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作戦会議
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「……早く帰らないとな」
「うん、俺も神殿がある場所を考えてみるよ」
神殿って、方角とか関係ないのかな…今ってどの辺なんだろう。
普通に考えたらカイウスの家同然だから、カイウスの屋敷っぽい気がするがカイウスも分かっていたのか、調べ済みみたいだ。
騎士団の兵舎も、城はカイウスが入れる場所限定だが調べたそうだ。
後は、普通の建物だけど宮殿である確率は低いだろう。
だとしたら、まだ行っていない場所で俺達が行けない場所にあるのかもしれない。
カイウスがいる場所じゃなくて、神がいる場所が宮殿だったりする?
「もしかして、神がいる場所が宮殿だったりする?」
「それってもしかして、ローベルト家?」
「うん、本の内容には神がいなかったからどうなってるのか分からないけど調べてみる価値はあるよ」
「…でも、またライムをローベルト家の屋敷に戻すなんて」
「追い出されるようにして出て行ったから、戻れないよな」
調べたいけど、調べられない…そう思うと余計に気になってしまう。
そもそも真正面で屋敷に行く事はないんだよな。
なら、こっそり屋敷に潜入するのはどうだろうか。
カイウスを見ると目線が合わさり、カイウスに自分の考えを話した。
しばらく考えていて、カイウスは静かに頷いてくれた。
何処から潜入出来るんだろうか、窓を割ったらさすがにバレる。
元の世界で一度やったが、あれは急いでたからだからちゃんと今度は準備しないと…
「入れる場所はあるか?」
「うーん、屋根裏から…入れるかな」
下見をしないと分からないよな、自分の家だけど間取りを把握しているわけじゃないし他人の家のようだからな。
屋根裏から入れるのは窓だけだけど、人と鉢合わせするリスクはかなり少ない。
屋根裏に住んでいたから周辺の事なら何となく覚えている。
カイウスは俺が今までローベルト家にされた事を知っているから心配してくれているんだろう。
でも、この世界の俺は何の力もないただの一般人。
だから利用される事も、必要とされる事もないんだ。
俺の行動が今、変に怪しまれていないからこそ堂々と動ける。
バレたら俺もローベルト家の敵になるんだけど、ローベルト家と戦う決意はとっくに出来ている。
「俺が屋根裏部屋の窓を開けるから」
「気付かれたらライムが危ない…そんな事させられない」
「大丈夫だよ、この世界の俺はローベルト家にとって人畜無害だと思われてるから!」
「それも本の話か?」
カイウスを安心させるように力強く頷いて、屋根裏部屋の窓がある場所を教えた。
夜中なら敷地内に入る事は簡単だ、元の世界のように警備が固められているわけじゃないし…
その時、部屋のドアが数回ノックされた。
俺とカイウスは話している内容が内容なだけに、誰かに聞かれたら失敗に繋がる恐れがあるからお互いの目を見つめ合いドアの向こう側に視線を向けた。
壁は薄くないとはいえ、念のために声は小さくしていた。
それでも耳がとても良かったら聞こえてしまうかもしれない。
ただの使用人とはいえ油断は出来ない、何処で話が漏れるか分からない。
それに、サクヤが新しいメイドの刺客を送り込んでいるのかもしれない。
部屋中の空気がピリピリとして、警戒しながらカイウスは口を開いた。
「……誰だ」
「ローズです」
「何の用だ」
「申し訳ございませんカイ様、そちらの使用人に用事が…」
ローズの言葉に俺が反応して行こうとしたけど、カイウスに肩を掴まれて俺の前にカイウスがドアを開けた。
ローズはカイウスに頭を下げていた。
俺もローズに怒られないように見よう見まねでカイウスに頭を下げた。
俺はローズのところに行こうとしたが、その前にカイウスがローズに用件を聞いている。
ローズはここまでカイウスが使用人に過保護になるのは見た事がないのか、少しだけ驚いていたが話していた。
カイウスの世話をするなら覚えてもらう仕事が沢山あるから、教えるために来たみたいだ。
確かにカイウスの世話をするって、具体的にどうすればいいか分からないからカイウスを知るローズに聞くのが一番だよな。
カイウスは行かせたくなさそうだけど、俺は大丈夫だと言葉じゃなく一瞬だけ小指を絡めて目線が合った。
一瞬だけ俺を見てカイウスはローズの方に視線を戻した。
「ローズ」
「カイ様の手を煩わせませんので…」
「そうじゃない……さっきは悪かった」
「え……」
「ローズの事も信頼してる」
カイウスに言われて、ローズは呆然としていた。
すぐにローズから離れて、俺に「なにかあったらすぐに俺に言ってくれ」と言っていて、俺は頭を下げた。
ローズは謝られた人の顔をしていなかった。
顔が青ざめていて、絶望したような…カイウスに信頼していないと言われた時よりも心配になる顔をしている。
さっきの短い言葉でなにがそんなにローズを傷付けたんだ?
カイウスは特に驚きも戸惑いもない、無表情でローズを一瞬だけ見てドアから離れた。
「カイ様、そんな……私などに謝らないで下さい…貴方はこの世の誰よりも高貴なお方なのですよ!」
「俺はただの人間だ」
「ただの人間なんて…貴方は神に愛された力を持つこの世で唯一無二の…」
「……」
カイウスはもうローズと話したくないからか、会話を強制的に終わらせていた。
ローズはカイウスに「失礼致しました」と頭を下げて、俺に付いて来るように言って部屋を出た。
俺もカイウスに頭を下げると、カイウスは俺の方を見て手を振っていた。
「うん、俺も神殿がある場所を考えてみるよ」
神殿って、方角とか関係ないのかな…今ってどの辺なんだろう。
普通に考えたらカイウスの家同然だから、カイウスの屋敷っぽい気がするがカイウスも分かっていたのか、調べ済みみたいだ。
騎士団の兵舎も、城はカイウスが入れる場所限定だが調べたそうだ。
後は、普通の建物だけど宮殿である確率は低いだろう。
だとしたら、まだ行っていない場所で俺達が行けない場所にあるのかもしれない。
カイウスがいる場所じゃなくて、神がいる場所が宮殿だったりする?
「もしかして、神がいる場所が宮殿だったりする?」
「それってもしかして、ローベルト家?」
「うん、本の内容には神がいなかったからどうなってるのか分からないけど調べてみる価値はあるよ」
「…でも、またライムをローベルト家の屋敷に戻すなんて」
「追い出されるようにして出て行ったから、戻れないよな」
調べたいけど、調べられない…そう思うと余計に気になってしまう。
そもそも真正面で屋敷に行く事はないんだよな。
なら、こっそり屋敷に潜入するのはどうだろうか。
カイウスを見ると目線が合わさり、カイウスに自分の考えを話した。
しばらく考えていて、カイウスは静かに頷いてくれた。
何処から潜入出来るんだろうか、窓を割ったらさすがにバレる。
元の世界で一度やったが、あれは急いでたからだからちゃんと今度は準備しないと…
「入れる場所はあるか?」
「うーん、屋根裏から…入れるかな」
下見をしないと分からないよな、自分の家だけど間取りを把握しているわけじゃないし他人の家のようだからな。
屋根裏から入れるのは窓だけだけど、人と鉢合わせするリスクはかなり少ない。
屋根裏に住んでいたから周辺の事なら何となく覚えている。
カイウスは俺が今までローベルト家にされた事を知っているから心配してくれているんだろう。
でも、この世界の俺は何の力もないただの一般人。
だから利用される事も、必要とされる事もないんだ。
俺の行動が今、変に怪しまれていないからこそ堂々と動ける。
バレたら俺もローベルト家の敵になるんだけど、ローベルト家と戦う決意はとっくに出来ている。
「俺が屋根裏部屋の窓を開けるから」
「気付かれたらライムが危ない…そんな事させられない」
「大丈夫だよ、この世界の俺はローベルト家にとって人畜無害だと思われてるから!」
「それも本の話か?」
カイウスを安心させるように力強く頷いて、屋根裏部屋の窓がある場所を教えた。
夜中なら敷地内に入る事は簡単だ、元の世界のように警備が固められているわけじゃないし…
その時、部屋のドアが数回ノックされた。
俺とカイウスは話している内容が内容なだけに、誰かに聞かれたら失敗に繋がる恐れがあるからお互いの目を見つめ合いドアの向こう側に視線を向けた。
壁は薄くないとはいえ、念のために声は小さくしていた。
それでも耳がとても良かったら聞こえてしまうかもしれない。
ただの使用人とはいえ油断は出来ない、何処で話が漏れるか分からない。
それに、サクヤが新しいメイドの刺客を送り込んでいるのかもしれない。
部屋中の空気がピリピリとして、警戒しながらカイウスは口を開いた。
「……誰だ」
「ローズです」
「何の用だ」
「申し訳ございませんカイ様、そちらの使用人に用事が…」
ローズの言葉に俺が反応して行こうとしたけど、カイウスに肩を掴まれて俺の前にカイウスがドアを開けた。
ローズはカイウスに頭を下げていた。
俺もローズに怒られないように見よう見まねでカイウスに頭を下げた。
俺はローズのところに行こうとしたが、その前にカイウスがローズに用件を聞いている。
ローズはここまでカイウスが使用人に過保護になるのは見た事がないのか、少しだけ驚いていたが話していた。
カイウスの世話をするなら覚えてもらう仕事が沢山あるから、教えるために来たみたいだ。
確かにカイウスの世話をするって、具体的にどうすればいいか分からないからカイウスを知るローズに聞くのが一番だよな。
カイウスは行かせたくなさそうだけど、俺は大丈夫だと言葉じゃなく一瞬だけ小指を絡めて目線が合った。
一瞬だけ俺を見てカイウスはローズの方に視線を戻した。
「ローズ」
「カイ様の手を煩わせませんので…」
「そうじゃない……さっきは悪かった」
「え……」
「ローズの事も信頼してる」
カイウスに言われて、ローズは呆然としていた。
すぐにローズから離れて、俺に「なにかあったらすぐに俺に言ってくれ」と言っていて、俺は頭を下げた。
ローズは謝られた人の顔をしていなかった。
顔が青ざめていて、絶望したような…カイウスに信頼していないと言われた時よりも心配になる顔をしている。
さっきの短い言葉でなにがそんなにローズを傷付けたんだ?
カイウスは特に驚きも戸惑いもない、無表情でローズを一瞬だけ見てドアから離れた。
「カイ様、そんな……私などに謝らないで下さい…貴方はこの世の誰よりも高貴なお方なのですよ!」
「俺はただの人間だ」
「ただの人間なんて…貴方は神に愛された力を持つこの世で唯一無二の…」
「……」
カイウスはもうローズと話したくないからか、会話を強制的に終わらせていた。
ローズはカイウスに「失礼致しました」と頭を下げて、俺に付いて来るように言って部屋を出た。
俺もカイウスに頭を下げると、カイウスは俺の方を見て手を振っていた。
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