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鎧兵士の襲撃
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皆が寝静まった夜くらいしか出歩けないから、今確かめたい。
周りを見渡しながら、だんだん実家の屋敷に近付いていく。
でも、指名手配の紙などは何処にも見つからなかった。
俺は何もしていないからまだ指名手配されていると思っていたからなんでだろう。
「リーズナ、俺が指名手配されていたと思うけどカイウスはなにかしたの?」
『あー、そういえば殺人犯を捕まえたみたいだぞ…なんだっけ、ローベルト家の人間でカイが保護した人間を殺そうとしていたところを捕まえてお前の濡れ衣を晴らしたみたいだぞ』
「じゃあミロが!?」
『ミロ?そんな名前だったっけ』
リーズナは首を傾げていたが、俺はホッとした気分だった。
自分の濡れ衣を晴らした事もそうだけど、ミロが捕まったならこれ以上犠牲者が増える事はない。
だからカイウスは外を歩く事を許してくれたんだ。
ミロが捕まったなら、俺も騎士に捕まったと思われているのかもしれない。
だからローベルト家は俺を探す気がないのかもしれない。
元々俺はローベルト家にとってただの駒だから仕方ないのかもしれない。
このまま放っておいてほしい気もするが、今度は俺達が放っておくわけにはいかない。
神がローベルト家にいるならどうにかしないと、未来のカイウスが言っていたような未来になる危険がまだ残っている。
そのために、俺はあの家に帰らないといけない…それだけだ。
だんだん屋敷が見えてきて、自然と足も重くなる。
隣を歩いていたリーズナが突然俺の前にやってきて足を止めた。
どうしたのかと聞く前にリーズナの低い唸り声と共に、その理由が分かった。
屋敷の前には見慣れない人物が立って俺を見つめていた。
屋敷の入り口には護衛がいるが、その護衛の兵士とは服装が違った。
真っ黒な鎧に身を包んでいて、兜で顔が分からない。
ただ、異常に感じるその人物を見ていると不安になって自然と足が後ろに下がる。
「だ、誰…ですか?」
「……」
リーズナの威嚇は全く効いていないのか、微動だにしない。
俺の質問に全く答える様子はなくて、誰だか分からないままだ。
ローベルト家の関係者?でもこんな威圧感で身動きが取れないほどの殺気を放つ人は知らない。
一度引き返して、カイウスに相談した方がいい。
今までの経験上、強行突破をしてもいい事は何もない。
それに騒ぎを起こして目立つのは良くない、俺はずっと屋敷に帰っていなかったんだし…
リーズナの方を見ると、リーズナも俺の方を見つめていた。
それを合図に駆け出した、俺と鎧の男の距離は離れている…だからすぐに追い付かれる事はない。
逃げている間に宮殿に行けば、追い付かれる心配はない。
それだけを考えていた、少しでも宮殿に向かう時間がほしかった。
宮殿に入るところを見られると、いろいろと厄介な事になる。
一番は俺とカイウスの繋がりを知られる事だった。
だから適当な曲がり角を曲がればいい、すぐ近くにある角に急いだ。
その時、俺の横を走っていたリーズナの姿が変わった。
久々に見た虎の姿で俺の前に立っていて低い声で『そのまま走れ!』と声を荒げていた。
一瞬止まりそうになった足を無理矢理動かした。
リーズナが引き止めてくれたんだ、カイウスのところに行かないと…
角を曲がる瞬間、背中に何か大きく重い衝撃に体が吹き飛んだ。
受け身を取ろうとして腕が地面に擦れて熱く痛みが走る。
なにかの毛に押し潰されて退かそうと押すと、その正体に驚いた。
「リーズナ!」
リーズナは俺の声に耳を動かして反応していたが、目が開いていない。
抱き抱えようとしたら、リーズナの腹部がぬるっとして血の気が引いた。
そんな、なんで…リーズナが…俺を守るために…
周りを見渡しながら、だんだん実家の屋敷に近付いていく。
でも、指名手配の紙などは何処にも見つからなかった。
俺は何もしていないからまだ指名手配されていると思っていたからなんでだろう。
「リーズナ、俺が指名手配されていたと思うけどカイウスはなにかしたの?」
『あー、そういえば殺人犯を捕まえたみたいだぞ…なんだっけ、ローベルト家の人間でカイが保護した人間を殺そうとしていたところを捕まえてお前の濡れ衣を晴らしたみたいだぞ』
「じゃあミロが!?」
『ミロ?そんな名前だったっけ』
リーズナは首を傾げていたが、俺はホッとした気分だった。
自分の濡れ衣を晴らした事もそうだけど、ミロが捕まったならこれ以上犠牲者が増える事はない。
だからカイウスは外を歩く事を許してくれたんだ。
ミロが捕まったなら、俺も騎士に捕まったと思われているのかもしれない。
だからローベルト家は俺を探す気がないのかもしれない。
元々俺はローベルト家にとってただの駒だから仕方ないのかもしれない。
このまま放っておいてほしい気もするが、今度は俺達が放っておくわけにはいかない。
神がローベルト家にいるならどうにかしないと、未来のカイウスが言っていたような未来になる危険がまだ残っている。
そのために、俺はあの家に帰らないといけない…それだけだ。
だんだん屋敷が見えてきて、自然と足も重くなる。
隣を歩いていたリーズナが突然俺の前にやってきて足を止めた。
どうしたのかと聞く前にリーズナの低い唸り声と共に、その理由が分かった。
屋敷の前には見慣れない人物が立って俺を見つめていた。
屋敷の入り口には護衛がいるが、その護衛の兵士とは服装が違った。
真っ黒な鎧に身を包んでいて、兜で顔が分からない。
ただ、異常に感じるその人物を見ていると不安になって自然と足が後ろに下がる。
「だ、誰…ですか?」
「……」
リーズナの威嚇は全く効いていないのか、微動だにしない。
俺の質問に全く答える様子はなくて、誰だか分からないままだ。
ローベルト家の関係者?でもこんな威圧感で身動きが取れないほどの殺気を放つ人は知らない。
一度引き返して、カイウスに相談した方がいい。
今までの経験上、強行突破をしてもいい事は何もない。
それに騒ぎを起こして目立つのは良くない、俺はずっと屋敷に帰っていなかったんだし…
リーズナの方を見ると、リーズナも俺の方を見つめていた。
それを合図に駆け出した、俺と鎧の男の距離は離れている…だからすぐに追い付かれる事はない。
逃げている間に宮殿に行けば、追い付かれる心配はない。
それだけを考えていた、少しでも宮殿に向かう時間がほしかった。
宮殿に入るところを見られると、いろいろと厄介な事になる。
一番は俺とカイウスの繋がりを知られる事だった。
だから適当な曲がり角を曲がればいい、すぐ近くにある角に急いだ。
その時、俺の横を走っていたリーズナの姿が変わった。
久々に見た虎の姿で俺の前に立っていて低い声で『そのまま走れ!』と声を荒げていた。
一瞬止まりそうになった足を無理矢理動かした。
リーズナが引き止めてくれたんだ、カイウスのところに行かないと…
角を曲がる瞬間、背中に何か大きく重い衝撃に体が吹き飛んだ。
受け身を取ろうとして腕が地面に擦れて熱く痛みが走る。
なにかの毛に押し潰されて退かそうと押すと、その正体に驚いた。
「リーズナ!」
リーズナは俺の声に耳を動かして反応していたが、目が開いていない。
抱き抱えようとしたら、リーズナの腹部がぬるっとして血の気が引いた。
そんな、なんで…リーズナが…俺を守るために…
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