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嫌いな相手

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俺は息子というより、一人の兵士扱いなんだろう。
伝言を伝えてもちゃんと言ってくれるか分からないけど、とりあえず婚約破棄したい事を伝えた。
伝言を聞いた兵士が俺を見て同情したような顔をしていた。

同情するなら、ちゃんと伝えてくれよ。

でも、俺をローベルト家に連れ戻す前に婚約者を決めたのは何なんだろう。
カイウスが手に入ったから、俺の力が必要なくなって俺を歓迎していなかったんだろう。
元々、俺の事をお荷物だと思っていた家族だし…

力ではいらないから、政略結婚に使おうとしたのか?

男の俺だから、子供を望んでいるわけではない筈だ。
じゃあなんで政略結婚なんてさせるんだ?
その話もしたかったんだけどな。

ローベルト卿の部屋から離れて、待機って何をすればいいのか考える。

カイウスがいる手がかりが何処かにあるかもしれない。
屋敷の中なら自由に過ごせるなんて、こんなチャンスを逃すと今後ないかもしれない。

それに、俺が気になってる答えを誰か知ってるかもしれない。

ジークは、会いたくないな…何となく…

まずはやはり、地下の扉だよな。

大切なカイウスがいるから、また兵士がいるだろうかと思っていたが誰もいなかった。
前に見た時もいなかったけど、今とは状況が違う。
でも俺にとっては好都合だ。

近付こうとした瞬間、指輪が光ってバチッと少し強い静電気が指先に伝わった。

見張りの兵士がいない理由が分かった。
誰も扉に近付けなくなったんだ。
だから兵士がいなくても、誰も入れない。

魔力を無効化出来る俺でさえ、無理なんだ…カイウスの力が今までより桁違いなんだろう。
それでも、ここを突破しないとカイウスに会えないのは間違いない。

もう一度近付こうとしたら、後ろから気配を感じた。
分かりやすい、肌に突き刺さる殺気だ。

振り向くのと同時に体をずらすと、ナイフが飛んできた。
ナイフはカイウスの魔力に当たり、通る事ができず床に落ちた。

後ろには俺を睨みつけるユリウスがいた。

「…チッ」

「何を…」

「いくらローベルト家がお前を仲間に認めても俺は認めねぇぞ!」

「…別に認めてもらおうなんて」

「お前さえ来なければ、あの男が権力を握る事はなかったんだ」

ユリウスは腰からまたナイフを取り出していた。

権力ってなんだ?ユリウスが俺を追い出そうとしている事となにか関係があるのか?
最初からユリウスは攻撃的だった。

俺が嫌いな事と、元々の性格もあるだろうがそれ以外にもありそうだ。

俺に関係がある男…ユリウスが知っている俺の関係者って…ジーク?
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