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現実の目覚め
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「おい、大丈夫か…意識あるか?」
「…ん、あれ…ここは?」
「寝ぼけてんのか」
ビシッとリーズナに額をデコピンされてヒリヒリと痛い。
額を抑えながら周りを見渡すと、そこは訓練所だった。
何処を見ても花畑もカイウスもいなかった。
元に戻ってきたんだ、リーズナが連れ出してくれたのかな。
俺の腕を掴むリーズナを見てそんな事を思った。
俺の体は泥まみれで、このまま風呂に入ったら風呂場を汚してしまうな…と考えた。
「びっくりさせんなよ、死んだかと思った」
「心配掛けてごめんなさい」
「心配?別にしてねぇし、お前が死んだらカイウスに殺されると思っただけだ」
「カイウスはそんな事しないよ」
「……お前」
リーズナは何故か俺を睨んで怒っていた。
わざとじゃないし、俺が自分で沼に飛び込んだんだからリーズナのせいじゃないって事なんだけど、なにか違った?
リーズナは「戻ったんならさっさと風呂に入ってこい」と言われた。
俺にカイウスの中の事を聞きそうなものだけどリーズナは聞かない。
もしかして、無意識の中…俺を飛ばしたのかな。
リーズナに話そうとしたら、リーズナは訓練所
の入り口の方を慌てて見つめていた。
俺は泥をなるべく落とそうと払っていて、リーズナの顔色が悪い事が気になった。
リーズナの表情が変わる事はカイウス関連くらいだ。
まさか、またカイウスになにかあったんじゃ…
「リーズナ、どうかしたの?」
「カイウスが…」
「カイウス!?カイウスになにが…」
カイウスの名前を聞いただけで嫌なよかんがして、心臓が止まるかと思った。
カイウスの中にいた時はまだ何もなかったが、俺がいなくなった後になにかあったのかもしれない。
急いでカイウスのところに駆けつけたい気持ちでいっぱいになる。
でも、何処にいるかも分からないまま家を出るわけにはいかない。
ちゃんと確実にカイウスのところに行かないと…
泥なんて気にしている場合ではなくて、すぐに走れるように泥で重くなった上着を脱いだ。
「リーズナ!早くカイウスのところに行こう!場所を教えて」
「ここ」
「ここだね!…って?」
「帰ってきたんだよ、カイウスが…」
俺も一瞬でリーズナと同じ顔になった。
今カイウスにバレるのはマズイ、こんな事知られたら絶対に止められる。
それにカイウスは自分のせいで俺が鍛えていると勘違いしてしまう。
俺が自分で決めて、俺がそうしたいって思っただけなのに…
とりあえずリーズナがカイウスに会いに行く事にして俺は急いで風呂に入る事にした。
勢いでなんで服を脱いだのか、自分でも分からなくなっていた。
寒い、風邪引く前に温かいシャワーが浴びたい。
「リーズナ、このまま風呂場に行ったら泥まみれにしちゃいそうで、何処か他に体洗えるところって…うぶっ!!」
言葉の途中だったが、リーズナが俺に手をかざすと大量の水が俺に向かって来て、全身びしょ濡れになった。
少し勢いが強くて流されてしまったが、泥はだいぶなくなった。
もうカイウスが帰って来てるから慌てていたんだろう。
俺がお礼を言う時にはリーズナはもういなかった。
脱いだ上着を抱えて急いで風呂場に向かう事にした。
訓練所を出ると、カイウスとリーズナの声がした。
リーズナは猫になるのを忘れていて、人間の姿だった。
カイウスの一部でもあるリーズナは、どんな姿でもカイウスは驚いてなかった。
「リーズナ、珍しい姿だな」
「あ…いや、これは…」
「どうした?なんで慌てているんだ?」
「き、気のせいだろ…ただの気分転換だ」
いつものリーズナとは明らかに違和感がある喋り方で、カイウスも眉を寄せていた。
俺には気付いていないみたいで、床を足跡で濡らさないように慎重に向かう。
カイウスはリーズナが俺になにかしたのかと疑っていたが、食い気味に「あんな奴に興味ねぇから!」と言っていた。
俺もリーズナをそういう目で見れないが、そこまで全否定しなくても…
友達にはなりたいんだけどな。
風呂場に到着すると、ホッと一安心した。
俺がカイウスの中に入ってもカイウスは普通で良かった。
俺という異物が入ったら、カイウスになにか異常が出るかと思った。
普通なら誰かの中に入るなんてあり得ない体験だからな。
もしかして、俺の事気付いていないのかもしれない。
シャワー音と温かいお湯が俺の冷えた体を温めてくれた。
「…ん、あれ…ここは?」
「寝ぼけてんのか」
ビシッとリーズナに額をデコピンされてヒリヒリと痛い。
額を抑えながら周りを見渡すと、そこは訓練所だった。
何処を見ても花畑もカイウスもいなかった。
元に戻ってきたんだ、リーズナが連れ出してくれたのかな。
俺の腕を掴むリーズナを見てそんな事を思った。
俺の体は泥まみれで、このまま風呂に入ったら風呂場を汚してしまうな…と考えた。
「びっくりさせんなよ、死んだかと思った」
「心配掛けてごめんなさい」
「心配?別にしてねぇし、お前が死んだらカイウスに殺されると思っただけだ」
「カイウスはそんな事しないよ」
「……お前」
リーズナは何故か俺を睨んで怒っていた。
わざとじゃないし、俺が自分で沼に飛び込んだんだからリーズナのせいじゃないって事なんだけど、なにか違った?
リーズナは「戻ったんならさっさと風呂に入ってこい」と言われた。
俺にカイウスの中の事を聞きそうなものだけどリーズナは聞かない。
もしかして、無意識の中…俺を飛ばしたのかな。
リーズナに話そうとしたら、リーズナは訓練所
の入り口の方を慌てて見つめていた。
俺は泥をなるべく落とそうと払っていて、リーズナの顔色が悪い事が気になった。
リーズナの表情が変わる事はカイウス関連くらいだ。
まさか、またカイウスになにかあったんじゃ…
「リーズナ、どうかしたの?」
「カイウスが…」
「カイウス!?カイウスになにが…」
カイウスの名前を聞いただけで嫌なよかんがして、心臓が止まるかと思った。
カイウスの中にいた時はまだ何もなかったが、俺がいなくなった後になにかあったのかもしれない。
急いでカイウスのところに駆けつけたい気持ちでいっぱいになる。
でも、何処にいるかも分からないまま家を出るわけにはいかない。
ちゃんと確実にカイウスのところに行かないと…
泥なんて気にしている場合ではなくて、すぐに走れるように泥で重くなった上着を脱いだ。
「リーズナ!早くカイウスのところに行こう!場所を教えて」
「ここ」
「ここだね!…って?」
「帰ってきたんだよ、カイウスが…」
俺も一瞬でリーズナと同じ顔になった。
今カイウスにバレるのはマズイ、こんな事知られたら絶対に止められる。
それにカイウスは自分のせいで俺が鍛えていると勘違いしてしまう。
俺が自分で決めて、俺がそうしたいって思っただけなのに…
とりあえずリーズナがカイウスに会いに行く事にして俺は急いで風呂に入る事にした。
勢いでなんで服を脱いだのか、自分でも分からなくなっていた。
寒い、風邪引く前に温かいシャワーが浴びたい。
「リーズナ、このまま風呂場に行ったら泥まみれにしちゃいそうで、何処か他に体洗えるところって…うぶっ!!」
言葉の途中だったが、リーズナが俺に手をかざすと大量の水が俺に向かって来て、全身びしょ濡れになった。
少し勢いが強くて流されてしまったが、泥はだいぶなくなった。
もうカイウスが帰って来てるから慌てていたんだろう。
俺がお礼を言う時にはリーズナはもういなかった。
脱いだ上着を抱えて急いで風呂場に向かう事にした。
訓練所を出ると、カイウスとリーズナの声がした。
リーズナは猫になるのを忘れていて、人間の姿だった。
カイウスの一部でもあるリーズナは、どんな姿でもカイウスは驚いてなかった。
「リーズナ、珍しい姿だな」
「あ…いや、これは…」
「どうした?なんで慌てているんだ?」
「き、気のせいだろ…ただの気分転換だ」
いつものリーズナとは明らかに違和感がある喋り方で、カイウスも眉を寄せていた。
俺には気付いていないみたいで、床を足跡で濡らさないように慎重に向かう。
カイウスはリーズナが俺になにかしたのかと疑っていたが、食い気味に「あんな奴に興味ねぇから!」と言っていた。
俺もリーズナをそういう目で見れないが、そこまで全否定しなくても…
友達にはなりたいんだけどな。
風呂場に到着すると、ホッと一安心した。
俺がカイウスの中に入ってもカイウスは普通で良かった。
俺という異物が入ったら、カイウスになにか異常が出るかと思った。
普通なら誰かの中に入るなんてあり得ない体験だからな。
もしかして、俺の事気付いていないのかもしれない。
シャワー音と温かいお湯が俺の冷えた体を温めてくれた。
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