悪いと一言だけ言っていた。
ユリウスはローベルト卿に作戦はバレていなかったみたいで、俺との関係を疑われたみたいだ。
ユリウスとの関係って、変な関係では…一応協力関係だからローベルト卿にとって疑うべき関係だろうな。
ユリウスははっきりとローベルト卿に宣言したみたいだ。
「ライムがしつこく弟子にしてくれと言っていたからしただけだって言っておいた」
「……それでいいなら、何でもいいけど」
ローベルト卿が納得しているなら、俺がなにか言う事はない。
師弟関係ならユリウスと一緒に居ても不思議じゃない、か?
仲が良くなかった二人がいきなり仲良くなったら、疑うのは分かる。
多分、納得はしてないんだろうな。
まだローベルト卿に師弟関係を疑われているんだろうけど、まさか俺達二人が裏切るとまでは思っていなさそうだな。
だからこそローベルト卿がユリウスを秘密部隊に入れたんだから。
「それで、俺の事なんだけど」
「あぁ、お前が神と対抗するための兵器なんだとよ」
「……俺が」
「悪魔の力があるからな、神に差し出してお前を失うわけにはいかないから神に隠していたみたいだな」
俺もいつの間にか秘密部隊に入れられていた。
神と戦うために俺を利用するつもりらしい。
ローベルト卿は神を殺す事は考えていないらしい、そもそも殺せない事は分かっているようだ。
あくまで、ローベルト卿に従わせるための戦いなんだ。
「直接ローベルト卿の話を聞くんじゃなくて、俺は自分の事を知りたいんだ」
「知りたい?自分の事なのに何も知らねぇのかよ」
「ローベルト卿が俺を神から隠している理由が知りたいんだ、神に従っているローベルト卿がそこまでしてなんで隠すんだろうと思って」
「……それは、なんでだ?」
ユリウスも少しはなにか知っているかと思っていた。
ユリウスが知っているのは、ハイドレイから聞いた話だけだった。
そもそも他人に興味がないからなんだろうな。
神が俺を探しているのはユリウスも知っていたみたいだ、捜索部隊には参加しなかったみたいだけど…
俺を神から遠ざけているのは知らないみたいで、少し考えていた。
俺じゃダメなんだ、ユリウスならきっとローベルト卿も話してくれると思う。
「ローベルト卿が俺を隠すって事は弱みになるんじゃないかな」
「……まぁ、そうかもな」
「俺が直接言っても教えてくれないから、お願いしますユリウス様」
ユリウスは俺を一瞬だけ見て、嫌そうな顔をしながら「やるだけやるか」と言ってくれた。
きっと聞くだけなら怪しまれたり、自分に危害が及ばないと思ったのだろう。
早速今から行こうとドアに近付いたと思ったら、こちらに振り返った。
頑張れと応援すると、ユリウスが近付いてきてびっくりした。
頭を鷲掴みされて、ぎりぎりと指先に力を入れられた。
またなにかあるのかよ!?痛いから無言は止めてくれ!
「お前は何すんだ、応援だけか?舐めてんのか?」
「お、俺はローベルト卿の部屋に侵入する!」
「……は?」
「機密情報を握れるかもしれないし」
ユリウスが俺の話を聞いてくれたら、正直ローベルト卿の部屋に入る必要はなくなる。
でも、俺の出来る事はそのくらいかと思ってユリウスに言うと離してくれた。
元々入る予定だし、ユリウスに潜入するために作った道具達を見せた。
俺は夜に潜入する事を伝えると、ユリウスは「絶対にヘマして俺に迷惑掛けるな…仲間はいない、お前が一人でやったんだって言えよ」と念を押された。
分かってる、ユリウスの事を売ったりはしない。
自分のミスは自分で何とかする。
ユリウスが部屋を出ていき、俺は一人でベッドに座り込んだ。
ローベルト卿の部屋に行ったのかな。
俺は道具も作ったし、やる事がないから脳内でシュミレーションをする。
しばらくすると、ユリウスがノックもなしに部屋に入ってきた。
「………」
「ユリウス様?どうしたの?」
「お前、バカにしてるだろ」
「してないしてない!」
「…まぁ、それはいい」
ユリウスの顔色が行く前と違って暗かった。
ローベルト卿となにかあったのか?
まさか、ユリウスの作戦がバレたのか?
ユリウスの作戦はあまり慎重ではなかったけど、聞くだけで失敗するっていったい何を言ったんだ?
いや、失敗したと決まったわけじゃない…とりあえずユリウスの話を聞こう。
床に座り込んだユリウスに近付くと軽く俺を睨みつけていた。
「お前のせいでローベルト卿の秘密部隊に入れられたじゃねぇか」
「え?どういう事?秘密部隊って?」
「ローベルト卿も神なんて信じていないんだよ」
ユリウスはローベルト卿の駒として秘密部隊に入る代わりに、俺の事を教えてもらったみたいだ。
拒否したらそこで終わりなんだけど、ユリウスは聞いてきてくれた。
ローベルト卿の駒になるのは、一番嫌な筈なのに…
「ありがとう、ごめんね」と言うと、頭を手のひらで叩かれた。
しんみりした空気が嫌みたいで、ユリウスは気持ち悪いと一言だけ言っていた。
ユリウスはローベルト卿に作戦はバレていなかったみたいで、俺との関係を疑われたみたいだ。
ユリウスとの関係って、変な関係では…一応協力関係だからローベルト卿にとって疑うべき関係だろうな。
ユリウスははっきりとローベルト卿に宣言したみたいだ。
「ライムがしつこく弟子にしてくれと言っていたからしただけだって言っておいた」
「……それでいいなら、何でもいいけど」
ローベルト卿が納得しているなら、俺がなにか言う事はない。
師弟関係ならユリウスと一緒に居ても不思議じゃない、か?
仲が良くなかった二人がいきなり仲良くなったら、疑うのは分かる。
多分、納得はしてないんだろうな。
まだローベルト卿に師弟関係を疑われているんだろうけど、まさか俺達二人が裏切るとまでは思っていなさそうだな。
だからこそローベルト卿がユリウスを秘密部隊に入れたんだから。
「それで、俺の事なんだけど」
「あぁ、お前が神と対抗するための兵器なんだとよ」
「……俺が」
「悪魔の力があるからな、神に差し出してお前を失うわけにはいかないから神に隠していたみたいだな」
俺もいつの間にか秘密部隊に入れられていた。
神と戦うために俺を利用するつもりらしい。
ローベルト卿は神を殺す事は考えていないらしい、そもそも殺せない事は分かっているようだ。
あくまで、ローベルト卿に従わせるための戦いなんだ。
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