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第二障害物突破
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翌朝になり、カイウスは早めに仕事に行ってしまった。
まさか、中にカイウスが入ったまま起きてしまうとは思わなかった。
朝は慌ただしかったからそれ以上の事はなかったが、刺激が強すぎたな。
カイウスとキスをして、見送った。
食器を片付けていると、後ろから気配を感じて勢いよく振り返った。
後ろにいたのは無言の圧を感じる人間の姿のリーズナだった。
なんだリーズナか、びっくりした。
「俺との修行は余裕か?」
「…え?なにが?」
「遊びか?遊びに思えるほどか?」
もしかして、昨日の事を言っているのか?
あれはカイウスに納得してもらうために言っただけだから、本当にそう思っていたわけではない。
リーズナにそう説明すると、リーズナは不満そうな顔しつつも俺に背中を向ける。
怒らせてしまったみたいで、リーズナの背に「ごめんなさい」と謝った。
リーズナはチラッと俺を見て、さっさと来いと合図した。
リーズナに許してもらうなら、行動で示さないとな。
あの時は不意打ちで沼にはまってしまった。
足をずっと動かせば沼は攻略出来そうだ。
訓練所の入り口で濡れないようにズボンの裾を上げる。
カイウスにもらった指輪が小さな光が放ったような気がした。
カイウスも見守ってくれているようで、元気が出た。
激しい事をした後の日に全力疾走はキツいかと思ったが、疲れがないどころかやる気が溢れてくる。
入り口から一気に走り、山を登り沼に足を踏み入れた。
そして、沼より高く足を上げながら先に進む。
結局裾を上げても、腰まで泥に浸かってしまった。
でも、向こう側まで手を伸ばせば届く。
沼から脱出して、小さく息を吐いた。
「沼も行けた、次だ!」
まだ体力が有り余っていて、次の場所に向かう。
リーズナはもう先に行っているのか何処にもない。
次は洞窟みたいで、警戒しながら中に入る。
暗いな、明かりとかないのか?
俺の足元を揺らすなにかがあるが、全然見えない。
だんだん足元の揺れが激しくなってきて、なにかが近付いてくる。
指輪がさっきよりも光っていて、目の前にかざすとさっきよりも明るい光が照らした。
そこにあったのは巨大な岩だった。
「うわぁぁ!!!」
引き返して、全速力で走った。
洞窟を抜けて、さっきの沼の泥で滑りやすくなっていて転けた。
まだ体力があるけど、精神的に怖くて疲れた。
リーズナはいつの間にかトンネルの上に座っていた。
手が届かないところにいるから捕まえるのは無理そうだ。
それどころか、大きなため息を吐いて呆れていた。
「岩くらい受け止めろよ」
「そんな無茶な…」
「無茶じゃねぇよ、恐怖に打ち勝つ事が出来なきゃ洞窟は抜けられない」
「どういう事?」
「それくらい自分で考えろよ」
そう言ったリーズナは立ち上がって、先に行ってしまった。
恐怖に打ち勝つ…岩の事を恐れてはいけない。
でも、あんなの受け止めようとしたら死んでしまう。
それが恐怖?リーズナの言う通り、受け止めなきゃいけないのか。
もう一度洞窟を覗くと、岩は何処にもなかった。
あんな大きな岩が消えるなんて事ないよな。
恐る恐る洞窟の中に入った。
半分も行かないうちにまた足元が揺れた。
大きな音と立っているのがやっとなくらい揺れる地面。
もう見なくてもそれがなんなのか分かった。
「受け止める、大丈夫だ…俺なら…俺、なら…」
そう自分に言い聞かせても、心の何処かが怖いと警報を鳴らす。
気付いたら、足は逆戻りしてしまった。
洞窟の入り口で座り込んで、息を吐いた。
なんでこんな怖いんだ?リーズナと戦った時はここまで怖くなかった。
自分より大きなものが、視界が真っ暗の中立ち向かわなくてはいけない。
それが怖いのかもしれない。
「どうした?ここでリタイアか?」
「だ、大丈夫だ…俺は大丈夫」
「そんな全身震えてるくせに、カイウスに泣きついてもいいんだぞ」
まさか、中にカイウスが入ったまま起きてしまうとは思わなかった。
朝は慌ただしかったからそれ以上の事はなかったが、刺激が強すぎたな。
カイウスとキスをして、見送った。
食器を片付けていると、後ろから気配を感じて勢いよく振り返った。
後ろにいたのは無言の圧を感じる人間の姿のリーズナだった。
なんだリーズナか、びっくりした。
「俺との修行は余裕か?」
「…え?なにが?」
「遊びか?遊びに思えるほどか?」
もしかして、昨日の事を言っているのか?
あれはカイウスに納得してもらうために言っただけだから、本当にそう思っていたわけではない。
リーズナにそう説明すると、リーズナは不満そうな顔しつつも俺に背中を向ける。
怒らせてしまったみたいで、リーズナの背に「ごめんなさい」と謝った。
リーズナはチラッと俺を見て、さっさと来いと合図した。
リーズナに許してもらうなら、行動で示さないとな。
あの時は不意打ちで沼にはまってしまった。
足をずっと動かせば沼は攻略出来そうだ。
訓練所の入り口で濡れないようにズボンの裾を上げる。
カイウスにもらった指輪が小さな光が放ったような気がした。
カイウスも見守ってくれているようで、元気が出た。
激しい事をした後の日に全力疾走はキツいかと思ったが、疲れがないどころかやる気が溢れてくる。
入り口から一気に走り、山を登り沼に足を踏み入れた。
そして、沼より高く足を上げながら先に進む。
結局裾を上げても、腰まで泥に浸かってしまった。
でも、向こう側まで手を伸ばせば届く。
沼から脱出して、小さく息を吐いた。
「沼も行けた、次だ!」
まだ体力が有り余っていて、次の場所に向かう。
リーズナはもう先に行っているのか何処にもない。
次は洞窟みたいで、警戒しながら中に入る。
暗いな、明かりとかないのか?
俺の足元を揺らすなにかがあるが、全然見えない。
だんだん足元の揺れが激しくなってきて、なにかが近付いてくる。
指輪がさっきよりも光っていて、目の前にかざすとさっきよりも明るい光が照らした。
そこにあったのは巨大な岩だった。
「うわぁぁ!!!」
引き返して、全速力で走った。
洞窟を抜けて、さっきの沼の泥で滑りやすくなっていて転けた。
まだ体力があるけど、精神的に怖くて疲れた。
リーズナはいつの間にかトンネルの上に座っていた。
手が届かないところにいるから捕まえるのは無理そうだ。
それどころか、大きなため息を吐いて呆れていた。
「岩くらい受け止めろよ」
「そんな無茶な…」
「無茶じゃねぇよ、恐怖に打ち勝つ事が出来なきゃ洞窟は抜けられない」
「どういう事?」
「それくらい自分で考えろよ」
そう言ったリーズナは立ち上がって、先に行ってしまった。
恐怖に打ち勝つ…岩の事を恐れてはいけない。
でも、あんなの受け止めようとしたら死んでしまう。
それが恐怖?リーズナの言う通り、受け止めなきゃいけないのか。
もう一度洞窟を覗くと、岩は何処にもなかった。
あんな大きな岩が消えるなんて事ないよな。
恐る恐る洞窟の中に入った。
半分も行かないうちにまた足元が揺れた。
大きな音と立っているのがやっとなくらい揺れる地面。
もう見なくてもそれがなんなのか分かった。
「受け止める、大丈夫だ…俺なら…俺、なら…」
そう自分に言い聞かせても、心の何処かが怖いと警報を鳴らす。
気付いたら、足は逆戻りしてしまった。
洞窟の入り口で座り込んで、息を吐いた。
なんでこんな怖いんだ?リーズナと戦った時はここまで怖くなかった。
自分より大きなものが、視界が真っ暗の中立ち向かわなくてはいけない。
それが怖いのかもしれない。
「どうした?ここでリタイアか?」
「だ、大丈夫だ…俺は大丈夫」
「そんな全身震えてるくせに、カイウスに泣きついてもいいんだぞ」
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