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マッサージをしているだけです

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「ライムは体が怠いのに…大切にしたいのに、変な事考えてごめん…」

そう言ってカイウスは、顔から手を離して熱い瞳で俺を見つめていた。
俺もカイウスの言っている事が分かって、さらに顔に熱が溜まっていく。

俺の気持ち的にはいいよって言いたいけどカイウスの言った通り、激しい運動は無理そうだ。
それに俺だけ気持ちが良くても意味がない…カイウスも気持ち良くなってくれないと…

カイウスは「もう大丈夫だから、寝室に行こう」と言って、俺の腰を支えてくれて歩き出した。

寝室のドアを開けると、部屋が暖かく感じた。
いつもカイウスが気遣ってくれて、冷たい部屋を炎の魔力で暖めてくれていた。
でも、それよりも暖かい…暑すぎるわけでもなく…より快適な気温を保っていた。

「暖かい」

「さっき温度を調節しに行ったんだ、炎の力も定期的に新しくしないと温度が下がるからな」

「ごめんね、そこまでしてもらって」

「恋人なら当然だろ、それに体を冷やしたら体調がもっと悪くなる」

「カイウス…」

胸の奥底がキュンと締め付けられる思いだった。

うつ伏せになるように言われたから、幸せいっぱいの気分で布団の上でうつ伏せになった。
突然服を捲られてビックリして変な声が出てしまった。
暖かな温度のおかげで、寒くはないけど後ろを振り返ろうとした。

でもカイウスに戻されてしまって、枕に顔を埋める。
カイウスは俺の腰に手を当てていて、くすぐったかった。

指先にほどよい力を込めて、マッサージしてくれた。

だんだん痛かった腰が和らいでいくのが分かる。
カイウスはマッサージもプロ並みだよなぁ。
こんないい思い、俺だけしてもいいのかな。

「んっ、んぅ…あっ、気持ちいいっ」

「………」

「あっ、ぅっ…んんっ」

気持ち悪い声が出てしまった、本当に気持ちいいから我慢出来ない。
せめて声は我慢しようと思って、口を両手で押さえる。
くぐもった声が出てしまうけど、カイウスには気付かれていないと思う。

後ろが見えないとどういう顔をしているのか分からないから不安だ。
さっきは引かれていたわけではなかったみたいでよかったけど、今は分からない。
エッチな事をしているわけじゃないのに、こんな声を出して変態だと思われたかもしれない。

実際うつ伏せで見えないけど、俺の下半身は反応している。
仰向けになれない、ずっとこのまま今日は寝ないと…
少し布団と擦れるだけで、マッサージとは違う声が漏れてしまう。

どうか、カイウスにはバレていませんように…

腰は楽になってきたのに、別のところが大変になるなんて笑えない。
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