177 / 299
二人で繋ぐ絆
しおりを挟む
カイウスが危ない事をしているんだ、俺だけ呑気にしていられない。
カイウスの手をギュッと握り、瞳を見つめる。
握っていない手で俺の事を抱きしめた。
暖かでで優しく安心する温もりに、包まれる。
行くからにはお互い絶対に無事に帰る、それを約束した。
カイウスは俺の服の襟に触れていて、軽く口付けていた。
見た目の変化はないが、カイウスは満足そうにしていた。
「ライムを守る力をもっと強くした、俺の見える範囲に居ればライムの防御力は俺と同じになる」
「カイウスと同じ…」
「力が強いからこそ限定的な効果だが、離れなければいい」
そういったカイウスは自分の服の腰にある細いベルトのようなものを外した。
それを俺の腰と自分の腰の服に繋げていた。
長さがあるから、動きづらいほどではない。
俺とカイウスを結ぶ命綱だ。
お互いの目を見つめて、決意するように頷いた。
いよいよこの世界から出るために、俺達の居場所を取り戻すために行こう。
カイウスと手を繋いで屋根裏部屋のドアに向かった。
閉じ込められたから当然外側から鍵をされていて開かない。
鍵の錠前そのものが見えないから、屋根裏部屋の窓の鍵を破壊したみたいには出来ない。
カイウスはドアノブを強く、しっかりと握っていた。
眉を寄せながら微動だにしない。
何をしているのか、ドアノブを掴む手を見つめていたらドアノブが真っ赤になりドロドロに溶けた。
液体になったドアノブは床に落ちて、扉は穴が開いている。
そこから手を入れて、バキッと音が微かにして手を穴から出した。
手には錠前であった破片が握られていた。
「ライム、音が聞こえたか?」
「えっと、ちょっとだけ…でも横にいる俺しか聞こえてないと思うよ」
「そうか」
カイウスはそう言って、音を立てないように慎重にドアを開けた。
ドアノブが溶けたって事は、カイウスの炎の力で焼いたのかな。
しかも、その後は錠前を握り潰した。
片手で全部出来るカイウスはやっぱり凄いな。
さすがに人間の俺には真似なんて出来そうもない。
視線に気付いたのか、カイウスが俺の方を見た。
「どうした?気になる事でもあったのか?」
「えっ!?ううん!やっぱりカイウスは凄いなって思っただけだよ!」
「俺からしたらライムの方が凄いよ」
「それはないよ」
「ライムが気付いていないだけだよ」
カイウスに褒められるような事はしてないけど、ここで言い合っても仕方ない。
その話は保留にして、神がいたであろう地下への入り口に向かった。
閉じ込めらてから時間が経過しているからか、廊下やエントランスには人一人いなかった。
これなら、普通に歩いていれば大丈夫だろう。
神に似た男とサクヤの関係は気になる。
一度兵士がサクヤになにかを話していて顔色が変わった事があった。
あれも神に似た男が関わっているのか、そう思ってしまう。
「あ、あれ?」
思わず声が漏れてしまう。
地下があった場所は確かにここだった筈だ。
周りを見渡しても、それらしいものはなかった。
でも、そこには壁しかなかった。
何の痕跡もない、ただの壁だ。
カイウスが壁に触れて確かめていた。
「埋められたわけではなさそうだ、下に気配がない」
「じゃあここじゃないって事?」
「後気になるところはローベルト卿の部屋か」
俺が幻覚を見た場所、確かになにかありそうではある。
俺が行った時は幻覚以外何もなかったが、カイウスだとまた違うのかもしれない。
カイウスにローベルト卿の部屋の前まで案内する。
その時、突然カイウスに腕を引っ張られた。
それと同時に足音が聞こえた。
後ろからカイウスに口を塞がれて、ジッとする。
観葉植物の後ろで身を潜めていなくなるのを待った。
見回りの足音だろうか、足音が遠くなって出た。
急いでローベルト卿の仕事部屋の前に行った。
ローベルト卿の仕事部屋のの前に到着すると、大きな耳鳴りが俺の脳を貫いた。
「うっ、うっ…」
「ライム、大丈夫か?」
「だ、いじょう…ぶ…行こう、カイウス」
カイウスに心配掛けないように笑うと、カイウスが頬に触れた。
そして、優しく唇と唇が触れ合った。
中に流れ込んでくるのは、カイウスの力……頭痛がだんだん引いていく。
カイウスの服の袖を掴んで、腰を掴まれて引き寄せられる。
「ゆっくり、息を吐いて」と耳元で言われて、ゆっくりと息を吐くと落ち着いてきた。
カイウスがローベルト卿の仕事部屋のドアに触れて、ドアノブに触れずに開いた。
俺の脳の痛みで何となく分かった、この部屋は俺を拒んでいる。
さっきは何ともなかった、煙突から入ったからなのかもしれない。
でもそれは、なにかあると自分から言っているようだ。
ドアが開き、その中は真っ暗な闇が広がっていた。
「ローベルト卿を殺したのは神だろう」
「この部屋でなにかするために?」
「そうだろうな、この世界でも好きにはさせない」
カイウスと一緒に黒い部屋に入った。
その瞬間、俺の目の前からカイウスは居なくなっていた。
周りを見渡してもいない、大きな声を出しても自分の声が響くだけだ。
はぐれた?でも、瞬きした間にはぐれるものなのか。
後ろから誰かがいる気配がした。
その気配は刃物で貫くほどの殺気が混じっていた。
後ろを振り返らず体を横にずらすと、俺がいたところに槍が突き立てられた。
「おっと、ざーんねん、気配に敏感な人間はこれだから面倒くさい」
尻もちをついたまま、槍を掴んで地面から引っこ抜いている相手を見つめる。
真っ暗で姿が見えないのに、その姿ははっきりとしていた。
真っ赤に染まった腰まで長い三つ編みを揺らして、その男は俺を見ていた。
大きなやりを肩に担いで、その槍の先が黒いもやのようなものが覆っている。
人間じゃない、その気配にすぐに分かった。
口は笑みを浮かべているが、瞳の殺気は隠しきれていなかった。
カイウスの手をギュッと握り、瞳を見つめる。
握っていない手で俺の事を抱きしめた。
暖かでで優しく安心する温もりに、包まれる。
行くからにはお互い絶対に無事に帰る、それを約束した。
カイウスは俺の服の襟に触れていて、軽く口付けていた。
見た目の変化はないが、カイウスは満足そうにしていた。
「ライムを守る力をもっと強くした、俺の見える範囲に居ればライムの防御力は俺と同じになる」
「カイウスと同じ…」
「力が強いからこそ限定的な効果だが、離れなければいい」
そういったカイウスは自分の服の腰にある細いベルトのようなものを外した。
それを俺の腰と自分の腰の服に繋げていた。
長さがあるから、動きづらいほどではない。
俺とカイウスを結ぶ命綱だ。
お互いの目を見つめて、決意するように頷いた。
いよいよこの世界から出るために、俺達の居場所を取り戻すために行こう。
カイウスと手を繋いで屋根裏部屋のドアに向かった。
閉じ込められたから当然外側から鍵をされていて開かない。
鍵の錠前そのものが見えないから、屋根裏部屋の窓の鍵を破壊したみたいには出来ない。
カイウスはドアノブを強く、しっかりと握っていた。
眉を寄せながら微動だにしない。
何をしているのか、ドアノブを掴む手を見つめていたらドアノブが真っ赤になりドロドロに溶けた。
液体になったドアノブは床に落ちて、扉は穴が開いている。
そこから手を入れて、バキッと音が微かにして手を穴から出した。
手には錠前であった破片が握られていた。
「ライム、音が聞こえたか?」
「えっと、ちょっとだけ…でも横にいる俺しか聞こえてないと思うよ」
「そうか」
カイウスはそう言って、音を立てないように慎重にドアを開けた。
ドアノブが溶けたって事は、カイウスの炎の力で焼いたのかな。
しかも、その後は錠前を握り潰した。
片手で全部出来るカイウスはやっぱり凄いな。
さすがに人間の俺には真似なんて出来そうもない。
視線に気付いたのか、カイウスが俺の方を見た。
「どうした?気になる事でもあったのか?」
「えっ!?ううん!やっぱりカイウスは凄いなって思っただけだよ!」
「俺からしたらライムの方が凄いよ」
「それはないよ」
「ライムが気付いていないだけだよ」
カイウスに褒められるような事はしてないけど、ここで言い合っても仕方ない。
その話は保留にして、神がいたであろう地下への入り口に向かった。
閉じ込めらてから時間が経過しているからか、廊下やエントランスには人一人いなかった。
これなら、普通に歩いていれば大丈夫だろう。
神に似た男とサクヤの関係は気になる。
一度兵士がサクヤになにかを話していて顔色が変わった事があった。
あれも神に似た男が関わっているのか、そう思ってしまう。
「あ、あれ?」
思わず声が漏れてしまう。
地下があった場所は確かにここだった筈だ。
周りを見渡しても、それらしいものはなかった。
でも、そこには壁しかなかった。
何の痕跡もない、ただの壁だ。
カイウスが壁に触れて確かめていた。
「埋められたわけではなさそうだ、下に気配がない」
「じゃあここじゃないって事?」
「後気になるところはローベルト卿の部屋か」
俺が幻覚を見た場所、確かになにかありそうではある。
俺が行った時は幻覚以外何もなかったが、カイウスだとまた違うのかもしれない。
カイウスにローベルト卿の部屋の前まで案内する。
その時、突然カイウスに腕を引っ張られた。
それと同時に足音が聞こえた。
後ろからカイウスに口を塞がれて、ジッとする。
観葉植物の後ろで身を潜めていなくなるのを待った。
見回りの足音だろうか、足音が遠くなって出た。
急いでローベルト卿の仕事部屋の前に行った。
ローベルト卿の仕事部屋のの前に到着すると、大きな耳鳴りが俺の脳を貫いた。
「うっ、うっ…」
「ライム、大丈夫か?」
「だ、いじょう…ぶ…行こう、カイウス」
カイウスに心配掛けないように笑うと、カイウスが頬に触れた。
そして、優しく唇と唇が触れ合った。
中に流れ込んでくるのは、カイウスの力……頭痛がだんだん引いていく。
カイウスの服の袖を掴んで、腰を掴まれて引き寄せられる。
「ゆっくり、息を吐いて」と耳元で言われて、ゆっくりと息を吐くと落ち着いてきた。
カイウスがローベルト卿の仕事部屋のドアに触れて、ドアノブに触れずに開いた。
俺の脳の痛みで何となく分かった、この部屋は俺を拒んでいる。
さっきは何ともなかった、煙突から入ったからなのかもしれない。
でもそれは、なにかあると自分から言っているようだ。
ドアが開き、その中は真っ暗な闇が広がっていた。
「ローベルト卿を殺したのは神だろう」
「この部屋でなにかするために?」
「そうだろうな、この世界でも好きにはさせない」
カイウスと一緒に黒い部屋に入った。
その瞬間、俺の目の前からカイウスは居なくなっていた。
周りを見渡してもいない、大きな声を出しても自分の声が響くだけだ。
はぐれた?でも、瞬きした間にはぐれるものなのか。
後ろから誰かがいる気配がした。
その気配は刃物で貫くほどの殺気が混じっていた。
後ろを振り返らず体を横にずらすと、俺がいたところに槍が突き立てられた。
「おっと、ざーんねん、気配に敏感な人間はこれだから面倒くさい」
尻もちをついたまま、槍を掴んで地面から引っこ抜いている相手を見つめる。
真っ暗で姿が見えないのに、その姿ははっきりとしていた。
真っ赤に染まった腰まで長い三つ編みを揺らして、その男は俺を見ていた。
大きなやりを肩に担いで、その槍の先が黒いもやのようなものが覆っている。
人間じゃない、その気配にすぐに分かった。
口は笑みを浮かべているが、瞳の殺気は隠しきれていなかった。
41
お気に入りに追加
8,176
あなたにおすすめの小説
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる