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お詫びの贈り物
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カイウスのところに通ってから、三日目の夜がやってきた。
小屋の前に立っていて、どう入ろうか悩む。
普通に入っていいものだろうか、出禁だったら勝手に入るとさらに怒らせるよな。
扉の前で一人で攻防する事数分が経過した
結構入る事は止めて、扉の前で正座した。
今日はカイウスに贈り物があるんだ、気に入ってくれるのかは分からないけど…
これで許してくれるとは思わないけど、許してくれるまで、俺は毎日だって通って贈り物をプレゼントする。
貢ぐ男になっているが、それでも構わない。
リーズナに言ったら「なんかそれは違くないか?」と言われたけど、俺はカイウスにまた会えるまで止める気はない。
もう、ちょっとの事で不安になったりしない。
…カイウスに嫌がられたら、さすがに別の方法を探すけど…
「か、カイウス…俺、贈り物を持ってきたんだ、昨日のお詫びになればって思って」
「贈り物?」
扉に向かって話しかけていたのに、突然後ろから声が聞こえて来てびっくりして扉の方まで後ずさった。
まさかカイウスが外に出ているとは思っていなかった。
外に普通に出れるんだ…拘束されているわけじゃないから、戻れるか。
カイウスは首を傾げていて、もう一度「贈り物?」と聞いてきた。
カイウスが俺を見る表情はいつもの無表情に戻っていて、とりあえずホッと胸を撫で下ろした。
「うん、気に入ってくれるかは分からないけど」
「人間の死体か?」
「そんなもの持ってこないよ!」
どういう発想をしたら俺が死体を持ってくるのか分からない。
俺はずっと手に持っていたものをカイウスに見せた。
布で覆われた四角いもの、これはお弁当だ。
材料はハイドレイに頼んで持ってきてもらった。
材料費は後で必ず入ると言ったら「俺にも少し食わせてくれたらそれでいいよ」と言ってくれた。
そんなので良かったら、ハイドレイのぶんも毎日手作りするよ。
料理は真夜中の厨房を借りて一人で準備した。
ハイドレイのお弁当はリーズナが水魔法を保温の代わりにしてくれて保管してくれている。
俺は最初にカイウスに食べてほしくて急いで小屋の前まで来たんだ。
料理を作っていたから、時間が掛かってしまったけど…
「これは?」
「お弁当…俺が作ったんだ、嫌いなものは入ってないよ」
カイウスがよく食べる料理は把握している。
基本好き嫌いはなさそうだけど、好きなものばかりだと食べやすいだろう。
……好きな食べ物の事もカイウスは覚えていないんだろうけど…
お弁当を受け取って、眺めていたから布を開ける事から説明した。
この姿の時、普段何を食べてるんだろう。
いくら人から離れた人格になってもお腹は減る。
まさか、何も食べていないって事は…ないよね?
カイウスは俺の横を通って、小屋の扉を開いた。
「…入らないのか?」
「いいの?」
「どちらを選ぶのかは自分で決めろ」
「は、入る!」
俺がカイウスにそう言うと、一瞬だけ表情が和らいだような気がした。
それが気のせいだったとしても、俺は嬉しかった…それは変わらない事実だ。
小屋の中に入り、奥の個室にソファーがあるから向かった。
大きめのソファーが一つ、これって並んで座っていいのかな。
カイウスは端に座って布の結び目に触れていた。
一人で座る場合、真ん中に座るよな…これって俺もいいって事?
「お邪魔します」
「今日は来ないかと思ってた」
「…え?どうして?」
「いつもの時間に来なかったから」
小屋の前に立っていて、どう入ろうか悩む。
普通に入っていいものだろうか、出禁だったら勝手に入るとさらに怒らせるよな。
扉の前で一人で攻防する事数分が経過した
結構入る事は止めて、扉の前で正座した。
今日はカイウスに贈り物があるんだ、気に入ってくれるのかは分からないけど…
これで許してくれるとは思わないけど、許してくれるまで、俺は毎日だって通って贈り物をプレゼントする。
貢ぐ男になっているが、それでも構わない。
リーズナに言ったら「なんかそれは違くないか?」と言われたけど、俺はカイウスにまた会えるまで止める気はない。
もう、ちょっとの事で不安になったりしない。
…カイウスに嫌がられたら、さすがに別の方法を探すけど…
「か、カイウス…俺、贈り物を持ってきたんだ、昨日のお詫びになればって思って」
「贈り物?」
扉に向かって話しかけていたのに、突然後ろから声が聞こえて来てびっくりして扉の方まで後ずさった。
まさかカイウスが外に出ているとは思っていなかった。
外に普通に出れるんだ…拘束されているわけじゃないから、戻れるか。
カイウスは首を傾げていて、もう一度「贈り物?」と聞いてきた。
カイウスが俺を見る表情はいつもの無表情に戻っていて、とりあえずホッと胸を撫で下ろした。
「うん、気に入ってくれるかは分からないけど」
「人間の死体か?」
「そんなもの持ってこないよ!」
どういう発想をしたら俺が死体を持ってくるのか分からない。
俺はずっと手に持っていたものをカイウスに見せた。
布で覆われた四角いもの、これはお弁当だ。
材料はハイドレイに頼んで持ってきてもらった。
材料費は後で必ず入ると言ったら「俺にも少し食わせてくれたらそれでいいよ」と言ってくれた。
そんなので良かったら、ハイドレイのぶんも毎日手作りするよ。
料理は真夜中の厨房を借りて一人で準備した。
ハイドレイのお弁当はリーズナが水魔法を保温の代わりにしてくれて保管してくれている。
俺は最初にカイウスに食べてほしくて急いで小屋の前まで来たんだ。
料理を作っていたから、時間が掛かってしまったけど…
「これは?」
「お弁当…俺が作ったんだ、嫌いなものは入ってないよ」
カイウスがよく食べる料理は把握している。
基本好き嫌いはなさそうだけど、好きなものばかりだと食べやすいだろう。
……好きな食べ物の事もカイウスは覚えていないんだろうけど…
お弁当を受け取って、眺めていたから布を開ける事から説明した。
この姿の時、普段何を食べてるんだろう。
いくら人から離れた人格になってもお腹は減る。
まさか、何も食べていないって事は…ないよね?
カイウスは俺の横を通って、小屋の扉を開いた。
「…入らないのか?」
「いいの?」
「どちらを選ぶのかは自分で決めろ」
「は、入る!」
俺がカイウスにそう言うと、一瞬だけ表情が和らいだような気がした。
それが気のせいだったとしても、俺は嬉しかった…それは変わらない事実だ。
小屋の中に入り、奥の個室にソファーがあるから向かった。
大きめのソファーが一つ、これって並んで座っていいのかな。
カイウスは端に座って布の結び目に触れていた。
一人で座る場合、真ん中に座るよな…これって俺もいいって事?
「お邪魔します」
「今日は来ないかと思ってた」
「…え?どうして?」
「いつもの時間に来なかったから」
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