168 / 299
作戦会議
しおりを挟む
「……早く帰らないとな」
「うん、俺も神殿がある場所を考えてみるよ」
神殿って、方角とか関係ないのかな…今ってどの辺なんだろう。
普通に考えたらカイウスの家同然だから、カイウスの屋敷っぽい気がするがカイウスも分かっていたのか、調べ済みみたいだ。
騎士団の兵舎も、城はカイウスが入れる場所限定だが調べたそうだ。
後は、普通の建物だけど宮殿である確率は低いだろう。
だとしたら、まだ行っていない場所で俺達が行けない場所にあるのかもしれない。
カイウスがいる場所じゃなくて、神がいる場所が宮殿だったりする?
「もしかして、神がいる場所が宮殿だったりする?」
「それってもしかして、ローベルト家?」
「うん、本の内容には神がいなかったからどうなってるのか分からないけど調べてみる価値はあるよ」
「…でも、またライムをローベルト家の屋敷に戻すなんて」
「追い出されるようにして出て行ったから、戻れないよな」
調べたいけど、調べられない…そう思うと余計に気になってしまう。
そもそも真正面で屋敷に行く事はないんだよな。
なら、こっそり屋敷に潜入するのはどうだろうか。
カイウスを見ると目線が合わさり、カイウスに自分の考えを話した。
しばらく考えていて、カイウスは静かに頷いてくれた。
何処から潜入出来るんだろうか、窓を割ったらさすがにバレる。
元の世界で一度やったが、あれは急いでたからだからちゃんと今度は準備しないと…
「入れる場所はあるか?」
「うーん、屋根裏から…入れるかな」
下見をしないと分からないよな、自分の家だけど間取りを把握しているわけじゃないし他人の家のようだからな。
屋根裏から入れるのは窓だけだけど、人と鉢合わせするリスクはかなり少ない。
屋根裏に住んでいたから周辺の事なら何となく覚えている。
カイウスは俺が今までローベルト家にされた事を知っているから心配してくれているんだろう。
でも、この世界の俺は何の力もないただの一般人。
だから利用される事も、必要とされる事もないんだ。
俺の行動が今、変に怪しまれていないからこそ堂々と動ける。
バレたら俺もローベルト家の敵になるんだけど、ローベルト家と戦う決意はとっくに出来ている。
「俺が屋根裏部屋の窓を開けるから」
「気付かれたらライムが危ない…そんな事させられない」
「大丈夫だよ、この世界の俺はローベルト家にとって人畜無害だと思われてるから!」
「それも本の話か?」
カイウスを安心させるように力強く頷いて、屋根裏部屋の窓がある場所を教えた。
夜中なら敷地内に入る事は簡単だ、元の世界のように警備が固められているわけじゃないし…
その時、部屋のドアが数回ノックされた。
俺とカイウスは話している内容が内容なだけに、誰かに聞かれたら失敗に繋がる恐れがあるからお互いの目を見つめ合いドアの向こう側に視線を向けた。
壁は薄くないとはいえ、念のために声は小さくしていた。
それでも耳がとても良かったら聞こえてしまうかもしれない。
ただの使用人とはいえ油断は出来ない、何処で話が漏れるか分からない。
それに、サクヤが新しいメイドの刺客を送り込んでいるのかもしれない。
部屋中の空気がピリピリとして、警戒しながらカイウスは口を開いた。
「……誰だ」
「ローズです」
「何の用だ」
「申し訳ございませんカイ様、そちらの使用人に用事が…」
ローズの言葉に俺が反応して行こうとしたけど、カイウスに肩を掴まれて俺の前にカイウスがドアを開けた。
ローズはカイウスに頭を下げていた。
俺もローズに怒られないように見よう見まねでカイウスに頭を下げた。
俺はローズのところに行こうとしたが、その前にカイウスがローズに用件を聞いている。
ローズはここまでカイウスが使用人に過保護になるのは見た事がないのか、少しだけ驚いていたが話していた。
カイウスの世話をするなら覚えてもらう仕事が沢山あるから、教えるために来たみたいだ。
確かにカイウスの世話をするって、具体的にどうすればいいか分からないからカイウスを知るローズに聞くのが一番だよな。
カイウスは行かせたくなさそうだけど、俺は大丈夫だと言葉じゃなく一瞬だけ小指を絡めて目線が合った。
一瞬だけ俺を見てカイウスはローズの方に視線を戻した。
「ローズ」
「カイ様の手を煩わせませんので…」
「そうじゃない……さっきは悪かった」
「え……」
「ローズの事も信頼してる」
カイウスに言われて、ローズは呆然としていた。
すぐにローズから離れて、俺に「なにかあったらすぐに俺に言ってくれ」と言っていて、俺は頭を下げた。
ローズは謝られた人の顔をしていなかった。
顔が青ざめていて、絶望したような…カイウスに信頼していないと言われた時よりも心配になる顔をしている。
さっきの短い言葉でなにがそんなにローズを傷付けたんだ?
カイウスは特に驚きも戸惑いもない、無表情でローズを一瞬だけ見てドアから離れた。
「カイ様、そんな……私などに謝らないで下さい…貴方はこの世の誰よりも高貴なお方なのですよ!」
「俺はただの人間だ」
「ただの人間なんて…貴方は神に愛された力を持つこの世で唯一無二の…」
「……」
カイウスはもうローズと話したくないからか、会話を強制的に終わらせていた。
ローズはカイウスに「失礼致しました」と頭を下げて、俺に付いて来るように言って部屋を出た。
俺もカイウスに頭を下げると、カイウスは俺の方を見て手を振っていた。
「うん、俺も神殿がある場所を考えてみるよ」
神殿って、方角とか関係ないのかな…今ってどの辺なんだろう。
普通に考えたらカイウスの家同然だから、カイウスの屋敷っぽい気がするがカイウスも分かっていたのか、調べ済みみたいだ。
騎士団の兵舎も、城はカイウスが入れる場所限定だが調べたそうだ。
後は、普通の建物だけど宮殿である確率は低いだろう。
だとしたら、まだ行っていない場所で俺達が行けない場所にあるのかもしれない。
カイウスがいる場所じゃなくて、神がいる場所が宮殿だったりする?
「もしかして、神がいる場所が宮殿だったりする?」
「それってもしかして、ローベルト家?」
「うん、本の内容には神がいなかったからどうなってるのか分からないけど調べてみる価値はあるよ」
「…でも、またライムをローベルト家の屋敷に戻すなんて」
「追い出されるようにして出て行ったから、戻れないよな」
調べたいけど、調べられない…そう思うと余計に気になってしまう。
そもそも真正面で屋敷に行く事はないんだよな。
なら、こっそり屋敷に潜入するのはどうだろうか。
カイウスを見ると目線が合わさり、カイウスに自分の考えを話した。
しばらく考えていて、カイウスは静かに頷いてくれた。
何処から潜入出来るんだろうか、窓を割ったらさすがにバレる。
元の世界で一度やったが、あれは急いでたからだからちゃんと今度は準備しないと…
「入れる場所はあるか?」
「うーん、屋根裏から…入れるかな」
下見をしないと分からないよな、自分の家だけど間取りを把握しているわけじゃないし他人の家のようだからな。
屋根裏から入れるのは窓だけだけど、人と鉢合わせするリスクはかなり少ない。
屋根裏に住んでいたから周辺の事なら何となく覚えている。
カイウスは俺が今までローベルト家にされた事を知っているから心配してくれているんだろう。
でも、この世界の俺は何の力もないただの一般人。
だから利用される事も、必要とされる事もないんだ。
俺の行動が今、変に怪しまれていないからこそ堂々と動ける。
バレたら俺もローベルト家の敵になるんだけど、ローベルト家と戦う決意はとっくに出来ている。
「俺が屋根裏部屋の窓を開けるから」
「気付かれたらライムが危ない…そんな事させられない」
「大丈夫だよ、この世界の俺はローベルト家にとって人畜無害だと思われてるから!」
「それも本の話か?」
カイウスを安心させるように力強く頷いて、屋根裏部屋の窓がある場所を教えた。
夜中なら敷地内に入る事は簡単だ、元の世界のように警備が固められているわけじゃないし…
その時、部屋のドアが数回ノックされた。
俺とカイウスは話している内容が内容なだけに、誰かに聞かれたら失敗に繋がる恐れがあるからお互いの目を見つめ合いドアの向こう側に視線を向けた。
壁は薄くないとはいえ、念のために声は小さくしていた。
それでも耳がとても良かったら聞こえてしまうかもしれない。
ただの使用人とはいえ油断は出来ない、何処で話が漏れるか分からない。
それに、サクヤが新しいメイドの刺客を送り込んでいるのかもしれない。
部屋中の空気がピリピリとして、警戒しながらカイウスは口を開いた。
「……誰だ」
「ローズです」
「何の用だ」
「申し訳ございませんカイ様、そちらの使用人に用事が…」
ローズの言葉に俺が反応して行こうとしたけど、カイウスに肩を掴まれて俺の前にカイウスがドアを開けた。
ローズはカイウスに頭を下げていた。
俺もローズに怒られないように見よう見まねでカイウスに頭を下げた。
俺はローズのところに行こうとしたが、その前にカイウスがローズに用件を聞いている。
ローズはここまでカイウスが使用人に過保護になるのは見た事がないのか、少しだけ驚いていたが話していた。
カイウスの世話をするなら覚えてもらう仕事が沢山あるから、教えるために来たみたいだ。
確かにカイウスの世話をするって、具体的にどうすればいいか分からないからカイウスを知るローズに聞くのが一番だよな。
カイウスは行かせたくなさそうだけど、俺は大丈夫だと言葉じゃなく一瞬だけ小指を絡めて目線が合った。
一瞬だけ俺を見てカイウスはローズの方に視線を戻した。
「ローズ」
「カイ様の手を煩わせませんので…」
「そうじゃない……さっきは悪かった」
「え……」
「ローズの事も信頼してる」
カイウスに言われて、ローズは呆然としていた。
すぐにローズから離れて、俺に「なにかあったらすぐに俺に言ってくれ」と言っていて、俺は頭を下げた。
ローズは謝られた人の顔をしていなかった。
顔が青ざめていて、絶望したような…カイウスに信頼していないと言われた時よりも心配になる顔をしている。
さっきの短い言葉でなにがそんなにローズを傷付けたんだ?
カイウスは特に驚きも戸惑いもない、無表情でローズを一瞬だけ見てドアから離れた。
「カイ様、そんな……私などに謝らないで下さい…貴方はこの世の誰よりも高貴なお方なのですよ!」
「俺はただの人間だ」
「ただの人間なんて…貴方は神に愛された力を持つこの世で唯一無二の…」
「……」
カイウスはもうローズと話したくないからか、会話を強制的に終わらせていた。
ローズはカイウスに「失礼致しました」と頭を下げて、俺に付いて来るように言って部屋を出た。
俺もカイウスに頭を下げると、カイウスは俺の方を見て手を振っていた。
70
お気に入りに追加
8,330
あなたにおすすめの小説
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない
Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。
かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。
後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。
群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って……
冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。
表紙は友人絵師kouma.作です♪

モブ兄に転生した俺、弟の身代わりになって婚約破棄される予定です
深凪雪花
BL
テンプレBL小説のヒロイン♂の兄に異世界転生した主人公セラフィル。可愛い弟がバカ王太子タクトスに傷物にされる上、身に覚えのない罪で婚約破棄される未来が許せず、先にタクトスの婚約者になって代わりに婚約破棄される役どころを演じ、弟を守ることを決める。
どうにか婚約に持ち込み、あとは婚約破棄される時を待つだけ、だったはずなのだが……え、いつ婚約破棄してくれるんですか?
※★は性描写あり。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる