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カイウスの話39

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ユリウスについて騎士だけではなく、街の人達にも聞き込みをした。
そこで分かった事がある。

ユリウスは頻繁にローベルト家の屋敷の周りで目撃されている。
指名手配にもされているローベルト卿を調べているくらいに周りの人達が思っていたみたいだ。

今までローベルト卿に無関心だったのに何故今なんだ?
神は力を持つ兵士をローベルト家の奴らで作ろうとしている。
もしかして、ユリウス…お前も神の力に魅入られたのか?

一人で突っ走るわけにはいかない、ユリウスの事は慎重に扱わないとな。
あれでも、俺の兄だからな。

とはいえ、ローベルト家には簡単に出入り出来ない。
俺が出入りしたのはもう一人の俺の時だから、姿が違った。
俺が入れないならまた姿を変えるしか…

一瞬、もう一人の俺がちらついて心がざわめく。

ダメだ、もう暴走してはいけない…もし俺の知らないカイウスが表に出てきたらと思うと…

ハイドレイも騎士だ、協力してもらうしかないな。

今日はライムに早めに帰ると約束をしたから、仕事を終わらそうとカイト様のところに急いだ。






※裏の話

毎日のように仕事に行かれているとハイドレイ様から聞いて、何処かで会えるのではないかと思って待っていた。
探していたら、本当に出会えて嬉しかった。

何も変わらない主の姿を見て、一目見るだけのつもりが声を掛けていた。

メイドの皆が、カイ様が家に帰ってこないから心配していたのは事実だ。
でもそれ以上に私は待ち望んでいた。

なにかあったのではないか、でも私のような人間が騒ぎ立ててカイ様の手を煩わせるわけにはいかない。
カイ様の美しい体に傷を負っているのではないかとあまり眠れない毎日が続いていた。

今、何処で寝泊まりをしているのか教えてくれなかったがカイ様が困っているのなら協力したい。
私はカイ様のお役に立つために、生きているのだから…

カイ様には家を守るように言われたが、カイ様が気になりずっと後ろから見守っていた。
どうやら街の人達にカイ様の兄であるユリウス様の話を聞いて回っていた。

ユリウス様とはほとんど接点はないが、苦手な方には変わりなかった。
私が女だと思うのはこの格好と顔のせいだから別に不思議ではない。
だけど、カイ様と私が親しくしていただいただけでカイ様の女なのかとしつこく聞いてきた。

カイ様をそこらの人間と同じにしないでほしい。
あの方の魅力は底知れず、心を奪われるのは当然だ。
でも、誰であってもあの方に秘めた想いを伝えてはいけない。

生きる世界が違いすぎる、あの方は誰のものにもなってはいけない。

そう言ったらユリウス様は不満そうな顔をして行ってしまった。
いくら兄弟でも、ユリウス様とカイ様を一緒にするなど神への冒涜だ。

私は卑しい奴らからもカイ様をお守りする、あの方は神の子なんだ。

私もカイ様のお役に立ちたい、話を聞くかぎりではユリウス様は悪魔の手に落ちたそうだ。
なるべくしてなったような気がするが、カイ様はユリウス様をローベルト家から引っ張り出すお考えのようだ。

私の顔はユリウス様には覚えられているが、他の人には気付かれていない。
カイ様が潜入となると危険な行為になる。

私なら身軽に動けるし、カイ様の役に立てる。

カイ様は仕事に向かわれたが、私は独自で調べた。

カイ様の家のメイドでカイ様に頼まれたと言えば簡単に話してくれた。
利用するような事をしてしまい、申し訳ございません。

でも、これはカイ様のために致し方ないのです。

カイ様の敵であるローベルト一族、その関係者は私にとっても憎き敵。
この日のために私は鍛えていた、全ては主のために…

悪魔の子であるあの男が一番許せなかった。
カイ様に友人として近付き、カイ様を陥れようとする者。

カイ様がそうしたいというなら、その前にユリウス様をどうにかしましょう。
悪魔の子など、いつでも私がこの手で始末する。

カイ様の手はいつまでも美しいままでいてほしい。

手を赤く染めるのは私だけでいい。

「カイ様、必ず私がお役に立ってみせます」






※カイウスの話

生暖かい風が髪を揺らした。
あまり良くはない感じがする。

何もない事を祈ろう。



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