251 / 299
ユリウスの思惑
しおりを挟む
ユリウスはジークの方を向いていた、俺達がコソコソ話しててもジークは無反応だった。
元々愛がなんなのか分からないような奴だから嫉妬もしないだろう。
いや、ジークにとっての愛は傷なんだっけ…傷を付けなきゃ嫉妬もしない。
どういう事だよ、ジークって戦場に出て戦ったら皆に愛されてるとか思っているのか?
じゃあカイウスと戦った時も内心喜んでいたのか?
顔を真っ青にする俺を放って話が進んでいる。
「コイツと話があるから、お前は出てけ」
「……」
「別に変な話じゃねぇよ、お前抜きの話がローベルト卿から来てんだよ、逆らうわけにいかねぇだろ」
ジークは一言も話さなかったが、ローベルト卿の名前が出てきて屋敷を出て行った。
なにか言いたそうに俺を見ていたが、すぐに俺は目線を外した。
ジークにちゃんとはっきり言った筈だ、ジークからの愛はいらないって…
なのになんでジークはまだ俺に執着するんだよ。
…まさか、理解していないとか?ジークならあり得る。
考え事していたら、頭を叩かれた。
わりと力を入れての手のひらだったから痛くて頭を押さえながら後ろを振り返った。
ユリウスはキレる直前の顔をしていたが、さっきからキレていたからあまり変わりがない。
「いなくなっただろ、さっさと話すぞ」
「この話って、ローベルト卿が関わってる話だったのか?」
ユリウスはローベルト卿からの話だとジークに言っていた。
もしかして、俺を神達から隠している理由に関係しているのか?
まさかローベルト卿の部屋に侵入する前から聞けるとは思わなかった。
ローベルト卿の話なんて、ロクな事でもないのは分かりきっている。
やるかどうかは置いといて、話くらいなら聞きたい。
でもユリウスは周りを気にしながらも、ため息を吐いていた。
「アホか、ああ言えばローベルト卿の犬は動かないだろうが!」
「……そうなんだ」
「もう一度聞く、ジークの野郎と繋がってないんだろうな」
「さっきも言ったけど、本当に関係ないかは…婚約だって今すぐ解消したいし」
「ローベルト卿に忠誠を誓っていない証拠は?」
「それは…」
さっき言った事が全てだって言おうとして口を閉ざした。
あれ?ジークと繋がっていない証拠の話じゃないのか?
今、ユリウスはローベルト卿に忠誠を誓っていない証拠って言わなかったか?
なんでそんな事を言うんだろう。
確かにユリウスはローベルト卿に絶対忠誠ってわけではなかった。
でも、ユリウスはローベルト卿の駒の一人で薬を持っている。
薬を飲んでいるから、それ欲しさにローベルト卿に従っている感じがした。
ローベルト卿に忠誠を誓っていない証拠なら考えればいくらでもある。
それをユリウスに言って、ユリウスがローベルト卿に告げ口しない保証はない。
俺だってユリウスと同じで、信じていないんだ。
「ユリウスはローベルト卿に従っているんじゃないのか?」
「…そんなもの、とっくに忘れた」
「なんでいきなり?」
「………いきなり、だと」
ユリウスは鋭い眼光で俺の事を睨みつけていた。
俺の胸ぐらを掴んで壁に叩きつけていた。
痛みに眉を寄せていると、ユリウスの手が震えていた。
怖いとか苦しいとかではない怒りに満ちた様子だった。
ユリウスをこうさせたのは間違いなくローベルト卿なんだろう。
俺がいなかった間、ユリウスとローベルト卿の間に何があったんだ?
「元々俺がローベルト卿の後継者になる予定だったんだ、勿論この国を支配した後にな」
「……それは、知らなかった」
「カイウスの力を手にする予定だったのは知っていた、でも俺が国王になればカイウスは用済みになるからそれまで辛抱しようと思ってた」
「カイウスを殺そうとしてたのに?」
「その前にカイウスを殺せばローベルト卿に力を見せる事が出来ると思ったからだ、結局ローベルト卿が欲しいのは強い人間だからな」
ユリウスの話をまとめると、ローベルト卿と後継者の約束をしていた。
元々ユリウスはカイウスの事が嫌いで殺そうとしているほどで、カイウスを欲していたローベルト家に入る事にした。
理由はローベルト家に入ったカイウスを殺す、ただそれだけだ。
その間にローベルト家での自分の地位を上げて、対カイウス用の武器を作っていた。
その間に、神が与えた薬が出回りユリウスが手にした。
これさえあればカイウスは確実に殺せると確信していた。
カイウスがローベルト家に入っても、ユリウスがカイウスを殺せばさらにローベルト家の地位は上がり、誰も自分に逆らわなくなる。
カイウスよりも自分の方が優れていると証明するためにも、ユリウスにとって地位は命を賭けるほど全てだった。
元々愛がなんなのか分からないような奴だから嫉妬もしないだろう。
いや、ジークにとっての愛は傷なんだっけ…傷を付けなきゃ嫉妬もしない。
どういう事だよ、ジークって戦場に出て戦ったら皆に愛されてるとか思っているのか?
じゃあカイウスと戦った時も内心喜んでいたのか?
顔を真っ青にする俺を放って話が進んでいる。
「コイツと話があるから、お前は出てけ」
「……」
「別に変な話じゃねぇよ、お前抜きの話がローベルト卿から来てんだよ、逆らうわけにいかねぇだろ」
ジークは一言も話さなかったが、ローベルト卿の名前が出てきて屋敷を出て行った。
なにか言いたそうに俺を見ていたが、すぐに俺は目線を外した。
ジークにちゃんとはっきり言った筈だ、ジークからの愛はいらないって…
なのになんでジークはまだ俺に執着するんだよ。
…まさか、理解していないとか?ジークならあり得る。
考え事していたら、頭を叩かれた。
わりと力を入れての手のひらだったから痛くて頭を押さえながら後ろを振り返った。
ユリウスはキレる直前の顔をしていたが、さっきからキレていたからあまり変わりがない。
「いなくなっただろ、さっさと話すぞ」
「この話って、ローベルト卿が関わってる話だったのか?」
ユリウスはローベルト卿からの話だとジークに言っていた。
もしかして、俺を神達から隠している理由に関係しているのか?
まさかローベルト卿の部屋に侵入する前から聞けるとは思わなかった。
ローベルト卿の話なんて、ロクな事でもないのは分かりきっている。
やるかどうかは置いといて、話くらいなら聞きたい。
でもユリウスは周りを気にしながらも、ため息を吐いていた。
「アホか、ああ言えばローベルト卿の犬は動かないだろうが!」
「……そうなんだ」
「もう一度聞く、ジークの野郎と繋がってないんだろうな」
「さっきも言ったけど、本当に関係ないかは…婚約だって今すぐ解消したいし」
「ローベルト卿に忠誠を誓っていない証拠は?」
「それは…」
さっき言った事が全てだって言おうとして口を閉ざした。
あれ?ジークと繋がっていない証拠の話じゃないのか?
今、ユリウスはローベルト卿に忠誠を誓っていない証拠って言わなかったか?
なんでそんな事を言うんだろう。
確かにユリウスはローベルト卿に絶対忠誠ってわけではなかった。
でも、ユリウスはローベルト卿の駒の一人で薬を持っている。
薬を飲んでいるから、それ欲しさにローベルト卿に従っている感じがした。
ローベルト卿に忠誠を誓っていない証拠なら考えればいくらでもある。
それをユリウスに言って、ユリウスがローベルト卿に告げ口しない保証はない。
俺だってユリウスと同じで、信じていないんだ。
「ユリウスはローベルト卿に従っているんじゃないのか?」
「…そんなもの、とっくに忘れた」
「なんでいきなり?」
「………いきなり、だと」
ユリウスは鋭い眼光で俺の事を睨みつけていた。
俺の胸ぐらを掴んで壁に叩きつけていた。
痛みに眉を寄せていると、ユリウスの手が震えていた。
怖いとか苦しいとかではない怒りに満ちた様子だった。
ユリウスをこうさせたのは間違いなくローベルト卿なんだろう。
俺がいなかった間、ユリウスとローベルト卿の間に何があったんだ?
「元々俺がローベルト卿の後継者になる予定だったんだ、勿論この国を支配した後にな」
「……それは、知らなかった」
「カイウスの力を手にする予定だったのは知っていた、でも俺が国王になればカイウスは用済みになるからそれまで辛抱しようと思ってた」
「カイウスを殺そうとしてたのに?」
「その前にカイウスを殺せばローベルト卿に力を見せる事が出来ると思ったからだ、結局ローベルト卿が欲しいのは強い人間だからな」
ユリウスの話をまとめると、ローベルト卿と後継者の約束をしていた。
元々ユリウスはカイウスの事が嫌いで殺そうとしているほどで、カイウスを欲していたローベルト家に入る事にした。
理由はローベルト家に入ったカイウスを殺す、ただそれだけだ。
その間にローベルト家での自分の地位を上げて、対カイウス用の武器を作っていた。
その間に、神が与えた薬が出回りユリウスが手にした。
これさえあればカイウスは確実に殺せると確信していた。
カイウスがローベルト家に入っても、ユリウスがカイウスを殺せばさらにローベルト家の地位は上がり、誰も自分に逆らわなくなる。
カイウスよりも自分の方が優れていると証明するためにも、ユリウスにとって地位は命を賭けるほど全てだった。
45
お気に入りに追加
8,302
あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた
しののめ
BL
クーレル侯爵家に末っ子として生まれたノエル・クーレルがなんだかんだあって、兄×2や学園の友達etc…に溺愛される???
家庭環境複雑だけれど、皆に愛されながら毎日を必死に生きる、ノエルの物語です。
R表現の際には※をつけさせて頂きます。当分は無い予定です。
現在文章の大工事中です。複数表現を改める、大きくシーンの描写を改める箇所があると思います。当時は時間が取れず以降の投稿が出来ませんでしたが、現在まで多くの方に閲覧頂いている為、改稿が終わり次第完結までの展開を書き進めようと思っております。閲覧ありがとうございます。
(第1章の改稿が完了しました。2024/11/17)
(第2章の改稿が完了しました。2024/12/18)

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる