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遠くて近い
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「ん…んん…カイ…ウ…」
鼻先がなにかに触れてくすぐったい。
むずむずしてきて、鼻を擦る。
少ししたら、また鼻がくすぐられて我慢出来ずにくしゃみをした。
その衝撃で目が覚めてしまって、目の前で動く黒い物体を見つめた。
枕の横を見ようとしたら、頬に肉球を押しつけられた。
隣には猫の姿のリーズナが座っていて、状況を理解しようとちょっと固まった。
「……リーズナ、どうやって来たの?」
『窓を閉め忘れてたんだろ』
リーズナに言われて、部屋の窓を見ると確かに開いていた。
窓まで見てなかった、まぁリーズナならいいかな。
場所は、昨日繋げた時に分かったのかな。
ベッドから起きて、ちょっと体が痛かった。
兵士用の部屋だから仕方ないけど、これなら布団を床に敷いて寝た方がマシだな。
リーズナは部屋の中をぐるぐる見て回っていた。
離れていても同じ敷地内にカイウスがいるのが分かるのかな。
俺もリーズナみたいにカイウスの気配に敏感になれたらな、リーズナとカイウスの力が同じだから出来る事なんだろうけど…
『まだカイに会ってないんだよな』
「うん、でも地下にいる事は分かってるから」
『ここにはカイだけじゃない、気をつけろよ』
そうだ、ここにはカイウスだけじゃなく神もいる。
そして、俺を襲った神の分身もきっといる。
ローベルト家に入ったからって、神達は絶対に俺を殺しに来るだろう。
まだ神を倒すほどの力はないけど、分身は倒せるようにならないとな。
そういえばリーズナは何の用で来たんだろう。
その報告だけなら、昨日みたいに指輪で繋げれば良かったのに…
「リーズナ、なにかあった?結界は大丈夫?」
『今は落ち着いてるからな、カイの気配を感じたくて来た』
そう言ったリーズナは、床に寝転んでいた。
そこが一番カイウスの魔力を感じるのかな。
俺もリーズナの横に寝転んで、瞳を閉じた。
距離は離れているけど、この下にカイウスがいる。
集中すると、床に触れている指が少しだけピリッと電気を感じた。
これがカイウスの力?俺にも感じる事が出来て嬉しかった。
ちょっと痛いけど、それでもカイウスのなら全然平気。
「リーズナ!カイウスの魔力を感じたよ!」
『今のカイは危険な魔力の出し方をしてるから、鈍感な奴でないかぎり感じる事は出来るだろ』
「そっか、そうだよね」
カイウスは今大変な時なんだ、もしかしたら辛いのかもしれない。
この感じる魔力はカイウスの声だ、俺が救ってあげないと…
イヤーカフを外して、指輪と一緒に見つめる。
そうだ、糸を修理しないと…またユリウスが攻撃してくるかもしれない。
イヤーカフから糸を出して、リーズナに見せた。
魔力の事なら俺よりもリーズナの方が詳しい。
『随分短くなったな』
「うん、いろいろあってね…どうしたら修復出来るのかな」
『この糸そのものからは魔力を感じない、このクリスタルが魔力の源みたいだからな…中の糸を交換すればいい』
イヤーカフの本体に嵌め込まれている小さな青い宝石はカイウスの髪色のようだ。
中を変えるだけでいいなら良かった。
作業するために机に向かって、リーズナも机の上に乗った。
壊さないように中身の糸を取り出した。
代わりの糸か、どれがいいんだろう。
魔力の雷に耐えられて、頑丈な糸…なにがあるだろうか。
周りを見渡しても、それっぽいものがない。
布の糸じゃ、すぐに切れちゃうからな。
「リーズナ、なにかいい糸の代わりはない?」
『俺に言われても…お前は心当たりないのか?』
「俺も見た事ない」
二人してため息を吐いて、よく見ても武器になりそうなものがない。
ローベルト家の武器庫に入れればいいんだけどね。
どうにか入れないかな、兵士なら簡単に入れそうだけど…
リーズナも兵舎のカイウスの部屋に入って探してきてくれると言ってくれた。
このイヤーカフは未来のカイウスからもらったから、カイウスが持っていても不思議ではない。
リーズナにお願いして、俺も探してみると言った。
窓までリーズナを見送って、俺はイヤーカフを耳に付けた。
鼻先がなにかに触れてくすぐったい。
むずむずしてきて、鼻を擦る。
少ししたら、また鼻がくすぐられて我慢出来ずにくしゃみをした。
その衝撃で目が覚めてしまって、目の前で動く黒い物体を見つめた。
枕の横を見ようとしたら、頬に肉球を押しつけられた。
隣には猫の姿のリーズナが座っていて、状況を理解しようとちょっと固まった。
「……リーズナ、どうやって来たの?」
『窓を閉め忘れてたんだろ』
リーズナに言われて、部屋の窓を見ると確かに開いていた。
窓まで見てなかった、まぁリーズナならいいかな。
場所は、昨日繋げた時に分かったのかな。
ベッドから起きて、ちょっと体が痛かった。
兵士用の部屋だから仕方ないけど、これなら布団を床に敷いて寝た方がマシだな。
リーズナは部屋の中をぐるぐる見て回っていた。
離れていても同じ敷地内にカイウスがいるのが分かるのかな。
俺もリーズナみたいにカイウスの気配に敏感になれたらな、リーズナとカイウスの力が同じだから出来る事なんだろうけど…
『まだカイに会ってないんだよな』
「うん、でも地下にいる事は分かってるから」
『ここにはカイだけじゃない、気をつけろよ』
そうだ、ここにはカイウスだけじゃなく神もいる。
そして、俺を襲った神の分身もきっといる。
ローベルト家に入ったからって、神達は絶対に俺を殺しに来るだろう。
まだ神を倒すほどの力はないけど、分身は倒せるようにならないとな。
そういえばリーズナは何の用で来たんだろう。
その報告だけなら、昨日みたいに指輪で繋げれば良かったのに…
「リーズナ、なにかあった?結界は大丈夫?」
『今は落ち着いてるからな、カイの気配を感じたくて来た』
そう言ったリーズナは、床に寝転んでいた。
そこが一番カイウスの魔力を感じるのかな。
俺もリーズナの横に寝転んで、瞳を閉じた。
距離は離れているけど、この下にカイウスがいる。
集中すると、床に触れている指が少しだけピリッと電気を感じた。
これがカイウスの力?俺にも感じる事が出来て嬉しかった。
ちょっと痛いけど、それでもカイウスのなら全然平気。
「リーズナ!カイウスの魔力を感じたよ!」
『今のカイは危険な魔力の出し方をしてるから、鈍感な奴でないかぎり感じる事は出来るだろ』
「そっか、そうだよね」
カイウスは今大変な時なんだ、もしかしたら辛いのかもしれない。
この感じる魔力はカイウスの声だ、俺が救ってあげないと…
イヤーカフを外して、指輪と一緒に見つめる。
そうだ、糸を修理しないと…またユリウスが攻撃してくるかもしれない。
イヤーカフから糸を出して、リーズナに見せた。
魔力の事なら俺よりもリーズナの方が詳しい。
『随分短くなったな』
「うん、いろいろあってね…どうしたら修復出来るのかな」
『この糸そのものからは魔力を感じない、このクリスタルが魔力の源みたいだからな…中の糸を交換すればいい』
イヤーカフの本体に嵌め込まれている小さな青い宝石はカイウスの髪色のようだ。
中を変えるだけでいいなら良かった。
作業するために机に向かって、リーズナも机の上に乗った。
壊さないように中身の糸を取り出した。
代わりの糸か、どれがいいんだろう。
魔力の雷に耐えられて、頑丈な糸…なにがあるだろうか。
周りを見渡しても、それっぽいものがない。
布の糸じゃ、すぐに切れちゃうからな。
「リーズナ、なにかいい糸の代わりはない?」
『俺に言われても…お前は心当たりないのか?』
「俺も見た事ない」
二人してため息を吐いて、よく見ても武器になりそうなものがない。
ローベルト家の武器庫に入れればいいんだけどね。
どうにか入れないかな、兵士なら簡単に入れそうだけど…
リーズナも兵舎のカイウスの部屋に入って探してきてくれると言ってくれた。
このイヤーカフは未来のカイウスからもらったから、カイウスが持っていても不思議ではない。
リーズナにお願いして、俺も探してみると言った。
窓までリーズナを見送って、俺はイヤーカフを耳に付けた。
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