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想いは永遠
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「ダメッ!そんな事したらカイウスになにかあるかもしれない!」
人格はカイウスの精神だ、一人でも消したらカイウスになにか悪影響が出るかもしれない。
きっと消す以外にもカイウスを救う方法がある。
カイウスは器の話をしていた、じゃあこの場所の何処かに器があるのかもしれない。
直接器を守れば三人目のカイウスに付け入る隙を与えずに済むかもしれない。
周りを見渡す限り、ここには器らしきものはない。
俺がカイウスから視線を逸らしたから、顎を掴まれて正面を向かされた。
そのおかげで片手は自由になったが、カイウスから離れる事が出来ない。
「カイウス、器ってここにあるの?」
「あるよ、この花も俺の魔力で咲いている…死ぬ時は花も枯れる」
カイウスの言いたい事はつまり、魔力が花にとっての水って事なのかな。
今花が元気だから大丈夫、でも花が元気なくなるとカイウスの魔力が少なくなっているって事か。
俺は器が今どうなっているか、見たいとカイウスにお願いした。
もし大変な事になっているなら修復したい。
なにか俺にも役に立てれば…
でもカイウスの答えは違った。
「ダメだ」
「見るだけでも?」
「器は魔力の源、においだけでも体の中に入ったら特殊な力があるライムでも無事では済まない…似たような事を言うならば精霊から作った薬を飲んだ人間…いや、それ以上かもな」
カイウスの魔力に近付くのは危険、器に直接俺がどうにかする事は出来ないみたいだ。
カイウスですら器には近付けない、だとしたら今俺に出来る事はなさそうだ。
やっぱり中はカイウスが守るしかない、俺は外側でカイウスのサポートをする。
カイウスは俺をジッと見つめていて、視線に気付いて考える事を止めた。
目の前にいるカイウスは暴走した時のカイウスだけど、カイウスの感情そのものでもある。
だから普段は言えない事もストレートに言える。
最初余裕そうだったのも、カイウスが心を落ち着かせていたからなのかもしれない。
「今、誰の事考えてる」
「カイウスの事だよ」
「俺…?」
「うん」
自由になった片手でカイウスの頬に触れた。
カイウスは嬉しそうに微笑んで、手に手を重ねた。
カイウスは口癖のように自分を見てほしいと俺に言う。
きっとそれもカイウスの本音なんだ。
神の子としか見られていないカイウスはこんな広い場所で一人きりなんだ。
リーズナも俺に神ではないカイウスを愛せるかと聞いた事があった。
俺はカイウスそのものを愛している。
神になんてならなくていい、カイウスはカイウスのままでいいんだ。
どんな人格のカイウスもカイウスだ。
でも、俺のカイウスを傷付けるカイウスはダメ。
消す事なく、和解が出来れば一番いいけど未知なる存在は俺も怖い。
でも、それ以上に俺の想いは強い。
「カイウスがどんなカイウスでも、俺は守るから…俺の心はずっとカイウスのものだから」
「…ライム」
「だから不安にならなくていい、俺は離れたりしない…俺は絶対に死んだりしない」
片手でカイウスを引き寄せて、ギュッと抱きしめた。
耳元でカイウスの息遣いが直接聞こえる。
カイウスは小さな声で俺の名前を呼んでいた。
優しく甘く、脳内が痺れてしまいそうなほどの声。
俺も魔力に当てられちゃったのかな、クラクラする。
それでもカイウスの声はっきりと心に響いた。
「俺はどんな事があっても、必ず君のところに戻ってくるから俺のライムへの愛は永遠だから」
一瞬、二人のカイウスが重なって見えた。
瞳から涙が流れた、カイウスの世界は俺の心にも影響を与える。
いろんな感情が流れてきて、不安も苦しみもまるで俺の事のように感じる。
今までもそうであったように、また二人で乗り越えよう。
俺とカイウスの想いは誰にも邪魔させないから。
俺のカイウスを呼ぶ声が届いたのか分からないが、カイウスに口付けられて俺の意識は遠くなった。
人格はカイウスの精神だ、一人でも消したらカイウスになにか悪影響が出るかもしれない。
きっと消す以外にもカイウスを救う方法がある。
カイウスは器の話をしていた、じゃあこの場所の何処かに器があるのかもしれない。
直接器を守れば三人目のカイウスに付け入る隙を与えずに済むかもしれない。
周りを見渡す限り、ここには器らしきものはない。
俺がカイウスから視線を逸らしたから、顎を掴まれて正面を向かされた。
そのおかげで片手は自由になったが、カイウスから離れる事が出来ない。
「カイウス、器ってここにあるの?」
「あるよ、この花も俺の魔力で咲いている…死ぬ時は花も枯れる」
カイウスの言いたい事はつまり、魔力が花にとっての水って事なのかな。
今花が元気だから大丈夫、でも花が元気なくなるとカイウスの魔力が少なくなっているって事か。
俺は器が今どうなっているか、見たいとカイウスにお願いした。
もし大変な事になっているなら修復したい。
なにか俺にも役に立てれば…
でもカイウスの答えは違った。
「ダメだ」
「見るだけでも?」
「器は魔力の源、においだけでも体の中に入ったら特殊な力があるライムでも無事では済まない…似たような事を言うならば精霊から作った薬を飲んだ人間…いや、それ以上かもな」
カイウスの魔力に近付くのは危険、器に直接俺がどうにかする事は出来ないみたいだ。
カイウスですら器には近付けない、だとしたら今俺に出来る事はなさそうだ。
やっぱり中はカイウスが守るしかない、俺は外側でカイウスのサポートをする。
カイウスは俺をジッと見つめていて、視線に気付いて考える事を止めた。
目の前にいるカイウスは暴走した時のカイウスだけど、カイウスの感情そのものでもある。
だから普段は言えない事もストレートに言える。
最初余裕そうだったのも、カイウスが心を落ち着かせていたからなのかもしれない。
「今、誰の事考えてる」
「カイウスの事だよ」
「俺…?」
「うん」
自由になった片手でカイウスの頬に触れた。
カイウスは嬉しそうに微笑んで、手に手を重ねた。
カイウスは口癖のように自分を見てほしいと俺に言う。
きっとそれもカイウスの本音なんだ。
神の子としか見られていないカイウスはこんな広い場所で一人きりなんだ。
リーズナも俺に神ではないカイウスを愛せるかと聞いた事があった。
俺はカイウスそのものを愛している。
神になんてならなくていい、カイウスはカイウスのままでいいんだ。
どんな人格のカイウスもカイウスだ。
でも、俺のカイウスを傷付けるカイウスはダメ。
消す事なく、和解が出来れば一番いいけど未知なる存在は俺も怖い。
でも、それ以上に俺の想いは強い。
「カイウスがどんなカイウスでも、俺は守るから…俺の心はずっとカイウスのものだから」
「…ライム」
「だから不安にならなくていい、俺は離れたりしない…俺は絶対に死んだりしない」
片手でカイウスを引き寄せて、ギュッと抱きしめた。
耳元でカイウスの息遣いが直接聞こえる。
カイウスは小さな声で俺の名前を呼んでいた。
優しく甘く、脳内が痺れてしまいそうなほどの声。
俺も魔力に当てられちゃったのかな、クラクラする。
それでもカイウスの声はっきりと心に響いた。
「俺はどんな事があっても、必ず君のところに戻ってくるから俺のライムへの愛は永遠だから」
一瞬、二人のカイウスが重なって見えた。
瞳から涙が流れた、カイウスの世界は俺の心にも影響を与える。
いろんな感情が流れてきて、不安も苦しみもまるで俺の事のように感じる。
今までもそうであったように、また二人で乗り越えよう。
俺とカイウスの想いは誰にも邪魔させないから。
俺のカイウスを呼ぶ声が届いたのか分からないが、カイウスに口付けられて俺の意識は遠くなった。
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